前回の投稿日を見たらびっくりしましたよ!
ガーグァの尻掘り狩猟から数日、俺とニャニャは再び渓流にやって来ていた。今回の目的はジャギィとジャギィノスの狩猟。初めての狩猟クエストであり、ニャニャの気合いも普段より多めに入っている。
その気合いの現れなのかは分からないが、ニャニャの装備が初期からアロイに変更されている。ただの鉄の鎧に見えるがここはモンハン世界。それなりの防御力が期待できる。ただし油断は禁物だ。ゲームならともかく、ここはリアルだからな。
「シュルル、今回はボクが本当に死にかけるまで手を出さないで欲しいニャ。」
「シュル?シュルルルル。」
「覚悟の上ニャ。甘えるだけじゃ駄目ニャ。」
本当に良いのかと首を傾げれば、ニャニャは覚悟の上だと俺の目をまっすぐに見つめてくる。……これなら大丈夫か?死にかけるというのはかなりのリスクとなる。よっぽどの覚悟がなければ仮に生き残ったとしても今後狩猟に赴いた時に重い枷となるだろう。
俺は一度本当に死んだし、この世界に来てからも何度も死にかけたがガムシャラだったから大丈夫だった。だがニャニャはまだ死にかけるというのがどういうものなのかを知らない。それに過ごしてきた環境も優しすぎる。常に1人で危険が伴う外とは違ってほぼ確実に多数の人が居る安全な場所で過ごしていたのだ。俺からすれば不安で仕方ない。
けどニャニャの目を見ればなぁ……。止めようとしても無駄だというのがよく分かる。あれは一度やらせないと止まらない目だ。
はぁ……、仕方ない。見守ることにしよう。渋々と頷くとニャニャはキリッとした顔を崩してアイルーらしい愛嬌のある笑顔を見せた。
「ありがとうニャ!頑張るからシュルルは安心して見守っていて欲しいニャ!」
「シュルルルル。」
安心して……か、きっと俺から手を出すことになると思うがそれまでは見守らせてもらおう。旅の途中でニャニャとルルが話しているのを聞いたが、ニャニャが話していたものは人のハンターだけでニャンターの話は聞いたことがない。
きっとニャニャの基準は人のハンターだ。それが今回の狩猟にどう影響が出てくるのか……。大体の想像はつくがニャニャが覚悟を決めているんだ。一度許可した手前、あれこれ言うのは野暮だろう。
ニャニャが考えている結果とは違う事実に心が折れるのか、乗り越えるのか。俺はどちらでもいいが、出来ればルルを支える仲間として乗り越えてもらいたいと思う。
「これで!トドメニャ!」
ボクの一撃がジャギィの急所に当たり、衝撃でジャギィが吹き飛ぶ。地面に寝そべったジャギィが立とうとするけれど、そんな体力は今の一撃でなくなったのか最期に弱々しい鳴き声をあげて絶命したニャ。
これで5匹目。依頼内容はジャギィとジャギィノスを合計で10匹の討伐だから半分を切ったニャ。初めての討伐依頼ということもあって緊張したけれど、ボクが思っていたよりも難しくなくて安心したニャ。
ジャギィは動きがすばしっこいけどボクよりは遅いし、ジャギィノスはそこそこ大きな身体でのタックルは怖いけどその攻撃に移るまで少し時間があるから十分に躱す余裕があるニャ。ここまで単体で行動している個体ばっかり狙っていたけれど、これなら集団を狙ってもいいかもしれないニャ。
そう思って村の人に聞き込みをしてジャギィ達がよく集まっている場所に向かおうとすると下からそこそこ強めの振動。その振動は既に慣れたもので、誰が起こしているかも知っているのでボクは声をかけるニャ。
「シュルル、大丈夫ニャ!戦ってみた感じだとボクでも勝てるって判断したニャ!」
初めての狩猟の興奮と、成功したことでついた自信で声も強くなったけれど、それでもシュルルが警告するようにボクに振動を送ってくる。シュルル的にはもっと単独で行動しているジャギィ達を狩って経験を積めと言いたいんだと思うニャ。
「でもシュルル、もうこの辺りで単独で行動しているジャギィやジャギィノスはいないニャ。待っていれば出てくるとは思うけど、それだといつになるのか分からないニャ。」
だから集団で行動しているジャギィ達を狙うニャと言えば、感じていた振動が消えたニャ。ジャギィ達がいる方に進んでも追加の振動が来ることもなかったからこれは許されたニャ?
