FILM RED時空に転生したから〝時代争奪歌合戦〟をやる【本編完結・番外編不定期更新】 作:空吉
〝音楽の国 エレジア壊滅〟
その見出しを見た瞬間、私──いや、
(なんてこった、ここONE PIECE世界だし、よりにもよってFILM RED時空じゃねーか……!)
思わずバチン!と額を叩いて蹲る。そして「大丈夫?」と心配そうに寄ってきた
俺の名前はアルナスル・ミラ。本当にたった今全てを思い……出した!転生者である。転生の経緯はよくあるパターンなので割愛する。
ただ、前世では男だったのだが、所謂『TS転生』とやらを果たしてしまい、現在はなんと、ONE PIECE世界は
そしてもちろん、『フーシャ村』と言えば、この男〜!
「何やってんだ?」
未来の海賊王、モンキー・D・ルフィ〜〜!!
マキノさんとのやり取りを見て寄ってきたらしい。
「何でもないよルフィ、借りてた新聞落としちゃったから謝ってた」
「トロいな〜〜! ミラ、そんなんじゃ海賊になれねーぞ」
「いや、私は海賊になる気はないって前から……そう、海賊になる気は…………ルフィ、マキノさん、次シャンクスたちが帰ってくるのいつ頃だったっけ」
「そろそろだと思うわ。またウタちゃんとも会えるわね」
「そっか! 楽しみだな〜ししし! 冒険の話聞けるかな!」
歓談するマキノさんとルフィを尻目に、俺の脳みそはかつてないほど大回転していた。
俺とウタ、そしてルフィは幼馴染と言っていい。俺が1番年上で、その1つ下がウタ、さらにその下にルフィといった年齢差だ。本来ルフィとウタだけの関係だったところに、俺というイレギュラーが混ざった形になる。
シャンクスたち赤髪海賊団がフーシャ村を拠点にするようになり、ウタと出会い、ルフィが海賊を目指すようになり、彼らがいる間は当然のように子供たち3人で集まって遊んで──。
ウタは赤髪海賊団の音楽家として今もシャンクスたちと航海に出ているはずだが、既にエレジア壊滅が記事になっているということは、彼女はもう、フーシャ村には帰ってこない。エレジアに残り、元エレジア国王ゴードンさんとふたりきりの歌手育成生活だ。
そして、その行く末は────。
(なんとかしてやりたいと思いはするが、何かができる未来が見えねぇ〜〜!!)
全てを知るのは、シャンクスら赤髪海賊団の他に、ゴードンさんと、俺だけだ。そして今後起こりうることを知るのは、俺だけなのだ。
だが、『FILM RED』での事件が起こるまで、シャンクスはウタには絶対に会わないだろう。例えばウタを1人にしないためにエレジアに向かいたくても、現状ではツテはシャンクスのみ。こんな村では、海に出たくとも手段は限られるし、俺1人ではどうにもならない。
もしくはウタの考えを変えさせるやり方を取るにしても、どちらにしろ彼女と接触しなくてはならないが、『FILM RED』までの時間に接触できるかどうか……。
ウタは
しかしいかんせん方法が……。せめて記憶が戻るのがもっと早ければ、音楽を勉強したいとでも言ってエレジアまで同行する策がとれたのに……。そもそもなぜ原作ではなく『FILM RED』なんだ。ため息しか出ない。
それにしても『FILM RED』、音楽、歌姫か……。俺としては原点はマクロスなんだが、やっぱり
あれ。そういえば、前世の記憶が戻る前、まだ俺がただのアルナスル・ミラだった時。親に捨てられフーシャ村に辿り着くまでに、俺は確か、“悪魔の実”を……図鑑によれば確か……。
「──ねえルフィ、昔、ウタと話した“新時代”の話、覚えてるね?」
「ん? ああ、もちろん!」
「なら、いい。絶対忘れるな」
「ミラ?」
がっ、とルフィの肩を掴む。
「
目を白黒させるルフィと、驚いた様子のマキノさんに、拳を掲げて宣言する。
「〝銀河の妖精〟に、
古来から、人が協力するのには何が必要なのかと問われてきた。そしてその答えは、『共通の敵』というのも広く知られている。
『その時』までウタに会えないのなら、『その時』にかつてないほどの衝撃をもって、彼女の夢と力をねじ伏せるしかない。
〝新時代〟に対抗するなら、それだけのものが必要だ。そして、それは同じだけの熱量を持った〝歴史〟が良いだろう。
「〝新時代〟じゃあないッ! 人々に必要なのは、〝
頭平成か? その通りです。
◆◆◆
──そして、時は流れる。
ライブ〝ニュージェネシス〟。音楽の島エレジアで行われる、〝世界の歌姫〟ウタ、初の有観客ライブ。
舞台袖で、ウタはネズキノコを前に、決意を固めていた。そして、それを口にしようとしたその時──
『なんだこのチンケな会場はァ! 出てこい〝世界の歌姫〟とやら!!』
なんて酷いハウリングだろう! 思わずキノコを取り落とし、ヘッドセットの上から耳を塞いだ。
『世間知らずの小娘が、よくも歌姫を名乗ったもんだ! 〝ウタ〟!!
