Destiny Unchain Online 〜吸血鬼少女となって、やがて『赤の魔王』と呼ばれるようになりました〜   作:resn

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泉霧郷ネーブルの平穏な1日

 

 ——カーン……カーン……カーン……

 

 

 

 一定のリズムを刻みながら、木を打つ音が、ネーブルの町に響き渡る。

 

 その音の発信地……『黒の森』に入ってすぐのあたりにある伐採地で斧を振るっていたのは、おおよそ似つかわしくない小柄で真っ白な少女だった。

 

 やがて木は傾ぎ、メキメキと生木が引き裂かれる音を上げて、木が倒れていく。

 

「……ふう、今日はここまでにしておこうかな」

 

 まだ日も昇らぬ朝から伐採に勤しんでいたために、すでに荷物がいっぱいなのと……昼前になってだいぶ日が高くなり、日光が苦手なクリムにとっては一番辛い時間帯であるためだ。

 

 手にした漆黒の両手斧を手放すと、影に溶けるようにして跡形もなく消え去った。

 それを見届けた後……倒れた大木へと手を掲げると、その木は光を発してみるみる姿を変えていく。

 

『【オーク原木】×3を入手しました』

 

 そんなシステムメッセージと共に現れる、丸太が3本。

 

「インベントリ……はもう一杯だから、担いでいくしかないか。よっ……と」

 

 そんな軽い掛け声と共に、小さな体には不釣り合いな荷物を軽々と抱え、ホクホク顔で町へと戻るのだった。

 

 

 

 

 ――クリムが『最強の魔獣』との死闘の後、自らの目標を定めた日から、早くも一週間が経過していた。

 

 エリアマスター登録システム解禁まで、残り二週間と少し。だというのに、クリムが自宅の完成を最優先に動いているのには、理由があった。

 

 というのも……空白地帯となっているエリアの支配権を得る条件は、二つ。

 

 一つは、そのエリアの住人たちから一定以上の信頼を得ていること。

 そしてもう一つは……そのエリアに住居を構えていることだ。

 

 その家も、あと少し素材で必要な量まで届く。そうすれば『この町を自分のエリアにする』という最初の目標に対して後顧の憂いが無くなったも同然で、木こり暮らしにも熱が入るというものだった。

 

 

 

 そうして日々の仕事を終えて、町へ戻ってすぐのことだった。

 

「クリムおねーちゃん!」

「おっと」

 

 背中から大質量が飛びついてきた衝撃に、危なく手にした木材を落としそうになりながら、どうにか堪える。

 

「えへへ、おねーちゃーん」

「全く、この子は……」

 

 後ろから抱きついて、クリムのたっぷりと長い髪に顔を埋めている少女……ジュナに、クリムは呆れたように苦笑する。

 

 一人っ子だったクリムは、どうにもこの、自分を「お姉ちゃん」と呼び慕う少女に弱かった。

 

 

 

 ……クリム的には本音を言えば「お兄ちゃん」と呼んでほしかったが、それとなく誘導したけど残念ながら駄目だった。

 

 

 

 閑話休題(それはさておき)

 

 クリム自身はここまでの家を作るための資材運びという肉体労働の結果、ステータスの筋力がだいぶ伸びた。おかげでジュナ一人くらい飛びついてきても、まだ余裕はあった。

 

 けれど…… 普通ならば危険な行為であることは間違いない。一応、心を鬼にしてきちんと叱る。

 

「こら。重いものを持っている人にいきなり飛びついたらダメだよ」

「はーい、ごめんなさい」

「うん、よく謝れました」

「えへへ……」

 

 心に鬼なんて居なかった。

 

 褒められて嬉しそうに笑うジュナの頭を撫でてやりながら、今しがた片手に抱え直して運んできた新しい資材を資材納品箱へと放り込む。

 

「でもジュナちゃん、外出許可がでて良かったね?」

「うん、でもまだ一日に2時間しか駄目だって」

 

 そう、残念そうな顔で言うジュナ。

 どうやら体調が完治し、元気が有り余っているらしいが……やはり、何事も急は良くない。

 

 安定しているか確かめて資材の上へと座ったクリムが、そんなジュナを膝に招くと、彼女はすぐに、嬉しそうにその上へと座るのだった。

 

「まあ、それは仕方ないよ。ところでジョージは?」

「あ、お兄ちゃんならお昼ご飯をお母さんから預かってから来るって。お姉ちゃんの分もあるよ!」

「へぇ、そうなんだ。楽しみだなぁ」

 

 今日は外出できるようになった記念にピクニックなのー、と嬉しそうに語るジュナにほっこりとしながら、膝に抱いて頭を撫で回していると。

 

「やれやれ、ジュナはやっぱりここか。悪いなクリム、迷惑かけて」

「あ、お兄ちゃん!」

「ジョージ、お疲れ様」

「お、おう……」

 

 クリムとジュナ、二人がかりで笑い掛けられたジョージがタジタジとなりながら、やや離れた資材の上に腰を下ろす。

 

 ジョージの携えてきたバスケット……その中にクリム用として入っていた今朝とれた新鮮野菜とチーズのサンドイッチに舌鼓を打ちながら、二人と談笑する。

 

 話題は、主に家の建て替えの進展具合について。

 

「庭、ずいぶんと綺麗になったじゃん」

「まぁね。伸び放題だった草はだいたい刈り終わったし、土台と床の張り替えも終わったよ。あとは資材をひたすら集めてだねー」

 

 外観は、材料を集めてきたら町の職人がやってくれるらしい。その辺りはゲーム的だなぁと、二人には見えないようにこっそり苦笑する。

 

「家を建てるってことは、クリムはずっとこの町で暮らすのか?」

「ん、ずっとかはちょっと分からないけど、当面はそのつもり」

「そっか……そっか」

「……?」

 

 どこか嬉しそうなジョージの様子に、クリムはいったいなんだろうと、首を傾げるのだった。

 

 

 

 

 

 ———————————

 

 PC name:クリム

 種族:ノーブルレッド

 

 所属ギルド:なし

 

 ■基本能力(ベーススキル)

 

 HP:560

 MP:779

 

 生命力(VIT) :26/100(+15)

 精神力(MND):43/100(+30)

 筋力 (STR):58/100(+35)

 魔力 (MAG):49/100( +50)

 

 ■所持スキル

 

 ・マスタリースキル

 

 片手武器マスタリー 31/100

 両手武器マスタリー 45/100

 アーマーマスタリー 21/100

 

 

 ・ウェポンスキル/マジックスキル

 

 短剣  33/100

 両手斧  55/100

 爪   12/100

 牙   1/100

 

 影魔法 66/100

 闇魔法 41/100

 血魔法 51/100 

 

 

 ・生産スキル

 

 採取 40/100

 伐採 42/100

 

 

 ・日常スキル

 

 落下耐性 24/100

 自然治癒 26/100

 疾走   35/100

 隠密   25/100

 観察眼  14/100

 起死回生 6/100

 

 

 ・補助スキル

 

 魔法習熟 23/100

 変幻   21/100

 

 

 合計 788/1200

 

 ■特性

 

『亜純血』

『×:銀に弱い』

『×:聖書・十字架に弱い』

『×:火属性に弱い(強)』

 ※火耐性を-100で固定、装備品以外での補正不可。

『×:光属性に弱い(強)』

 ※光耐性を-100で固定、装備品以外での補正不可。

 

 

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