FILM RED時空に転生したから〝時代争奪歌合戦〟をやる【本編完結・番外編不定期更新】   作:空吉

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今度は1話に収めたいと言ったばかりなのに…… スマンありゃウソになった
でも まあ あまりに繋ぎ回すぎるから 本日中にもう1話更新するってことでさ……
こらえてくれ(マジですみません)


第5話 VS〝ウタカタララバイ〟その①

 ルフィたちが島を覆うほどの音符の兵士の探知を掻い潜り、逃走を続けていると、ある建物内から1人の男に声をかけられた。

 その男に促されるまま中に入ると、パイプオルガンの設置された古びた聖堂であることがわかった。

 ルフィたちを招き入れた男はゴードンと名乗り、元エレジア国王であることを明かす。

 

「国って言ったって、この島には人っ子一人いねェべさ」

 

「昔は栄えていたはずだ。世界一の〝音楽の都〟として……だが、とある海賊に一夜にして滅ぼされたとも」

 

バルトロメオとローの言葉に対してゴードンは口ごもり、「……ウタの話をしよう」と話題を逸らした。

 ゴードンは自分がウタの育ての親であること、ウタがどのようにこの島で育ってきたかを語った。彼女の歌姫としての才能が開花し、いつしか救世主と崇められるまでに至ってしまった過程を。

 

「頼む、ウタの計画を止めてくれ。友人だったルフィくんならできるはずだ。ミラという女性も友人なのだろう? 彼女もこのことを知っている、なんとか協力して……」

 

「ミラ様が!?」

 

「なるほど、だから俺達を……」

 

その時背後で陽気な音楽が鳴り響いた。

 ローたちが振り返ると、共に来ていたベポが手のひらサイズにまで小さくされて慌てており──その後ろには冷たい目をしたウタがこちらを睨みつけていた。一度あたりを見回して「ミラはいないのか……」と低く呟いて、そのままゴードンに冷たく言い放つ。

 

「ゴードン、どうして海賊と一緒にいるの」 

 

その言葉に容赦なく切り返したのはルフィだった。

 

「ウタ、おめェなんでシャンクスの船降りたんだ? シャンクスのところに戻ればいいじゃねェか」

 

赤髪海賊団の音楽家だったんだからというルフィに、ウタは瞬間的に激昂し、「シャンクスの話はやめて!!」と叫ぶ。衝撃波が巻き起こり、その余波でルフィの麦わら帽子がウタの手に渡ってしまった。

 

「あ! 帽子!!」

 

 ウタは何度もルフィに海賊を諦め、自分達と幸せに過ごそうと語りかけるが、帽子を取られたルフィは聞く耳を持たない。

 ウタはついに表情を消し、ルフィたちを攻撃する態勢を取りかけた──が、ローがすかさず〝シャンブルズ〟を発動し、彼らは聖堂内から姿を消した。

 自らの知らない〝悪魔の実〟の能力を目の当たりにして、ウタは不機嫌そうに鼻を鳴らす。が、またもパッと表情を切り替えて、パレードのように着いてきていた観客たちに、逃げた海賊を見つけるゲームを持ちかけた。

 ウタに心酔し、海賊を憎む観客たちは、我先にと聖堂を飛び出していく。

 そこでやっと、ウタはゴードンと2人きりになる。ウタはゴードンの方を向いて問いかけた。

 

「ねえゴードン、怒ってる? 相談もしないで、勝手にライブ開いたこと」

 

「……勝手に、か。そうだな。ミラ君から聞いていなければ、驚いたよ。

 彼女は数日前から、『ウタには秘密で』と私に接触してきていたから」

 

「……なるほどね。全部筒抜けだったわけか。だからあんな準備まで……そういう律儀で真面目なところは変わらないな」

 

ウタが俯いて、少しだけ笑う。そしてぽつりと、言葉を紡いだ。

 

「……〝歌合戦〟なんて、何考えてるんだって思ったけど……結構楽しいの。ミラの歌につられて、私もどんどん上手くなっていくみたいで。……もっと早くに、一緒に歌えていたら良かったって」

 

「ウタ……! そう思えるならまだ間に合う! 私はお前にこんなことをしてほしくはない。きっともっと良い方法がある、ミラ君やルフィ君に相談したって……」

 

次の瞬間、ゴードンはウタの能力で五線譜に磔にされていた。「ウタ……」と悲しみのこもった声が響く。

 

