商人少女とお兄ちゃん竜   作:フドル

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誤字脱字報告ありがとうございます!

昨日の時点で投稿するつもりだったのに、夢中になって度し難いゲームをしていたら気付けば寝る時間だった……。


何やってんの?

「よし、ここで休憩しようか。」

 

 旅は今のところ特に何事もなく順調に進んだ。シュルルがいるお陰で小型肉食竜は近付いて来ないため、今までのように周囲に気を張り巡らせる必要がなく、かなり楽になった。

 

 その代わりに草食竜はシュルルを怖がって近付いて来なくなったため、警戒心が高い草食竜を使った大型モンスターの接近感知は出来なくなった。まぁ、感知もシュルルがやってくれるし、いざとなれば追い払ってくれるから問題はないんだけどね。

 

 だけど草食竜がシュルルを怖がって逃げる姿を見ると、少し首を傾げそうになる。確かに初見だとシュルルは怖い見た目だし、大型に恥じない体格を持っているから威圧感もあるけど、私のブホーは普通に仲良くしているから草食竜って大型モンスターの危険性を見たら分かるんじゃないの?それとも私のブホーが変なの?

 

 飛竜種に見つからないように木の影に移動式屋台を隠してから屋台の固定器具を外すと、一直線にシュルルに向かって歩き出すブホーを見ながら考えてみるけど、どっちが正解なのかな?

 

 うーん、分からないな。そもそもブホーは産まれた時から人の手で育てられてきたから野生で育ったアプトノスたちと比べても分かるわけないか。

 

 考えるのをやめて屋台から買っておいた魚たちを取り出して地面に均等に置く。ブホーの突進を気にすることなく休んでいたシュルルがそれに気付いたのか、顔だけを私の方に向けてしきりに舌を出し入れしている。

 

「シュルル、あなたのご飯だよ。どの種類の魚を食べるか分からないから一通り買ってきたんだけど、食べないものはそのまま置いておいて大丈夫だからね。」

 

 私がそう言うと、待っていたかのように舌を伸ばして魚に巻きつけて捕食した。最初に食べたのはカクサンデメキン。正直食べないと思っていたから驚いてしまうが、シュルルは口の中で爆発するカクサンデメキンを気にすることなく食べている。

 カクサンデメキンを食べ終わると次にハレツアロワナ、その次はバクレツアロワナと爆発する魚を中心に食べていっている。もしかして爆発系の魚が好物なのかな?

 爆発系の魚は食べないだろうと少量しか買っていなかったので、次からはこっちを中心に購入しなくちゃね。

 

 爆発系の魚を食べ終えると、今度はサシミウオなどの魚を食べていき、眠魚だけは残した。

 一応眠魚を眼前に持っていったけど、顔を背けて食べないアピールをしてきたので食べないってことでいいのかな?ならこれは次の村に着いたら売ってしまおう。

 

 残った眠魚を元の場所に戻してからシュルルたちの方へ戻ると、シュルルが何処かに舌を伸ばしていた。

 

 伸ばした舌を戻すと先端には蜂の巣の一部がついていて大量についた蜂蜜が日光を浴びてキラキラと光っている。

 それをシュルルは見ることなく私に差し出してきた。

 

「シュルルが食べないの?」

「シュルルルル。」

 

 てっきり食後のデザートだと思ったけど、シュルルは首を横に振って否定した後、もう一度私に舌を伸ばしてくる。これはくれるってことでいいんだよね?

 

 試しに瓶をシュルルに差し出してみると、舌を器用に使って瓶の中に蜂蜜を入れる。残った欠片は草を食べているブホーに差し出して、ブホーが食べる……前にシュルルが食べた。

 

「ブホォ!ブホー!!」

「シュルッルッル!」

 

 貰えると思っていたブホーがシュルルに抗議を声を上げて、尻尾をシュルルに叩きつける。それをシュルルは笑っているかのような声を出して受け止めているので、本気で尻尾を叩きつけている訳じゃなさそうだ。

 

 詫びるようにシュルルが舌を伸ばして別のものをブホーの前へと置くと、ブホーが訝しむようにそれを見つめてから口にして、むせた。

 

「シュルルルル!!!!」

「ブホォ!!ブホォォォォォ!!!!」

 

