カゲロウデイズ -Mekaku City Plain daze-   作:せんと凪

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 年明けちゃったよ。


追想フォレスト8

 

 遊園地を出て、すぐの歩道を俺達は歩いていた。

 

 しかし、紙袋って被ると結構視界が悪いな。まだ夕日で少し明るいが、暗くなるとぶつかったりして危ないな。

 折を見て帽子とマスク、お土産で買ったサングラスに付け替えるか。

 勿論伸太郎にバレないようにだが。

 

 いや、サングラスって夜道につけると危ないんじゃないか……?

 

 

「はぁ〜……つ……疲れる……遊園地なんかもう、絶てぇ行かねぇ…」

 

「はっはは、いやいやシンタロー君何言ってんのさぁ? 女子をおんぶできてるんだからいいじゃない! この先二度とない経験かもしれないんだよぉ!?」

 

「確かに、お兄ちゃん二次元オタクでへたれだから、もう一生ないかもしれない経験かもね」

 

「すまんな、シンタロー……こいつと来たら帰る時もはしゃいで、まさか転んだ拍子に足を捻るとは……」

 

「うぅ……ごめんねシンタロー……」

 

「え、あっ、いや……大丈夫……だ」

 

 と言っても、そろそろ背負うのも限界が近い伸太郎。そんな様子を察したのか、緑の助け舟が入る。

 

「シンタローさん、そろそろ変わるっすよ!」

 

「本当か? た、たすかる……セト…」

 

 背負っていたマリーを、セトに変わってもらい、伸太郎は少しは楽になったのか肩を軽く回し、腰をぽんぽん叩いていた。

 まるで老人だ。

 

「………ん!? な……なんかようか? トキ…」

 

 こっちの視線に気付いた伸太郎は、慌てて姿勢を伸ばす。が、直ぐに猫背寄りの姿勢に戻ってしまった。

 

『いや、特にはなんでもない』

 

 とりあえず携帯で打ったメッセージを見せる。

 

「……そうか?」

 

「トキさん、ご主人が余りの老人振りに落胆してたんですよ」

 

「あぁ? んな訳ないだろ。つうか、何だよエネお前さっきまで、珍しく静かだったくせに急に出て来やがって…」

 

「別に、静かにしてたわけじゃ無いです。ちょっと昔の事を思い出してただけですよ」

 

「え? お前今、昔のことって……」

 

 この反応を見るにやはり、伸太郎もエネの過去については知らないようだ。

 

「だからそれはヒミツですって言ったじゃないですか! やっぱり、昔っからデリカシーの無い人ですね〜〜全く……!」

 

「は、はぁ!? なんだよその言い方! 俺そこまで追求も何もしてないよな!?」

 

「ん、どうしたのシンタロー君? もしかして……ケンカ?」

 

「どうせまたお兄ちゃんがエネちゃんに変な事でも聞いたんでしょ」

 

「違ぇよ! そういんじゃなくて!! つうか、俺の話も聞けって!!」

 

「あーあ、女の子のプライベートに踏み込んじゃうなんてね〜〜」

 

「お前……本当は話の内容聞いてて言ってんじゃねぇだろうな……!?」

 

「……バレた?」

 

「おい!!」

 

 なんだか、この光景を見てると、どこか二年前のあの頃を思い出す。

 伸太郎にとっちゃ、少しあれだが、それでもいい。

 今は……まだ伸太郎に正体を明かして、あの時の事を謝るのは辞めておこうと思う。

 その時が来たら必ず謝る。でも、もう少しだけ伸太郎が笑っていられるのなら───それでいい。

 

「つうかなんか人少なくね? 今日8月15日でお盆だろ?」

 

「ああ、この後遊園地で花火大会があるとかなんとかでそっちに人が行ってるんじゃない?」

 

 花火大会、このお盆の日に? なんか珍しいな。普通なら被せないと思うのだが……今年は特別なのか? 

 

「花火!? 見に行きたい!!」

 

 マリーがぴょんと反応する。

 

「っと、ダメっすよマリー今怪我してるんすから、人が多いとこ行ったら危ないっすよ」

 

「えぇ、でもぉ……」

 

「なら今度、花火見に行こうっす」

 

「今度? 今度なら花火見に行けるの?」

 

「そうっすね、その時なら足も治ってると思うし、8月はまだ終わらないっすから多分行けると思うっすよ」

 

「……うんわかった、なら今度絶対行こうね、ねぇセト! 皆んなで行こう!」

 

「勿論っす!」

 

「………つっても、花火大会で人がいないにしちゃあ流石に居なさすぎだろ人……普通混雑するよな? ……まぁ、居ねえにこしたことはねぇが、歩きやすくていいし…」

 

 伸太郎が言った通り歩道を歩く人は少ない、と言うか俺たち以外に誰も居ない。隣にある道路は自動車は一台も止まっていないし、走ってすらいない。

 何かおかしい、違和感がある気がする。

 

「あれ? あの人……こっち見てないですか?」

 

「ん?」

 

 反対の歩道に立つ、黒い不可思議な格好をした青年。

 顔の向きがこっちを向いているのでそう勘違いしたのかもしれない。

 

「なんだ人居るじゃねぇか………」

 

 どこかホッとする伸太郎。

 

「もしかして私の事見えてる?」

 