「ごめんね、ゴードン。しばらくそこにいて」

 

「このままでは世界政府も海軍も黙っていない、すぐにこの島にやってくるぞ……!」

 

そこまで言葉にして、はたと気づく。ウタの手の中には既に、古びた楽譜が握られていた。

 

「これがあるから平気だよ。……お城の地下にあるのは知ってた。どうして処分しなかったの? 忌まわしい楽譜だっていうのなら、なおさら。

 ……これは貰っていくね。ミラにも──ルフィにも、もちろんファンのみんなにも。〝新時代〟を見てもらうために。──もう、引き返す気はないから」

 

「ダメだ、使ってはいけない! ウタ!!」

 

ゴードンの必死の叫びも虚しく、ウタはヘッドフォンの中に楽譜を取り込むと、彼に背を向けて聖堂から出ていった。二度と視線を合わせようともしなかった。

 その様子を、小さくなったベポが部屋の陰でしっかりと見ていた。彼は眉を下げ、困ったようにゴードンを見上げたのだった。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

現実世界。

 こちらでもウタは既に、エレジアに、そしてライブ会場に入り込んでいた海軍と対峙していた。

 雨が降りしきる中で、観客たちはずっと眠っている。麦わらの一味は升席で、ミラは中央ステージで。

 ()()()()()()()()()()ウタは海軍大将・藤虎、中将・モモンガをはじめとした海兵たちに取り囲まれていたが、余裕の表情だ。

 

「私の〝悪魔の実〟の能力については知ってるんでしょ? 諦めて帰ってよ。私は絶対譲らない。〝新時代〟を迎えるまでね」

 

能力対策にと遮音イヤーマフを装着した海軍を横目に、口角を上げてニヤリと笑うと、「みんな! 悪い人たちをやっつけよう!」と楽しげに声を張り上げる。

 すると眠っていた観客たちが一斉に起き上がり、海兵たちに群がり始めた。さながらゾンビ映画のようだ。

 海兵たちは銃で抵抗しようとするが、「罪なき一般市民を傷つけちゃいけねェ!」という藤虎の一喝に、動きが止まってしまう。そこを狙われ、イヤーマフを奪われた海兵から、次々にウタの能力に囚われていく。〝ウタカタララバイ〟というその曲を、彼女は楽しげに、しかしどこか苦しげに歌い続ける。

 そこでふと、ウタはあることに気づいた。

 

(……なんだか、ファンのみんなの動きが鈍い……? それに私も、あれを食べていなくたって体力的にもう少し歌えるし、動けるはずなのに……)

 

そして思い浮かぶ、彼女の顔。ゴードンと会話したばかりだからだろうか。

 

(これもミラの〝仕込み〟のうちだっていうの……!? 一体どこまで読んでるのよ!)

 

海軍の攻撃をかわし、歌い続け、その間にウタはスタジャンのポケットを探り、()()()()()()()()()()()()()()に触れる。

 

ミラに譲れないものがあるように、ウタだって、最後まで譲れない。もう戻れない──いや、戻る気はないのだから。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

変装用投影を解いた後、俺はコビーとヘルメッポ、ブルーノと共に、〝ドアドア〟の能力で麦わらの一味やブリュレたちが囚われている五線譜あたりに出る。

 楽譜ギミックについてとか、パンツがどうのとわーぎゃー言い争っているメンバーの前に、コビーが「楽譜に目をつけるとは、さすがは麦わらの一味ですね」と一味をヨイショしながら姿を見せた。

 

「コビー! それにミラも!?」

 

「あなたたち……どうしてブルーノと?」

 

「説明はのちほど。ではミラさん、お願いします」

 

「アイ・サー」

 

最初にナミとサンジの分の音階を歌ってやり、2人を解放する。続いて残りもぽんぽんと解放してやっていると、ストップがかかった。おっと、ブリュレちゃんとオーブンたちの番だったか。

 

「おい! 妹だけでも助けてやってくれねェか」

 

「この場だけでいい! 海軍に協力するのが条件だ」

 

ヘルメッポがオーブンにそう答える。オーブンは舌打ちを漏らしたが、結局は頷いた。

 どうせ解放するなら一気にやってやれよ、という気持ちも分からなくはないんだが、まあこういう交換条件の提示は結構重要だよな。絶対の味方というわけではないので。

 そして結局全員を解放し終え、まずは一味を城まで送り届ける。ロビンたちにトットムジカの伝承を確かめて貰わないといけないからだ。

 が、その前にど〜〜〜〜〜してもブルックに個人的に頼みたいことがあり、時間をもらった。

 

「あのーブルックさん、こんな時に何なんですけど……あるセリフを言ってもらってもいいですか? 

