初めての小説です! 楽しんでいただけたら嬉しいです!駄文注意!
あまりにも理解不能な現状
目が覚めると、竹藪にいた。
あまりにも唐突すぎる展開に目眩がする。いや待てよ、朝起きたらなんで竹藪にいるんだよ。状況が全く整理できない。いやこれを整理できたら行間を読むどころの騒ぎじゃない読解力だろ。
僕は先ず、夢の中の現象と疑った。僕はわりかとハッキリと夢を覚えている人だ。夢の中の出来事を現象と呼んでいいのか否かは一旦置いておくにしても、夢なら早く覚めなくてはならない。学校に遅刻してしまうのはゴメンだ。
再び辺りを見回した。竹、竹、竹。不規則に並んだ竹が、グニャリと曲がって見えてしまうほどの竹。竹藪というより、竹林なんだろうか……。
息を大きく吸い込んでみる。鼻をつく土の臭い。独特な植物の香りが、どっと肺の中に流れ込んでいく。地面はひんやりとしていて、少し湿っぽかった。
「あ、夢じゃねーやこれ」
ポツリと呟いてしまう。夢だという希望が潰えて、茫然自失としてる内に、ポロリと口を吐いてしまったようだ。
そしてその言葉が、改めて“現実”を認識させる。
「誰かああああああああああ!!!助けてくださあああああああい!!!」
反射的に絶叫。もはや何をしても文句はあるまい。当然の反応だと僕は思う。
僕の声に驚いたのか、カラスの群れが飛び上がった。どうやら竹の上の方にとまっていたらしい。上を見やると日の光が差し込んでいたーー時間はだいたい昼前くらいだろうか。なら夢だとか考えるまでもなく遅刻だな、問題なかった。
けたたましい叫び声を上げながら飛んでいくカラス(向こうからしたらけたたましいのは当然僕であり、迷惑極まりないと思ってるだろう)を見送りながら、さてどうしようかと再び迷う。
……とりあえず、もう一回叫んでみるか。
「すみませえええええん!!!誰かいませんかあああああああ!!!」
「うるせえええええええええ!!!」
突如として、地すら震える怒号と共に、僕の目の前に少女が現れた。
現れたというか落ちてきた。空から女の子が!
しかしなんというか……その少女の格好が、もんぺなのである。
もんぺ。
蛍の墓みたいな時代のもんぺ。
時は21世紀、本来ならばドラえもんすら生まれているはずだったこの現代に、もんぺである。突如として現れた彼女に対して考えられることは、親の虐待か家が貧しいのかの二択だろう。
どちらにせよディープな話である。軽々しく触れていい問題だとは思わない。しかし、目の前のいたいけな少女を助けずにして、誰が男なんだろうか。
僕は慈愛に満ちた瞳と、温もり溢れる笑顔を湛えて、その突如として落下してきた少女に優しく話し掛けた。
「つらかったら、お兄さんに相談」
「とりあえずぶん殴っていいか?」
とりあえず殴られた。初対面の女子にいきなり殴られた。痛い。
少女は暴力で大分スッキリしたのか、ニコニコしながら手を叩いた。なんだかんだ人を笑顔に出来たんだ。どうせならもっと僕に被害がないような解決がしたかったけれど、本望だ。決してMではない。
しかしながら彼女が、もんぺを着ていることについては何も解決していない。と言うより、彼女について何もわかっていない。
「私についてより今はお前が置かれてる状況について考えてみろよ……格好はお前も大概だろう……」
「僕が置かれた状況?」
呆れたように呟く彼女に、僕は思考を巡らせる。今の状況? 空から少女が落ちてきた……ん、何か忘れてるな。
……ああそうだ、確か朝起きたらパジャマのまま竹林で寝ていて、ここがどこかもわからないし町がある方向もさっぱり、さらにこの場所の心当たりが全くないんだった。
「やっべえ……だいぶピンチだ僕……」
「おせえよ……衝撃的だよ私は……」
自らが置かれている状況をもう一度深く思い出した結果、この空から降ってきて着地して、平然と僕と会話しているこの少女に頭を悩ませることになった。
いや、と言うか。
「誰だお前ッ!!?」
「なぜ少し時間差で!?」
今気付いたんだから仕方がない。そのあまりにも自然に溶け込む技術に脱帽だ。
髪を揺らして、少女がこちらを睨み付けた。ジロリと値定めするかのように。
……不思議な瞳だった。生きることに疲れたような“生気に満ち溢れた目”だった。彼女の第一印象を述べると、一行で矛盾するようだがそういうことになるだろう。
やがて、彼女は値を定めたのか、ハハアと頷いて口を開いた。
「なるほど、外来人だな。こんな奇妙な服着た奴は初めてだけど、幻想郷にだっていないだろうし」
「? 唐突に話が見えなくなるのはやめようよ」
「話が出来るほど現状も見えてはあるまいに」
「いやまあそうだけどさ」
だけどそれは単純にーー納得出来ない。あまり他人だけが知っていて、自分だけは訳がわからないと言った状況は好きではない。
だが、彼女に説明を求めたとして、果たして正確無比な答えが来るのかを思うと肯定し難い。
ではどうすればいいのか。
「……そうだな、アイツらに押し付けるかな。人里よりもあっちのが近いし」
「だから何をブツブツ言って……」
「いや、お前の避難場所に連れていってやろうと思ってな。付いてきな」
「親から不審者について行くなと教えられてきたもので」
「張っ倒すぞ」
まあだけど、今の返答は少し狙ったことではある。
今の状況を考えたら、今の言葉を受けて、“よほどの理由もないのに案内しようとする方が危険だからだ”。
普通の親切な人ならばーー
「はあ……なら、あっちの方向にしばらく歩けば建物がある。そこに助けを求めな。私より説明が分かりやすいはずだから、そこの住民の方が」
このように、“僕の意を組んで、道だけは教えてくれる”。一緒に行動しようとする者が、実は一番危ないのだ。
いや、一番はいきなり刺してきたりする通り魔かな。
「わかった、わざわざありがとう。結局何が何だかサッパリ意味不明だけども、とりあえずそこに行ってみるよ……えっと」
「藤原妹紅、妹紅でいい。お前は?」
「オーケー妹紅、僕は夜明(よあけ)。夜明永(よあけ ひさし)。ここがどこだか、なにがなんだかさっぱりわからないけどありがとう」
結局何もわからないままに、妹紅が指し示した道を行くことになった。明け方のようだけど、既に上がりつつある気温に嫌気が差しながら、対照的にひんやりとした土の上を裸足で踏みしめて、僕は歩いた。
どうでしたか? 不安しかありません、はい。これから少しずつ成長していきますので、生暖かい目で見守ってくだされば幸いです。