急に止んだ警告の振動を疑問に思いながらそのまま進んでいき、ジャギィ達がいるところに辿り着いたニャ。ボクの視界には2匹のジャギィノスが寝そべっていて、その少し奥には3匹のジャギィが戯れあっているのが見えるニャ。
ここまで来てもシュルルからの警告が来ないことから、完全に許されたと捉えたニャ。
「シュルル、あのジャギィ達を討伐したら旦那さんは褒めてくれるかニャ?」
ボクの質問に軽い振動が返ってくるニャ。このクエストを受ける前に旦那さんはボクの心配を何度もしていたニャ。だからボクがこのクエストをしっかりクリアして旦那さんに自慢するニャ。クエストクリア、それも集団のジャギィ達を討伐出来たと報告すれば、旦那さんは絶対に褒めてくれるニャ!
これが疑い深い人だったらボクの話を疑い気味に聞くんだと思うけど、旦那さんはそんなことしないと思うし、ここにはシュルルという目撃者がいるから大丈夫ニャ。
「それじゃあ行って来るニャ!」
少し馴染み始めた武器をしっかりと握って、ボクは寝そべっているジャギィノスに近付いてから不意打ち気味に襲いかかったニャ。
ニャニャがジャギィ達に不意打ちで襲いかかってから数分、俺は地中で様子を見ていたが、まぁ、最初に予想していた展開とほぼ同じの状況になった。
「ニ、ニャァ……。」
挑む前の自信に満ち溢れた態度はすっかり無くなり、自分を取り囲むジャギィ達に困惑の声を漏らすニャニャ。
最初は良かったのだ。ジャギィノスに奇襲を仕掛け、状況を把握出来ずに硬直するジャギィに向けてブーメランを投擲。そのままいけば流れはニャニャに向いただろう。
だけどニャニャはブーメランを受けて逃げたジャギィを追いかけてしまった。恐らく体力の多いジャギィノスよりもすぐに仕留めることが出来ると考えての行動だったと思うが、ジャギィはすばしっこい。ニャニャより遅くとも周りが状況を把握して戦闘態勢に入る時間は充分に稼ぐことが可能だ。
その結果、ニャニャが気付いた時にはジャギィ達に包囲されて今の状況だ。こうなってしまえば駆け出しではかなり厳しくなる。
ニャニャを囲んだジャギィ達が別々に威嚇の声を出す。それにニャニャが反応してその個体の方を向くと、それとは反対の位置にいるジャギィが静かに近付く。
ニャニャがそれに気付けば威嚇に切り替えて反対の位置にいる仲間を近付かせ、気付かなければ噛みつきを行う。今回は直前まで気付かずに接近出来たため噛みつきを行ったが、噛みつく直前でニャニャが気付いて地面を転がることで回避することは出来た。
そのまま走って包囲を抜けようとしたニャニャだが、それを防ぐようにジャギィノスが移動したせいで失敗に終わった。
ジリ貧だな。近付いてジャギィを攻撃しようとすれば、別のジャギィから攻撃をもらい、逃げようとしても包囲を抜ける穴がない。穴を掘って逃げようとしても潜る前に噛みつかれて地上に引き摺り出されるだろう。
ニャニャもそれを分かっているのか悔しそうな気配を出している。少し前に投げたブーメランは包囲の外で回収出来ず、攻撃しようにもジャギィが逃げる。
そんなニャニャを見てジャギィ達も出す気配が変わってきている。自分達に害を為す敵から害を為す危険がある獲物へと。その気配を直接受けているニャニャからするとかなり嫌なものだろう。
