Destiny Unchain Online 〜吸血鬼少女となって、やがて『赤の魔王』と呼ばれるようになりました〜   作:resn

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動き出す世界

 

『【エリアマスター登録システム】が解禁されました』

『動画配信機能が有効になりました』

 

 

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「や、やっとついた……」

「お師匠、ここまで遠くとは聞いてなかったです……」

「はは、二人ともお疲れさま」

 

 森を……クリムにとっては懐かしさすら感じる『黒の森(シュヴァルツヴァルト)』を抜けた高台。

 そこで、クリムは疲れ切った様子の雛菊とリコリス、年少者二人を労う。

 

「しかしまぁ、よくお前はこんな遠くでソロプレイなんてやってたもんだ」

「エネミー強かった……減りが早くて、回復魔法みんなに回すの大変だったよ……」

 

 呆れたようなフレイと、ここまでの皆の治療で真っ白になっているフレイヤに苦笑しながら、クリムは振り返る。そして……

 

「……皆、ようこそ『泉霧郷ネーブル』へ!」

 

 そう、満面の笑顔で皆を歓迎するのだった。

 

 

 

 

 

 ――ギルド結成の日から、早くも一週間近く経過していた。

 

 今朝方、『エリアマスター登録システム』の解放のアナウンスが流れ……手の速いギルドはすでに、あちこちで行動を開始していた。

 

 これまで白紙だった世界地図が、次々と誰かの支配下へと飲み込まれていき、停滞していた勢力図が分単位で目まぐるしく変わっていくこの世界。

 

 そんな中、クリムとクリムのギルド『ルアシェイア』は幾つものエリアを越えて、『泉霧郷ネーブル』へと誰一人として欠けること無くたどり着いたのだった。

 

 

 

 

「ここに、クリムちゃんの建てたお家があるの?」

「うん、そろそろ完成してるはずだけど……」

 

 そう言って高台から見下ろすと、目的の建物の屋根はすぐに見つかった。

 

 ――良かった、完成してる!

 

 気が逸り、駆け出したくなる気持ちを抑え込んで皆の先導をする。

 

「本当に良かったのか? お前一人で建てた家だろうに、僕たち『ルアシェイア』のギルドハウスにして」

「もちろん。皆で一つ屋根の下で、共同生活ってのも楽しそうじゃない?」

 

 フレイヤとフレイの疑問に対して、ニコニコと嬉しそうに答えるクリムだったが。

 

「……分かっているんだが、その見た目で笑顔だと破壊力があるな」

「……ん? フレイ、どうかした?」

「いや……発射まであと三秒くらいかなと思ってな」

「え、それってどういう――」

 

 フレイの意味深長な発言に首を傾げた、まさにその瞬間。

 

「クリムちゃああん、私も楽しみだよー!!」

「モガッ!?」

「一緒にお料理とか、昔みたいにお風呂で洗いっことかしようねぇ!!」

「い……いやそれは……さすがに問題が……ぐぇ……」

 

 クリムの幸せそうな笑顔に誘われて飛び込んできた発射体(フレイヤ)、その柔らかな弾頭に直撃し埋まってしまったクリムは……その後、窒息のバッドステータスを受けるまでフレイヤに可愛がられ続けるのだった。

 

 

 

「はぁ……また死ぬかと思った」

「うう、ごめんねー」

「いや、もういいよ。それより、早く家を見に……」

 

 ――と、歩き始めた時だった。

 

 今クリムたちが下っていた坂を逆走するように、勢いよく駆け上がってくる小さな人影と、それを見守っているもう一つの人影。

 

「あ、あれは……」

「女の子? クリムちゃんの知り合い?」

「うん、あの子はこの町で仲良くなった家の……」

 

 そう解説している間も、ぐんぐんと近寄ってくる少女。その速度を緩める様子が無いのを見て、やれやれ、またかとクリムが僅かに腰を落とし、身構える。

 

「お姉ちゃん、おかえり!」

「ジュナ! 久しぶり、元気してた?」

 

 力いっぱい飛び込んできた小さなジュナの体を、うまく勢いを殺して受け止める。

 そのまま一回転して完全に勢いを殺すと、そっと地面に下ろす。

 

