カゲロウデイズ -Mekaku City Plain daze- 作:せんと凪
4話です。
「はぁ、はぁ……ひ、久々に走ったから、い、息が……」
息切れでその場に座り込む。夏休みだからとずっと部屋に居て運動していなかったのがここに来て災いするとは思わなかった。心臓が激しく脈打つ。
「先輩体力無さすぎ……」
「あ、ああ、これはからは……はぁ、て、適度に運動……するように、するよ…」
「………よし、とりあえずはここで大丈夫だろう」
周囲を警戒しつつ座り込む紫色のフードの彼女。
「うぅ、怖いよ……」
あの場を後にした俺達は、とりあえず身を隠せる場所に座り込んでいる状態だ。
「そうだ! あの二人──……いないって事は、さっきの騒ぎで逸れたのか?」
「…えっと、それは………団長さん?」
如月が何か言おうとした時、紫色のフードを被った彼女が制した。
「いい、キサラギ。これは俺が説明する。っとその前にまだ名言ってなかったな、俺はキド。それでこいつはマリーだ。あんたの事は一様キサラギから聞いている」
騒ぎが始まる前に呼び止められてたんもな、その時に俺の事を聞いてた感じか。
「そうか。でも、そっちが名乗ってくれたんだ、俺からも名乗らせてもらうよ。俺は
「わかった。よろしくトキサワ」
「……よ、よろしく……」
キドは落ち着いた様子で、マリーは俺を多少警戒しつつ震え声で答えてくれた。
軽く名乗りあった後、キドから逸れている二人について教えてもらった。どうやら一緒に居た二人、黒フードを被ったカノ、深緑のツナギを着たセトと言う二名は如月の兄、伸太郎を連れてくるために向かったが、先の爆発で合流が出来ず逸れてしまったらしい。
「……なるほど、そういうことだったのか……てか、やっぱり伸太郎来てたんだな……」
「やっぱり?」
如月が顔を少し傾げた。
「店内を歩いてる時にな、伸太郎をちょっと見かけたんだよ。見間違いだと思ったんだけどな……」
「そうだったんですか……………お兄ちゃん…」
如月も伸太郎の事が心配だよな兄妹だし。俺がキドに肩を掴まれた時から浮かない顔してたしな。
「なーに大丈夫だ、如月。伸太郎ならきっと無事さ」
「先輩………ありがとうございます」
目元に溜まる涙目をぬぐって、少し明るさが戻る如月。気休めだが、今は祈るしかないだ伸太郎の無事を。それに伸太郎を探しに行ってくれた二人の無事も。
さてこっからどうするか。悲鳴や銃声はもう聞こえてこない。となると人質確保は一通り終わったって事だよな。シャッターは以前閉められていて、助けが来る様子はない。
迂闊に動くと見回りとか居たらやばいしな、外から助けが来るまでここで待つしかないのか……なんて悩んでいる時だった。
『ッヴ──ッヴヴ』
「「「「っ!?」」」」
突然鳴ったキドの携帯に一同がびくつく。
「……メール?……………はぁ……」
緊迫した様子でポケットから出した携帯を見るや否やキドは呆れた顔になって、大きくため息を吐いた。どうしたんだ?。
「あ、あの………誰からだったんですか?」
「……馬鹿からだ」
そう言って如月に携帯をポイっと放り渡した。
「?…………うわぁ……」
受け取った携帯を如月も見ると、たちまち呆れ顔になって行く。
本当に一体何が書いてあるんだろうかと気になったので声をかけた。
「なぁ、そんな顔してどんな内容だったんだよ?」
「そ、それが……」
如月がキドの方を向いて反応を見るとどうやら見せていいと合図が送られた。だが、キド曰くおすすめはしないそうだ。そう言われると、やっぱ余計気になるだろ。
如月は、俺が見やすいように携帯を向けてくた。メールにはメッセージと添付写真が載せられている。
えーと何々。
『件名:捕まった!