 その姿に耐えきれなくなったのかシュルルが地面を転がる。それをブホーが怒っているような声を出しながら追いかけ回し、頭突きをお見舞いしようとするが、シュルルの転がりが速くて追いつけていない。

 

 私を中心に転がっているし、これはこの2匹の間だとじゃれあいみたいなものなので、気にするだけ無駄だ。

 

 2匹の鳴き声を聞きながら移動式屋台に腰掛け、少しでもモンスターに詳しくなるために私はモンスターリストを開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ブホォ、ブホー。」

「シュル?」

 

 旅の途中で日が落ち、夜が深まってきた頃。身体を丸めて睡眠をとっていると、角の先に小さな衝撃がきて、目を開くとブホーが俺の角に頭突きをしていた。

 

 昼の仕返しか?でもあの後でしっかり謝ったしなぁ。と思ったが、ブホーがついて来いと言いたそうな仕草をするので違うようだ。

 

 ゆっくりと身体を伸ばして、ブホーの方を向くと頷いてから静かに歩き始めた。方角からしてルルがいる方だ。寝ているうちにルルが離れているのは気付いていたが、遠くまで行っていないし近場に危害を加えるモンスターもいなかったので気配感知だけで留めていたが、もしかしてルルに何かあったのか?

 

 そんな心配が出てきたが、ブホーがルルの身に何かあったのを見たのなら、わざわざ俺を起こしに来ずにその場で叫んで俺を呼ぶはずだ。

 ということは俺に何かを見せたいってことでいいのか?俺が小枝などを踏んで音を出してしまうと、咎めるような目で俺を見るので静かにしてほしいことは確かだ。

 

 音を立てないように慎重に進み、やがて目的地に着いたのかブホーが止まる。この先に何かあるのかと目を凝らしてみると。

 

「ふーんふーんふーん。」

 

 踊っているルルがいた。その光景に俺は自身の目を疑い、舌で目を擦ってからもう一度見てみても変わらずルルが楽しそうに踊っていた。

 

 勢いよくブホーの方を向くと、しっかりと頷いてくる。なるほど、ブホーは俺にもこの光景を見せたかったのか。

 

 ルルに気付かれないように身体を屈める。この身体は全体的に黒っぽいので夜の闇に紛れて余計に見づらくなるだろう。

 まぁ、この世界は前世に比べると夜でもわりかし明るいが、今は雲で月光が遮られているのでかなり暗い。なので気付かれる可能性は低いと思う。

 

 機嫌良く踊るルルを見ていると何というか、ホッコリした気分になる。低身長なのも相まって子どもらしさを感じてしまう。

 ルル自身は他人に見られるのを嫌がるので見つかるとヤバイがな。だが俺は見る!何故ならお兄ちゃんだからだ!兄が妹の可愛い踊りを見てはいけない理由が何処にある!!

 

 隣のブホーも多分同じ気持ちなのか、どっしりと腰を下ろしてルルを見ている。どうやら俺たちは分かり合えそうだな。

 

「ふーんふーん………ふ?」

 

 それから数分間ルルの踊りを見続けていたが、雲が途切れて月光が辺りを照らしたお陰でルルが隠れていた俺たちに気付いたようだ。

 

 踊りのポーズをとったままビタッと固まり、俺たちを見つめていたが、その可愛い顔がみるみるうちに赤くなっていく。

 そのままキッと俺たちを睨んだ後、移動式屋台に走っていった。

 

 ふむ、俺たちはルルを怒らせた……のか?

 いや、多分前みたいな照れ隠しだと思うが、一つ確定しているのは前みたいにハンマーで叩かれることだ。

 だがルルの踊りを見れた駄賃とすれば安いものだ。それに顔を真っ赤にして叩いてくるルルも可愛いので問題ない。………最近俺の兄バカが酷くなっている気がする。気のせいか?

