カゲロウデイズ -Mekaku City Plain daze-   作:せんと凪

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 実は前回と前々回の話は元々一つにする予定でしたが文章量が多くなったしまうので三等分になりました。



メカクシコードⅡ

 

 俺はキドから、彼女らが持つ能力についての詳細を聞かされていた。

 

 先ずは、キド。彼女が持つ能力は『目を隠す』というものらしい。自信と任意の人物を周囲の人間から見えなくする事ができるという。いわばインビシブルガールと言ったところか。

 騒ぎの時に消えたように見失ったのはこの能力を使っていたからなんだろうな。今も使用して俺達の存在を周りから消しているらしい。

 

 次はマリー。この子の能力は『目を合わせる』と聞いた。目を合わせた者を一定時間石のように固める事ができるという。まるで神話に出てくるメデューサのような能力だ。しかし、こんな小さい子にも能力があるのか。いや、見た目が幼いだけでもしかすると年齢は近いのかもしれないな。

 

 そして離れている一人、先ほどメールを送って来た人物、カノ。彼の能力は『目を欺く』。

 周囲が見る自分の認識をあらゆる物に変える能力らしい。キドいわく、可愛い猫だと思って連れて帰ったら、でっかい犬だったみたいなものだと言う。

 なるほどそれであんな事ができたのか。しかしいくら目を欺けるといっても、あれはやはりおかしいのではないのだろうか?。

 

 もう一人離れているカノと一緒に居るセト。彼の能力は『目を盗む』。簡単に聞いたが相手の心を読む能力らしい。ジャンケン最強じゃんか、すげーなおい。

 

 これらの能力には全て“共通点”がある、それは能力を使うと“目が赤くなる”という点らしい。

 そしてこの目にまつわる能力を持つ者達で構成された団体を『メカクシ団』というのもざっくりでは有るが聞いた。

 それと、その能力はどうやら、如月にも有るらしく、能力を制御できるようになる為にこのメカクシ団に入団したらしい。

 

「と言った感じだが……………わかってくれたか?」

 

「………なるほど……とりえずわかったよ」

 

「……! ……信じるのか? 今の話を?」

 

 キド、彼女は多少なり驚いていた。もちろん冗談や嘘ではない。だが、実際見せた訳でもないのにこうもあっさりと信じた彼に驚いていた。

 

「嘘じゃないんだろ? なら信じるさ」

 

 キドが話してくれたことに関して俺は、疑う事はしなかった。他の人が聞けばとっぴな話で厨二病なんて思うかもしれないが、俺にはすんなり話が入ってきたんだ。その理由は、昔っからこう言う物に憧れがあったからだと思う。

 まさか目の前に、超能力を持った人物達がこんなにもいるなんて……! 心が高鳴った。

 更にその能力で構成された団体組織だって!? すげぇよマジすげぇよ……あぁ、なんと最高なのだろうか。後で握手してもらおう。

 てか、如月の人を集める体質も目にまつわる能力だったのか………気付かなかったとは不覚。

 

「………そういうものなのか? ……もっと疑ったり、気味悪がられると思っていた………目が赤くなったりするしな」

 

 フードで隠れるキドの顔は、ほんの少しだけ影を落とし多様に見えた。

 

「んな事思わないぜ。目が赤くなるくらいなんだよ、むしろかっこいいじゃん。だってよ赤の色はヒーローの色だぜ? 姿が消せたり、相手を固めたりか、クゥーカッケェな!」

 

「そ、そうか……」

 

「あーそういえば、そうだった。先輩ってこう言う“不思議な力”とか前から好きでしたもんね…」

 

「っは!? でも、如月はこれのせいで悩んでるんだったよな……だったら軽率すぎたか? ごめん如月……」

 

「えっ? なんで謝るんですか? 大丈夫ですって先輩。ほら頭上げてくださいよ」

 

「いやでもさ───」

 

 キサラギとトキサワの会話を横にほんの少しだけテンションが上がっているマリー。

 

「ねぇ、キド私達かっこいいって!」

 

「ああ、そうだな……………赤はヒーローの色か……」

 

