ウタとモブ(ガチ勢) 作:芝猫
後、映画何回も見に行きたいぃぃぃ。
意識が吹っ飛び、視界が真っ暗になる。自分はまだ死なないと思っていたが、案外人間はころっと逝くようだ。
まるで落ちている様な感覚に襲われながら、考える。
「あの世ってどこかな」「俺って天国行き?地獄行き?」「ワンピース読みたい」
「パピー、マミーまじごめん、葬儀適当にやっといて」「三途の川ってどんなのかなぁ」
「あの世にウタちゃんいるかなぁ」「pixivでルウタの小説増えねぇかなぁ」
「ルウタ尊い」「ウタちゃん(泣)」
「後半ほぼウタのことでいっぱいじゃねえか」
不意に誰かに声をかけられる。
気がつけば落ちていく感覚は消えて、真っ白い空間に移動していた。
「ここ.....どこ.....?」
「どこってまぁ.....ホワイトルーム?」
見たまんまじゃねえか。どうやら目の前の男もここがどこかわからないみたいだ。
しかしそれよりも気になったことがある。
「なんで、あんた俺の考えてた事が分かるんだ?」
「そりゃお前、俺が神様だからだよ」
神様?神?GOD?
目の前のこの男が?30代後半ぐらいでちょび髭生やしたこのおっさんが?
「おっさん言うな!まぁいいや、それよりお前は死んだっぽいな」
「そうな感じですね」
「そんな哀れで可哀想なお前には転生してもらいまーす‼︎」
話が急展開すぎて追いつけねぇ。
転生って、あの転生?色んなアニメにチート能力で殴り込みに行くやつ?
ということは.....?
「ワンピースの世界にもいけちゃう感じ?」
「いけちゃう感じ!」
じゃあウタちゃんと会えるじゃん!最高じゃん!神様万歳じゃん!
あの子の生の姿が見れんのか⁉︎
「転生したい?」
「したい!したい!」
「OK!じゃあ手続きを..........なぁんてうまく行く訳ねえだろ!」
突然目の前の神様が怒鳴り出す。
さっきまでの顔とは打って変わって悪魔の様な顔になっていた。
「どいつもこいつもヨォ、死ねばチート貰って俺ツェェ!をしやがる!俺ぁそーいうのが1番嫌いなんだよ!」
その口からは転生した者を激しく罵る言葉で溢れかえっていた。
怖っ。
「せっかくの原作をヨォ!たった1人の転生した野郎のせいでメチャクチャになっちまうんだ!最高の作品が、最悪の作品になる!だから俺は転生させるのが嫌いなんだ!」
なるほど、こいつ異世界転生アンチか。
友達にもこういう奴はいたわ。アニメ好きでも転生系だけは死んでも見なかったやつ。
「だが、俺の出す条件が飲めるなら許可してやってもいい!」
「条件?」
「まず一つ目だ。“お前にはチートは与えねぇ“だ。二つ目、”お前にヒロインはいねぇ“だ。最後だ、”お前は転生した世界に一ヶ月しかいられねぇ“だ!」
「⁉︎」
おいおいマジかよ⁉︎
それって.....
「どうした?お前のやりたかった異世界転生だぜ?まぁ”仮“転生だけどなw」
こりゃあさぞかし心にくるだろうなぁw
一つ目と二つ目はまだしも三つ目なんてw
なんせ一ヶ月しかいられねぇんだからなぁwさぞかし辛ぇだろうなぁw
「さぁ、お前の返事を聞かせてくれ!」
こいつはなんて喚くかな?
「それって...............最高じゃないっすか‼︎」
「..........は?」
「1ヶ月もあればウタちゃん救えるぜ!まじ最高だ!」
そう言って目の前の男は小躍りし始めた。
理解できねぇ⁉︎
「お、お、お前、このままだと一ヶ月しかその世界にしかいられねぇんだぞ⁉︎俺ツェェ!とかヒロインとイチャつくどころか会えねぇかもしれねぇんだぞ⁉︎」
なんだコイツ⁉︎今までのやつとはまるで違ぇぞ!
「あのね、神様。俺にとってはチートで”俺つえぇ“したり、ヒロインとイチャつくよりも、
コイツ.....
「推しの幸せは俺の幸せ、なんてね」
「..........」
「さ、その条件飲むんで転生させてください。」
「..........気に入った。」
神様はしばらくの沈黙を破ってそうつぶやいた。
「へ?」
「自分の私利私欲の為に転生するのではなく、あくまで
そう言って、悪魔の様な顔から先程のちょび髭顔に戻っていた。
そして笑顔でこちらに近ずいてきて目線を合わせてきた。
「男らしいお前に免じて三つだけ願いを叶えてやる!そして転生したい場所を教えろ!」
「三つ?」
「あぁ、
ここで俺は考えた。チートが大嫌いな神様に、ここでチートが欲しいとでも言ってみりゃきっと機嫌は悪くなる。
だったら.....
「ーーーーーーーーーーーーー」
「ほぅ?」
「ーーーーーーーーーーーーー」
「ふぅん?」
「ーーーーーーーーーーーーー」
「成程、まぁ許容範囲だな!了解した!そんじゃどこに転生したいか言ってみな?時間帯とかもよろしく頼むわ」
どうやら俺のお願いは聞き入れてもらえたらしい。
後は、転生するだけだが場所はとっくに決まっている。
「ONE PICE FILM REDのウタちゃんの初ライブの一週間前、音楽の島エレジアでお願いします!」
「わかった!ちょっと待ってろ!」
そう言って神様は何やらiPadの様なものを取り出して何かを入力している。
あの世ってiPadあるのかよ。
「よし!準備完了!行ってこい!」
そして俺の意識はまた飛びそうになる。
しかし、さっきの様な不安はない。あるのは高揚感と決意だけ。
大丈夫!俺ならやれる!
幸せになるのはウタちゃんだけでいい。
俺はその手伝いをほんのちょっとだけするだけ。
このお話は世界の歌姫を幸せにしようと奮闘する一人のお話。
それでは、始まり始まり。
幼少期のウタちゃんマジ天使。
幼女は世界を救うんじゃあ。