 

 更に今回は同志のブホーもいる。俺ばかり叩かれることはないだろう。なぁ、ブホー。

 

「ブホォ〜、ブホォ〜。」

 

 ……………は?おいちょっと待てお前何寝たふりしてるの?ルルが俺たちに気付く直前まで起きていたのは確認しているからな?ほら、早く起きろ。一緒に叩かれるんだよ。

 

 あからさまな寝息を出しながら寝たふりをしているブホーを前脚でゆするが、薄目で目を開いて俺を鼻で笑った後、再び寝たふりを再開する。

 この野郎、俺を見捨てて自分だけ助かるつもりだ。よかろう、なら無理矢理起こしてやる。

 

「シュ〜ル〜ル〜?」

「シュル!?」

 

 ブホーを起こすために前脚を上げたのと同時に、何かを地面に引き摺る音とともにルルの声が聞こえてくる。

 冷や汗を出しながらルルの方を見てみると前に見た小さなハンマーではなく、ハンターたちが使うピッケルを持った笑顔のルルが俺を見ていた。

 

「シュルル、頭を下げて。」

「シュル!?シュルル。」

「いいから下げて、ほら、は〜や〜く〜。」

 

 イヤイヤと首を振っても有無を言わさずにルルが俺に命令する。そんな時に隣から視線を感じてそちらを目だけで見てみると、ブホーが寝たふりをしながら俺を見ていた。

 

「ブホォ〜、ブホォ〜、………ブホォ。」

 

 あ、コイツ絶対今笑った。顔をそちらに向けようとすると、ルルがピッケルの素振りを始めた。このままだと俺の身体を無差別に攻撃してきそうだ。それならまだ硬い角に振られた方がマシだ。

 

 恐る恐る頭をルルが届くところまで下がると、ルルが良い子と言いながら角を撫でてくる。まるで今からここに振るぞと言わんばかりだ。

 

「………お仕置き!!!」

 

 ちょっ、ルルさん?流石にそれは振りかぶりすぎじゃ……あ、ちょっとだけ痛い!え?まだやるの?お助け!!

 

 カツーン、と静かな夜に心地よい音が鳴り響いた。

 

 

 

 

 

 

 

「全くシュルルはもう!」

 

 シュルルにお仕置きをした次の日、まだ恥ずかしさから頬が熱いのを自覚しながら野営道具を片付けていた。

 

 その原因のシュルルに目を向けると、目の前でブホーが心配そうにウロウロしている。

 起きたらシュルルの角にピッケルが刺さっていたなんて何も知らなかったら誰でもビックリするよね。

 

 でもピッケルが刺さってもシュルルは少し痒そうにしているだけで、特に痛がっているようには見えない。やっぱり鍛冶屋でシュルルが痛がりそうなものを買った方がいいのかな?………大剣とか?

 

 ガンランスの砲撃の方がいいかもしれないとシュルルを眺めながら考えていると、危険を察知したのかシュルルが機嫌を伺うように私を見てくる。変な気配でも漏れてたかな?

 

「ほら、シュルルとブホーも準備して。出発するよ。後シュルルはピッケルを返して。」

 

 誤魔化すように手を叩いて2匹に指示を出す。指示を聞いてブホーは固定器具に、シュルルは舌で角に刺さっているピッケルを引き抜いて私に差し出してくる。

 それを受け取ってからブホーと固定器具を繋げる。離れないのを確認してからシュルルの方を見ると、頷いた。ここら辺に私に危害を加えるモンスターはいないってことだね。

 

 空は快晴!モンスターは無し!今日も絶好の旅日和だね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「って思ってたんだけどなぁ……。」

「ん?どうしたんだ?嬢ちゃん。」

 

 意気揚々と出発した私たちだけど、1時間ぐらい進むと問題……って言っていいのか悩むけど問題にぶつかった。

 

 問題にチラッと目を向けると、屋台の後ろで寝転んでのんびりしている。

 

「ハンターさん。乗せてあげたのですからキチンと周りの警戒をしてくださいよ。」

「サボっているように見えるけどしっかりやってるよ。おじさんを信じなさい。」

 

 シュルルが何かに気付いて地面に潜り、しばらくするとこの人が来た。どうやら私たちと途中まで道が同じらしく、護衛をする代わりに乗せてくれないかと交渉してきた。

 

 正直に言うと嫌だ。ハンターには嫌な思い出しかないし、シュルルと一緒の方が絶対楽しい。でも断ってもこの人は後ろからついてくるんだろうなぁ。だって私のことを心配しているような目で見ているから。

 

 仕方なしに乗せてあげるとまぁ喋る喋る。何が好きだの商人を始めて何年目だのと、とにかく私と話そうとしてくる。

 