暫く睨み合いを続けた後、ニャニャが最初に傷付けたジャギィノスに走り寄る。ジャギィノスが逃げる体勢に入ったのを見て、ニャニャが少しだけ喜びの気配を出した。あ、バカ。
きっと表情に出たであろうそれを見たジャギィノスがニャニャの考えを察したのか逃げるのをやめて自分に近寄るニャニャと向き合う。逃げるのをやめたジャギィノスに少しだけ困惑したニャニャだったが、これ幸いと武器を振り下ろした。
「……ニャ!?」
ニャニャの攻撃を受けたジャギィノスだったが、耐え切ってニャニャの腕に噛み付いた。それに驚きの声を出したニャニャだったが、直後に押し倒されたことで状況は更に悪化した。
……これは詰みだな。これがハンターなら例え駆け出しでもジャギィノス程度であれば膂力に任せて無理矢理振り解くことも可能だろう。しかしニャニャはアイルーだ。長年のニャンター生活やオトモ生活で力を重点的に鍛えていたなら話は別だが、今そんなことを言っても無駄だろう。
周囲を取り囲んでいたジャギィ達も暴れて拘束から逃げようとするニャニャに襲いかかる。蹴られたり噛みつかれたりでニャニャに傷が増えていくが、ニャニャは諦めずに暴れ続ける。
「来るニャ!離れろニャ!」
抵抗を続けるニャニャにブーメランを投げられたジャギィがトドメを刺すためにゆっくりと近付く。そしてニャニャを見下ろした後、勝利の遠吠えをあげた。遠吠えを終えるとすぐにニャニャの頭を足で押さえつけ、晒された小さな首に勢いよく噛みつく。
「コッ……!カッ……!」
首に噛みつかれたニャニャが苦しげな声を出す。噛みつかれたことによって首の気管が絞められて息が出来ないのだろう。このままいけば窒息で死ぬな。でもジャギィがそれを待つとは限らない。すぐに仕留める気なら首を噛みちぎるだろう。
舌を地表ギリギリまで伸ばしていつでも助けれる状態で留めておく。ニャニャとの約束は本当に死にかけた時に助けるというもの。今の状態は詰みであって死にかけではないのでもう少し様子を見る必要がある。懸念点は先程言った通りジャギィがニャニャの首を噛みちぎって即座にトドメを刺すことだが、それは行う前に俺が気配で気付けるから問題ない。
「……!………。」
首に噛みついているジャギィをどうにか振り払おうとしていたニャニャの手が徐々に弱くなっていき、意識も朦朧としているのか身体の動きも鈍くなって来た。感じる気配もかなり弱くなり、あと少しでニャニャは死ぬだろう。
死にかけと判断したので地表ギリギリまで伸ばしていた舌を更に伸ばして地面を突き破り、ニャニャの首に噛みついていたジャギィの首を斬り飛ばす。突如現れた俺の舌に他のジャギィ達はまだ反応出来ていない。そのまま隣にいたジャギィノスを貫いて殺したところで乱入者に気付いたのか、威嚇の声を出しながらニャニャから離れていく。
ジャギィ達が離れたところで俺も地上に姿を現す。全身を出してから様子を伺うジャギィ達を睨めば、獲物を奪い返すことは不可能と判断したのか悔しげな声を出して茂みへと姿を消した。
気配のほうも茂みの中でチャンスを伺わずに遠く離れていくのを確認したので改めてニャニャの様子を見ると、まぁ死にかけなので酷い有様だ。
噛みつかれた箇所はニャニャが暴れたことで傷口が広がっているし、血は止まる様子を見せない。しかしニャニャにはぼんやりと意識があるのか咳き込みながらもしっかりと俺を見つめている。
