カゲロウデイズ -Mekaku City Plain daze- 作:せんと凪
連日投稿!!
「─────何を感傷に浸っているんですか?」
遠くの茜色の空をぼーっと眺めていると、ズボンのポケットにしまってあった携帯が鳴った。
取り出して画面をつけるとそこには、青髪ツインテールの電脳少女が映った。
「おっ、エネちゃんじゃん、どうしたんだ? シンタローの携帯に居るって聞いてたけどさ」
ベンチで休む前にあらかた他の皆が何をして何処にいるかは、把握済みだ。キドや如月の言動で大体はだが。
「そうでね、ご主人をからかうのは一旦飽きたので、代わりにサキサワさんをからかってやろうと思って来たんですよ」
「そりゃぁお手柔らかに頼むよエネちゃん」
「ってのは冗談で、ちょっとトキサワさんがなにしてんのかな~なんて思って来ただけです…………あぁそれと、気になってたんですけど、その“エネちゃん”とちゃん付けで言うのやめてくださいよ」
「えっ、何で? カノや如月は“ちゃん”付けで呼んでるじゃないか」
「んー、妹さんや狐目さんは特には何も感じませんが、トキサワさんに“ちゃん”付けで言われると、こう何か、むずかゆいというか、恥ずかしいというか、イライラしてしまうというか、だからそのやめてください、ちゃん付けで呼ぶの」
えぇめっちゃ言うじゃん。な、なぜ俺だけ……。
もしかして伸太郎と同じ歳だからキツいからとか? 如月やカノは普通にちゃん付けで呼んでたから俺もそれで行こうと思ってだのだが、嫌だったのか。
なぜ俺だけなのかは、疑問だが、本人が嫌と言うなら仕方か。
「わかった“エネ”これからはそう呼ばせてもらう」
「はい、それでいいんです」
「えっとさっき言ってた事だけど、俺は休んでただけで特に何もしてない」
「ほほう、なら私と少し話でもしますか」
「話? ………」
特にこれと言った話題は無い。だけど………強いて言うなら、エネに伸太郎の事を少し聞きたいと思った。2年前から会ってなくて、喧嘩別れした後あいつは今まで何をしてたのかと、どうだったのかと。
「そうです。トキサワさん、昨日の話の事覚えてますか?」
「昨日の話? ……もしかして、エネが昔好きだった先輩似てる話か?」
エネはあんまし興味がない感じだったが、今になって興味が出て来たのだろうか?
やはり自分に似ていると言うのが気になるのだろうか。いや、思い返してみれば、少し興味を示していたかも。
「ええ、その話です。トキサワさん、好きだった先輩が転校したって言ってましたよね?」
「あ、あぁそれがどうしたんだ?」
「アレ嘘ですよね?」
エネはさっきまでと違い少し真剣な眼差しで俺と目を合わせる。
「…………どうしてそう思うんだ?」
「何だかそんな気がしたんです。トキサワさんあの時、妹さん達に言う前にほんの少し間を置いて喋ってましたし、何か嘘でも考えてたのかなって思って……」
エネが言った事は大体当たっている。そう、アレは如月達に動揺を与えないために咄嗟についた嘘だった。本当の事を言えば空気が重くなってしまうからな。
だがそれもエネには見破られてしまった。彼女には、ウソ発見器でもあるのか?
「そうだな。エネの言った通りアレは嘘だよ」
「………なら、その先輩はもしかして…………」
「ああ、エネが思ってる通りだよ…………」
携帯からそっと目を離し、流れる夕焼け雲を見上げた。
「亡くなったんだ………先輩病気で……」
「………やはり、そうだったんですか……」
エネはそれを聞いて、妙に納得し暗く俯いた。
「でも、何でそんな事を聞いたんだエネ? エネには何も関係ないんじゃないか?」
再び携帯に向き直ってエネに問いかける。
そう彼女には、何も関係がない話だ。ただ容姿が似てると言うだけの事。でも彼女は興味がなかったはずなのに、やけに踏み込んでくる。
「……そうですね……関係ないです。でも、トキサワさんはその人好きだったんですよね? 関係ないかもしれないけど、私は偶然、トキサワさんが好きだった人に似てるんですよね………それで私の予想は当たってた出てわけで……」
「何が言いたいんだ?」
「つまりですね……トキサワさん。もし、もしもですよ? その好きだった先輩が今、目の前にいたとしたら、何か伝えたい言葉はあったりしますか?」
その言葉を聞いて、数秒間固まってしまった。
「………伝えたい言葉か………あるよ」
「………」
「─────あるけど……急には出てこないかな……多すぎてさ」
苦笑いを向ける。
「……そうですか」
「でも───」
「?」
「“生きててほしかった”」
もしも、あの時に戻れるのなら、あの時以上に話がしたい。もとゲームや色んなことをすればよかった。
遥先輩とももっと絵を一緒に描きたかった。もっといろんな場所に行けたらよかった。
文乃とも、もっと話していればよかった。俺にだって責任があるのに伸太郎のせいにして自分は逃げて……自分が嫌になる。
俺だって一緒に居たのにな………なんであの時あんなことしか言えなっただ? もっと他に言うべきことがったのに………
いつのまにか流れた涙をぬぐう。
「……トキサワさん………すいません聞いていてなんですけどやはり、こんな話はするべきではなったですね……」
「いや、大丈夫だ………少し………貴音先輩と話せたような気がするから………気にしないでくれ」
「……………ですが」
「大丈夫だって………ん? キドからメールが届いてるな………そろそろ戻るか」
立ち上がり、キド達がいるベンチまで歩く。
「エネもさ、あんま気にしなくていいからな。それに暗いより元気で明るい方がエネにはあってると思うから」
「何ですかそれ。別にいつも元気ってわけじゃないですよ。大体毎日ご主人の人間観察しかしてませんし」
「そう、それでいい。あっそうだ、今度伸太郎の話を聞かせてくれないか」
「ご主人の話ですか? 別に構いませんが、聞いてもつまんないですよ」
「それでもいいよ」
「………わかりました。約束します。ご主人のくだらない話でよければ」
「ああ」
帽子を深く被り、キド達と合流。ほどなくして、カノとセトも合流し、帰る事となった。
茜色に染まってゆく空。そして、もうすぐ今日が終わる
───何もかもが。
8月15日18時14分
次回で追想フォレストも終わります。そ