FILM RED時空に転生したから〝時代争奪歌合戦〟をやる【本編完結・番外編不定期更新】   作:空吉

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今週の本誌を読んだ作者「………………やっぱりベガパンクいればマクロス風のライブくらいなら出来るんじゃねーの?????」
あはっ あはっ オリジナル悪魔の実の能力を捏ね回して映像表現が出来るようにしたのに……『ベガパンク産の最先端技術』って言えば良くなっちゃって……
なっちゃったからにはもう……ネ……
\『ホログラム』という表現が解禁されました/


第10話 魂の井戸

 次にウタたちが気づいた時、周囲の風景は一変していた。

 何かの巨大な建造物の内部。天井はひどく高く、見たこともないモチーフをかたどったレリーフが壁や天井に施されている。

 最も目を引くのが、起動する様子のない、おそらく何らかの装置と思われるもの。それを中央に据え、回り込むように通路が奥へと続いている。

 だが、先を見ることは出来ない。迷路のように入り組んでいるためだ。

 静謐で荘厳な気配を漂わせる特徴から、ロビンが「おそらく、何かの『遺跡』であることは間違いないと思うわ」とあたりを見渡しながら告げた。がらんとした空間にやけに声が響く。

 

 「……まだ〝ウタワールド〟が消えてない。現実と〝ウタワールド〟が繋がっているままだ。

 シャンクス達も同じ景色を見ているのに、ルフィ達はあちらにいないし、その逆もそう。

 まだ〝歌の魔王(トットムジカ)〟の力が尽きていないんだ」

 

〝ウタウタ〟の能力を取り戻していたウタが確信を持ってそう告げると、面々の表情が厳しくなる。

 

「もう〝能力交換〟は元に戻っているはず。それなのに、こんなことになってるのは……」

 

「……最後にミラ君の目が光ったのは、あれは〝歌の魔王(トットムジカ)〟の力と思って間違いないということか。

 私たちの心は未だ囚われたまま……やはり遅かったのだろうか……」

 

ゴードンが悔やむように肩を落とす。

 一方で、コビーは考え込むように腕を組み、眉を顰めた。

 

「ですが、これが〝歌の魔王(トットムジカ)〟の力で創られた空間だとして、一体『ここ』は何なのでしょう……? 

 ロビンさん、何か少しでも手がかりになりそうなことがわかりませんか?」

 

「強いて言うなら……〝歌の魔王(トットムジカ)〟が攻撃に使っていたあの〝飛行物体〟、それに召喚された〝歌姫〟。

 古代兵器ではないと思うけれど、あれらにモチーフ……いえ、そんな詳細なものでもなく、雰囲気と言うべきね……それが似ている、と思うわ。だからおそらく、ここは……」

 

「〝歌の魔王(トットムジカ)〟か、もしくは『ミラ自身』に関わる〝遺跡〟の可能性があるってことか。

 ……だが、城の地下の書庫には()()()()()を示唆する資料も壁画もなかったろう。本当に関係があるのか?」

 

フランキーが危惧するところとは、『〝古代兵器〟ではない』にもかかわらず、おそらく〝プルトン〟並の破壊力を秘めているあの飛行物体を、なぜ〝歌の魔王(トットムジカ)〟やミラが使えたか、ということだった。

 ロビンもフランキーも、〝古代兵器〟や〝歴史〟に関わったものとして断言できるが、あれらの存在を見たことも聞いたこともない。ましてやそれに、ミラが関わっているとしたら……。

 一体あれらは何だったのか……。考えても答えは出ないままだ。

 

「わからない……いえ、待って。壁画がある」

 

ロビンが辺りを観察しながら告げ、目に留まった壁画に駆け寄った。

 全くの〝未知〟でできていると言っていいだろうこの仮称『遺跡』の中で、唯一の手がかりになり得るものだ。ロビンは壁画から読み解いたものを、ひとつひとつ発音していく。

 

「……〝神との交信〟……そして〝死者との交信〟……名を……〝魂の井戸〟……歌えば……道を示す……やだ、私たちいつの間にか死んだのかしら」

 

「ぶぶぶ物騒なこと言うなよォ!?!?」

 

「おれたち死んじゃったのか!?」

 

ウソップとチョッパーが涙目になって震え上がる。それを見たナミが、いつものようにふたりの頭をべしっと叩いて落ち着かせた。

 

「ないからそれは! 