 ボソリと何かを呟く紫フードを深く被った少女。それは誰にも聞かれてはいない。

 キドの方を向くとほんの少しだけ頬が緩んでいた。

 

「………どうした?」

 

「いや、少し昔の事を思い出してた。気にしないでくれ」

 

「そうか……? ……んでもさ、いくら能力で周囲には怯えてる人に見えてても流石に緊張感なさすぎじゃないか? カノってのは」

 

 携帯画面に映ってた男は、やはり何度思い出しても緊張感の欠片もない爽やかな笑顔でピースをしている。

 

「ですよね……」

 

「ああ……とりあえずこいつはアホだから仕方がない」

 

「ハハ…」

 

 さて、キド達の事は大体聞いたからわかったが、かと言ってこの状況を打破できるというとそうではない。キドの能力でみえなくなってるとはいえ、いつまでこうしてれば良いか? 人質になっている伸太郎達も心配だし、何かいいアイディアがあればいいんだけどな。

 しばらくの沈黙の後、突然何かを閃いた様に如月が声を上げた。

 

「あ…あ……‼︎」

 

「うぉっ?! な、なんだ、どうした?」

 

「団長さんが『目を隠す』能力で、私が……『目を奪う』で……マリーちゃんが───』

 

「はぁ? 何を言ってるんだお前は? ……」

 

「……如月?」

 

「先輩……団長さん。もしかしたらですけど、あのテロリストの人達私たちで倒せるかもしれません……」

 

「如月お前それ本当か?」

 

「………どういう事だ?」

 

「ええっとですね……口で言うのが結構難しいな……ちょっと文字にして伝えるので携帯また貸してもらっていいですか?」

 

「ああ、構わないが……」

 

 携帯を受け取った如月はなにやら、文章を打ち始めたほんの数秒後に、店内のスピーカーからテロリストと思わしき男の声が聞こえ始めた。

 

 

 

『え───警察署くん、お勤めご苦労。一度しか言わないからよく聞くようにな。我々の要求はただ一つだ。今から2時間以内に10億円を用意しろ。できない場合はここに居る人質を10分ごとに一人ずつ殺していく、いいな? あ、後もしここに突入して来るもんなら各所に仕掛けた爆弾を一斉に作動させて、ここら一体を吹き飛ばすからよろしく。受け渡しは────』

 

 

 

「10億か……やべぇな……」

 

 単純に考えてこの額はやばい。それをたったの2時間でか……なかなかハードだ。おまけに用意できなかったら人質殺してくとか、捕まってる人達や、キドの仲間も心配だし伸太郎も………警察の皆様にはなんとしてでも10億用意してもらう事を祈るしか無いな現状は……。

 

「ああ………犯人も随分アホなもんだな」

 

  ん? そこなの? 身代金の部分じゃなくてもっと人質の事考えようよキド。

 

「なんか10億って頭悪いっぽいですよね。なんか『子供の想像する大金』みたいな」

 

 お前もかよ如月。だから10億って額より人質の事考えようよ。用意できなかったら殺されちまうんだぞ!?。10億って額もすごいけどさ!。

 

「ねぇ、10億ってどのくらい?」

 

 マリーぃぃい…………この子は……まぁいいか。

 

「………はあぁ……」

 

「どうしたんですか先輩?」

 

「………いやなんでもない。それより如月は早く、その“倒せるかもしれない”案を考えてくれ。意外に時間はない。10億を警察側が用意できなきゃ、伸太郎達や人質達が危ないからな」

 

「……責任重大ですね……」

 

「そうだ、だから頼むぞ」

 

 再び携帯に向かい、文字を打ち込んでいく如月。文字を打ち込んでいく途中あーでもない、こーでもないと悩んでいる様に見えるが大丈夫なのか?。

 

「あー……やばいです……やっぱりダメかも……」

 

「なっ!? おい、どういう事だ!!」

 

「如月まじ頼むって……」

 

「うぅ………一様もう作戦は出来てはいるんですが………最後が……いやでも大丈夫です、きっといけます!」

 

 急に吹っ切れた様になる如月。

 

「どっちなんだよ……」

 

