商人少女とお兄ちゃん竜   作:フドル

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誤字脱字報告ありがとうございます!
2話目を投稿したら日間ランキングにのっててビックリした。
ありがとうございます。


壊滅的(何がとは言いません。)

「やっと帰って来れた。何とかなって良かったぁ。」

 

 移動式屋台がガタゴトと道を進み、山をこえると見慣れた景色が眼下に広がっていた。

 一時はもう死ぬんだと思っていたけど、思わぬ助けが現れたお陰で私は生きている。まだこの世界を見ていられる。

 

「シュルルルル。」

 

 助けてくれた竜の声が聞こえたので振り返ると、そこには大量のランポスを自分の身体に貼り付けた竜が疲れたような、不満そうな顔で私を見ていた。

 

 お金になると思って剥ぎ取ろうとしたんだけど、よく考えたらランポスってどの部位がお金になるのか分からなかったし、試しに鱗を剥ぎ取ってみると慣れていないせいか肉もごっそりと取れてしまった。

 これだと売れるか分からないし、どうせならギルドにランポスを持って帰って丸ごと売れば良いのではと考え、持ち帰る手段を考えた結果、この竜の粘液を使えば丸ごと持って帰れるのではないかと考えたのだ。我ながら素晴らしい考えだと思っている。

 

「…………ブフォ。」

「シュル!?シュルルルル。」

 

 横まで移動してきた竜をアプトノスがチラッと見た後、鼻で声を出す。きっと言葉が伝わらないなりに労っているんだと思う。そんなアプトノスに竜が驚いた声を出した後に、信じられないものを見るような目でアプトノスを見つめている。肉食と草食だもんね。

 

 そんな2匹を見ていると、竜が舌でランポスを剥がして移動式屋台に乗せてきた。次々と乗るランポスたちに、移動式屋台が重くなり車輪が少し土に沈む。

 ランポスたちを全て乗せ終わると、少しスッキリした顔で竜は地面に潜って姿を消した。

 

「もうちょっとだけ頑張って欲しいんだけど、ダメかな?」

 

 帰る途中でも旅人や他の商隊が近付くと地中に隠れるのは何回かあったので今回もそのパターンだと思うけど、町までまだ距離があるので頑張ってくれないかと竜が消えたところに声をかけると、舌だけが出てきて無理だと左右に振られる。その後、アプトノスを何回か指差すように舌で差した後で再び地面に消えていった。

 後はアプトノスで頑張れってことかな?そういえば私が怖がっていた時もアプトノスは全然怖がってなかったっけ……。知らない間に2匹の中で信頼関係が出来ていて複雑である。

 

 少しモヤっとしているとアプトノスが指示もなく歩き始める。もしかしてあの竜に負けてられないと思ったのかな?

 そう考えるとあの竜がアプトノスを舌で差したのは、竜なりの激励だったのかもしれない。

 

 いつもより速いペースでアプトノスが歩いて移動式屋台が揺れるけど、それとは別の振動が地面から伝わってくる。

 竜が地中から私たちを追いかけてきているのだろう。その振動も深くに潜ったのか弱くなって、しばらくすると消えた。

 今思ったけど、流石に町の中まではついて来ないよね?大丈夫だよね?

 

 清々しい青空の下、一抹の不安を感じながら私たちは町へと向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 地中深くからルルたちを追い、町に入ったのを確認してから反転、山近くまで戻ってきてから人目がないところで地上へ飛び出す。

 ひとまず安心ってところだな。ランポスの群れが襲来した後も何回かトラブルが起きたが特に問題なく帰ってこれた。

 

 ルルが入っていった町を見てみるが………やっぱり分からん。最初はドンドルマかと思ったが、俺が知っているのは、ほんの一部分なためこうして全体で見てみると分からなくなる。うろ覚えの知識だと一致している箇所が何個か存在しているが、断定はできないって感じだ。仮にここがドンドルマだとすれば古龍の襲来が約束されているので拠点を変えて欲しいところだ。

 

 俺だって火山で数多のモンスターたちと縄張り争いなどで戦ってきたが古龍は本当に洒落にならない。リアル設定の古龍は頭がおかしい。あいつら相手だと本気で戦わないとダメだが、俺の能力的に全力になると流石にルルを守るのは無理だ。