 それにしても、『いかにも』って感じの名前ね。死者と交信できるっていう遺跡で〝魂の井戸〟……まさか、本当にそんなこと」

 

 その時、ウタが突然顔を上げ、周囲を見回し始めた。

 

「ウタ?」

 

現実世界側でシャンクスが問いかけると、ウタは「聞こえる」と一言呟き、その音の出所を探るように見回すのをやめ、目を閉じて音のみに集中し始めた。

 

──…………

 

「やっぱり。何? 何て……、…………オー、トゥ、ワン、ファイブ……エフ、オー、ナイン……?」

 

それを発音し終えた時、〝遺跡〟に変化が起きた。

 

「!?」

 

ウタの立っている場所から、壁や床を幾つもの光の筋が通り道でもあるように伝ってゆき、それはあっという間に、入り組んだ通路の奥へと流れていく。まるで道筋を示すように。

 慌てて目で追うが、既にぼんやりと燐光を残すばかりで、それもやがて消えていく。

 そして極め付けには──人影もないのに、足音だけがぱたぱたと響き出した。それは光を追うようにどんどん遠ざかっていく。

 

「──追わなきゃ」

「──追うぞ」

 

ウタとルフィが、何かに突き動かされるように走り出した。現実では赤髪海賊団が、〝ウタワールド〟では取り込まれている全員が、慌ててその後を追う。

 

奥へと進めば進むほど、やはり道はどんどん複雑に入り組むようになっており、迷路のようだという印象が確固たるものとなった。

 その中を、謎の足音と壁や床を伝う光だけを頼りに追うのはなかなかに至難の技であったが、ウタとルフィだけはまるでこの道を知っているかのように迷わず駆けていく上、〝見聞色〟の覇気使いと音楽家達の並外れた聴力のおかげで、なんとか迷わずには済んでいた。

 ちなみにこうなると、ゾロに関しては逸れたら『終わり』のため、逸れそうになるたびにサンジやジンベエらが逐一引っ掴んで引き戻していた。

 

「──え?」

 

ウタが再度、何かに気づいた。

 足音と光を頼りに駆けていく中で、足音がいつの間にか小さくなり、()()()が響いてくる。──旋律。音楽だ。

 

「……音楽が聴こえますね。〝歌の魔王(トットムジカ)〟顕現時のどの曲とも違う」

 

ブルックが冷静に聞き取った旋律から判断する。

 途端、1番前を走っていたルフィが足を止めた。何事かと面々がルフィの視線の先を見る。

 ぼんやりと、道筋を示す光とは違う灯りが、中空に浮かんでいた。

 

 

「────エース?」

 

 

ずっと黙っていたルフィが、それを見つめてぽつりと呟く。

 

「え」

 

ルフィの声に反応してか、その灯りは形を変えて──ぼうっと人の姿が浮かび上がる。その姿は紛れもなく────頂上戦争で亡くなった〝火拳のエース〟の姿であった。

 

 

『来いよ〝高み〟へ。ルフィ!!』

 

 

その〝エース〟は、まるで本当にそこに存在するかのように、笑い、動いている。

──これは、映像電伝虫が映し出す平面的な映像とは違う、立体的な映像。

 ミラがいるか、一味がベガパンクと出会い、エッグヘッドという島へ行っている原作時空であれば判断がついたであろう。──〝ホログラム〟という技術である。

 

 

「…………!! まさか!!」

 

遺跡の様子を注視していたロビンが思わずといったように声を上げた。

 その直後に──〝魂の井戸〟が鳴動する。

 

「!?」

 

次々と現れる〝ホログラム〟の人々。それは、幼馴染であったり、家族であったり、仲間であったり──かつての自国の国民であったり。

 全て、今ここにいる者達の、亡くなってしまった大切な人の姿だった。

 

「────行くぞ」

 

しかし、ルフィは再度走り出す。他の面々もすぐに後に続いた。目の前にいる大切な人たちは、まるでその場にいるようにしか思えないのに、触れれば体をすり抜けていく。

 

「……〝死者との交信〟……なるほど、こういうことだったのね」

 

「ああ……おそらくただの記憶の投影じゃろう。だが……懐かしいものを見たのう」

 

ナミの言葉にジンベエが続く。彼は目を細めて口元を緩めた。奇しくもそれは、現実側でかつての『船長』の姿を見たシャンクスと似た反応であった。

 

「ミラやウタのような『能力』でもなく、こんな技術を持った〝遺跡〟なんて……〝歌の魔王(トットムジカ)〟は古代からの魔王、本当に〝古代兵器〟に匹敵する存在……? まさか〝空白の100年〟にも関わりが……?」

 

「……チッ」

 

