FILM RED時空に転生したから〝時代争奪歌合戦〟をやる【本編完結・番外編不定期更新】   作:空吉

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Q.本編のグッドエンドは?
A.こっちを先に思いついて書きたくなっちゃって……(目逸らし)

トゥルーエンド後のIF世界線です。こういうこともあるかもね、って感じのやつです。単行本未収録話のネタバレがありますので、気にする方はご注意ください。
本編以上に滅茶苦茶やってるので生暖かい目で見守ってくださるとありがたいです。


番外編
IFルート EP.1 原作時空に合流したから〝古代兵器(仮)VS古の魔王〟をやる


 その時、〝革命軍・参謀総長〟サボは、〝新世界〟ルルシア王国にて、カマバッカ王国を本拠地としている革命軍へ『ある事実』を伝えるべく、緊急で電伝虫を取っていた。

 

「コブラ王暗殺の犯人はおれじゃない!!」

 

しかしマリージョアでとんでもないものを見た、とサボは続けた。革命軍はサボの一旦の無事と無実、そしてサボが伝える文言にざわついている。

 

「パンゲア城の〝虚の玉座〟には──『世界の王』などいない筈のあの玉座には……!!」

 

そこまで伝えたところで、空に輝く何かを目撃し、言葉を切ってしまった。

 

 その後に起こったことは、一言では言い表せない。その間、サボにはまるで時間が酷くゆっくりと流れているように感じられた。

 

『「ルルシア王国」? ──そんな国は…元々…』

 

──ないではないか…

 〝虚の玉座〟に君臨する〝何者か〟が、そう言って『ルルシア王国』に光の柱を降らせようとした、まさにその直前。

 

サボは急に後襟を掴まれ、浮遊感に包まれた。

 

「!?」

 

焦っていたとはいえ、この自分が何も感じ取れぬなど──そう思ってサボが振り向いて見たその人物は、朝焼けに染まる海のような、紫がかった濃い青の長髪を靡かせ、こちらを振り返ったその顔の、右の瞳は赤く輝いていて──。

 

(────女?)

 

 サボはその女性に、まるで人ではないもののような、そんな雰囲気を感じ取った。

 そしてその女性の足元からは、深淵の闇を思わせるも、不思議なことに時折輝くオーラが急速に立ち昇り、足元で何かを形成しつつ成長しているようだった。謎の女性はその上に立っているため、それにサボも引っ張られる形になり、浮遊感を感じたのだ。

 ──そして不思議なことに、そのオーラからは〝歌声〟が響いていた。幾人かのコーラスだ。

 サボを捕まえているその女性が、それに合わせて口を開いた。

 

 

──その日……人類は思い出した……

──奴等に支配されていた恐怖を……

──鳥籠の中に囚われていた……屈辱を……

 

 

まるで何かの物語の一節を読み上げているようだった。

 そこで天からの光の柱が遂に降り注ぎ、サボは思わず目を閉じて────

 

「……、……?」

 

衝撃も何もやってこないので、恐る恐る目を開いた。そして思わずぎょっと()()()()()()()()()()

 天からの光の柱によって滅されるはずだった『ルルシア王国』は、その島全てを覆うように展開された揺らめくヴェールのようなものにより、一片の崩壊もなく、健在であった。

 そして彼が立っていた場所──というかいつの間にか座り込んでいたものは、それこそかの〝巨人族〟よりもよほど大きい、まさに〝魔王〟という形容が相応しい存在。

 不思議なことに、コーラスはこの存在が何処からともなく奏でているようであった。

 次いでサボの視界に入ったのは、自分を攻撃を受けそうな地上から引っ張り上げた張本人たる謎の女性。その肩には、背に一対の翼の紋章が描かれた暗緑色のマントがはためいている。

 彼女は自分達のすぐ頭上に位置する黒雲を──正確には黒雲の中に隠れているものを、過たずまっすぐ見据えているようだった。

 