 

 まぁ、ここがドンドルマだと決まったわけじゃないし、新人の今はここを拠点にしているが、ルルは本来行商人なのでそのうち特定の拠点を持たなくなるから大丈夫だろ。多分。

 

 それにしてもルルが俺に慣れてくれたのは嬉しいのだが、ちょっと竜使いが荒くないか?ランポスが勿体無いから持って帰りたいのは分かる。有効活用したいもんな。だが手段が俺の身体にくっつけるのは分からない。

 しかもあの子まだくっつけられるって言いながら俺の顔にもランポスをつけようとしてきたんだぞ?流石に前が見えなくなるのはキツイので拒否したが。

 

 他にも移動式屋台を修理したいから持ち上げてとか、舌がどこまで伸びるか見たいとかも言われた。

 結局、修理した後でも俺が引き続き運ばされたけどな!舌に関しては俺の舌は特殊なので少し見せたらすぐに引っ込めた。そのせいで拗ねたルルが舌を引っ張って確かめようとしてきた時は本当に肝が冷えた。後、移動式屋台を運んでいる最中にずっと横でイキイキと歩くアプトノスを何度叩こうと思ったことか…‥。

 

 そんなことがあったが運が良く他のモンスターの襲撃は無かった。町が近いというのもあるかもしれないが、俺の予想だと俺の身体にくっついた大量のランポスが他の肉食竜たちの牽制になったからだと思っている。

 

 誰だって死んだモンスターの身体を大量にくっつけている大型になんて近付きたくないだろう。俺だって事情を知らなかったら罠だと思って近付かないもん。それに不気味すぎる。

 

 後、ランポスまみれの俺を鼻で笑ったアプトノスは許さん。かといってアプトノスに何かをすればルルに嫌われる可能性があるので、町に向かう直前でランポスを押しつけてプギャーしといた。

 舌で差した意味を理解出来たのかムキになって重くなった移動式屋台をひいていたから少しは仕返しができただろう。

 

 さて、スッキリした話は置いておいて、ルルが町にいる間は何をしようか?接触する前だとルルが町や村にいる時は近場にいるルルに危害を与えそうな大型モンスターなどを追い払ったりしていたが、今回は町近くだし、地形的にそんなモンスターはいなさそうだ。

 

 つまり暇である。やることも無いし、ルルが帰ってくるまで散歩なり食事をしたりして待つかぁ。早くルル帰ってきてくれないかなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーん、見つからないなぁ。」

 

 ギルドに依頼を失敗したことを伝え、罰金を支払った後、私はお店で少し値が張ったが現時点で確認されている全てのモンスターが収録されているモンスターリストを購入した。

 

 それを休憩がてらに読んでいるんだけど……。あの竜のことが載っていないんだよね。海竜種の章から探し始めて残りは飛竜種の章だけなんだけど、あの竜が飛竜種なんて想像できないし多分載っていないんだろうなぁ。

 

 ちなみにランポスの買い取りをお願いしたときに、その時の状況説明を求められたが群れは私が遭遇した時には壊滅していて犯人は目撃していないということにした。

 私の担当をした受付嬢は私の話を聞いて雌火竜がと呟いていたので大丈夫だと思う。

 私としてはあの竜のことを話すつもりはない。助けてくれたのに話すのは何か違うと思ったのだ。そういえばモンスターリストに載っていないってことは祖母もギルドに話していなかったのかな?

 

 祖母が何故話さなかったのかを考えながらもパラパラとページをめくっていき、あの竜らしい姿は見えなかったのでパタンとリストを閉じる。

 このリストは後でまた読もう。モンスターの知識は蓄えておいて損はない。だけど先ずは買い物を済まさないと。それに商品を仕入れないとダメだし。

 

 商業地区に向かって、必要なものを購入していく。今回はこやし玉もしっかりと購入する。きっとこれからはあの竜が守ってくれるだろうけど、それに任せっぱなしだといつか痛い目にあうと思ったからだ。

 あの竜が守り切れるのも限度がある。あのランポスの群れだってあれ以上の数で来られたらきっと私の目の前までくる個体がいたはずだ。

 そうなった時に私も反撃する手段があれば、あの竜の負担はグッと減るはず。

 

 それ以外にも閃光玉や音爆弾なども購入する。あとピッケルも。

 ………買ってから気付いたけど、あの竜って閃光玉とか音爆弾は大丈夫なのかな?

