ウタとモブ(ガチ勢) 作:芝猫
昨日から聞きっぱなしです!
後、闇堕ちウタちゃんもかわゆす( ˊ̱˂˃ˋ̱ )
船に揺られる事、2日。
エレジアに着いたのは、夜だった。
ライブまで、後4日か.....。多少予定はくるったが何とかなりそうだ。
え?途中、船で何かあったかって?おっさんとの会話の内容なんて知りたくないだろう?
「坊主!お望み通りのエレジアだ!夜になっちまったが大丈夫か?」
「えぇ、大丈夫です。むしろ
「?まぁ、お気に召したならよかったぜ!そんじゃあ俺は行くぜ?」
「あぁ。本当に何から何までありがとうございます」
「いいってことよ!俺も臨時収入が入ったからな〜」
そう言ってヨーゼフは俺を下ろし、さっさと行ってしまった。
少し、薄情だなと思いながら俺も歩き始める。
まず、ゴードンさんに会わなければならない。今回の計画において、彼の存在は必要不可欠なのだ。
「しかし、いきなり目の前で「ウタちゃん死んじゃうから手を貸して」なんて言う男のことなんて信じるかね?」
幸いにも、彼は非常に良くできた人格者だ。話ぐらいは聞いてもらえると思うが、果たして協力してもらえるのだろうか?
「そこは俺の努力次第だな」
「やっと.....着いた.....」
歩く事、1時間。
ようやく教会に着いた。
道中何度も迷って、迷って、迷ってようやくたどり着いたのだが.....
「てか、ここに居るよな?いなかったら泣くんだけど.....」
映画では確かここでルフィと会ってたし、ここで大丈夫だと思うんだけどな。
ていうか、ゴードンさんが居るってことはウタちゃんも居るんじゃね?
ヤベェ!テンション上がってきた!ワンチャン寝巻き姿のウタちゃん見れんじゃね⁉︎
「お、お、お、お、落ち着け!まずはゴードンさん最優先だ!」
うっかり鼻の下が伸びてしまった。
息を整えて、中に入り部屋を探す。
暫く歩いているとうっすらだが明かりが見えた。
「ゴードンさんか⁉︎ウタちゃんか⁉︎出来ればウタちゃんであってほしい!」
ノックをしてお邪魔しまーすと中に入る。
そこにいたのは.....
ーーゴードンside
今日もいつものと変わり映えしない日々だった。
決まった時間に起床し、食事を摂り、そして、
「ゴードンおはよう」
今、世界中で愛されている“歌姫”ことウタと歌の練習をする。
これが私の1番大切な時間なのだ。
私は彼女のことを実の娘の様に可愛がってきた。
「あぁ、ウタ。おはよう」
あいさつを交わし、お互い食卓につく。
「ねぇ、ゴードン。私の初ライブまで後、数日だね」
「あぁ、全世界の人々が君の歌を楽しみにしている!かくいう私も楽しみだよ!」
「ふふ、楽しみにしていて。きっと私が『新時代』をつくるから」
まただ。
最近、ウタは『新時代』という言葉を頻繁に使うようになった。
果たしてその『新時代』という言葉に何の意味が込められているのか、私には理解ができないのだ。
以前、教えてもらおうとしたのだがはぐらかされて教えてもらうことは叶わなかった。
食事も終わり、歌の練習を始めようとしたのだが
「ゴードン!ごめんなさい、今日は少しやることがあるの!」
珍しくウタは練習を断ってきた。
「構わないが、何かするのかい?」
「えへへ、内緒ー♪」
そう言って彼女は元気に走って外に行ってしまう。
まぁ、彼女のことだ。自然の中でイメージトレーニングでもするのだろう。
練習も無くなり、やる事もない。
「.....庭の手入れでもするかな?」
私も外に出た。
ウタが帰ってきたのは夕方頃。
夕食も終え、彼女は眠りについた。
私もそろそろ眠ろうかと思い、明かりを消そうと思ったのだが異変に気付く。
「.....この足音.....誰だ?」
誰といってもここには私とウタの2人しか住んでいない。
それに彼女と10年以上住んでいる私が彼女の足音を聞き間違える筈などないのだ。
足音はだんだんこちらに近づいてきており、遂に私の部屋の前で止まった。
私はもしものことに備え、護身用の銃を構える。
ウタに危害を加えようとするのならば、刺し違えてでも彼女を守らねばならない。
そして、丁寧にもノックされドアが開いた。
「お邪魔しまーす.....って、銃ぅ⁉︎」
そこには銃をこちらに向けたゴードンさんが立っていた。
俺は咄嗟に身構えた。
「君は誰だ⁉︎というか何故、ここに居る⁉︎答えたまえ!」
やばいな.....。
これじゃあ話合いどころか殺し合いになるぞ⁉︎
すると、大きな足音がこちらに近づいてくるのがわかった。
まずい⁉︎多分、ウタちゃんだ‼︎
「すいません!とりあえず後で話しますんで、なんとか誤魔化してください‼︎」
俺はそう言って彼のベッドの下に潜り込んだ。
「あ!おい、君ィ!」
男はウタの足音に気付いたのか取り乱し、私のベッドの下に滑り込んだ。
まもなく、ウタが慌てた様子で部屋に入ってきた。
