桜火剣客浪漫伝   作:田中滅

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怒れる兄、その刃は全てを焼き尽くす!!!はい三話目です、不定期になりがちですが見守っていただけると幸いです


第三ノ巻 夜風に舞う

「………なぁ、イルカ先生。俺ってば、やっぱり!あんちゃんを助けに行きてぇ!だって、ミズキは中忍だろ!?あんちゃんが勝てるわけねぇってばよ!!」

 

木々を飛び移り、森の入り口を目指す二つの影。その一つであるナルトは、自分の少し前を走るイルカに進言する

 

「ナルト……レッカは、お前になんて言った?」

 

夜風が吹く夜空を背に、イルカは振り返る。その瞳は真っ直ぐとナルトを見据え、歯痒そうに奥歯を噛み締めている

 

「待ってろ……それでもっ!俺は、あんちゃんを見捨てられねぇ!俺は里のみんなに認めてもらえるような火影になりてぇけど!一番、その姿を見て欲しい人は……あんちゃんだからっ!」

 

孤独の底から引き摺り出し、手を差し伸べてくれた最初の(あかり)。独りだと、思っていた自分に、その(あかり)は居場所をくれた。他の誰でもない、自分が自分で居られる時間をくれた。だからこそ、ナルトは兄を見捨てられなかった

血の繋がり等ない、それでも自分を弟と呼び、暖かい心をくれた彼を、レッカを、ナルトは見捨てられなかった

 

「おいっ!ナル……くっ……傷が……」

 

引き返すナルトを追随しようとイルカも、身を翻すがミズキに受けた傷が深く、痛みが体を襲う

 

「修行が足りていないぞ。イルカ」

 

「はぁはぁ………く、クサリ……さ…ん…」

 

倒れかけたイルカを、女性が抱き止める。その声の主を薄目ながらに確認し、名を呼ぶと彼女、クサリは背後に待機していた二人に視線を動かす

 

「サクラはイルカの応急処置をしろ」

 

「はいっ!」

 

「ビャクヤは私と来い。ナルトを追い、その先にいるであろう命令違反中のバカモノをとっ捕まえるぞ」

 

「まあ、そうなりますよねぇ……」

 

その場に医療忍術の心得があるサクラだけを残し、クサリはビャクヤと共に森の奥に姿を消す

 

「はぁ…はぁ…すまない……サクラ……」

 

「喋らないでください、今は回復が優先です」

 

「レッカは……俺たちを庇って……」

 

「分かってます。帰ってきたら、きちんと叱っておきますから…」

 

「ああ……頼むよ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………はぁ…はぁ…」

 

体に無数の傷を負い、ふらつく二本の足で体を支えるのが限界なレッカ。その手には愛刀・桜火が握られている

 

「どうした?威勢だけか?やっぱり、ガキだなぁ!お前もっ!」

 

「そのガキ一人に手こずるようなゲスヤローに言われたくねぇな……中忍が聞いて呆れるぜ…」

 

「減らず口を叩くんじゃねぇっ!!!」

 

背中に背負った巨大手裏剣を歯車の様に回転させ、斬り掛かるミズキに対し、即座に反応を示したレッカも口に咥えた刃で受け止め、両手で印を結びながら、体内でチャクラを練り、咥えていた刀を口から離す

 

「火遁・焔玉(ほむらだま)!!!」

 

瞬間、レッカの口から無数の火球が飛び出す。本来は目眩し程度の技であるが、夜風がアシストになり、速度と威力を倍増させ、ミズキの眼前に迫る

 

「しゃらくせぇ!!!」

 

「……ちっ、やっぱ腐っても中忍か」

 

火球を手裏剣で薙ぎ払うミズキに対し、悪態を吐き捨てるようにレッカは舌打ちし、刀を肩に担ぐ

 

「当たり前だ、クソガキ。まぁ、お前もやる方だな……流石はあの男(・・・)を兄に持つだけはある。下忍にしとくのがもったいねぇ。どうだ?俺と来いよ、お前となら、楽しくやれそうだ」

 

「うるせぇよバーカ」

 

「なっ!?ば、バカだぁ!?」

 

「俺は狒々レッカ。いつの日か、火影になる男の兄貴だ。お前みてぇな小物に預ける刃は持ち合わせてねぇよ」

 

「…………其れはここで、殺してくれって意味だよなぁ!?クソガキっ!!!」

 

手裏剣片手に斬りかかるミズキ、その怒りは明確な殺意を見せる。しかし、レッカは退かない、守るべき者の為に、刀を握り、曇りなき眼差しと来る者を見据える

 

「てめぇを此処で叩き斬るって、意味に決まってんだろうがっ!!!」

 

荒々しく、放たれた怒号にも似た声。目の前にいる男は弟を、罵り、蔑み、傷付けた。言わば憎しみの対象、目の前を赤い闇が覆っていく

 

「お前が何故、その眼を持っているんだ!?」

 