 お礼もするので……あ、今は衣装の構造上パンツは見せられないんですけど、ほかの露出高めな衣装でよければすぐ着替えられるんで……」

 

「ミラあんた何言ってんの!?」

 

「ヨホホホホ! そのくらい頼まれますよミラさん。それで、何と言えばよろしいので?」

 

ナミの大声は右から左へ受け流す。いやそれにしてもブルックマジ優しい。ありがたすぎる。

 俺はコビーの持っていたスケッチブックをぶん取って、台詞を書いてブルックに見せながら説明する。

 

「あ、こちらのセリフで……あとトーンダイアルに録音させていただきたくて……抑揚はこんな感じで……」

 

「承知しました。では、コホン……」

 

………………。

 

「────OKでェーーす!!! ブルックさん最高!! ありがとうございます!! 

 あっちなみにこれがお礼の露出高めの衣装姿です。ライブで一応披露しましたけど、露出下げてたので。本来のデザインはこっちです。間近ではご覧になってませんでしたよね」

 

「!!!!」

 

あっまたサンジがしんだ! この人でなし! ついでに流血沙汰になってしまった。それをゾロやジンベエが呆れたように見ている。

 ちなみに衣装は言わずと知れたユニバーサル・バニーの黒うさぎ。俺も劇場版で初めて見た時「エッッッッッッッ」となった代物なので、まあこの人には間近で見るこの衣装は刺激が強いだろうな。

 

「──良いものを、見せていただきました。眼福の極みです。私、もう目、ないんですけど」

 

「いやいやこちらこそ、ご丁寧に。衣装デザイナーさんも喜ばれることでしょう。()も録音させていただいたトーンダイアル、大切にします」

 

ブルックと互いに深々とお辞儀をする。

 いや本当に、このトーンダイアルはお宝すぎる。唯一無二の財宝。〝ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)〟並。この世ではもう一生聞けないものと思っていたからな……。

 

「あの……そろそろ行きますよ……」

 

コビーが恐る恐る声をかけてくるが、もうちょいこのトーンダイアル眺めてちゃダメか? ダメか……。

 

「あたし、ミラのこと今ので全然わかんなくなったわ……」

 

「そうね……でもどちらかと言うと感性はルフィとか男性陣に近い気がするのよね。目からビーム出したいとも言ってたし」

 

「……〝銀河の妖精〟像が……」

 

そこの女性陣聞こえてんぞ! ナミもさめざめ泣くなァ! しかしこの世界での天下の〝銀河の妖精〟の中身が一般オタク男性と知ったら可哀想なことになるのが一定数いるからな。

 元からバラすつもりは一切ないけど、秘密にしておこう、ほんとに。今心に刻んだ。

 

 

 さて、一味を城まで送り届けた後はルフィたちのところへ向かう。ヘルメッポは戦力集めのために別行動である。

 まずコビーと俺の〝見聞色〟でルフィたちの位置を特定し、ブルーノの〝ドアドア〟で空間をつなぎ、移動する。

 なんか映画だと使用制限ついてたけど、まあそれくらいなきゃこんなんドラ○もんレベルの便利道具になっちゃうからな。原作のエニエス・ロビーの時はどうだっけ……?

 とりあえずドアを開けると、そこはルフィたちの目の前であった。雪国。ローたちが警戒しているので、コビーの横から顔を出して手を振る。お、ちょっと驚いた。コビーが頭を下げつつ、声をかける。

 

「お久しぶりです、ルフィさん」

 

ルフィはバリアボール内での移動で三半規管がやられたのか、すっかりへろへろになっている。まああの移動の仕方ではな……。「コビー……ミラ……出して……ここから……」と疲労困憊のルフィに苦笑してしまった。

 どうやってここが分かったのかだの、サイファーポールと海軍がつるむとはどういう風の吹き回しだ、だの、トラファルガー・世話焼き・ローとコビーの問答を眺めていると、「お前はどういうつもりで行動しているんだ」と水を向けられた。

