Destiny Unchain Online 〜吸血鬼少女となって、やがて『赤の魔王』と呼ばれるようになりました〜   作:resn

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レギオンレイドに向けて

 ――フローリアのエルフたちとは、無事同盟を結ぶことができた。

 

 だがしかし、これで解決した訳ではない。むしろ本当の問題であるバアル=ゼブル=エイリーをどうするかというのを考えるのは、ここからとなる。

 

 というのも……今回はあくまで同盟、エルフの女王フローライトの治世はそのまま継続であり、今まで通りフローリア側に自治権の全てがあるからだ。

 

 何が問題かというと、今回のケースではたとえプレイヤー達が協力してくれたとしても、戦利品以外の報酬は無いのである(尤も、それが最重要なプレイヤーがほとんどなのだが)。

 

 領土が得られる訳でもなく、たとえば以前のルルイエの時のように、誰かを助けるなどの一丸となれる目的がある訳でもない。

 こうなってくると、戦力を集められるかどうかは、主催であるクリムの人望と人脈次第でしかない。

 

 

 

 ◇

 

「……で、真っ先に協力を求めてきたのが毎度ながら私というわけか」

 

 もはや諦めたように、頭を抱える玲央。

 

 

 

 ――ここは、いつものゲーム部の部室。

 

 フローリアとの同盟も恙無く結べた翌日。

 授業も終わった放課後、同じく部室へ顔を出していた玲央に、紅はさっそくレギオンレイドの件の話を切り出したのだった。

 

 

 

「頼ってくれたのは嬉しいが……残念ながら今回は、難しいな」

「う……ダメそう?」

「というか、君は私たちの今の立場をもう少しちゃんと考えるべきだ」

「ぐっ……まあ、確かにねぇ、ちょっと軽率だった」

 

 至極冷静に諭す玲央の言葉に、さすがに紅も少し反省する。

 

 ――クリムもソールレオンも、お互い単一ギルドの長だった時とは違う。

 

 二人はいくつものギルドを束ねる、大陸を四分する勢力のうち二つ、それぞれのトップなのだ。

 

 今までのようにほいほい身軽に協力できる訳ではないため、確かに玲央の言う通り、以前みたいに気軽に共闘を持ちかけるのは今後は難しいだろう。

 

「そうか……あのバアル=ゼブル=エイリーという少女はこれまでで一番ヤバそうな相手っぽかったから、お前の力を」

「よし、協力する。敵のことを詳しく教えてくれ」

「借りれたら心強かったんだけどってうぇえええっ!?」

 

 紅が何気なく口にした『これまでで一番ヤバそう』という言葉に反応し、玲央がさっくりと手のひらを返した。

 その変わり身の早さに、紅は思わず驚きの声を上げる。

 

「手強そうな相手なんだろう? どれほどのものか楽しみだ」

「……本っ当にバトルマニアなんだなお前……」

 

 期待に目をキラキラさせている玲央に、紅はジト目を向けながら呆れるのだった。

 

 

 ◇

 

 こうして、一番協力を仰ぎたかった北方帝国は問題ない。玲央も、先程からおそらくは自分のユニオンに向けて、協力を仰ぐメッセージを送ってくれていた。

 

「さて、北方帝国の協力は得られるとして、あとはまずブルーラインのシャオにも声掛けするのは当然、と」

 

 シャオの場合は協力を得られるかは不明だが、今回は空を飛べる蟲の大群が敵なため、魔法使いが集まっている彼ら(ブルーライン)の戦力は是非とも借りたいところだ。

 

 ……が、もし彼らも戦線に加わるとしても。

 

 

「やはり、まだ戦力は足りないんだよなぁ」

 

 正直、質はそこそこでも構わないからとにかく数が欲しい。

 

 というのも、今回のレギオンレイドはエリア一つ丸々使った超広範囲のタワーディフェンスだ。全域をカバーするにはまだまだ人手が足りない

 

「やはり参加募集掛けないと……うぅ、でもあまり良い条件提示できないから大丈夫かなぁ」

 

 不安げに呟きながら、紅は公式の掲示板にてイベント攻略のメンバーを募集する文章を記入していた。

 

 ………が、心配しているのは本人ばかり。

 

「……主に募集掛けてるのは、紅と桜先輩なんですよね?」

「うん、そだよー」

「公式から『霧須サクラ』の名前も使っていい許可も出たし、彼女も心当たりを当たってくれているな」

 

 ラインハルトの言葉に、推移を見守っていた聖と昴が頷く。

 

 そもそも霧須サクラには歌唱により補助をばら撒く以外の戦闘力がないため、戦闘には『ハル』で参加するらしいが、宣伝には使っていいらしい。

 

「……大丈夫じゃないですか?」

「その二人で呼びかけたら、十分集まる気はするな」

「うん、正直私もそう思う……」

「現在の一鯖で最も影響力のある二人だからな……」

 

 心配しながらあれこれと準備を進めているクリムを横目で見ながら、紅以外の四人はそんなことをコソコソと話していた。

 

 

 そうして、彼らの予想通り……帰宅後、メッセージをチェックした紅は、予想を遥かに超える大量の参加申請に悲鳴を上げたのだった――……

 

 

 

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