このまま放っておけば確実にニャニャは死ぬので舌を伸ばしてニャニャのポーチを漁る。その中から肉球のマークがついた緑色の容器を取り出して、蓋を開ける……ことは俺の身体では出来ないので蓋の部分を舌で斬り飛ばして破壊し、中身が出るようにしてから素早くニャニャの口にねじ込む。
幸いにも回復薬を飲むぐらいは出来るようで、中身が減っていくとともに傷口が小さくなっている。何度見ても訳が分からない効果だが、この世界だとこういうものだと納得するしかない。
危機は脱したのでニャニャを頭に乗せてキャンプを目指して歩く。一般のハンターが瀕死になれば、ギルドが雇っているアイルー達が現れてキャンプまで荷台に乗せて運んでくれる……ゲームで言うところの力尽きたらキャンプに強制送還があるのだが、ニャニャはそれを事前に断っている。
アイルー達は状況によっては命懸けでハンターを回収しないといけないので、当たり前のことだが使用された時の要求金額は高い。だから色々な理由で金欠になったハンターなどはアイルー達の救助を拒否する場合が多々あるため、ニャニャがいらないと言った時もすんなりと承認されたようだ。
俺も火山生活の時にチラホラとアイルー達の活動を見ていたがその仕事ぶりには感心したものだ。よくもまぁ、瀕死のハンターを運びながら怒り狂ったブラキディオスから逃げれたものだ。ハンターをブラキディオスから掠め取るタイミングも完璧だし、その後の逃走ルートも事前にしっかりと調べておかないと迷ってしまうような複雑なルートを通っていた。
他にもしつこいモンスター対策なのかこやし玉や閃光玉などの妨害用のアイテムも多数持ち込んでおり、そのプロ意識は素晴らしいと思ったな。
「ニ、ニャァ……。」
アイルー達の働きぶりを思い出して感心していると、頭に乗っていたニャニャが僅かに身動ぎをする。完全に意識が覚醒したようなので声をかけようとしたが、頭に数滴の水がかかったのを感じたので開きかけた口を閉じる。
空は雲一つ無い快晴で雨なんて降るはずもなく、近くに水飛沫を出す滝のようなものもない。ならこの頭にかかる水がどこから出ているなんて明白だ。
「う……、うぅ……情けないニャ……。」
「………。」
身体を丸めて押し殺すような声で泣くニャニャに気付かれないように小さく息を吐き、キャンプに到着するとニャニャの許可を取らずに荷物を纏め、ユクモ村へと進路を変えた。
「今帰ったニャ……。」
「あ、おかえりニャニャ。早かったね、クエストはどうだっ──どうしたのその傷!?」
最近ハマった団子を食べつつ、鍛冶屋のアイルーさんからそろそろ頼まれていたものが完成するという報告を聞いたので次の目的地を決めようと地図を見ていた時、傷だらけのニャニャが帰ってきた。
ニャニャが持っていた回復薬はグレートまではいかなくてもそれなりの効能があったはず。それを使ったとしても傷痕が消えていないってことは治しきれない致命傷をニャニャは受けたってこと。
俯いているニャニャに近寄って傷を検めるけど、特に首についた傷が酷い。他は時間をかければうっすらと薄くなってアイルーの体毛で見えなくなると思うけどこの傷は多分残ると思う。
ニャニャにはシュルルが一緒にいたはず。なのに何故?無謀なことをニャニャがしようとすればシュルルが止めるだろうし……。もしかして渓流に大型モンスターが現れてシュルルと戦い始めたからニャニャが巻き添えをくらった?