 

『……!?』

 

虚の玉座に座る〝世界の王〟も、さすがに動揺したのか言葉を失う。そしてそれ以上に狼狽したのは、世界政府最高権力の『五老星』であった。

 

「あ、あれはまさか……!?」

 

「何故あの〝魔王〟がこんなところに現れる!?」

 

「それにあの者は……アルナスル・ミラか!? 現在消息不明のはずでは!」

 

「それよりも、あの『ルルシア王国』を覆うものは何だ!」

 

「〝あの一撃〟を防ぐほどのものだというのか!?」

 

一方で、サボと共に〝魔王〟の肩に立つその女性は、得意げに口角を吊り上げて──声を張り上げてこう宣った。

 

 

「──ルルシア王国? そんな国は元々…………あるのかい? ないのかい? どっちなんだい!? あ〜〜〜〜〜〜〜る!!!! パワー!!!!(ドン!!)

 よォしこのまま行くぞ〝歌の魔王(トットムジカ)〟!! ()()、舌噛むなよ!!」

 

 

Seid ihr das Essen?

Nein, wir sind der Jager!

 

 

これまた謎の口上ののち、彼女の歌声が響くと、〝歌の魔王(トットムジカ)〟が背中の翼をはためかせ、ぐんと飛び上がり黒雲を切り裂きながら〝光の柱〟を降らせた物体にその巨大な拳を打ちつけた。

 バキバキという耳を(つんざ)くような破砕音が響いた後、黒雲の中にあったものが安定を欠き、その影がぐらぐらと揺れている。思わぬ反撃だということもあっただろうが、〝魔王〟の拳が思いの外効いているらしい。

 ──〝歌の魔王(トットムジカ)〟と彼女はこの存在に呼びかけていた。

 となると、彼女は少し前にエレジアで〝魔王復活騒動〟を引き起こした、〝銀河の妖精〟と名高かった歌手アルナスル・ミラであり、この存在が形容通りの噂に聞こえし〝古の魔王〟か、とサボはようやく思い至った。

 それが一体何故こんなところに、と考える一方で、言われた通り舌を噛み切らぬよう口をしっかり閉じて大人しく振り回されていた。

 最も、サボは謎の黒いオーラでしっかりと体を固定されていたのだが、慣性というものは如何ともし難い。

 

 

踏まれた花の 名前も知らずに

地に墜ちた鳥は 風を待ち侘びる

 

祈ったところで 何も変わらない

不本意な現状(いま)≫を変えるのは 戦う覚悟だ…

 

屍踏み越えて 進む意志を 嗤う豚よ

家畜の安寧… 虚偽の繁栄… 死せる俄狼の『自由』を!

 

 

彼女が奏でる歌に応えるように、〝歌の魔王(トットムジカ)〟は黒雲の周囲を飛び回っては、時に拳や蹴りで黒雲の中の物体に着実にダメージを与えていく。

 しかしここで黒雲の中の物体が動き、一瞬輝いたかと思うと、それこそ雷のような光線を〝歌の魔王(トットムジカ)〟に向けて放ってきた。

 流石にまずいのでは──とサボが身を乗り出そうとすると、ミラがそれを押しとどめ、悪い笑みでむしろ光線の真正面に立ちはだかり──歌声をオペラ歌手のごとく轟かせた。

 

 

囚われた屈辱は 反撃の嚆矢(こうし)

城壁の其の彼方 獲物を屠る≪狩人(イェーガー)

 

 

途端に魔王の右眼が紅に煌めいて、真っ赤なレーザービームが放たれた。それは相手が放ってきた雷と真正面からぶつかり、拮抗する。

 しかしミラはそんな様子を見ても全く心配ないというように、それこそ愉快で仕方ないといった表情で高らかに旋律を歌い上げた。

 

 