 

()は利害の一致で行動してるだけだよ。これ以上ウタに好きにさせるわけにはいかないからな。じゃなきゃ〝歌合戦〟なんて銘打ってライブに乱入しないし。

 ……あ、お礼がまだだったか。ちゃんと意図を汲んでルフィ助けてくれてありがとね」

 

フン、と鼻を鳴らして視線を逸らすトラファルガー・もはや麦わらの一味・ロー。お前もう船に乗れ。

 続いてコビーとブルーノからウタの能力についての説明を受ける。うーん、やっぱり基本は変わってねえんだよなあ。

 

「つかルフィ、ウタの能力のこと昔聞いたことあるじゃん」

 

「んあ? ……あー! そういやそんな力持ってるって言ってたな」

 

こいつ、本当に忘れてたんか? 全然読めねえんだよなこういうとこ。

 

「現実世界にはぼくたちの身体だけが残っていますが、ウタに支配されてしまっているはずです。ぼくたちは既に〝ウタウタの世界〟に取り込まれてしまっていますから、ぼくたち()()()一切手出しができません」

 

「〝悪魔の実〟の能力使用には限界があるはずだが」

 

ローの言葉に、ブルーノが頷く。

 

「〝ウタウタの世界〟の維持には激しく体力を消耗する。体力が尽きてウタが眠りさえすれば、能力は解除されて現実へ戻れるはずだ。……今のところはな」

 

「今のところ……ってことは、そうでねェ場合があるってことだべか!?」

 

「奴が〝食べたものは眠れなくなり、いずれ死に至る〟キノコ……〝ネズキノコ〟を用意していたのを確認した。だがその後、このミラによって〝ネズキノコ〟はウタ自身が口にする前に処分された」

 

「ライブスタッフが一瞬でやってくれました」

 

ぶいぶい、とピースで自慢してやる。うちのライブスタッフは優秀ですよ?

 

「ウタが、そんなキノコを食いそうになってたってことか」

 

ルフィが真剣な表情で俺を見たため、肩をすくめて肯定した。

 

「なにしろ、〝ウタウタ〟の能力ってのは解除が一筋縄ではいかない。能力者が眠ればいいなら、死んだら解除されるのでは? というのはよく考えられることだが、なんと〝ウタウタ〟は違う。

 能力者が死んだら、〝ウタウタの世界〟はそこで囚われている者たちごと閉じる。──終わりなんだ。二度と現実には戻れない」

 

「ファンを〝ウタウタの世界〟に永遠に閉じ込めること。それがウタの計画です」

 

コビーが説明を締めると、どことなく空気が重くなった。

 まあ、俺なんかは『ラスボスが取りがちな手段』だなぁとか前世では思ったけど、普通に今現在当事者なんだよな。身の危険!! 身のキケーン!!

 

「コビー、ミラ。どうやったらウタを止められる?」

 

()はもう色々やってる。〝歌合戦〟もその一環だけど、まあこれは()の能力に関わるし、()にしか出来んから、後はコビー組に任せるしかないかな」

 

まあ本当はトットムジカ歌わせて現実と同時攻撃させるといいよ! って知ってるんですけどね。俺としては歌わせたくないんで……。

 

「期待はありがたいんですが……ウタの体力が尽きるのを待つ以外、方法がまだわかりません。ただ何をするにしても戦力が必要なので、今ヘルメッポさんに任せています」

 

「麦わらの一味も別行動だ。ニコ・ロビンが、この島について知っていることがあるらしい」

 

あいつら無事なのか! とやっとルフィに笑顔が戻る。うむ、主人公はこの調子じゃないとね。

 エレジアの街を歩いていても、ウタの声が響いてくる。「海賊は放っておいて、新時代の誕生を待とう!」だと〜? まだ音符の兵士には探させてるくせによ〜。 

 

「残り時間は分かるのか?」

 

トラ男に訊ねられ、ブルーノは難しい顔をして答える。

 

「ここまでで6時間ほどは経っているはずだ。そろそろ体力の限界が来てもいい頃だが……ウタの方もなにか対策を講じていると考えるべきかもしれん」

 

いやあの、確かにそれは考えとして妥当なんだけど、それだとマジで俺が困るんですけど〜!?




今日中か、日曜0時には投稿したいです(願望)
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