「いや、それは無い。俺の《目を隠す》能力で如月も隠せてるはずだ。目立つだろう後ろにいるトキもな」

 

「んだよ、気のせいだろ?」

 

「そ、そうかな………」

 

 如月は、本当にただの気のせいなをだろうかと思い再びその青年の方を向いた。

 するとその人物はハッキリと如月を認識して笑みを浮かべる。

 

「ッ!? 団長さん、やっぱり気のせいじゃないです、あの人私たちの事見えてます!」

 

「なっ………!」

 

「なんなんだよあいつ…」

 

 不可思議な格好の少年はまっすぐにこちらに近づいてくる。

 

「え………コノ……ハ………?」

 

「ああ? エネ今なんか言ったか?」

 

 エネが何か呟いたの後に、カノが黒い青年の前に立つ。

 

「あーどうもすみませんね、大勢で道ふさいじゃって。邪魔でしたよね? すぐにどくので──」

 

「よぉ、久々だな。目を欺くガキ」

 

「っ──!!」

 

 にやりと口角を上げる黒い青年。カノはその時何かを察知し、すぐさま俺達をここから逃げろと言わんばかりに振り向いた。

 が、しかし…

 

 その瞬間、後頭部に銃を突き付けられ

 

「じゃあな、向こうでお姉ちゃんに会えるといいな」

 

 

 ──────パァン

 

 

 銃声が当たりに響いた。頭蓋からビシャリと飛び散るカノの血。

 

 紙袋に開けた穴の隙間から覗く、残酷な光景。

 

 紫の少女は、撃たれた大切な家族の亡骸を抱きかかえて何度も泣いて、呼び、叫ぶ。少年はもう生きてはいないのに。

 

 それをあざ笑うかのように少女の頭に拳銃を向けて引き金を引いた。

 

 また鳴り響く銃声。

 

「くっ───!! 如月さんマリーを頼むっす!」

 

 マリーを如月に預け、何か作でもあるわけじゃないのに飛び出したセトは、あっけなく腹部を撃たれ、その場で体制を崩す。

 だが、痛みに耐えながらも再び立ち上がろうとするセトの足に向かって引き金路引く歩く黒い青年。

 

 

 やめろ………

 

 

 セトの前に立ち、荒々しく頭を掴んで俺たちの前に向ける、まるで最後の瞬間を見せつけるかのようにセトの頭を、その銃で打ちぬいて─

 

 

 ───セトは死んだ。

 

 

 掴んでいたセトごみを捨てるようにその場に落とす。

 

 

「……い、いや……セト……」

 

 

 一瞬だった。ほんの一瞬で……カノ……キド……セトは……死んだ。

 

 

 なんだよ

 

 

 なんなんだよ

 

 

 立ち止まっていた黒い青年は、邪悪な笑顔をこちらに向けながらゆっくりと歩み寄ってくる。

 そして、伸太郎に向かって黒い青年が銃を向ける。

 

 その瞬間、俺は被っていた紙袋を脱ぎ捨て、呆然と立ち尽くすシンタローを庇い銃に撃たれた。

 

「────つ!」

 

 撃たれた俺は伸太郎にもつれかかり、その拍子にエネが居る携帯は地面に落ちる。

 酷い激痛が全身を駆け巡っている。呼吸がしづらい。

 

「───! ───!」

 

 死ぬ、これ死ぬ。死ぬやつだ。シンタローは倒れる俺に向かって何か言ってる。

 

 ああ、そうだ。

 

 謝らないとな。

 

 あの時……の事……ご……め…んって。

 

「シン…た、ろ……う ごめん」

 

「───おい!! なんでっ! 

 

 

 

 何でお前が!? 

 

 

 

 くっそ!! 

 

 

 

 時沢!! 

 

 

 

 ───っ!?」

 

 

 黒い男は、伸太郎が握っていた携帯を広い上げ、手に力を込めた。エネが何かを叫んでいる、でも良く聞き取れない。

 ほんの瞬きの瞬間エネが居る携帯はグシャリと握り潰されてた。

 

 

 憤るシンタローは、そいつを見上げた時、何も出来ずあっさりと銃に打た。

 

 

 

 

 何で……何でこんな……

 

 

 うっすらと意識がまだあった。

 

 

 目の前で友達が5人殺された……一体どうしてこんなことになったんだ? さっきまでそんな事は、こんな事に繋がる事なんて無かったはずなのに。どうしてこうなった? 何を間違えた? どこでこうなる様になった? 何でこんな……唐突に終わるんだよ……何なんだよこの世界は……

 

「──はぁ……はぁ……………し、ん……たろ…う」

 

 チクショウ……せめて……早く、後ろにいる如月とマリーを逃さないと……

 

「っ? ……」

 

 まだ意識があった俺に気付いた黒い男は、俺を見下ろしてニヤリと笑い告げた。

 

 

「───ゲームオーバーだな」

 

 

 ッカチン───

 

 

 ───ああ死ん

 

 全てが終わる瞬間、いつか見た赤い目の誰かの幻影が、言ってた言葉を思い出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──────忘れるな、思い出せ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  8月15日18時40─────

 

 

 

 

 

 





 くっ、至らない点がいくつもあるけど……ひとまず終わり……ではなく。次から新章です。
 編集でより良くして行こう。
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