「…………ここはどこ?」
ゆっくりと意識が浮上し、目を覚ますと全く知らないところだった。辺りを見渡してみると、どうやらここは民家のようだ。
何故こんなところで寝ていたのか?私は確かギルドから依頼を頼まれて、それで……。
思い出そうとすればボヤけていた記憶が一気に鮮明になる。空からの咆哮、背後から飛んでくる火球を必死に躱して逃げる私たち、転倒する瞬間、謎の竜の乱入、そして私に迫る牙。
「………!!!」
記憶を思い出すなり飛び起きて身体を触り、異常がないか確認する。しかし私の予想とは反して私の身体には傷一つなかった。
どういうこと?あの竜が私に何もしなかったのはまだしも、この身体はリオレイアから逃げる途中で傷だらけになっていたはずだ。
もしかして誰かが助けてくれた?それなら私の今の現状にも説明がつく。
お礼を言わないといけない。そう思ってベッドから降りようとした時、玄関から誰かが入ってきた。
「おや、起きたのかい。」
「はい、あの、私はどうしてここに……?」
「ちょいと待ってな、村長を呼んでくるから。」
私の質問を無視して女性はすぐに出て行ってしまった。それから私を見る目、あれは明らかに私を歓迎しているようには見えない。むしろ余計なものが来たとでも思ってそうな目だ。
「やっと起きたかい。小娘。」
これは早めにここから去ったほうが良さそうだねと考えていると先程の村人に呼ばれたのか杖をついた老婆が入ってきた。この人が村長かな。
「はい、ご迷惑をかけました。」
「全くだよ。起きたのならとっとと出ていってくれ。この村にはタダで食わせてやる物はないよ。」
「それなら私を助けてくれた人を教えて下さい。ここにいるならせめてお礼を……。」
「何言ってんだい。この村にはアンタとアプトノスしか来ていないよ。そのアプトノスもよく食うこと。何度肉にしてやろうと思ったか……。」
何も持っていない部外者の人間の面倒を見てくれる村など備蓄に余裕があるところにしかない。だから出ていけと言われるのは分かっている。
それならせめて私の恩人にお礼を言いたいのだけど、村長はそんな人知らないし私はアプトノスと一緒に来たとしか言わない。
どういうこと?私を助けたのは通りすがりのハンター?それともあの竜は私に手出しをしなかった?
考察してみても私が納得できる答えが出てこない。考え込んだ私に村長がイラついているのか、杖を振り回し始めた。
「何をボーッとしてんだい!傷だらけのアンタに回復薬まで使ってやったんだから早く出て行ってくれ!アンタを見ていると何か不吉なことが起こりそうで恐ろしいんだよ!」
「わっ!出て行きます!出て行きますから!杖で叩かないでください!」
狂乱する村長から頭を守りながら民家を飛び出る。初めて見るこの村につい立ち止まって特産品などがないか見てしまうが、後ろから私を追いかけてくる村長を見て再び走り出す。
「あの!私のアプトノスは何処ですか!?」
「お、起きたか。嬢ちゃんのアプトノスはコイツだ。料金は……って嬢ちゃんは今無一文だったか。」
「すいません、何か出来ればいいのですが……。」
「それなら嬢ちゃんの「この馬鹿者!!早く追い出すんだよ!!」ゲェッ!?婆さん!」
アプトノスの世話をしていてくれていたおじさんが、私の身体を見て何かを言おうとしたところで村長が追いついておじさんを杖でポカポカと叩き出す。
「嬢ちゃん!これを忘れるなよ!」
「これって、私の……。」
「大事な物なんだろ?しっかり待っとけ。この婆さんも今はこんなんだがいつもは気のいい婆さんなんだ。何でこうなってるかは分からないがな!」
私に頭を寄せてくるアプトノスを撫でているとおじさんから私のお守りを投げ渡される。
お礼を言おうとすれば、村長が私を睨んでくるので静かに頭だけを下げて村を出た。
「いっててて、婆さん。何であの嬢ちゃんにだけあんな対応なんだ?」
「不吉だからだよ!あの小娘を見ていると寒気が止まらない。そのせいで雌火竜の鱗をちょろまかすぐらいしか出来なかったよ。」
「まだそれやってんのかよ……。むしろ不吉な気配を感じるならやめとけよ。」
