Destiny Unchain Online 〜吸血鬼少女となって、やがて『赤の魔王』と呼ばれるようになりました〜   作:resn

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悪魔ビフロンス討滅戦

 

「お主はここで疾く滅せよ! 『スカージ』ッ!!」

 

 ――ドンッ!

 

 まるで流星のような光の尾を曳いて、クリムの大剣が上空から振り下ろされた。

 

 その一撃は、これまでのものよりずっと鋭く、眩く、込められている力も強大であり……

 

『ぐ、お、お!? かはっ!?』

 

 あろうことか防御体勢のビフロンスの大鎌ごと、その死神の巨体を切り裂いた。

 

「クリム、お前……」

「クリムちゃん、どうしたの……?」

 

 戸惑いを見せるフレイとフレイヤ。

 それも仕方ないだろう。今、クリムは二人のサポートがあるとはいえ、ほぼ一人でボスエネミーを圧倒しているのだから。

 

 

 ――我の剣は、届く!

 

 根拠のない確信と共に、まだ遠い間合いにもかかわらず、漆黒の大剣を振るう。本来ならば、空振りするはずのその剣は、しかし……

 

 ――ヒュゴッ

 

 ……クリムの振るった剣から赤い光の奔流が奔り、ビフロンスの肩から先を斬り飛ばした。

 

『ぐっ……!?』

 

 それでも反撃してきたビフロンスの大鎌を、しかし紙一重ギリギリを狙う余裕をもって回避すると、直後大きく踏み込んでその胴を薙ぐ。

 突進の勢いのまま床に散らばる下半身と、宙に滞空したままの上半身。しかし、それはすぐに映像を巻き戻したかの様に元の場所へ戻っていく。

 

『その力、やはり貴女は……!』

 

 上下に両断された胴と、先ほど斬られた腕をしかし繋ぎ直し、外見上は無傷に戻ったビフロンスだったが……その様子に余裕はなく、むしろ追い詰められている者の焦りを見せていた。

 

 

 一方で、クリムも戸惑っていた。

 

 先ほどの剣から放たれた衝撃波、あんなものをクリムは知らない。だが、できるという確信はあった。

 

 何よりも、体が軽い。つい先ほど、ここに来るまでの倦怠感にも似た不自由さが消え去って、思うように、思った以上の速さで体が動く。

 

「ビフロンス、覚悟……!」

『まだです!』

 

 切羽詰まった様子で詠唱を完成させたビフロンスの召喚魔法を察して、クリムは咄嗟に背後に飛び退く。

 まるで場面を切り取ったかのように瞬時に、出現と同時にクリムへ手を伸ばして来たゾンビから距離を空ける。

 直後、クリムの眼前で、クリムを捕まえ損ねたゾンビは虚しく一人で爆散した。

 

『馬鹿な、あのタイミングで……というか何ですか、その動きは!?』

「ちい、またこれか……」

 

 食ってかかるビフロンスを無視し、クリムは忌々しげに呟きながら、掴みかかってくるゾンビたちを、大剣から放つ衝撃波で薙ぎ払う。

 数体纏めて光に飲まれたゾンビたちが、一歩遅れて爆破に飲み込まれ消えていくのを横目に……周囲、フレイとフレイヤの様子を見る。

 

 攻撃に詠唱が必要な魔法使いのフレイと、自身の攻撃性能はさほどでもないフレイヤ。

 フレイヤの範囲浄化魔法『キリエエレイソン』が使えればまた違うのだが、二人だけでは数で押し寄せるゾンビたちとの相性は極めて悪い。

 

 ここは一度ビフロンスを後回しにしてでも、向こうを加勢に――そう幾分か冷静さを取り戻した頭で思った直後、クリムたちが登ってきた階段から、雪崩れ込んでくる一団があった。

 

「我々も、あの悪魔の討伐に加勢する! 赤の魔王は敵ではない、敵味方識別に注意してかかれぇッ!!」

 

 先頭に立つ、白い騎士鎧を着込み金の長髪を後ろで束ねている、いかにも聖騎士然とした人間種の青年の指示により、多数のプレイヤーが飛び込んできて一気に騒然となる屋上。

 

「……お主は?」

「はい、私は『セオドライト』と申します、聖王国の盟主で……同時に、今この砦で起こっているクーデター側のリーダーです」

「お主が……?」

 

 胸に手を当てて会釈しながら名乗る彼に、クリムも軽く目を見張る。

 

 スザクの話にあった、『正義バカ』と称された聖王国の傀儡盟主。

 だが、こうして相対してみると、意外にも穏やかで理知的な好青年に見える。おそらく『聖騎士』という言葉で連想するのは、こうした姿であろうと思えるほどだ。

 

 だが……クリムには、うまく言葉にできないものの、そんな彼がどうにも胡散臭く見えた。が、そんな第一印象はぐっと飲み込む。

 

 今は、そんなことを気にしている場合ではない。

 

「我らは皆、見ての通り聖王国の所属ですが、我々もあなた方に加勢させてください!」

 

 そう言って、新たに現れた聖王国のエンブレムを身につけた者たちが、ビフロンスの召喚したゾンビたちに次々と襲いかかる。

 そんな彼らクーデター側の聖王国所属プレイヤーの士気は、ここに来るまでに戦った本来領土戦に参加していた者たちよりも、ずっと高いように見えた。

 

「……分かった、くれぐれも死体爆破攻撃には気をつけるのじゃぞ、助太刀感謝する」

 

 クリムの言葉に、クーデター側のリーダーらしき金髪の青年が頷く。

 今ひとつ釈然としないものはあるが、しかし今はありがたくゾンビたちの相手をしてもらうことにした。

 

『貴方は……なるほどなるほど、真に悍ましきは人の悪意か、最初からこれが――』

 

 何かを言い掛けたビフロンスの顔面に、セオドライトの放った火炎魔法が炸裂する。それを目隠しにして、クリムは再びビフロンスの懐へと飛び込んだ。

 

 

 連王国と聖王国の戦場で、その二国同士の共同戦線。

 

 そんな不可思議な状況での戦闘は、今のクリムの圧倒的な戦闘力もあり――およそ十分後には、レイドボスが敵だったとは思えないほどに呆気なく、鎮圧される事となったのだった――……

 

 

 

 

 




クリムちゃんは内容のチェックしてないからよくわからないまま勘で戦ってる。
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