 当たり障りのない返事で質問に答えていくと、満足したのか屋台の後ろで寝転び始めてこの状況だ。

 

 ハンターさんが着ている装備的にベテランだと思うので商人としてはコネを作るチャンスなのだけど、なんだろう。話す気になれない。

 

 最初のハンターの時とほぼ同じ状況なので私自身、私が思っているよりか疲れているのかもしれない。少し気を紛わせるのに使えるかもしれないとシュルルが取ってくれた蜂蜜を取り出して舐める。うん、美味しい。

 

 少し回復したので手綱をしっかりと握り直す。ブホーが心配そうに私を見るので、にっこりと微笑んで問題ないと安心させる。

 それに今回はシュルルもいる。ネックレスの先端についているシュルルの鱗を握りしめて、ゆっくりと息を吐いた。

 

 

 

 

 

「ここから先は別ルートみたいですね。これは護衛料です。」

 

 ハンターさんと、私の目的地が別れる道まで来たので本来なら渡す必要がなかったお金をハンターさんに渡そうとするが、手で制された。

 

「あー、嬢ちゃん。すまないがちょっと屋台で篭っといてもらっていいかな?」

 

 なんでそんなことをする必要があるのか分からなくて、思わず首を傾げる。詳しい話を聞こうとすれば、抱き上げられて有無を言わさずに屋台に乗せられた。

 

「よく聞けよ?嬢ちゃん。今から何が出てきても絶対に取り乱すな。それからジッとしておけ。」

「え?ちょっと!何言ってるん……行っちゃった。」

 

 理由を聞く前にハンターさんが私から離れていく。それから私と充分に距離を取った後、腰に吊るしていた笛のようなものを吹いた。

 

 辺りに重低音の笛の音色が響く。そのまましばらく笛を吹き続け、吹くのを止めると、森がざわめき出す。

 

「な、何?これ?」

「知らないか?このアイテムは角笛。この笛の音はモンスターによってはかなり不快みたいでな。こうやって吹いてやると挑発だと思ったモンスターが襲い掛かってくる。」

 

 ほら来たぞとハンターさんが森を睨む。それに釣られて森を見ると、青い毛皮と甲殻が特徴のモンスターが出てくるところだった。

 

「アオアシラか。それぐらいなら問題ないな。すぐに倒すから嬢ちゃんは隠れてな。」

 

 ハンターさんが背中に担いでいた太刀を引き抜き、アオアシラと対峙した。アオアシラは匂いを嗅ぐ仕草をした後に、一気に駆け出した。私の方に。

 

「なっ……!まさか!おい嬢ちゃん!屋台に蜂蜜があるなら何処にでもいいからすぐに捨てろ!!」

 

 自分の方に来ると思っていたハンターさんが驚愕の声を出す。それからすぐに私に向けて忠告してくるが、私は涎を垂らしながら迫るアオアシラに悲鳴を出しそうになっていた。

 ブホーが迫る危機に自分で判断して走り出すが、アオアシラの方が圧倒的に速い。

 

 ハンターさんの指示に従って蜂蜜が入った瓶を捨てようとするが、すぐ近くにこやし玉が入った箱が目に入る。そうだ、これがあれば私でも追い払える!

 

 瓶を捨てるのをやめて箱からこやし玉を出す。そのままアオアシラに向けて投げようと振り返ると、既にこちらに向けて飛びかかっているアオアシラの姿があった。

 

「………あっ。」

「嬢ちゃん!」

 

 これじゃあ例えこやし玉が当たってもアオアシラは屋台にぶつかる。後ろから追いかけてきているハンターさんも間に合わない。

 

 そんな時、無意識に口が動いた。

 

「助けて!シュルル!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ベェア!?」

 

 突如地面から出てきた手のような何かがアオアシラを掴んで持ち上げる。突然の事態にアオアシラが驚愕の声を出すが、野生で生きているからか、すぐに拘束から抜け出そうとする。

 しかし拘束は解けるどころか強くなっている。アオアシラの抵抗も虚しく、徐々に力に負けて手の中に収まるように身体が丸くなっている。

 

(ようやくお出ましになりやがったか。)

 

 あの嬢ちゃんの真下に何かが潜んでいたのは気付いていた。嬢ちゃんを狙っているのか、荷物を狙っているのか。目的は分からないが、このまま放っておくと嬢ちゃんが酷い目に遭うのだけは分かった。

