桜火剣客浪漫伝   作:田中滅

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三年も放置して申し訳ありません……展開がどうにも決まらなくて……次はもっと早くに続きを書けたらなと思います


第四ノ巻 紅き眼差し

「あ?雪の国だ?何処だよ、それ」

 

早朝の火影室。椅子に鎮座する三代目火影を前に気怠さが目立つ着流しの少年は無造作に頭を掻き乱し、聞き覚えの無い国の名を反覆するかのように聞き直す

 

「北方にある一年中雪が降り積もる寒い国だよ。五大国以外で隠れ里を持つ国の一つでもあるね」

 

疑問符を浮かべる彼の問いに答えたのは、銀髪に柔らかい声が特徴的な少年、ビャクヤ。第四班が誇る頭脳派の天才少年だ

 

「でも、十年前にクーデターが起こったって聞いたわよ?」

 

ビャクヤの話を聞き、十年前に雪の国で起きたクーデターを想起させたのは桜色の髪の美少女。第四班の紅一点とも呼べるサクラだ

 

「流石はサクラだ、良い着眼点だね。雪の国で起きたクーデターの際に当時の君主だった風花早雪殿が弟の風花ドトウに殺されるという下剋上が起きた。その際に御息女の小雪姫は行方不明になり、今もなお行方は分からない……そうでしたよね?クサリ先生」

 

サクラの指摘を誉めた後、ビャクヤは自分が持ち得る雪の国に於ける情報を開示し、担当上忍であるクサリに同意を求めるように問う

 

「ビャクヤの情報は不明確だ。小雪姫は名を変え、身分を偽ってはいるが今も存命している」

 

「それは失礼。雪の国関連の情報には閲覧制限が掛かっていますから、下忍の僕では得られない情報もあるんですよ」

 

「名前と身分を偽っても生きてるなんて……随分と肝が据わったお姫さまなのね。あっ!まさか、今回の任務って…それに関係が?」

 

不貞腐れたように口を尖らせるビャクヤとは裏腹に風花小雪の度胸に関心していたサクラは、それが今回の任務と関連しているのでは?と気付き、疑問を投げかける

 

「うむ。公にはされておらんが、風花小雪殿は女優の富士風雪絵という身分で活動している…今回、第四班に降す任務の内容は彼女及び共演者並びに映画撮影班の護衛じゃ」

 

「何故我々が?これはカカシの関わった任務だったと聞いていますが…」

 

クサリの記憶が正しければ、この雪の国に於けるクーデターと関わりを持っていたのは自分の同期である筈、しかし、自分に護衛任務が廻ってきた事に違和感を感じていた

 

「カカシは別件でな。故に彼奴と同期のお前と部下たちに白羽の矢が立った」

 

「はんっ!要はカカシのヤツの尻拭いってことじゃねーか!」

 

三代目が答えを返すと、悪態にも似た文句を吐き捨てた彼は自分たちが他者の任務のツケを精算するかのように扱われた事に不満を露わにする

 

「口を慎め…レッカ。雪の国は未開の地…生半可な気持ちで挑むと、足元を掬われる事になるぞ」

 

「へいへい…俺が悪かったな」

 

咎められたことにより、不貞腐れた様子で投げやりな謝罪を口にするレッカ。三代目はその姿に何が理由かを悟り、手元にある別の資料に視線を落とす

 

「レッカよ、お前が里を離れることを嫌がる理由はわしも理解しておる…。安心せい、ナルトとホノカには相応の担当を付ける」

 

「………なるほどな、だからか?俺たちに雪の国関連の任務を任せた理由は」

 

「察しが良いな…そういうことじゃ。やってくれるか?」

 

その資料に記載された内容を瞬間的に理解し、情報を脳内で整理したレッカは此度の護衛任務が如何に自分たちに廻ってきたのかを察する。その発言から彼が結論を見出したと判断した三代目は再び問う

 

「分かった……任されてやるよ。ただし!ナルトとホノカにやらせる任務は最低でもCランクまでだ…。それ以上は認めねぇからな」

 

「分かっておる」

 