「あたしの勘ではセーフなんだよ!まぁ、あの小娘に何かがあれば多分この村は滅んでいたがね。」
「…………は?」
村を出てアプトノスと共に何もない道を歩く。一先ずの目的地は私の移動式屋台があるところだ。私の財産は今の拠点に置いてきているから金銭問題は帰ることが出来れば問題ない。だけど移動式屋台だけはアレ一つしかなく、持って帰れるのなら持って帰りたい。それにあれは村のみんなが協力して作ってくれた物だ、例え捨てていくことになっても一部分だけは絶対に持って帰りたい。
原っぱを抜けて森に入り、大きな何かが通ったような道を抜けるとあの時のままの移動式屋台が倒れていた。
「よかった、モンスターに荒らされていない。」
食材などは食べた形跡があるけど幸いにも移動式屋台には何もなかった。モンスターには木材や鉱石を食べる個体もいると聞いていたのでもしかしたらと思っていたけど、無事でよかった。
ホッと息を吐いて移動式屋台に近付いたけど、ボロボロになった移動式屋台を見てため息を吐いてしまった。
「はぁ、やっぱり持ち帰れそうにないよね。」
特にアプトノスの固定器具と車輪の破損が酷い。固定器具のほうはロープで代用できる。だけど車輪は代用出来るものがない。先輩たちの経験談で、車輪が行商の途中で破損して困ったという話はよく聞いていたため、もしものために代わりの車輪は用意している。している……けど、そもそも私じゃこの倒れた移動式屋台を起こすことができない。
「む〜〜!!やっぱりダメかぁ……。」
試しに起こせるか試してみるけどビクともしない。アプトノスの力ならと思うけど、そもそもこの子と話せるわけないし、ジェスチャーで倒れている移動式屋台を起こしてといっても伝わるわけがない。
仕方ない、最初に考えた通りに思い出深い物だけを持って帰ろうかな。再びため息を吐いて移動式屋台に乗り込もうとした時だった。
地面が揺れる。一瞬地震かと思ったけど揺れはドンドン強く……。いや、近付いてくる。これってもしかして!!!
急いで移動式屋台の後ろに移動して身を潜めようとするがその行動は少し遅く、地面を突き破って現れたあの時の竜と目が合ってしまった。
いや〜、本当ならルルが森に入って少しすれば出るつもりだったのだが色々考えてしまって結局ここに来るまで出てこれなかったよ。
流石にそろそろ出ないと出るタイミングが無くなりそうなので地面を掘り進み、勢いよく地上へと飛び出す。
地面に着地し、ルルの様子を確認してみるが……。やっぱり怯えているな。動こうとはしているみたいだが動けないって感じか?
動けないならちょうどいいとルルの身体をジッと見る。身体には怪我は無く、包帯を巻いている様子もない。
ふむ、村人たちはキチンと回復薬を使ったみたいだな。けどルルが金銭を持っていないということはリオレイアの鱗は盗んだか。お釣りが出てもいいぐらいは持たせておいたからな。
残念ながらこの世界は優しくない。余裕がない村なら旅人を迎え入れる振りをして身ぐるみを全部剥ぎ取って追い出すこともある。
まぁ、そんな村は全体的に暗いし村人の目もギラギラしてるので大体の人間は危機感を感じて避けているから問題ないがな。
こんなことを言ったがいい村も勿論ある。っていうかこっちの方が大多数だ。こっちにはギルドの管轄内やハンターが常駐しているパターンが多いな。
凶悪なモンスターが現れた時はハンターが狩ってくれるし、道が塞がればギルドから応援を呼んで対処出来る。
守られている安心感からか、心に余裕が出来る。だから他所から人が来ても受け入れることが出来るって感じか?
ルルを受け入れた村はやや前者ってところか?あー、けど今回のルルのパターンは珍しいから何とも言えないな。リオレイアの鱗を盗んだ癖に俺の鱗は盗んでいないからな。もし盗んでいたら鱗の気配を頼りに地中からその場一帯引き摺り込んで取り戻すけど。
その場に人がいたとしても関係ない。残念ながら俺は今のところルル以外はどうでもいい。
もしもの話はそこまでにしてそろそろルルを落ち着かせようか。ずっと敵意のない目で見ているけどルルはそんなことに気付くことなく汗をダラダラ流しているしな。どうやって逃げるか考えている最中かな?
