Destiny Unchain Online 〜吸血鬼少女となって、やがて『赤の魔王』と呼ばれるようになりました〜   作:resn

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レイライン・ポイント

 

 ――そうして訪れた日曜日、クリムたち『ルアシェイア』の仲間たちは今、暗い洞窟の中を歩いていた。

 

 

 

「それにしても……ハル先輩たちも手伝ってくれるとは、予想外でした」

「そうじゃなあ。急な連絡じゃったのに、本当に感謝しかないのぅ」

 

 隣を歩くフレイヤの言葉に、クリムも同意する。

 同じ学校の先輩とはいえ部外者であり、向こうにも予定もあるだろうとダメ元で助力を頼めないか連絡してみたのが、スザクとハルの先輩たち。

 だが予想とは裏腹に、彼女らには二つ返事で快諾してもらえたのだった。

 

「そうねー。今回は君たちに譲って大人しくしているつもりだったんだけど」

「あいつが行くって言い出したら聞かないからな」

 

 そう言うスザクの視線の先には、妖精姿のルージュを頭に乗せて、何やら楽しそうにお喋りに興じている、ダアト=クリファードの姿。

 どうやら意気投合したらしい、少女二人の楽しそうな様子に、皆、ほっこりと頬を緩める。

 

 

 そうしてすっかりと賑やかになった一行が、暗い洞窟を進む。

 

 ちなみに現在妖精郷を目指しているのは、クリムたち『ルアシェイア』だけではない。連王同盟国の仲間たちをはじめ、協力者であったソールレオンら北方帝国の者たちなども、先に向かっているはずだ。

 

 ギルド自体、他に類を見ないほど余裕がたんまりとあるため……先行利益を追求していないクリムたち『ルアシェイア』は、どちらかというとこの洞窟の風景を楽しみながら、最後尾からのんびりと向かっているのである。

 

 

 

 ――妖精郷へと続く道というのが、今クリムたちが歩いているここ、『白の森』北部、山脈の麓に隠されるように口を開けていた、広大な天然の鍾乳洞。

 

 澄んだ水をなみなみと湛える地底湖を有するこの天然の洞窟は、おそらく旧帝国により整備されたのだろう。

 人が縦二列くらい並んで歩けるような人の手が入った道が通っていた一方で、しかし人工的な灯りの類は、一切見当たらなかった。

 

 だがクリムたちは、特にランタンなどの照明も点けてはいないが、歩くのに困ってはいない。

 

 というのも……

 

 

「この、下の方で光っているのは何なんです?」

 

 身を乗り出して、不思議そうに地底湖を眺めていた雛菊が、そう首を傾げてクリムへ尋ねてくる。

 

 眼下に広がるのは、恐ろしく透明度の高い、しかしそれでも底が見えないほどに深い地底湖。

 その奥から、緑がかった光がほのかに明滅し、鍾乳洞の中を照らす照明となっていた。

 

「ああ、それは、この大陸の地脈の光じゃな」

「ちみゃく?」

「うむ、この大陸は、妖精郷を中心とした地脈……エネルギーの奔流である『レイライン』が縦横に走っておるのだそうだ。時折存在するそれが観測される場所のことを『レイラインポイント』と呼称するのだそうじゃが、ここもその一つじゃな」

「「へー……」」

 

 クリムの解説に、感心した声を上げる雛菊と、聞き耳を立てていたリコリス。

 

「ちなみに、我らの居城であるセイファート城もその一つじゃぞ?」

「そうなの!?」

「そうなんです!?」

 

 クリムの発言に、リコリスと雛菊が揃って驚いた声を上げる。

 

「そうそう、地下に広い空間があってね、珍しい苔類が採れる採取場だから重宝するのよー」

「と、いうわけじゃ」

 

 ジェードの補足に、クリムが追従して頷く。

 

「知らなかったの……」

「お師匠、私も見たいです」

「ま、採取系クエストをダアトから受注してクリアせねば入れてもらえぬから、精々頑張るのじゃな」

「「えー!?」」

 

 くっくっと、不満げなリコリスと雛菊の視線を背後から受けながら、先頭を歩くフレイとリュウノスケに追いつく。

 

「……ま、気になるのは」

「うむ、聖王国の首都、聖都オラトリアも同じくレイラインポイントだという事じゃがな」

 

 リュウノスケの言葉に、クリムも難しい顔で頷く。

 

 ――始まりの街にほど近い、高地カエルレウム高原を北に抜けた険しい山岳地帯にあるのが、旧帝国の国教であったイァルハ教の総本山、聖都オラトリア……現在、シュヴェルトロート聖王国が首都にしている都市だ。

 

 巨大なカルデラ湖中心にあるその聖都も、レイラインポイントとしては有名なところであると、クリムたちは大陸の地理を勉強する中で見つけていた。

 

 

 ――つまりセイファート城と聖都オラトリア、この二つの首都は、地脈で繋がっている。

 

 

 だがしかし、見つけることができたのはそこまで。詳しい話は見つからなかった。

 

「うん……僕の方も色々調べているけど、これといって関係ありそうな資料は見つからなかった」

「やはり、他の街の資料漁りもしておかねばのう。それこそイァルハ教の大聖堂の資料室でも見せてもらえたら良いのじゃがな」

 

 フレイの言葉に、クリムも苦い顔をしながら語る。

 無理なものは、無理である。いくら停戦中とはいえ、さすがにそれは虫が良すぎる話だ。

 

「それに……」

「まあ、無関係ではないよな……」

 

 二人、険しい顔をするクリムとフレイ。

 

「旧帝国の帝都、なあ」

「相変わらず道が分からないあの場所にも、関係はあるだろうな」

 

 そう――この大陸最大のレイラインポイント、それが未だ封じられた未踏の地、大陸中心にある旧帝都なのだった――……

 

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