任務を受理する事にはしたが、快諾したとは言えず、条件を提示したレッカに三代目も優しい笑みで応える。そして、里長である存在に失礼極まりない態度を取る部下の頭に無言でクサリは拳骨を落とし、強制的に黙らせる

 

「三代目、部下の非礼をお許しください…このバカには後で言い聞かせておきます。それから…此度の任務は我々、第四班にお任せを」

 

「うむ…お主たちならば、必ずや任務を遂行すると信じておる…。行くがよい」

 

「了解です。聞いていたな?お前たち。準備が出来次第、あ・うんの門に集合だ」

 

「「了解っ!」」

 

クサリの指示に従い、火影室を後にするサクラとビャクヤ。腰に帯刀した愛刀を握り締めたレッカは軽く息を吐き、頭を無造作に掻き乱す

 

「レッカ。今回の任務ではお前の眼が要となる……抜かるでない」

 

「………知ってんだろ?俺はこの眼が嫌いだ。使う度に何も出来なかった頃の自分を思い出す…だから、俺は眼で語る戦い(・・・・・・)をするつもりはねぇよ」

 

「わしもお前の()を救えなかったのは悔いている…。それでも…お前には」

 

自分の眼が持つ特殊な力を嫌うレッカに対し、今は亡き彼の兄を引き合いに出すかのように言葉を続けようとした時だった

 

三代目(・・・)。そこまでにしてくれや……これ以上は、アンタを斬りかねない」

 

赤く発光した瞳が、ぎろりと動き、怒りを含んではいるが、静かに放たれた声は彼の心中を物語っていた。その手は刀に触れ、その赤き眼は全てを焼き尽くす焔のように、全てを消し去る業火のように、燃えていた

 

「………行くがよい」

 

静かに告げると、怒りの焔を消したレッカは火影室を後にする。兄を尊敬していたが故に、彼の中では触れてはならない逆鱗に相当する話題、それを掘り返してしまったことを三代目は悔やみ、彼の世界を変えてしまった忍の世界の在り方を思い悩む

 

「三代目。彼奴を引き合いに出せば、レッカが荒立つことは分かっていた筈です。何故…煽るような真似を?」

 

任務に参加させる為とは言え、レッカを煽った意図を理解出来ず、最もな疑問符を打つけるクサリ。その問いに答えるべく、三代目は口を開く

 

「彼奴は…亡き両親と兄が託した火の意志を継ぎ、里を護る刃となろうとしておる。お前もそれは知っておるはずじゃ」

 

「ええ…十二分に理解しています、それは。レッカの中にある火は何時…復讐の炎となってもおかしくはない…。だからこそ、彼奴の気持ちを配慮してやることは出来なかったのでしょうか…」

 

九尾の妖狐から里を護る為にその命を散らした父と母。そして、幼い自分を護る為に里の闇と対峙し、志半ばで息絶えた兄。其れ等を鮮明に覚えてしまっているが故にレッカは過去を頑なに語ろうとはしない、更に其れに関する話題も嫌うようになった。其処を突けば、怒ることは火を見るよりも明らかだった筈、にも関わらず、三代目は配慮に欠いた言葉の数々で彼を傷付けた。それに担当上忍であるクサリは僅かに憤りを感じていた

 

「クサリよ。レッカは大丈夫じゃよ、彼奴は里の者が厄介者扱いするナルトを誰よりも理解し、導こうとしておる……彼奴が復讐に囚われることは有り得ん」

 

「はい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あんちゃん!あんちゃん!聞いてくれてっばよ!」

 

「あ?なんだよ」

 

任務の準備の為に縁側で愛刀を手入れしたレッカに声を掛けたのは、班分けを終えたナルト。額には真新しい額当てが鈍い輝きを放っている

 

「俺とホノカはおんなじ班だったってばよ!そんでさ!そんでさ!」

 

「分かったから、落ち着け」

 

幼馴染と同じ班になれたことが余程嬉しいのか、楽しそうに語るナルトを諭し、刀を鞘に納めると近くに置いていた皿の上にある好物のみたらし団子を手に取る

 

「担当上忍?ってのがはたけカカシって言うなんか頼りなさそ〜なヤツだった」

 

「…………お前、マジで言ってんのか?はたけカカシが頼りなさそうって」

 