「旦那さん。……ボクの話を聞いてほしいニャ。」
ユクモ村に来る前に出会ったタマミツネの姿が頭に浮かんだけど、ニャニャの呼びかけに意識をそっちに戻す。ニャニャの顔は申し訳なさが色濃く残っているけど真剣で、真面目な話だと感じ取った私はニャニャを連れて人通りが少ないところに移動することにした。
「──って訳ニャ。」
「なるほど、よく分かったよ。」
ニャニャの話は今日のクエストの話だった。話自体は駆け出しがよくやる話だ。自分が思っている通りに事が進み、増長して一気にステップを飛ばして痛い目を見る。
私もニャニャみたいなのと似た失敗をした人を何人か見てきたので問題ないよって言いたいんだけど、今回のは少し違うんだよねぇ……。
私が見てきたのは実力を見誤って痛い目を見た人。そんな人は挑んだ敵に敵わないとすぐに理解する程度の能力はあるので、ちょっかいを出した敵と追いかけっこしながら命からがら逃げてきたという笑い話だ。ニャニャもすぐに逃げていればこっちに入れてもよかったかもしれない。
でも今回のニャニャは本当に死にかけた。ジャギィに囲まれて首を噛まれ、このままいけば命を落とすのが確定したところまで体験した。その恐怖は実際に死にかけた者じゃないと分からないだろうし、私も気軽に声をかけれない。
「ボクは……シュルルに助けられた時、安堵したんだニャ。上手くいったからって調子に乗って、シュルルが止めてくれたのにボクなら行けるって判断して……。ジャギィに噛まれた時、怖かったニャ。意識が薄れていって、ボクから死にかけるまで何もしないでってシュルルに言ったのに、本当に来てくれるのか不安になって泣きかけて……。きっとシュルルに愛想を尽かされたニャ。シュルルに合わせる顔がないニャ。」
語るニャニャの顔は罪悪感でいっぱいだ。それにハンターとしての自信も無くしかけてる。うーん、これどうしようかな?
「ニャニャ、群れで生きているモンスター達って移動中に弱った個体とかが出てくるとどうすると思う?」
「ニャ?……助けるんじゃないかニャ?」
突然関係ない話をし始めた私にニャニャは訝しみながら答える。先ずはシュルルのことをどうにかしないとね。
「違うよ、正解は置いていく。こいつはもうダメだ。ここでこいつが回復するまで待っていたらいつ天敵が来るか分からない。だから群れの存続のために置いていく。」
「それは……。」
「勿論、見捨てない群れもあるよ?軽度の怪我とか支えながら移動する余裕がある群れならね。」
「……。」
「それでシュルルだけど、あの子はどこまでいってもモンスター側。それも穏やかで大人しい種族じゃなくて本来なら人が来れない場所で戦いながら生きていく凶暴な種族だよ。きっと群れの中で足手纏いが出来たらよっぽどの情がなければ捨てていくんじゃないかな?」
「ニャァ……。」
「そんなシュルルがニャニャをここまで運んで来たんだよ?愛想なんて尽きてないよ。でもニャニャが不安ならジャギィ達にリベンジしてシュルルを見返そうよ!」
シュルルが自分に愛想を尽かしていないことにニャニャは疑いながらも安心した表情を見せたが、私のリベンジ発言にまた不安そうな顔に戻った。
「ボクに出来るかニャ?」
「私は戦えないから出来るって断言することは出来ないけど……。これは祖母の受け売りなんだけどね?ハンターは狩りに行く時に必要なものは一つでいいんだって。」
「一つ……?」
「そう、一つ。ニャニャは黒龍伝説を知ってるかな?」
「御伽話ニャ?全部とは言えないけど知ってるニャ。」
「土を焼く者
「えっと、そこまでは……。強い武器?頼りになる味方?」
「ううん、その英雄が持っていたのは無限大の勇気だよ。伝説の龍を前にしても逃げない勇気。」
「ってことは旦那さんのお婆ちゃんが言う必要なものって……。」
「勇気。別に御伽話の英雄のように何者にも立ち向かっていける勇気じゃなくてもいいんだよ。ニャニャだって怒り狂ったシュルルを前にして逃げないなんて言えないでしょ?ほんの少しの……怖い時に一歩だけでも前に出れる。そんなちっぽけな勇気でいいんだよ。」
「ちっぽけな……勇気。」
逃げてもいいのに一歩前に出ろだなんて自分で言っていても矛盾した言い方に感じるんだけど、ニャニャは何か感じ取ったものがあるのか何度も勇気と呟いている。
「……分かったニャ!もう一度頑張るニャ!」
「うん、頑張ってね?必要なものがあるなら可能な限り調達するからね?」
「ありがとうニャ!こうしちゃいられないニャ!すぐに特訓ニャァァァ!」
「無茶な特訓はダメだよ!」
復活したニャニャが走り出してすぐさま視界から消える。見失う直前に急いで注意はしたけどちゃんと聞こえているかな?