こうまで名指しで呼ばれては、知らぬ存ぜぬを通すこともできない。仕方なく、開演前のステージにライトをつけ、ウタは民衆の前に姿を現した。
──そして、自分を呼んだ、その人の姿を見る。その人は、『彼女』は、夜空を映した髪をなびかせ、星を映した瞳を煌めかせ。観客席の1番高いブロックの、その通路に陣取って、レトロマイクを握りしめ、堂々とこちらを見据えていた。
──よく、覚えている。いや、思い出したのだ。
「………………ミラ…………?」
『ようく覚えていたじゃあないか! 幼いお前がまだ〝
「ミラ? あの声、姿、それに名前がミラって、 〝銀河の妖精〟アルナスル・ミラか!? ウタと並んで〝音楽の二大巨頭〟の!?」
「そんな人がなんでここに!? ウタのライブじゃないの!?」
観客の騒めきがどんどんと広がっていく。ウタは呆然と彼女を見、慌てて自分もヘッドセットのマイクを構えた。
『ミラ!! どうしてあなたが、それにこの騒ぎは何!? ここは私のライブ会場だよ、何をしにきたの!!』
『宣戦布告さ』
その一言に、しんと会場が静まり返る。
『お前、いっちょまえに〝世界の歌姫〟なんて呼ばれているそうじゃない。そのくせ、どうせ、私が何と呼ばれて、何をやって、築き上げてきたか知らないだろう。エレジアに篭って歌を届け続けるだけの生活、他人の声を拾えるくせに、私のことは知らなかったろう』
『〝新時代〟か。いいじゃあないか。〝誓い〟を忘れていないんだね』
『お前の計画は知ってるよ。だが、まだだめだ。お前の〝新時代〟を、許すわけにはいかない。なんせ、まだまだこの〝銀河の妖精〟が現役だからだ。私の〝時代〟はまだ終わっちゃあいないんだ』
『〝世界の歌姫〟ウタ! お前に、〝時代争奪歌合戦〟を申し込む!!』
『お前の〝能力〟も知っている! なぜなら私も悪魔の実を食べた能力者! お前の〝能力〟対策も当然! 用意してあるんだ』
──その実の名前を、“ナツナツの実”。ノスタルジーを呼び起こし、声を聞いた人間にその精神作用を押し付ける。『あの頃は幸せだった』とそれぞれが思う『過去』を幻として強制的に見せつけ、戦意を奪う。
大元の能力がこれだが、出力が高ければ、ウタウタの実の能力を相殺し、“ウタワールド”に囚われること自体を防ぐこと
『わかるだろう? お前に匹敵するものを、私は持っている。“
『さあ──決めようか。“
『──譲らない、譲らないよ! 私がみんなに夢を見せる、“新時代”を創るんだ!!』
さあ、もう後戻りはできない──そして最後は、頼むぜ、未来の海賊王!
ネタにしかならないアレ。マクロスネタを盛り込みたかった。だって完全にマクロスだったから。あと“時代争奪歌合戦”の語呂が良かったので使いたかった。ざっくり書きすぎかつうろ覚えなのでそのうちチラ裏に。→※追記:と思ったが感想とかたくさんいただけて嬉しかったのでもっと書きます。ブラッシュアップして“新時代”VS“懐古厨”でちゃんと書きたい。