 き、きっとあの竜は賢いから私が投げたら気付いて回避してくれるでしょ!無理だったら……素直に謝ろう。

 

 ついでに購入したピッケルは、あの時ハンマーが全く効いていなかったので悔しくて購入した。店主にこのピッケルはモンスターの角にも刺さりますか?って聞いたら変な顔されたなぁ。

 

 サポートとお叱り用の物は買えたので今度は食料を購入していく。アプトノスの食料は勝手にその辺の草を食べるのでまぁいいとして、あの竜用の食料が必要だ。

 助けてもらっているのだからそれぐらいは私が世話をしないといけない。けどあの竜が何を好むのか分からないんだよね。

 

 この町に向かう途中で川辺で休憩した時に魚を食べていたのを見たから魚類を買えばいいんだけど、どうせなら好物を食べてほしい。だけどそれが何か分からない。

 

 悩んでいても仕方ないので、売っている魚を1匹ずつ購入。ハレツアロワナやカクサンデメキンなどの危険魚はそのまま店に置いてもらって、私が出発する時に受け取ることにした。宿で寝ている時に死亡して破裂や拡散されたら困るからね。

 

 最後は商品の仕入れなんだけど、商品を卸してくれる人が来るのはまだまだ先なんだよね。

 依頼を達成して戻ってくる予定の日付に届くようにしてたのに、私が途中で蜻蛉返りしちゃったから……。

 

 ここで伝書鳩を飛ばして急かすのは私の商人の格を下げるだけだから待つしかないね。そもそも私が商人になったばかりの頃から世話になっているのにそんなこと出来るわけないんだけどね。

 

 でもそろそろいいかもしれない。本来なら経験を積みながら私について来てくれるハンターを探して、見つかれば世界を巡りながら商売をするつもりだったんだ。計画は最初に見つけたハンターのせいで頓挫したけど、計画のハンター部分があの竜に変わっただけだ。

 

 そう考えると一度は諦めかけた計画が一気に現実味を帯びてきた。不安点は私とあの竜は言葉だと私からしかコミュニケーションを取れないため、すれ違いなどで関係が拗れて見限られることかな?

 それにあの竜は祖母に対する恩義で私を助けてくれてると思うから私にはなんにも思っていないかもしれない。

 

 うーん、どうにかして私を助けてもいいかなって思ってもらわないといけないけど……。流石にずっと無償で助けてくれるとは思えないし……。

 

 身体を洗ってあげるとか?それとも歯を磨く?もしかして爪研ぎ?ダメだ、竜が何をして喜んでくれるか分からない。

 一瞬だけ竜の目の前で踊るという選択肢が出てきたけどすぐに消去した。多分一番手応えがあると思うけど、ダメだ。恥ずかしくて私が死ぬ。

 

 悩んでいてもしょうがないね。旅の途中で見つけていけたらいいかな?

 

「そういえば旅をする仲間になるのに、ずっと竜呼びはダメだね。何か良い名前を考えないと……。」

 

 もしかしたら祖母が名前をつけている可能性があるけど、その場合は竜から私の名付けを断ってくると思うから大丈夫……だよね?

 

「どんな名前がいいかな?満足する名前をつけてあげないと……。責任重大だね!」

 

 私の名付けは村でも評判だったからね!よし、どんな名前にしようかなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ルルが町に入ってから1週間が経った。きっとギルドに報告したり、必要な物を買っているんだと思うが心配だ。やっぱり俺も町に行くべきだったか?