迸る≪殺意(しょうどう)≫に 其の身を灼きながら

黄昏に緋を穿つ 紅蓮の弓矢

 

 

その旋律と共に〝魔王〟のレーザービームが急激に出力を増して──雷を打ち破ると、そのまま発射元の黒雲の中の物体を貫いた。

 

 黒雲の中の物体はついにコントロールを失いながらも、ヨロヨロと雲を引き連れて、ルルシア王国の上空から消え去った。

 それを見届けると、〝魔王〟から奏でられていた音楽が止まり、次いでルルシア王国を覆っていた揺らめくヴェールのようなものも消滅する。

 ミラはわーっはっはっはと笑いながら黒雲の消え去った方向に中指を立てるポーズをとりかけて瞬間的にやめると、かわりに拳を天へと突き上げた。

 

「見たかァ!! コブラ王とビビ様の仇じゃオラァン!!!! 〝仮称ウラヌス〟がなんぼのもんじゃい!! 

 ……あ、サボくん急に連れ出して悪かったね、ちょっとあそこ位置が微妙だったからさ。舌噛んでない?」

 

こちらからすれば驚く単語がポンポンと軽く飛び出しすぎて、もはや驚く気力もわかないサボである。

 ミラが〝歌の魔王(トットムジカ)〟に命じてサボの体を固定してくれていたオーラを解除し、安定している〝歌の魔王(トットムジカ)〟の肩の上に乗せてくれた。

 

「…………大丈夫だ、ミラ殿。色々と助かった」

 

「いやいやこちらこそ、ルフィの義兄殿が目の前でピンチとあっちゃ、例え大丈夫だったとしてもお助けしないわけにはいかないんでね。

 あっそうだ、電伝虫で早いとこさっきの連絡の続きを──いや、いいこと思いついた。ちょっと革命軍にかけたら一瞬貸してくれや」

 

ミラがいつの間にかサボの懐に無くさぬよう仕舞い込んでくれていた電伝虫を、受話器をとって渡してくる。

 何を考えているのかはわからないが、革命軍へ一刻も早く連絡を取りたいのは本当なので、促されるままに再度電伝虫を手に取った。

 

『あっ、サボくん!? 心配したんだよ!』

 

「悪い、迷惑をかけた。こちらも色々とあって──っておい、ミラ殿!?」

 

「ちょっち貸してね〜。あーあー世界政府くんだか海軍だか忘れたけど通信部、盗聴してますね〜? よし」

 

そのまますうっと大きく息を吸うと──

 

「うわーーはははは!!!!

 (ピロロロロロ…アイガッタビリィー)世界の王イムゥ! 

 何故君が〝巨大な麦わら帽子〟を持っているのか。

 何故君が島を1つ消せるほどの戦力が持てるのか。(アロワナノー)

 何故そんな蛮行が世界政府に黙認されているのくわァ!

 その答えはただ一つ……。アハァー…♡

 世界の王イムゥ! お前が世界政府がその存在をひた隠しにしてきた、虚の玉座に座るただ1人の『世界の王』と呼ばれる存在だからだァ!!

 (ターニッォン)アーハハハハハハハハハアーハハハハ(ソウトウエキサーイエキサーイ)ハハハハハ!!!」

 

またもや〝魔王〟の奏でる音楽に乗せて、世界政府が最高機密としてきた超重大情報を叫んだのである。

 

「あーすっきりした。はい返す」

 

「……いや、この後に何を言えって……」

 

『さ、サボ君……今の……』

 

『サボ。今のは本当か? ミラ殿、とはまさか消息不明になっていた〝銀河の妖精〟のことか? 一体何があった? そしてマリージョアで何を見た?』

 

「あー、ドラゴンさん、焦るのはわかります。ですがおれもまだ整理がついていなくて……」

 

『……そうだな、すまない』

 