その隣でアプトノスが何食わぬ顔で草を食べているのが面白いな。アイツと俺は一度顔を合わしているから危険な存在ではないと認識されたか?
俺の主食は魚だから問題ないけどその気になれば肉も食えるぞ?って魚も肉か。いや、ルルのパートナーみたいな感じだから食べないけどさ。
あ、ルルがアプトノスに気付いた。すごい顔してるな。アプトノスを通じて俺が危険なやつではないと思ってくれるといいけど……。無理か、アプトノスをなんとか屋台の裏に連れて行こうとしている。
なら奥の手を出すか。後脚に力を入れて立ち上がり、尻尾でバランスをとって二足歩行をキープする。
ルルが驚いているな。だがここからだ。ルルが見ているのを確認して、前脚を上下にシャカシャカと振り、尻尾もふりふりと左右に振る。時々ルルに背中を向けたりして踊る。本来は四足歩行のためかなりキツイがルルのためだ、我慢しよう。チラッとルルを見れば怪訝な顔をしていたがハッと何かに気付いた顔をした後、徐々に顔が赤くなる。そうだろうそうだろう、だってこの踊りは──。
「な、なななな、何であなたがその踊りを知っているんですかぁぁぁああああ!!!!」
ルルが喜びのあまりに踊っていた踊りの振り付けだからなぁ!!はははは!!「この馬鹿ァ!!!」ぐほぉ!?
突如飛んできた小さなハンマーが頭部に直撃して思わず倒れ込んでしまう。そのまま赤面したルルが角の上に乗り、移動式屋台から取り出したであろう修理用のハンマーを何度も俺に叩きつけてくる。
「馬鹿!馬鹿!忘れて!今すぐ忘れてよぉ!!」
こ、これが反抗期……いや、照れ隠しか!踊り終わった後ですごい恥ずかしがっていたから緊張をほぐすのに使えると思ったけどこんなに怒るのは予想外だぞ!
修理用のハンマー程度で俺の角は砕けないが、この様子だといつまで経っても叩いてきそうなのでルルを落とさないように起き上がる。
俺が起き上がったことで我に返ったルルだが、降りたら殺されると思ったのかハンマーを捨てて全身を使って俺の角にしがみついている。
背中の方が守りやすいので移ってほしいが言っても伝わる訳ないので、そのままにして尻尾で移動式屋台を掴んで持ち上げる。
アプトノスの方を見ると、やっと終わったのかとばかりに食事を止めて俺についてくる態勢に入ったのでルルを気遣いながら歩き出す。
「や、やめて!屋台をどうするつもりなの!?これは村のみんなが作ってくれた大切な物なの!お願いだから離してよぉ!!」
屋台を持ち上げた俺を見て何を思ったのかルルが角の上から必死に叫んでいる。
言われなくても分かってるって。村のみんなが試行錯誤しながら作っているのも見ていたし、プレゼントされた時のルルの喜びっぷりもな。あの村人たちはわざわざ職人を村に呼んだんだぞ?どうしても特殊な設備が必要な時はルルに気付かれないようにこっそりと町まで出かけて作ってきてさ。そんな村人たちの努力の結晶を捨てていける訳ないだろ。
そう言えたら楽なんだけど、俺は人間の言葉を話せない。代わりに優しい声で唸るがルルには伝わらない。
焦っているのか角の上から尻尾にまで移動して、屋台を掴んでいる突起を引き剥がそうとしている。
当然剥がれる訳がなく、やがて泣き出したルルが俺の背中にまで戻ってきて弱々しく叩いてくる。
あのハンターは俺に妹を泣き止ます方法は教えてくれなかったしなぁ。どうすればいいのやら……。
屋台を離せば泣き止みそうだけど、離したところで結局また掴むんだから意味なんてないだろう。それにルルを早く安全なところに連れて行きたい。
さっきから俺たちを見つめる視線がある。ルルの声で誘き寄せられた可能性が高い。恐らく小型の肉食竜。それだけなら問題ない、何匹来ようが返り討ちに出来る。だけどルルを守りながらは初めてなので、どうなるのかが分からない。更に道を進むほど俺たちを見つめる視線が増えてきている。
というか既に囲まれている。進むごとに数が増えているってことはこの先にリーダーがいる可能性が高い。木々に囲まれたここだと少しやり辛いので出来れば木がないところに行きたい、それに変に進路を逸れて個々の判断で襲われるよりか、リーダーに統率されて一斉に襲われた方がやりやすい。
俺が今出来ることは、後ろから突き刺さるアプトノスからの視線を無視して歩き続けることぐらいだった。
竜の背中に揺られながら道を進む。私にはこの竜が何をしたいのかが分からない。
移動式屋台を持ち上げられた時は壊されるのかと取り乱したが、いつまで経っても壊す気配は無いし、流石にここまで何もせずに歩いているだけだとこの竜に壊す意思がないのは分かった。
それにずっと背中に乗っている私にも何もしてこない。それどころか時々、気遣うように私の様子を見てくる。
モヤモヤするような気持ちを抱きながらも歩き続け、木々がない空き地に出た。確かここが町までの道のりの中間地点だったはず。だけど町に着く前に日が暮れてしまいそうかな?何処かで夜を越す準備をしなきゃ……。
そんなことを考えていると、突然竜が移動式屋台を地面に下ろす、それから身体を揺すって私も移動式屋台の近くに振り落とす。
アプトノスを尻尾で掴んで同じように私の近くに下ろすと、長い身体を使って私たちを囲みだした。
(木が邪魔だっただけでやっぱり食べる気だったんだ!)
