戦闘描写なんて消えてしまえばいいのに!
なら書くなよって? ごめんなさい頑張ります許してください
優しさでは何も解決しない。
そんなことを僕に吹き込んだのは中学校の時の教師だったかーー今思えば聖職者として限りない不安を拭うことが出来ないような人格の人だったけれども、だから彼女の言葉はいつも真理を突いていて、だからいつでも正しかった。
優しさは、何も救わない。
優しさとは、甘やかしだから。
厳しさの中にある愛こそが真実の形なんだと彼女は言った。猫一匹に対して五人を殺してしまった僕を叱咤するように、叱責するように。もちろんそこまで彼女は僕のことを見てはいなかっただろうけど。
しかしそれこそ正しい在り方なのだと。
お互いに譲れない理由があるときに譲ることは正しさじゃない。
自分が妥協できるときに自己を犠牲にすることは善いことじゃない。
博愛精神なんてものは人類が生んだ負の遺産だと、彼女は言った。
だから僕は小さく聞き返した。なら僕はどうすればよかったんですか? 殺してしまったことはもちろん間違いですが、猫が殺されても苛められても黙ってればよかったんですか?
それに対する返事は、僕の今までの考えを全て否定するような、無茶苦茶なセリフ。
いいや、殺してよかったよ。
他人の痛みが理解できないものを優しくしても、彼らには優しさが理解できないんだから。
殺るときは殺れ。
「にゃは! ウサギさん、橙には当たらないよー!」
「…………」
スペルカードルール。
弾幕ごっこ。
呼び様はいくらでもあるのかもしれない。言い方なんて一つ一つが、表現の一面性でしかないと僕は思う。
弾幕ーーしかしこの表現だけは、もっとも言い得ている。鈴仙の放つ色とりどりの光弾を、黒猫少女がピョンピョンとかわしていくーーなんて、生温い、予想の範囲内のことではなかったからだ。
鈴仙が放つ、弾幕と思われるものは肉眼で見切るのはほぼ不可能な速度だったし、何かがパッと光っているようにしか見えなかった。それを避けている黒猫はもはや、姿が消えている。
鈴仙にはこの速度の動きが見えているのだろうか。おそらく彼女は現在、僕の所にあの黒猫を近付かせないように戦っている。
二匹の動きが、あまりにも速すぎた。
「……なら、終わらせましょうか!幻惑『
「にゃ!?」
ここに来て、鈴仙が動いた。どうやら今取り出した札がスペルカードというものなのだろう。
彼女が放ったのはリップルレーザー……つまりリング状の電波のようなレーザーである。一見、前方にしか範囲はないが、今まで撃ちまくっていた弾幕は、どうやら黒猫の行く手を阻むためのものだったらしい。肉眼で追えない速さの弾幕は、次第に減速し、続いて停止していっている。停止の仕方を見るに、かなり縦横無尽に走り回っていたようだ。
圧巻の物量である。隙間のないほどに敷き詰められたそれを見て、僕は絶句せざるを得ない。
それを、軽やかにかわしていたのか、あの橙とか言う少女はーー
しかし、四方八方を塞がれ、押し潰すように彼女にはリップルレーザーが迫っている。
何をしてもこの包囲網を抜けることは叶わないだろう。
「……にっ」
だけど猫は、笑った。
「仙符『鳳凰卵』」
瞬間、あまりの速さに橙は消失する。少なくとも僕の視界から姿を消したーー彼女に弾を避ける術はない、なら。
“被弾すればいい”。
自分が死なないなら、どんな手傷を負っても、避けず、かわさず、ただ目的を達成すればいい。
その結果死んだとしても、従者としても本望なのだろうーー走馬灯に入るはずの貴重な時間を、こんな敵に対する説明なんかに消費してしまったことを僕は、ただただ呪った。
目の前に現れた橙が、その腕を降り下ろし、僕の胸を抉るまでの、コンマ以下の時間だけの話だ。
「“やっぱり、夜明くんを狙ったのね”」
胸を抉られたーー僕は自分の胸が抉られたところまで、ハッキリ覚えている。痛みも感触も、確かに切り裂かれたはずだ。
だけど、僕の目の前で橙に胸を抉られたのは鈴仙で。
黒猫の少女も、目を丸くしている。
「波長を操る程度の能力ーー貴方たちの視界をまとめて誤認させてもらったわ。そして、これでーー」
ーーやっと捕まえたわね、子猫ちゃん。
橙の服を掴んだ、鈴仙の目が赤く光る。
服を掴んだ手は外れないようにしっかりと返されて、服を巻き込んでいる。柔道で襟を掴む際の持ち方だ。もう猫は、すばしっこく逃げ回ることも、ただの一撃をかわすことは出来ない。
「赤眼『
この一撃は、かわせない。