カゲロウデイズ -Mekaku City Plain daze- 作:せんと凪
暑い暑いとにかく暑いのです。
8月15日。
シンタローside
何だかとても良い匂いがする。
花の香り? あれ? 俺確か立て籠もり班に打たれたんじゃなかったっけ? でもほとんど痛みがない。
少しだけ開いた瞼の隙間から、景色が入ってくる。
ん? ありゃあ洗面器とタオルか? 誰かが、俺の看病をしてくれたのか。ありがたいな。
ゆっくりではあるが、段々と目が冴えて来て俺は目を覚ました。
「……………知らねぇ天井だ……って、ここどこだよ!?」
「ひええええ!?」
がばっと起き上がって見知らぬ天井の部屋を見渡すと、びくつく白髪の少女がそこに居た。
誰だ、この子? いや、もしかしてこの子が、俺の看病をしてくれたのか?。
様子を見ると何だか怯えてる? あっ、やっべ、もしかして俺がさっき叫んだせいで驚かせちまったか?
「あ………えっと……きみが……」
早く何か言おうとした瞬間。
「ご主人〜! やっと起きたんですかぁ────!!!」
うんざりするほどよく知っている奴の声が耳に入って来た。
こ、この声は、間違いねぇ……エ…────ガチャリとドアが開く。
「やっと目が覚めたのか」
ぞろぞろと、ドアから入って来た連中。
あいつは、デパートでぶつかった時の男……いや女だ。
それにそばにいる二人は、あん時隣にいた、猫目の男と緑のつなぎの男。更に現れた人物はとても衝撃な姿をしていた。理解が追いつかない。
つーか、何で妹のモモまでいんだよ!?
「おおご主人! 元気そうで何よりです‼︎ じゃあ皆んなで遊園地行きましょう〜!」
おいおい、もう訳がわかんねぇよ、どうなってんだ、こりゃぁ??。
「っのバカ兄! 何であんな無茶するの! 心配したんだからね!」
「は、はぁ?」
無茶? 無茶って、まさかあん時の制御室に走ってた時のことか? 何でそれを知ってんだ? ああもうマジでわかんねぇえええ。
「まーご主人のおかげで助かったんですから、妹さんその辺に!」
「まぁ……そりゃあそうだけど……」
妹の隣に立つ謎の人物が頷く。
「いやぁ、遊園地楽しみだよねぇ」
「マリー遊園地っスよ!」
「うん! 遊園地楽しみ!」
「え? ……は?」
俺は目をぱちぱちと何度見開いても、この状況が理解できなかった。
「騒がしくてすまんな、幸い弾は掠っただけだから安心しろ」
「え……いやすいませんちょっと、て、展開が……展開が急過ぎて………あ、あなた達は一体……?」
「あっ、ごめんねお兄ちゃん! 紹介するね! この人達はメカメカ団っていう────」
「違うだろキサラギ……」
紫フードの女が間をいて、ようこそと言わんばかりに名乗を上げた。
「───俺達は“メカクシ団”だ……!」
「はっ、え? め……メカクシ……団?」
何だそれ? バンドの名前か? 何かか?