本分:そっちの様子はどうですか?
こっちはなんとかやってます!
今、皆んなと並べられて座ってます!
人生初の人質ってやつです!
あっ! キサラギちゃんのお兄さんも捕まってるよぉ〜! な、なんとぉ! 僕の隣にいます‼︎
というわけで記念に一枚! そんな感じでとりあえず近況報告でした。
追伸:セトも近くにいまーす。またなんかあったら連絡しま〜す』
「????」
本文を読み終わり添付されていた写真を見ると、あの黒いフードを被ったカノと思わしき人物が手を縛られ怯える人質達をバックに笑顔でピースをしている光景だった。人質の中には文章にも書いていた通り伸太郎もいるのが見える。
この現状との余りのミスマッチ差に俺は顔を引きつった。さっきの文章といい、なんと緊張感のないものなのかと。
あ、空いた口が塞がられねぇ。こいつ頭がおかしいんじゃないかなんて言葉が出かかったが、流石に知り合いの友達だし、貶すのは失礼なので、オブラートに言葉を包み込んだ。
「………………げ、元気そうだな」
「…………はぁ……」
俺の反応を見たキドが額に手を当て更に大きなため息を吐いた。
「団長さん………この人……頭おかしいんですか…?」
あっ、それ言っちゃうんだ。
「ああ、それも取り返しのつないレベルでな……」
「……ね、ねぇキド……カノは危なくないの………?」
「いや、危ないな、特に頭が。早く病院に行って医者に頭を解剖してもらおう」
「………ん? ちょっと待てよ……このカノだったか? 彼は、捕まってるのになんでメールが打てるんだ? それに拘束もされてないよな…?」
それは単純に思った疑問だった。
「あ、ホントだ……! 周りの人は縛られてるのに、カノだけピースしてる」
「それ私も思いました、普通ありえないですよね? 本当なんなんですか……この人……」
「こいつのあまりのアホさ加減に、テロリストも縛らなくて良いと判断したんだろうな。それとトキサワ。このアホを“彼は”なんてたいそうな呼び方はしなくていい。もっと『こいつ』とか『アホ』で良いぞ」
「……え? あ、お、おお……」
何を言われるかと身構えたが、そんな事か。緊張感をほぐす為に言ってくれたのか? 冗談にしては割とマジなトーンで言うもんだからビビったけど。
しかしこのカノってやつは、なんだか散々な言われようだな。
「ええっと………団長さん」
「………一応現状はヤバい状態に変わりはない……多分………な」
「カノ楽しそう〜」
緊急事態の筈なのにどこか緊張感のない。マジなんなのコレ。
「でもホントこれなんで縛られてないんですかね? やっぱりアホでも縛られますよね?」
「周りの奴にはカノも怯えて捕まってる姿に見えているはずだ」
「あっ、カノまた変装ごっこしてるの?」
周りの奴らには? 変装ごっこ? どう言う事だ?。キド、マリーが言った言葉におれは違和感覚えた。
「ちょっとまてよ………それってどういう事かよくわからないんだが……」
「団長さん……その、私も先輩と同じでよくわかってなくて……」
「っ!? ああ………そういえばそうだったな……」
何かに気づいて少し考え込むキド。
「…………そうだな……ここまで巻き込んでしまったんだ、話さない訳にはいかないな。………よし、トキサワ今から俺達について大事な事を話す、聞いてくれるか? 最も信じてもらえるかは別の話だが」
キドは真剣な声色で俺に言った。深く被ったフードの隙間から、ちらりと赤い瞳が自信を覗き込んでいるのが見えた。赤い目……? 何それカッコイイ……。
「………ああ」
「キサラギも改めて聞いてくれ」
「はい!」
「……それじゃあ、俺達には────」
キドは話し始めてくれた。自分を含めマリーと離れている二人に宿る特殊能力の事を。
そしてそれらの能力を有した組織で構成された組織のことを。
主人公の名前は僕が好きなアニメのキャラ達から取りました。