「……その、なんだ。クリム、おかえり」

「うん、ジョージも。ただいま、変わりなかった?」

「ああ。そのことで、親父が話があるから帰ってきたら町長の家に呼んで欲しいってさ。急ぎじゃないから家に荷物置いてからで構わないそうだけど」

「そう、分かった。後で行ってみるね」

「ああ。それで……」

 

 ジョージが、チラチラとクリムの背後、『ルアシェイア』のメンバーたちを見る。

 

 それは、見知らぬ集団に対する警戒から来るものだが……その一方で、リコリスの体の一部、機械部分に向ける目などは年相応に輝いていた。

 そんな少年の視線に、人見知りの彼女はビクッと肩を震わせて、雛菊の背後に隠れてしまうのだった。

 

 ……わかるよ、あの子のメカ部分、かっこいいもんね。

 

 少年の憧れに微笑ましいものを感じつつも、このままではちょっとリコリスが可哀想かな、と心を鬼にする。

 

「こらジョージ、あまり女の子をじろじろ見ない」

「あ、わ、悪い……こいつらが、お前が迎えに行くって言っていた仲間たちか?」

「うん、ジョージもジュナも、仲良くしてあげてね?」

 

 そんなクリムの頼みに、ジュナは、はーい、と元気よく返事をする。一方でジョージはと言うと……

 

「言っておくけど、この町で変なことをしたら、俺が叩き出してやるからな!」

 

 そう、相変わらず素直ではないことを言う少年に、皆、少しだけ苦笑するのだった。

 

 

 

 

 

 クリムの家までの道中、人見知りしないジュナはすぐさま年の近い雛菊とリコリスの所へ行き、二人に町の外の話をせがんで困らせていた。

 

 そんな様子を他の皆は暖かく見守っていると、すぐに、目的地へ辿り着く。

 

「これが……私たちの家」

 

 すっかり廃虚の面影が無くなった、この湖畔の家。

 材料に使われている『黒の森』の木材特有の、やや暗い色をした赤色のログハウスの外壁。

 さすがは資産家の男が基礎を作らせただけあって、六人で暮らす分には全然余裕があるであろうほどにかなり広い、二階建ての建築。

 

 また外には、草が刈られ石が避けられて、広々とした庭が広がっていた。

 ご丁寧にもその隅の一角には、すでに耕され、(うね)が作られた畑まで。

 

 

 ――自分たちの家。

 

 そんな言葉にワクワクする気持ちを抑えきれぬまま、皆で中へと入る。

 

「うわ、すごいです、リビング広いです!」

 

 驚きの声を上げたのは、たまたまクリムのすぐ後ろを歩いていた雛菊。

 入ってすぐ、玄関ホール兼リビング。吹き抜けになっており、リビング端の階段から上がれる二階にある、各個室のドアが見える。

 

「ああ、これなら皆で腰掛けられるテーブルを用意して、会議なんかもできそうだ。」

 

 フレイが冷静に周囲を見渡してそう評価する一方で、クリムとフレイヤ、そしてリコリスは、周囲のドアを開けてみる。

 

 最初、開いたその先にあったのは……木で組まれた、浴槽の姿。どうやらここは、風呂場らしい。

 

「お風呂も、広いですね……」

「うん……三人くらいなら一緒に入れそう?」

「あ、じゃあクリムちゃん、昔みたいに一緒に入る?」

「入らないからね!?」

 

 素面のままとんでもないことを言い出したフレイヤに、真っ赤になって拒否するクリムなのだった。

 

 

 

 

 ――そうして、一通り家の中を確認した後。

 

 改めてクリムは、ひと月前にこの町に到着して以来、初めて訪れた町長の家へと踏み入れる。

 

 そこには……難しい顔をしているルドガーと、同じく深刻な表情で頭を突き合わせている初老の男性……このネーブルの街の町長の姿があった。

 

 

「おお、来たかクリム、久しぶりだな」

「はい、お久しぶりです、ルドガーさん、町長さん。それで話というのは?」

「ああ……それは、町長のほうから話す」

 