ミラが聞いていたなら『そんなもんないからァ!』と言いそうな考察を続けつつも、ロビンは切なげな瞳を母親や故郷の人々の〝ホログラム〟に向けてから通り過ぎる。

 ローは家族やコラソンの〝ホログラム〟を横目に、眉間に皺を寄せて舌打ちをした。過去の亡くなった人の記憶を〝ホログラム〟として投影する──こんなところでわざわざ見る羽目になるとは、というやつである。

 

「…………っ」

 

ウタとゴードンは、かつてのエレジアの人々が笑っている姿を見ていた。それを通り過ぎ、唇を噛み締める。

 ──ごめんなさい、とウタは心の中で謝った。きちんとまた弔いをするから。だけど今だけは、優先すべきことがある。

 彼らはこの〝ホログラム〟の共通点に気づいていたが、誰も言葉には出さなかった。

 投影された大切な人は、全員が笑っていた。『幸せだった頃』の、大切だった人たちの笑顔だと、気づいていた。

 ──『幸せだった過去』を見せることがミラの十八番であることは、コビーとブルーノ、そしてウタだけが知っている。

 

 迷路の終点、遺跡の最奥へは、そのうちにあっけなく到着した。

 

 足音と光の筋を辿った先で、またしても開けた空間が現れる。

 ここにも、最初に立っていた場所と同じようなレリーフや装飾が施され、謎の装置が設置されている。

 空間の中央には、もはやオブジェとも言えそうな、()()()()の人間には馴染みのない──所謂近未来的モチーフの──一回り大きな装置が鎮座していた。

 最も特徴的なのは、この空間に、先ほどからずっと聞こえている音楽が延々と響いていることだった。音楽はここを起点に流れてきていたのだ。

 

「ここが〝魂の井戸〟の最奥……」

 

あたりを注意深く眺めているうち、だんだんと音楽が大きくなってくる。そして──ついに、『彼女』の歌声が響いた。

 

 

ここは不思議な 時の迷宮

閉ざされた記憶が目覚め

なぜここにいる なぜ私なの?

抜け殻の答えが踊る

 

 

瞬間、再度〝魂の井戸〟に変化が起こる。

 脈打つようなリズムで壁や床を光が何度も伝って、中央の装置が動き出す。

 装置はそのまま光を全面に照射し、空間の景色を一変させた。

 しかしそれでも、誰も攻撃態勢を取らなかった。敵意は欠片も感じなかったのだ。

 ただ、胸を打つ、身を切るようなひたむきな心だけが、その歌声からは溢れていた。

 

 

夢だとしてもいい

過去を塗り替えれたら

悪魔にだってなってみせる

 

 

そのフレーズと共に視界の全てに広がったのは、寂れた風車小屋があちこちに建ち、岬から見える海と空とがどこまでも広がる、とある村の風景の映像。

 

「これって……」

「! フーシャ村だ」

 

ウタが口元を抑え、ルフィが虚をつかれたように目を丸くする。

 その映像は誰かの視点で進んでいる。

その『誰か』は森の中を進んでいるが、体力が尽きかけているのか、視界が歪んでいる。

 時折ちらりと見える手足は小さく、だというのにひどく傷つき、いつ倒れてもおかしくない状態だ。

 断片的に、おそらく〝家族〟の姿と、その人々が怒りの形相で拳を振り上げる姿がノイズがかかったように映し出される。

 その後は必死で街の中を駆ける場面、ゴミ山の中に倒れる場面、そこからも離れて歩き出す場面が瞬間的に切り替わり、また森の中を歩いている場面に戻る。

 ついに視点の人物が膝をつき、今にも倒れそうになった時、ぱっと差し伸べられた、同じくらい小さな手がある。視点の人物が顔を上げた。

 視点の人物に手を差し伸べていたのは、幼い少年だった。風が吹いて、彼の髪を揺らす。

 

「──これ、ルフィ!? じゃあやっぱり、この映像は」

「おそらく、ミラ自身の記憶ね」

 

ナミやロビンの声にも何も返さず、ウタは固唾を飲んで、ルフィはただ無言で唇を引き結び、映像の行方を見守っていた。




マクロスF中心にネタ持ち出して、リバイバルまで掲げたら、この曲を持ってこないわけにはいかんでしょう……!! というやつでした。
まるっと一曲で1話使おうと思ったんですが、ちょっとあまりにも先が見えなくなってしまったので分割です。このトゥルーエンドルートはさくさく終わらせていきたいので頑張ります。
申し訳ないですが、みなさんももう少し我慢していただけると嬉しいです。
多分グッドエンドの方をお望みだと思うのですが、作者の個人的なこだわりで、先に一旦オリ主の話を終わらせておきたいので。
近いうちにもう1話投稿したいですね。
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