Destiny Unchain Online 〜吸血鬼少女となって、やがて『赤の魔王』と呼ばれるようになりました〜 作:resn
コメント: ぅゎょぅι゛ょっょぃ
コメント:たった二人だぞ……何人やられた……?
コメント: ぅゎょぅι゛ょっょぃ
コメント: ぅゎょぅι゛ょっょぃ
コメント:雛菊ちゃんめっちゃ生き生きしてた……
定型文がいまだ滝のように流れていくほど、騒然となっているコメント欄。それだけ幼気な水着の美少女が男たちを蹂躙していくインパクトは激しかったらしい。
そんな中……
北の魔王:お前なら何かやらかすと信じてたゾ(笑)
東の蒼龍:相変わらず、クリムさんは期待を裏切らないですねw
「何笑っとんじゃおのれらー!?」
コメントに流れてくる残り二柱の魔王のコメントに、ガーっと怒るクリム。そんなクリムの首には……
『我は調子に乗って極大魔法をぶっ放しました』
そんな札が掛かっていた……やはりというか、正座で。
――趨勢を決める最後の決め手となった、クリムの極大魔法『グリムサイズ』。
ところで……この『Destiny Unchain Online』、基本的に街……というよりは地形オブジェクトは、例えば世界樹セイファートや、ヴィンダム中央政庁のような、よほど重要な施設などの例外を除き、そのほとんどが破壊可能である。
そのため、クリムの極大魔法、その過剰な威力は水没都市のわずかな一角を崩壊させ、そこにあった探索イベントを完膚無きまでに崩壊させていた。
――実は全く覚えの無い
コメント:まおーさま正座www
コメント:活躍したのにwww
コメント:探索可能ポイントいくつか潰したからwww
そんな姿に大盛り上がりなコメント欄。そんなクリムはというと、『めっ!』のポーズをしたフレイヤにお説教されていた。
「あのね、クリムちゃんがああいう人たちを好きなのは長い付き合いだし知ってるよ?」
「はい……」
「でも、テンション上がったノリで他の人に迷惑をかけるのはダメだよね?」
「はい……ごめんなさいなのじゃ……」
しょんぼりといった様子で、優しく語りかけるフレイヤのお説教に頷くクリム。
ちなみに正座しているのは別に酔狂ではなく、一応「座る」判定となるため自然回復力が上がるのだ。
今のクリムは極大魔法の消耗でMPがからっけつであり、MPポーションは貴重なため座っているのであり……間違っても『やった、動画の絵面的に美味しい』などとは決して内心で思ってなどいないのである。
コメント:まおーさま弱いww
コメント:いやこの場合お姉ちゃんが強いのでは?
コメント:まおーさまはルアシェイア内で(立場が)よわちゃんなんですね……
コメント:これが恐妻家
コメント:いやまて、この場合どちらが嫁なんだ?
「クリムちゃんが私のお嫁さんだよ!」
「え、ちょ、フレイヤ?」
突然視聴者のコメントに反応したフレイヤに抱きつかれ、目を白黒させるクリム。
「クリムちゃんは私が養うの、そして私の子供を産んでもらうんだから!」
「ま、え、待って? え、えぇ!?」
「いいのよクリムちゃん、何も心配しなくていいからね……!」
「まって、おかしいじゃろ!?」
コメント:ちょっとお姉ちゃんwww
コメント:その発言はやばいですよ!!www
コメント:エルフお姉ちゃん壊れたwww
コメント:お姉ちゃんだけは常識人枠だと思ってたのに!
視聴者コメントも困惑……はあまりしておらず、むしろ大ウケ中。ふとこっそりフレイヤを見ると、彼女はカメラに映らないよう、嫣然とクリムに向け笑っていた。
そんなフレイヤの様子に思わずどきりとし、耳まで真っ赤にしたクリムのそんな姿に満足したようで、フレイヤが離れる。
「……何やってんだクリム、それに姉さんも」
そこに丁度、呆れたようなフレイの声。
どうやらクリムの『グリムサイズ』による被害状況を確認していた皆が帰ってきたらしく…… 演技なのか本気なのか分からないが、幼なじみの少女に薄ら寒いものを感じていたクリムは、ホッと安堵の息を吐く。
「一通り回りましたが、一般プレイヤーの被害は無かったの」
「まぁ、プレイヤーキラーの陣地内でしたからね、一般プレイヤーは皆キルされたんじゃないかと」
「そっか、良かった……いや良くないけど」
リコリスとカスミの報告に、複雑な表情を浮かべるクリム。
そもそも、誤って一般プレイヤーを巻き込んでいたら、クリムの方にキルしたログが残っていたはずだ。
犠牲者が出たことは決して手放しで喜んでいられないが、それでも自分が巻き込んでしまったプレイヤーは居なかったという太鼓判に、ホッと安堵する。
「ま、置かれていたアイテムはこの通りだけどな。全部ぶっ壊れて使い物にならん、反省しろ」
「……す、すまなかった」
残骸を手に至極正論で淡々と説教をするフレイに、クリムはぐうの音も出せず、ただただ恐縮するのだった……が、ふと、一人足りないことに気付く。
「ところで雛菊は? 主らと一緒じゃったろ?」
「あー……途中、逃げ遅れたプレイヤーキラー側の残党に狙撃されてな」
「嬉々として追いかけていっちゃったの」
「止める暇も無かったわ……」
「あぁ…………ま、そろそろご飯にするから帰っておいでってメッセージ飛ばしとくかの」
全くあの子は……そんなヤンチャな子を持った親のような気持ちで、クリムは半ば諦観の表情で淡々とメッセンジャーを開く。
すぐに『はーい、わかりましたです!』と元気な返信が戻ってきて、思わずクスリと笑みが漏れた。
コメント:まおーさま諦めんなよ!ww
コメント:あんたの弟子だろなんとかしろよ!!w
コメント:ブレねぇなあ、あの子……
コメント:ところで今、遠くから断末魔の悲鳴が聞こえた?
コメントのツッコミ通り確かに遠方から『ぎゃあああ!?』と凄まじい絶叫が聞こえたが、無視するクリムなのだった。
「そ……そんなわけで、午前の配信はここまでとする! 午後はゆるりと三時から再開するので、お主らも食事を抜くでないぞ!」
コメント:はーい
コメント:ごはん食べてらー
コメント:午後の配信も待ってるよ!
あらかた後始末も済み、そう午後の予定を視聴者へ告げると……温かなコメントに見送られながらクリムは配信を切って、皆を促しログアウトするために拠点へと引き返すのだった――……