 

 それはハンターとして、年長者として見過ごすわけにはいかなかったので多少強引に護衛の体で嬢ちゃんの側についていつ強襲されても守れるようにしたが、いつまで経っても襲ってくることはなかった。

 

 来ないのなら好都合と護衛依頼を受けた知り合いが言っていたことを思い出して嬢ちゃんと仲良くなろうとしたが、それは失敗した。出来れば信頼関係を築きたがったが仕方ない。

 

 そのまま何もなく進み、嬢ちゃんと別れる時まで何もなかった。もしかしたら俺を警戒して襲ってこないだけかと思い、嬢ちゃんには悪いが角笛を吹いた。

 

 結果は嬢ちゃんを怪我させそうにしたため論外だったが、本来の目的であるモンスターを引き摺り出すことには成功した。

 

 更に嬉しいことに、既に奴はアオアシラを捕まえている。狩りのために嬢ちゃんを狙っていたのなら、アオアシラを捕まえた時点で嬢ちゃんを狙う意味は無くなった。

 

 このまま消えてくれるなら良し。消えないなら……狩るだけだ。こう見えてもハンター歴は長いし腕には自信はある。

 

 いつでも動けるように用心深くモンスターを観察していると、モンスターがアオアシラを投げ捨てた。目でアオアシラを追うと、まだ息があるみたいで立ち上がるなり森の中へと消えていった。

 

「あ〜、これはマズいなぁ。」

 

 モンスターが獲物を仕留めずに見逃すなんてモンスターによって理由は様々だが、このパターンの理由は大体一つだ。

 それは……獲物を仕留める手間すら惜しむほどの優先事項があるパターンだ。

 

「おいでなすった!!」

 

 地中から強烈な殺気を叩きつけられて警鐘を鳴らすハンターの勘に従い横へ跳ぶと、さっきまで俺がいた場所に先程の手のようなものが現れる。

 

 手応えがないことを確認するとすぐに地中に消え、また俺の下から現れる。

 

「ハンターさん!」

「嬢ちゃんは隠れとけ!絶対に出てくるなよ!」

 

 嬢ちゃんが今にも屋台から飛び出てきそうなので命令するように声を出して止める。出来れば今すぐにでも逃げてほしいが、腰を抜かしたのかアプトノスが地面に伏せて移動できないみたいだ。

 

 手のようなものの攻撃も激しくなり、俺を掴めなければ薙ぎ払いや近くの岩を掴んで俺に投げてくるようになる。

 だが慣れた。似たような攻撃でこんなに見せられるとハンターをやっていれば誰でも慣れる。

 

 タイミングを見計らい太刀を抜刀。次に出てきた時に痛手を与え、身体を引き摺り出してやる。

 

 地面が揺れ、また俺の下から手のようなものが姿を現すが、今度は最小限の動きで躱し太刀を構える。

 

「取り敢えず一太刀くらっとけや。」

 

 踏み込み、斬りつけようとするが脚に違和感。即座に違和感を感じた方を確認すれば、細い触手のようなものが地面を突き破って脚に巻き付いていた。

 

 やられた!急いで斬り捨てようとするが、細い見た目とは裏腹に軽々と俺を持ち上げて振り回す。遠心力が働いてなかなか触手に太刀を突き刺せず、四苦八苦しているうちにぶん投げられた。

 

「うおおおおおお、ごっ!」

 

 周りの景色が流れていき、背中から地面に着地してその衝撃で肺の空気が吐き出される。

 

(マズイ、嬢ちゃんと引き剥がされた。急いで合流しねぇと……っ!)