誰かを励ますなんて初めてやったので緊張したけど上手くいったなら良かった。周りを見渡して私を見ている人がいないかをしっかりと確認してからしゃがみ込み、地面に向かって声をかける。
「ニャニャは立ち直れたよ。そのうち外に出ると思うからまたよろしくね?後、問題ないと思うけど掘ったところはしっかりと補強するのと、帰りに水源をぶち抜いたりしないでね?」
返事は返ってこなかったけど微かに地面が揺れる。意外と心配性なところがあるんだなと仲間の新たな一面が見れたことに、私は思わず微笑んでしまった。
「えっと、ニャニャ?これは何かな?」
「囲まれた時の特訓ニャ!ボクだけだと出来ないから旦那さんにも協力してほしいニャ!」
「このぶら下げてある丸太をニャニャに投げればいいんだよね?」
「そうニャ!準備が出来たら声をかけ──ブニャァ!!?」
「えっ?ごめんニャニャ!!てっきりもう投げていいと思ってた!」
「い、いや……、狩りでは待った無し……だから大丈夫ニャ。でも……、ちょっと、休む、ニャ。」
「ニャニャ?返事をしてニャニャ!?」
オリ主……ニャニャの自信満々な姿を見て、転生初期の自分と重ねた。これは囲まれてボコボコにされるだろうなぁと考えていたら予想通り。集団に見下ろされて攻撃される恐怖を知っているのでニャニャが折れないか心配していた。ルルの仲間だからね。
心配だったのでユクモ村の真下まで様子を見に来たが、丁度ルルがニャニャを立ち直らせていて安心。静かに帰った。ちなみに水路を破壊するような間抜けはしない。してしまったら自分も溺死するからね。
ルル……心配はしていたけどシュルルがいるなら大丈夫だよね!っと思っていたらニャニャがボロボロで帰ってきてビックリ。心が折れそうになっていると感じ取ったので励ました。本人的には話があっちにいったりこっちにいったりとかなりゴリ押しだなぁと思っていたが、無事立ち直ってくれて安心。
シュルルが近くにいたのはニャニャの近くにある小石が不自然に揺れたのですぐに気付いた。
自分がシュルルにニャニャが危なくなったら助けてあげてと言えばシュルルはニャニャの覚悟とか色々無視して危なくなった時点で助けるんだろうなぁと思ったが、ニャニャの気持ちを汲んでこれまでと同じようにするようにお願いした。
この後早とちりでニャニャの顔面に丸太をぶつける。
ニャニャ(アイルー)……口では色々言っていたけど心の奥底ではシュルルが最後は助けてくれると思っていたことを今回死にかけたことで知ってかなりのショックを受けた。こんなことを考える自分にシュルルは愛想を尽かしたと考えたが、ルルの言葉で復活した。それでもジャギィなんかに負けるなんてとハンターとしての自信も無くなりかけていたが、それもルルの言葉で持ち直した。今回で首に消えない傷痕が出来たが、本猫はそれを戒めとすることにした。今後クエストで慢心しそうになってもこの傷痕がそれを止めるであろう。
この後の特訓で準備が出来たら丸太をお願いとルルに言おうとして振り返ったら目の前に丸太が来ていた。
ブホー(アプトノス)……かわらず食っちゃ寝生活を続けている。ルルがニャニャに丸太をぶつけたシーンを目撃した。
おぉ、ニャニャさん。よく飛びますねぇ……。
本小説では瀕死の重傷を治す場合は傷痕が残るようにしました。回復薬で何でもかんでも治るのなら傷痕のメイクなんて存在しませんもんね!
あと割と思ってるんですけど、アイルー装備って腕とか脚が剥き出しなやつありますよね。あれは防具として大丈夫なのか?
いや、それを言ったらハンターのキリン装備はなんなんだと言う話なんだが……。モンハンの小説だと防具の部分は防御力があるから攻撃をくらう場合はそこで受けろとか読んだ気がする。古龍の皮だから防御力はあるんだろうなぁと当時は納得したっけなぁ。ん?ボーン装備?知らんな。