息が荒くなる。もしかしたらさっきみたいに怯んでくれるかもしれないとハンマーを握り締めたところで気付く。この竜は私たちを見ていない。
森をジッと見つめながらあの時みたいに首の側面が赤く光りだすけど今回はそれだけじゃなく、そのまま身体を通って尻尾の側面まで光っている。
「シュルルルルルル。」
独特な唸り声。私に向かって出した声とは違って、何かに警告しているような声。そんな声を聞いたからか、森が騒めき、沢山の足音が私たちに近付いてくる。
森から出てきたのは青と黒のストライプ模様が特徴的な鳥竜種のランポス。私たちを囲むように姿を現して威嚇してくる。その視線は私とアプトノスに固定されていて、どうやら狙いは私たちみたいだ。
森の中からはまだ他の個体がいるのか走り回る音が聞こえてくる。もしかしたら走り回ることで隠れている他のランポスの位置や数を分からないようにしている?
だけど私の中には疑問がある。幾らこの数のランポスでも大型に分類されると思う竜がいるのに獲物の横取りをしようと思うの?
そんな私の疑問に答えるように、ランポスの群れから一回り大きな個体が姿を現した。なるほど、それがいるならこの襲撃も理解できるね。
「グォワ!グォワ!グォォォォォオ!!!」
姿を現したランポスたちのリーダー、ドスランポスが吼えてランポスたちに命令を下す。その命令を受け取ったランポスたちは、一寸のズレなく私たちに飛びかかってきた。
乱れなく飛びかかったランポスたちだけど、次の瞬間には吹き飛ばされた。何頭かは頭が首から離れ、地面に血を流している。
見覚えのある光景に、竜を見ると口から長い舌が垂れ下がっていた。全体的に黒くて夜にはかなり見辛そう。更に先端が二股になっていて、合わせると鏃のような形になりそうだ。その舌先からは血が滴っていて、恐らくそれでランポスの首を斬り捨てたんだと思う。
少し動揺する気配を見せたドスランポスだけど、次の瞬間にはまた命令を下す。今度はタイミングをずらしてランポスたちが襲いかかる。
それを舌を振り回して撃退していくけど、絶えず襲いかかってくるランポスたちに取りこぼしが出てくる。
舌の振り回しを通り過ぎたランポスは、竜の身体を乗り越えて中にいる獲物である私とアプトノスに襲いかか……ろうとしたけど、何かに引っかかったような体勢で竜の身体に倒れ込んだ。
すぐに立ち上がろうとするランポスだけど立ち上がれない。よく見てみると、竜の身体から粘液みたいなものが出ていてそれにランポスがくっついてしまって剥がれないみたい。
次々と舌をくぐり抜けた後続のランポスたちが粘液にくっついていく。くっついたランポスを踏み台にしようとする個体や、竜の身体に触れないように飛び越えようとする個体は優先的に舌の餌食になっていく。
順調に撃退して余裕が出来たのか、竜がドスランポスを攻撃し始める。角を地面に突き刺し、土の塊を空へと投げ飛ばした。
一見地味な技だけど、土の中にはそれなりの大きさの石などが入っているので意外と馬鹿には出来ない。空中で分解して降り注ぐ土や石の雨は、躱せなかったランポスたちの頭や身体を打ち、当たりどころの悪かったランポスは地面に倒れ込んだ。
手応えを確認できたのか、もう一度竜が地面に角を突き刺す。それを見たドスランポスは流石に何度もくらう訳にはいかないと思ったのか、他のランポスよりも素早い動きで竜に近付いて攻撃を中断させようとする。それが罠だと気付かずに。