「えへへ、私もメカクシ団の一員なんだよ! お兄ちゃんが知らない間に色々あったんだから!」
開いた口が塞がらない。
「キサラギちゃん、ほら事情を話さないとシンタロー君何が何だかわかってないから」
「そうですね、えっとどこから話しましょうか……」
「無難に昨日の出来事全部行ってみたら?」
「……それもそうですね。お兄ちゃん! これから色々話すからちゃんと、聞いてよね!」
「あ……え? …あっうん」
情報が一切完結しないまま、妹のモモが体験した話と今置かれている状況を聞かされるの伸太郎だった。
*
伸太郎が目覚める1時間前のこと……
リビングには既に伸太郎以外のメンバーが集まっていた。
朝飯のを食べ終えた後、エネちゃんの提案で遊園地に行くという事になったり、そろそろ伸太郎が起きるだろうと、皆んなで話し合っていた時の事だ。
「でもやっぱ帽子だけじゃバレるんじゃないか?」
「うーん、やっぱそう思う?」
「ああ、隠せても頭だけだし、もし伸太郎が顔を覗き込んだりしたら、目が合ってバレる可能性も捨て切れないからな」
「ならサングラスとマスクでも着ける?」
「そりゃあ、完全に怪しい人になるからやだよ」
「いやいや、そんな事ないよ。正体を隠す芸能人がよくやる事じゃない」
確かにそう言われると、著名人とかはよく帽子、グラサン、マスクの3種の神器を備えてプライベートで出掛けている様なのをニュースとかで見る。まぁ大抵は見るのはゴシップとかのニュースだが。
「んでもなぁ……何かいいアイディアはないものか? ……顔だけ隠せれば良いんだがな……」
「顔だけねぇ……うちにはお面なんかないしねぇ…」
「あっ!」
「どうしたの、マリーちゃん?」
「私良い事思いついちゃった!」
何やらマリーが名案を名案思いついたようで、早速実行された。
数分後…
「…………おい、これマジなの?」
「……クック……ぷっぷぷ……トキサワ君似合ってるよ……!」
必死に笑いを堪える、カノの声が聞こえてくる。
伸太郎と顔を合わせないための策として、あるものをかぶる事になった。
マリーが思いついたアイディア、その姿は完全にアレだったのだ。
「これ! ダ◯ボーじゃねぇーか!!」
行き場のない手がわなわなと動く両手。
「お前らあんまり虐めてやるな…………トキ……サワ……だから、そ、そんなに気にするな。に、似合ってるぞ」
キド? なぁキド? キドお前も笑い堪えてるよな、なぁそうなんだろ?。
「いゃあ傑作ですねぇ、ご主人といい勝負ができそうですよ、トキサワさん! 妹さん写真を撮ってあげてください! 記念です」
「OK! 先輩こっち向いて!」
ノリノリで、パシャ、パシャと携帯で撮りまくる如月。
そいやエネちゃんもなんか調子が戻ってそうで安心した。
「おいやめろぉ! 撮るなよ!」
と言いつつも、何やかんやでポーズを取る俺であった。
「でもダンボールだとちょっと大きすぎるっすね……それに外に出た時に邪魔になるかもしれないから………あっ! アレならいいかもっすね」
と言ってセトはあるものを持ってきた。それを俺に被せる。
「セトお前………」
「トキサワさんいい感じっすよ!」
「いい感じってこれ……」
俺はそんな自分の姿を携帯のカメラ機のを使ってみていた。セトが持ってきたのは紙袋だったのだ。ご丁寧に目と口がマジックペンで描かれた紙袋。どこの漫画に出てくるキャラだよ、◯い恋かよ。
「いい感だよトキサワ君。それに紙袋なら伸太郎君がいる時やいない時、さっと帽子と紙袋を切り替えられるじゃない」
「……そう言われればそうだが……これ……なんかカッコ悪くね?」
「いや、そんなことないっすよ! カッコいいっすよ!!」
セトはニカッと笑い親指を立てグッとサインをする。
「じゃあ、もうこれで行くか……」
てな感じな事があって今に至る。
最終的にセトのアイディアが参考になったが、まぁこれでバレないよな? 声さえ気をつければって話だが。
そして伸太郎の様子を見に先にマリーが部屋に向かった後、数刻して彼女の悲鳴が聞こえ、何事かと一同で部屋に乗り込むと、伸太郎が目覚めていたというわけだ。
特に変わった様子はなく、元気そうです何よりだ。
まぁこの状況を見てかなり混乱してる様だが……まぁ伸太郎なら直ぐ飲み込めるだろ。
昔から頭いいしな。
でもほんと無事で良かったよ、伸太郎。
話が進んだ様な進んでない様な……。
ちなみにエネは、オリ主トキサワから“エネちゃん”と呼ばれるをあまり好ましく思ってません。呼ばれると何だかむず痒いらしい。