「とりあえず革命軍の本拠地戻れば? 報告はそれからでいいじゃん? まだ盗聴されてるかもだし。

 なんなら送ってくぜ、〝歌の魔王(トットムジカ)〟で。〝形態変化(トランスフォーム)〟すれば一発だぜ?」

 

「何であんたが訳知り顔なんだよ……。まあいいか、俺もまだまだあんたにも聞きたいことがあるしな。……というわけでドラゴンさん、一度そちらに戻ります」

 

『分かった。……無事の帰還を待っている』

 

そうして通信を終えると、サボはため息をついてミラの方を向いて諦めたように笑った。

 

「ま、とりあえず世話になる。改めて、おれの名はサボ。知ってるだろうが、革命軍・参謀総長で、ルフィの義兄だ。あんたのことも教えてくれないか?」

 

「ん? あ、そうか。名乗ってなかったな。()はアルナスル・ミラ。ルフィとは一応幼馴染だ。〝東の海(イーストブルー)〟の頃の……多分ルフィがあんたらに出会う前のことだな。

 そしてかつては〝銀河の妖精〟と恐れ多くも呼ばれていた歌手だが……今は休業中だから、そうだな……〝平成の魔王〟とでも呼んでくれ」

 

「……(へいせい?)そ、そうか、よろしくな……?」

 

「おう。じゃ、とりあえず行くか。まだ本拠地はカマバッカ王国でいいんだっけ?」

 

「そうだな。頼むよ。……あァ、これだけ先に聞かせてくれ、あのルルシア王国を守ったドームみたいなバリア、どうやったんだ?」

 

「ん〜? あ、あれな、()命名で〝次元断層〟っつーんだけど……。

 まあ簡単に言うと、〝歌の魔王(トットムジカ)〟の〝世界を繋ぐ〟特性を生かして、逆にちょいと〝世界との繋がりを絶った〟んだよな。

 ルルシア王国だけを〝ウタワールド〟に入れて、他は全部現実世界のまま、みたいな感じで。実際にはもうちょい違うんだけど……機会があったら解説するよ」

 

「……おう、そうか……おれは〝聞いてもわからなさそうだ〟って思ったのは初めてだよ……」

 

「そう? まあ概念兵装みたいな感じだからフィーリングでいいと思うよ。じゃ、行くぞ。

 〝歌の魔王(トットムジカ)〟、〝形態変化(トランスフォーム)〟だ!」

 

「!?!? な、なんだこれ!?」

 

「〝歌の魔王(トットムジカ)〟が変化した、〝仮称ウラヌス〟みたいな航空兵器形態。

 さっきの〝次元断層〟もあわせて、ベガパンクなら多分理屈が分かるからいずれ聞くといい」

 

「……そうだな、いつか機会があれば……」

 

ルフィ、お前はいつこんなトンデモ幼馴染を持ったんだ? おれは今から気が遠くなるよ……。

 サボの内心には全く気付かず、ミラはサボと共に革命軍本拠地・カマバッカ王国へと進路をとった。

 

 ──これは、〝銀河の妖精〟とまで讃えられた歌手アルナスル・ミラが、世界政府の最高機密を電伝虫を通じて世界に暴露し、世界を混乱に陥れた『革命軍の旗印』として本格的に活動を始める前の、とある一つの記録である。

 




というわけで、ミラの革命軍加入ルートifでした。グッドエンド完結後にやろうと思ってた番外編のうちのひとつです。
今後も増えるかもしれません。
最後に〝歌の魔王(トットムジカ)〟がトランスフォームしたのは……まあ、あれです。バルキリーじゃなくてマクロス級戦艦の方。多分カマバッカまでワープした。
また、ミラが今回何故こんなにはっちゃけたかというと、ミラはアラバスタ王国とコブラ王とビビが推しだったため、世界政府に対してブチギレ状態だったからです。(解説)
番外編はこんな具合に破茶滅茶なのも出てくると思います。
では(多分)グッドエンド執筆に戻ります……。
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