ギャッっと短い悲鳴が響く。様子を見ると、地中から飛び出した舌がドスランポスの首に巻き付いていた。竜は地面に角を突き刺した時に舌も地中に入れていたみたいだ。
ドスランポスを捕まえた竜がチラッと私の方を見る。何を意図しているのか分からなくて首を傾げれば、ため息を吐くような仕草をしてドスランポスを地中に引き摺り込んだ。
尻尾だけが見えているドスランポスに周囲のランポスは動揺して個別に動き出した。ドスランポスを助けようと土を掘り始める個体もいれば、逃げ出す個体もいる。次のリーダーは自分だと周囲に命令を出す個体もいれば、諦めきれないのか私たちに襲いかかってくる個体もいる。
「シャァァァァァァァ!」
そんなランポスたちに竜が咆哮する。咆哮を聞いたランポスたちはドスランポスを助けようとした個体と私たちに襲いかかろうとした個体は少しだけ粘ったけど、勝てないと判断したのか名残惜しそうに森へと逃げていった。
「ふぅ。」
ずっと狙われていた緊張感がなくなったせいなのか、無意識に息をつく。そのまま地面に座り込めば、私の意図に気付いたのか竜も一緒に座り込んだ。
そういえば竜の身体にくっついたランポスが隙をついて私に襲いかかってこないか心配になって見てみると、暴れていたのか嘴にも粘液がついて呼吸が出来なくなったのか窒息死していた。
うわぁ、と少し引き気味に竜を見ると、不思議そうに首を傾げながら舌を器用に使ってくっついたランポスを剥がし始める。
今回のことで分かったことがある。それはこの竜は私を守ろうとしてくれていること。
さっきまでなんでこの竜が私を守ろうとするのか理由は分からなかったんだけど、今やっと気付いた。
首につけていたネックレスを外して、先端についてある鱗と竜の鱗を見比べると思っていた通り。大きさは違うけどそっくりだ。
この鱗は祖母がハンターをやっていた時に助けた竜の鱗。それがこの竜のものなら、一応私を助けたのにも辻褄が合う。
なんで孫の私を助けようとするかはまだ分からないけど、祖母の恩返しで私を助けようとしてくれているのなら……。
「少しは信用してもいい……かな?」
取り敢えず残ったランポスの素材をもらえないかな?
オリ主……後々、俺の角って一番硬い部位なのにルルがハンマーで叩いていた時、全然弾かれてなかったなと戦慄した。
土を固める粘液は相手をくっつけることもできる。でもそこまで粘着力が強くないので大型には余裕で剥がされる。
ランポスの首をはねた時にルルが顔を顰めたのが見えたため、ドスランポスを捕まえた時に斬るか悩んでルルを見たが、首を傾げられたため取り敢えず土に生き埋めした。
後でルルから素材が欲しいから掘り出してと言われる。
ルル……オリ主のことを悪いやつではないと思い始めた。もう怖がることはない。
お金になるし勿体無いからランポスの素材を剥ぎ取って帰る。ハンターの才能はないと思っているけど、普通にやっていけるレベル。普通の人は歩いている竜の上や振られている尻尾の上でバランスを崩さずに自由に歩けません。
そのあとドスランポスの素材が欲しいので早速オリ主を使っていくスタイル。
アプトノス……あー、草うめぇ。何ご主人泣かせてんだよコイツ。あ、ランポスは近付けんなよ?
ドスランポス……描写されてないだけで何回か舌の刺突を躱している。オリ主の攻撃を止めるために攻撃したが、初見殺しの地中強襲に対応出来なかった。
とある村……一部のグループが盗みを働いているし、それを村のみんなが知っているが黙秘している。村長の勘で狙う相手を決めていたが、村長が老衰で死んだ後は手当たり次第に手を出して自滅する。