その瞳は、赤く発光し、瞳孔の周囲に三つの黒い巴模様(・・・・・・・・)が浮かび上がっていた。ミズキは自らの目を疑った。本来であれば、その瞳は、とある血筋(・・・・・)にのみ開眼する固有能力。レッカが得る事は万が一にも有り得ない代物である

 

「テメェみたいなゲスヤローに教えてやる義理はねぇよ」

 

「………ああ、そうか。お前……半端者(・・・)だな?」

 

頑なに、理由を語ろうとしないレッカの姿にミズキは一つの結論に行き着き、彼を「半端者(・・・)」と呼んだ。刹那、赤く発光した瞳が、ぎろり、と動く

 

「………黙れ」

 

怒りを含んではいるが、静かに放たれた声。其れはレッカの静かな怒りであったが、ミズキは彼が正気を失ったかと思い、嘲笑うように口を開く

 

「なるほどなぁ!由緒ある一族に生まれながら、別の一族と交わり血を汚した女が産み落とした半端者!いいねぇ!化け狐とお似合いじゃねぇかよ!」

 

……殺すぞ……

 

静かな怒りは、頂点に達する。その赤き眼は全てを焼き尽くす焔のように、全てを消し去る業火のように、燃えていた

 

「あんちゃんに手ェ出すな………俺が相手だ」

 

怒りの炎がレッカを完全に支配しようとした時だった。黄色い光が、その瞳に映った

その光基少年、ナルトは封印の書を地面に置き、鋭い眼光で睨み付けていた

 

「………はぁ、お前なぁ。兄貴の言うことくらい聞けよ」

 

怒りが消え、目の前に佇むナルトに悪態を吐きながらも、軽く呆れたようにため息を吐く

 

「だってよ、あんちゃん。無茶ばっかりすんじゃねぇか」

 

「お前に心配される程の無茶してねぇよ」

 

「ガキが揃いも揃って、粋がってんじゃねぇ!!一発で殴り殺してやるよ!」

 

「「やってみろよ、カス。千倍にして返してやっから」」

 

一言一句、同じ言葉を発する二人。その姿は正に兄弟そのもの、ナルトは印を結び、レッカは刀を握る

 

 

 

「多重影分身の術!!」

 

 

 

「木ノ葉流上弦の型・流桜……!」

 

 

 

 

刹那、ミズキの周りに千人に匹敵する数のナルトの分身が出現した。然も、その全てが実体を持つ影分身という高等忍術に、ミズキの身が揺らぐ。その瞬間を見逃さなかったレッカは、刀に赤い炎を纏わせ、斬り伏せた

 

「ちとやり過ぎちゃった………あんちゃん。あれ?あんちゃん?」

 

足元に転がるミズキを見ながら、同情を見せるナルト。不意に兄の名を呼ぶが、其処には既に誰も居なかった

 

「レッカなら、次の任務があるとかで行っちまったよ」

 

遅れて姿を現したイルカが、辺りを探し回るナルトに声を掛けた

 

「あ、イルカ先生!遅いってばよ!」

 

「悪い悪い、サクラに治療してもらってたんだ。其れはそうと…見てたぞ?影分身なんてすごいじゃないか……やっぱり、お前は俺の自慢だ」

 

「へへっ…」

 

「………ナルト、ちょっと来い。お前に渡したいものがある」

 

軽く息を吐き、イルカが手招きするとナルトは素直に歩み寄る

 

「先生……まだ?」

 

「よし!もう開けていいぞ」

 

目を閉じるように言われていたナルトは、イルカの声で目を開く。目の前にあったのは、優しく笑うイルカの姿、その額には額当てが見当たらない。しかし、その理由は直ぐに理解出来た

 

「卒業………おめでとう」

 

額当て、ずっと欲しかった一人前の証が額にあった

 

「卒業祝いだ、ラーメンを奢ってやる」

 

そう笑うイルカの言葉は既にナルトの耳には入っていなかったが、その顔は嬉しさに満ち溢れていたのは言うまでもない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃のレッカは

 

「離せコラァ!クサリてめぇ!」

 

担当上忍のクサリの得意忍術である鎖捕縛により、木に括り付けられていた

 

「任務を無視しての独断専行、敵を倒すに至ったかもしれんが……命令違反だ。反省するまで、そうしていろ」

 

「離せェェェ!行き遅れっ!」

 

「あぁん?なんか言ったか?クソガキ…」

 

「ぎゃぁぁぁぁ!!!」

 

触れてはならない逆鱗に触れ、クサリの顔から気怠さが消え、レッカを睨みつける。その恐怖にレッカは騒ぎ出し、括り付けられていた木ごと逃げ回る

 

「やれやれ……学習しないね。レッカは」

 

「ホントよ……はぁ…しゃーんなろーよ…」




第四班の新たな任務は、女優の警護?あれでも……この女優、何か秘密がありそう……雪の国?何処だよ、そりゃあ…

俺の忍道はこの刀が届く範囲全ての奴らを守り抜く刃になることだ
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