〝はたけカカシ〟、その名を木の葉隠れで知らない者が居るとすれば、ナルト以外には存在しない。直接の会合は数える程しかないレッカでさえも、その実力は耳にタコが出来るくらいに聞いてきたほどに有名だ。少なくとも単独で挑んでも足元にすら及ばない

 

「だってさ、黒板消しも避けれねーくらいにドンくせーんだぞ?」

 

「黒板消し……お前、んなことやったのか」

 

無害とはいえ罠を仕掛けたことをさらりと告げるナルトに呆れ、頭を抱える。当の本人は「あんちゃんが人の名前を覚えてるのは珍しいってばよ」と別の部分に関心しているが、着眼点は其処じゃないと彼は言いたかった

 

「そんなに有名なんだ?あの先生。いやぁ〜ホノカさんも初耳です」

 

「………お前もかよ」

 

居間に寝転がり、雑誌を片手にけらけらと笑っていたホノカも聞き耳を立てていたようだが、ナルト同様にカカシの名を知らなかったと口にする。まさかの発言に更に頭を抱えるレッカ、ため息も次第に大きさを増すばかりだ

 

「アンタたちくらいよ?あのはたけカカシを知らないなんてのは」

 

「何時から居やがった?てめぇは」

 

勝手知ったると言わんばかりに人数分の茶を差し出してきた桜色の髪の幼馴染を見た瞬間、露骨に嫌そうな表情を見せたレッカ。彼女が何故、目の前に居るかの疑問視したらしく、問いを投げかけた

 

「なによ、アンタがしっかりと準備をしてるのかを見に来てあげた気の利く幼馴染に随分な言い草ね」

 

「ちっ…余計なことを…」

 

例によって、マウントを取るような反応を見せるサクラ。軽く舌打ちをしながらも、淹れられた茶を啜るのは慣れ故の光景である

 

「ちい兄とおねぇってば、任務に行くの?どこに?」

 

「雪の国よ」

 

「どんな依頼なんだってばよ」

 

「其奴を教える訳にはいかねーよ。お前たちも下忍になった以上は任務内容を迂闊に話せねぇ」

 

「ぶぅ〜」

 

「女の子がそんな顔しないの。せっかくの可愛い顔が台無しになるわよ?ホノカ」

 

「うん!ありがとっ!おねぇ!」

 

(か、可愛い……!!!)

 

不貞腐れてたのも、束の間でサクラに慰められた瞬間に花が咲いたような笑顔を見せるホノカ。その可愛さにサクラは悶え、彼女を抱き寄せると頭撫でる

 

「あんちゃん。俺たちってば、何を見せられてんだ?」

 

「気にすんな、おめぇがあれを理解する日は未来永劫にねぇからよ」

 

唖然とするナルトに自分たちには理解出来ない言動であると言い聞かせ、串に刺さった団子を咀嚼する。慣れ故に止めようともしないのは、彼也に見つけた対処法。正に触らぬ神に祟りなしだ

 

「あっ…そうだ、あんちゃん。今日は一楽のラーメンが食べたいってばよ」

 

「仕方ねーな……下忍昇格祝いに奢ってやるよ」

 

「い……いやったーーー!さっすがはあんちゃん!」

 

ラーメンが食べたいと主張する弟分に、軽くため息を吐きながらも奢ることを約束。それを聞いたナルトは嬉しそうにはしゃぎ出す

 

「珍しいわね。何時もなら、ラーメンばっか食うなとか言うくせに」

 

ホノカがナルトと一緒にはしゃぎ出した為に手持ち無沙汰になったサクラが腰掛け、意外そうに問う

 

「雪の国に行ってる間は面倒を見てやれねーからな。少しばかりの兄心ってヤツだ」

 

「ふぅん?意外とナルトのことを考えてんのね、やっぱり」

 

誰よりもナルトを理解し、寄り添う兄らしい一面を見せる幼馴染にサクラは優しく笑ってみせる

 

「……るせぇ」

 




女優の富士風雪絵の警護をすることになった第四班。しかし、彼女は諦め癖のあるやる気のない女優だった

俺の忍道はこの刀が届く範囲全ての奴らを守り抜く刃になることだ
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