 そう言って、ルドガーは初老の男性へと、話を促す。

 

「クリム君……君は、最近各地で不穏な動きが再び広がっているというのはご存知かな?」

「えっと、それは、まあ……」

「たまに行商に来るものの話を聞いても、昨今はまた再び不穏な空気が流れるばかり。もしもまた戦争にでもなれば、このような僻地でも、いつ巻き込まれてしまうことか」

「だがクリムも知っての通り、この町には戦力も、戦場に立った経験がある者も少ない」

 

 ルドガーのその言葉に、クリムも頷く。

 周囲の立地という天然の城塞こそあるものの、この町には堅牢な外壁も、屈強な兵も居ない。ひとたびここまで侵入されてしまえば、もはやそれまでだろう。

 

「頼みとは、他でもありません……先日のこともあり、町で自衛のための組織を作るということになったのですが」

「自衛組織ですか?」

「うむ……そしてクリム嬢に、そのトップに就いてほしいのです。貴女であればもっと良い仕官先も望めるであろう中、不躾なお願いだとは重々承知しているのですが」

 

 そこで言葉を区切り、ぐっと顔を顰める。その様子には、自らのことを他の場所から来た少女に委ねなければならない悔しさのようなものが滲んでいた。

 

「どうかこの町、私たちに力を貸していただきたい……どうか、私たちを助けていただきたい」

 

 そう、深々と頭を下げる町長。その言葉にクリムは……

 

「分かりました、顔を上げてください」

 

 そう、優しく言う。顔を上げた町長に、はっきりと頷いてみせる。

 

 最初から、答えは決まっていた。

 

 再び戦火が広がるであろうこの世界にて、彼らが安心して暮らせる平穏なこの町を守る。その決意は決して薄れずに、クリムの中に根付いていた。

 

「この町の人たちの生活……私、いや、私たち『ルアシェイア』が守ります」

 

 町長に、クリムはもう一度はっきりと頷いてみせる。

 

 そしてこの瞬間、この『Destiny Unchain Online』というゲームは本当のスタートを迎えたのだった ――……

 

 

 

 

 

『エリア【泉霧郷ネーブル】が、ギルド【ルアシェイア】の管轄下に入りました』

 

 

 ———————————

 

 PC name:クリム

 種族:ノーブルレッド

 

 所属ギルド:『ルアシェイア』

 

 

 ■基本能力ベーススキル

 

 HP:2110

 MP:824

 

 生命力(VIT) :56/100(+15)

 精神力(MND):58/100(+30)

 筋力 (STR):64/100(+35)

 魔力 (MAG):70/100( +50)

 

 ■所持スキル

 

 ・マスタリースキル

 

 片手武器マスタリー 40/100 (■:成長停止)

 両手武器マスタリー 62/100

 アーマーマスタリー 21/100 (■:成長停止)

 

 

 ・ウェポンスキル/マジックスキル

 

 短剣  40/100 (■:成長停止)

 両手斧  55/100 (■:成長停止)

 刀   35/100

 大鎌  70/100

 投擲  15/100

 爪   37/100

 牙   12/100

 

 

 影魔法 72/100

 闇魔法 62/100

 血魔法 53/100 

 

 

 ・生産スキル

 

 採取 40/100 (■:成長停止)

 伐採 42/100 (■:成長停止)

 

 

 ・日常スキル

 

 落下耐性 48/100

 自然治癒 40/100 (■:成長停止)

 疾走   65/100

 隠密   30/100 (■:成長停止)

 観察眼  30/100 (■:成長停止)

 起死回生 12/100

 

 

 ・補助スキル

 

 魔法習熟 40/100

 変幻   49/100

 

 

 ・EXドライヴ

 

 ■■■■■■■【まだ開示されていません】

 

 

 

 合計 1158/1200

 生産 60/60

 

 ■特性

 

『亜純血』

『×:銀に弱い』

『×:聖書・十字架に弱い』

『×:火属性に弱い(強)』

 ※火耐性を-100で固定、装備品以外での補正不可。

『×:光属性に弱い(強)』

 ※光耐性を-100で固定、装備品以外での補正不可。

 

 

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