「ゴードン、大丈夫⁉︎何か大きな音がしたけど、誰かいるの⁉︎」
「ウタ.....!いや、少し大きな
「なんだ、虫か.....。それならよかったけど.....」
「あぁ、あとはこちらで何とかしておくから君はもう寝なさい」
「わかったわ。もう、驚かさないでね?」
そうしてウタは自室に帰っていった。
「.....もう帰ったぞ。出てきたらどうだ?」
「あぁ、助かりましたよ。というか虫って.....」
「実際そうだろう?」
「手厳しいな」
危害を加えないとわかったゴードンさんは銃を下ろし、話しかけてきた。
「さて、再度聞こう。君は誰だ?海軍の者かい?それとも海賊かい?あいにく盗むに値するものなんてないんだがね?」
「いや、どちらでもありませんよ」
「なら、いったい誰だい?」
「そうですね.....少し過激なウタちゃんのファンってところですかね?」
「ふざけているのか?」
眉を釣り上げるゴードンさん。
ふざけてるつもりはないんだけどなー。
「この際俺が何者かなんてどうでもいいんですよ」
「よくないのだが?」
「まぁ、聞いて下さい。単刀直入に言います。俺に協力して頂けませんか?」
「協力?」
そうして、俺はこれから起こる事を出来るだけ多く伝えた。
・ウタちゃんの目的。
・ネズキノコを食べる事。
・『新時代』についての事。
・トットムジカを呼び出してしまう事。
・最後はネズキノコの解毒薬を捨ててまでみんなを救い、亡くなる事。
きっと不十分なところもあっただろう。
しかし、最初は怪しがっていたゴードンさんも徐々に耳を傾けてくれた。
なんなら、最後の方は少し泣いてしまっていた。
「そんな.....ウタが.....」
「俺も彼女のファンです。なんとしてでも彼女の死だけは避けたい」
「.....」
「協力していただけないでしょうか?」
俺はゴードンさんに深く頭を下げた。
できるだけ信じてもらえるように、誠意を持って。
どうしても、彼女を救うには彼の手が必要なのだ。
「.....わかった。協力しよう」
「‼︎」
「私も、娘同然の彼女が死んでしまうのには耐えられない!ぜひ、協力させてくれ」
よしっ!まずは第一段階はクリアだ。
「しかし、1つ聞いてもいいかな?」
「どうかしましたか?」
「なぜ、私の名前を知っているんだい?」
「.....」
「過去の事を知っているのも不思議だし、なぜ未来の事までわかるんだ?」
「.....」
「彼女の計画についても知っているなんて.....」
しょうがない。
彼には全てを話した方がいいかもしれない。
「実は.....」
「別世界から来た?転生?訳がわからないぞ!」
「俺も今、ここにいる事自体が奇跡なんです」
実は異世界転生してきましたって言われて、「はい、そうですか」なんていう人はそんなにいないだろう。
元々は、あのままくたばってあの世に行く予定だったけど、なんの因果かこの世界にこれたのだ。
なら、せめて彼女は救いたいんだ。
「ふぅむ.....訳がわからないが、とりあえず協力はしよう。で、私は何をすればいいんだい?」
「はい、ゴードンさんにはーー」
「ーーという作戦です」
「.....少し、リスキーな部分が多くないか?」
「そこは目を瞑ってもらいたい」
「それに、私が
「そりゃあそうですよ。見ず知らずの男か、自分の娘を預けた男か、どちらを信じるかと言われれば決まっているでしょう?」
「それはそうだが.....」
「何度も言いますが、これは彼女のためなんです。それに俺が本格的に動き出す事ができるのは、トットムジカ討伐後からしか無理なんです」
「ライブまでに彼女を説得するのはダメなのかね?」
「ダメですね。万が一、それで俺の知っている内容と違う内容にでもなってしまえば対処できません」
「.....」
「とりあえず、ライブが始まるまで教会近くの廃墟で過ごします。何かあったら言ってください」
「わかった。しかし最後にいいかね?」
「?」
「君のことはなんて呼べばいい?素性もわからないんだ。どう呼んだらいいかわからなくてね」
名前か.....
「そうですね.....ミヅキとでも呼んでください」
これは、前世の名前だ。
この世界に来てから名前を変えようだなんて思ってもいないし変えるつもりもないからな。
「ミヅキ君か.....わかった!これからよろしく頼むよ!」
「はい、ウタちゃんのために頑張りましょう」
そうして、俺は彼と握手を交わした。
手、おっきいな。
ゴードンさんと別れた後、俺は教会から比較的近い廃墟に身を寄せた。
幸いにも人が生活していた痕跡があり、ベッドなど残っている。
ベッドに横になり明日からについてのことを考える。
ライブまで後、数日。
できるだけ早く準備に取り掛からねければ。
そう思い、俺は目を閉じた。
やっぱ、もう一度映画見に行こうかな.....。
ウタちゃんと会いたい.....。