 

 でもあの防衛設備の量的に潜り込むのはリスクが高いんだよなぁ。うーん、心配だ。ちょろっと入るだけならバレたり……するか。はぁ。

 

 ルルは小さいので余計に心配になる。微かに感じる鱗の気配は町中をちょろちょろと動き回っている。あの町は広いし迷子になんてなってないよな?兄は心配だぞ。

 

 そんなソワソワした日を過ごすこと更に数日。やっとルルが町から出てきた。ホッとした気持ちを隠しながら、ルルが人目がないところに来たところで姿を現す。

 

 急に姿を現した俺に、ルルは来るのが分かっていたのか驚くことはなかった。この町に来る前は俺が地中から出てくるたびに飛び跳ねるぐらい驚いていたのに、ルルの成長は早いみたいだ。

 

「お久しぶりです。待たせてしまいましたか?」

 

 ルルの言葉に首を左右に振る。例えかなり待たされたとしてもここは首を横に振るのが良いだろう。もしここで首を縦に振って肯定してしまえば、次から村や町に入ったルルが俺を気にして早く出てきてしまうかもしれない。

 ルルにはゆっくり休息して万全の状態で旅に挑んでほしいのだ。

 

「私はこれから色々なところを旅しながら商売をしようと思っています。暑いところや寒いところ。あなたの嫌いな環境下のところにも行くかもしれません。それでも……その……私について来てくれますか?」

 

 ルルが俺を見上げて懇願するような目を向けてくる。ランポスを俺にくっつけた時のようにもっと気安くお願いしてもいいと思うのだが、ルルなりに考えたお願いの仕方なのだろう。

 

 心配しなくても俺はルルについて行くぞ。ハンターのお願いとは別に、俺自身がルルを守ってもいいと思えたからな。

 そんな思いで頷くと、ルルの不安そうな顔が一気に明るくなる。

 

「ありがとう!あ、そうだ!いつまでもあなたや竜呼びだと悪いと思ったから名前を考えてきたんだ!受け取ってくれる?」

 

 いつもの話し方に変わったルルが俺に名前をくれるようだ。これは嬉しい。ハンターは俺に名前をくれなかったからな。

 嬉しさから少し強めに何度も首を縦に振る。出来ればカッコイイ系の名前を頼むぞ!

 

「私が一晩かけて考えた名前なんだ!あなたの名前はシュルルだよ!」

 

 シュルルか。どっちかといえば可愛い系か?ルルは一晩を強調しているから何かこの名前に意味でもあるのかな?

 

「いい名前でしょ?シュルルがよくシュルルルルって声を出すからこの名前にしたんだ!他にもシャアアとかシュルシャアとか候補があったんだけど、気に入ってくれたかな?」

 

 特に意味なんてなかった!候補も全部俺の鳴き声じゃねーか!一晩悩んだって何を悩んだんだ?もしかしてこの意味を知ったら数分で出てきそうな名前を一晩かけて悩んだのか?

 いや待て、このルルの自信満々な姿を見るんだ。こんなにも自信があるんだから、きっと本人だけが本当の意味を知っているけど俺には話さないパターンだ。きっとそうだ。……そうだよな?

 

 少しぎこちないが首を縦に振って名前を受け取る。別に名前自体は悪くないので気にしなくてもいいか。意味を知ったらすっごい安直な名前に聞こえてくるけど。それでも──

 

「これからよろしくね?シュルル!」

「シュルルルル。」

 

 こんな笑顔を見せられると否定なんか出来ないよなぁ……。

 

「ブホォ、ブフォー。」

「そういえばアプトノスにも名前をつけてなかったね。あなたの名前は……。ブフォーって鳴くからブホーね!」

「ブホォ!?」




オリ主……ルルの笑顔に弱い。ドンドルマの見た目は4Gのところしか知らないためリアル目線だと特定が出来なかった。
 最近、アプトノスが人の言葉を理解出来ているのではないかと疑っている。ちなみに閃光玉は普通に効く。

ルル……オリ主とアプトノスがいつの間にか仲良くなっていることに驚いている。実際はお互いが煽りあっているだけなのは気付かない。
 ネーミングセンスが無い。取り敢えず鳴き声から名前をつける癖がある。

アプトノス……幼体の時から人の手で育てられているんだから言葉が分かっていても不思議じゃ無いよなぁ。
 あー、身体が軽い軽い。おや、竜さん、そんなに重い荷物を持ってどうしました?それより見てよこの軽やかな脚を!あ、ランポスが邪魔で見えない?草ァ!
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