 

 息を整えている最中に再び地面から振動。掴まれてはたまらんと即座に起き上がり、攻撃がくるタイミングを見計らうが今度は俺と少し距離を離したところでその全身を現した。

 

「おいおい、まさかと思ったが新種かよ。」

「シュルルルル。」

 

 長いハンター人生で何度も読み込んだモンスターリストに載っていない姿。もしかしたら遠い昔に絶滅していた個体の可能性もあるが、多分新種だろう。

 

 その新種の様子を見てみると、まぁ怒ってる。苛立ちを露わにするように頻繁に前脚で地面を掻いているし、身体の側面にある頭から尻尾まで伸びるラインが赤く点滅している。

 

「ジュラルルルル。」

「まだ何かあるのかよ。」

 

 そんな新種を見ていると、身体中から黒いドロッとした液体が出てきて黒い身体を覆い隠す。新種はそれが鬱陶しいのか、身体を震わせて周りに飛ばすが、すぐに黒い液体がまた全身を覆い隠す。

 

 身体を液体で隠された新種の姿は真っ黒で、黄色に輝く目と側面のライン部分だけが不気味に発光している。

 

「◼️◼️◼️◾️◾️◾️◾️◼️◼️◼️!!!!」

「グォっ!?」

 

 先程とは桁違いな咆哮が耳を襲い、ヘルム越しに耳を押さえてしまう。

 この状態で襲われるとたまったものじゃないと、目だけは新種を捉え続けていたが、特に何かする気はないみたいで俺の様子をジッと見ていた。

 

 それがとにかく不気味で身構えるが、新種の姿がおかしい。あの黒い液体に沸騰したかのように気泡が出始めたのだ。

 

 ハッとして辺りにばら撒かれた液体にも目を向けると、全て気泡が出始めている。頭の中で警鐘が今までとは比にならないほど鳴り響き、急いでその場から離れる。

 

 その間にも液体は気泡を出し続け、やがて限界がきたのか鈍い光を放った後──爆発した。




オリ主……リオレウス装備だし大丈夫だろうと静観していたらとんでもないことをやりやがったハンターに割と本気で怒っている。
 角笛で少しイラッとしているのにルルを怖がらせたのもプラスで限界が近い。ルルが泣くので殺しはしないが殺す気でいく。
 ちなみにルルに突き刺されたピッケルは当たったと同時に粘液で絡め取っていただけなので刺さっていない。くっついているだけ。
 バレたら怒られそうだけど、あのままだといつまで経っても叩かれそうだったのでこのような対処になった。どうせルルはちんちくりんだから角にくっついているピッケルの先端を見せなきゃバレないだろ精神。

ルル……ハンターのやらかしとアオアシラの突撃でトラウマが一度に二回来た。(ハンターに騙された&リオレイアからの逃走)
 シュルルに助けを求めるとすぐに来てくれたため安心したが、シュルルからハンターさんを殺しそうな気配を感じたため急いで止めにいく。
 シュルルが爆発系の魚を好物としていることが分かり、次からはそれを中心に買うことになるが、保存方法をどうしようと割と本気で悩むことになる。
 回収したピッケルの先端が粘液まみれだったので本当は刺さっていなかったのでないかと疑っている。

ブホー(アプトノス)……その気になれば自分の判断で逃走するし、反撃もする。ランポス相手なら怯まずに攻撃する。
 オリ主がハンターを襲った時には既にリラックスモードになっていた。なんなら草を食っている。
 ハンターのやらかしでご主人が危機になったのを見ていたため、オリ主が殺す気でハンターに襲いかかっていても別にどうでもいいが、ご主人が急かすので渋々オリ主とハンターの方へ移動を開始した。
 オリ主に変なきのみを食べさせられたことを根に持っている。いつか仕返しするつもり。
 あー、よく寝た。おや、シュルルさん。何で角にピッケルが刺さっているんですか?新手のファッションですか?何?私のせい?何のことか分かりませんねぇ……。私!寝てましたので!!ブホォ!

ハンターさん……ベテラン。偶然出会ったルルの真下に何かいることをすぐに気付いた。そのまま無視するのも後味が悪いので助けようとする。
 護衛依頼などをしたことがなかったので同僚の経験談をもとに色々頑張ってみたが、相手が悪かった。
 ちなみに頑張った理由は信頼関係を築けば突然の事態で護衛対象がパニックになる可能性が減るから。しかしルルの様子を見てパニックになる可能性は元から低そうだと判断した。
 なのでいつもみたいにモンスターを誘き寄せて狩ろうとしたが、やらかした。そのせいで初見殺しオンパレードのオリ主相手に戦う羽目になった。


 フロンティア民なら分かると思うんですが、オリ主がその気なら舌でハンターを捕まえた時点でハンターは詰んでました。みんな大好き即死攻撃です。

 オリ主の能力は次回書きます。
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