「ねぇねぇ、何相談してるの…?」

 

 話している時、マリーが横からヒョコッと顔を出してきた。そういえばマリーはもう随分と落ち着いている様子だな。

 

「あ、ええっとね……ちょっと作戦立ててて……」

 

「え、作戦!? カッコいいね……!」

 

「そういや『最後が?』って言ってたが、どんな作戦立てたんだよ? みせてくれないか?」

 

「そうだ、俺にも見せてくれ」

 

「……わかりました…」

 

 俺とキドは如月に携帯を見せてもらった。マリーも横から覗き込んでいる。

 

 「………ふむふむ……ってはぁ!? おい、なんだこの途中で出てくるやつは!!」

 

「あ、その子は知り合いの子なんですけど……ええっと書いてある通りです……」

 

「書いてある通りってお前……最後がって言ってたのはこう言う事だったのか…」

 

 内容を見るに俺も参加する形みたいだ。途中はキド達の能力を使い隙を作る。そして問題なのが最後。如月は知り合いの子と言っているが、この人物が最終的に閉まっている各フロアのシャッターを開け、全てをひっくり返せる力があると書いてある。

 

「だ、大丈夫な……はず……です……多分…きっと。と、とりあえずカノさんにそれを確認してもらいたくて!」

 

「あっ、最後に私の名前もある……!」

 

「難点が多いが……うまくいけばこの状況をひっくり返せる作戦だな……後は確認さえ取れれば行けるかもしれないってことか……」

 

「そうなんです!」

 

「……確かにここに書いてあるそいつがいるのなら、いい作戦だ。……やるなら新入り」

 

「はい! ありがとうございます! お,送りますね……!」

 

 メールを送信して、数分後にメールは返ってきた。如月がメールを確認する。

 

「……ええっと、大丈夫みたいです!」

 

 すぐにメール閉じてたが、やっぱまたやばい内容だったのか?。

 

「…あぁ、そうか」

 

 キドも何だか、メールの内容を察している雰囲気だな。

 

「バレないように近くまでついて行っても大丈夫ですか?」

 

「人にぶからない限りは問題ない。ただくれぐれも油断するなよ、相手は銃を持ってるからな」

 

「はい!」

 

「ならいくぞ」

 

 作戦はすでに始まっている。俺達は四人で固まってテロリスト集団が人質を集められ座らされている近くまで来ていた。

 しかし、ここまで近くに寄っても気づかないとは、キドの能力は本物なんだな。いや決して疑っていたわけじゃない。実際に体験して改めて凄さを実感したって感じだ。

 

「こうやってみるとほんとに人質ですね……なんか初めて実感湧きました」

 

「俺もだ。おいマリー、あんまり離れるなよ」

 

「うん!」

 

「あっ、伸太郎いたぞ」

 

「えっ? あっ本当だ、カノさんにセトさんもいる」

 

「………あのアホは何であんなにニヤけてるんだ……少しは隠せ馬鹿……」

 

「やっぱりお兄ちゃん真剣な顔してますね…」

 

「ああ、みたいだな。あいつ超ビビリなのに……」

 

「はい……かなり確信持った顔してるって事は、多分ですけど私と考えてること同じだと思います」

 

「兄弟だから似てるってのもあるのかもな………にしてもトキサワもキサラギの兄貴のことよく知ってみたいだな」

 

「……まぁ、昔馴染みだからな……」

 

「そうなんですよ、昔はお兄ちゃんコウく…先輩と一緒に遊んでだもんです」

 

 如月が一瞬ぽろっと昔の呼び方に戻っていたが特に気にはしなかった。

 

「そうだったのか……ってお前は何をやってんだ……!?」

 

 横を振り向くとマリーが何か電気アンマを手にし、構えていた。

 

「え? これかっこよかったから持ってきたの!」

 

 カッコよかったからって……。

 

「……ま、まぁいいが……あとで戻しておけよ」

 

「うん! 後で戻す!」

 

「あはは……それじゃあこっちに行きましょう…」

 

「おう…」

 

 通路を抜け首謀者と思わしき人物がいるその後ろの通路に来た。

 

「あ、あれ? 紐が絡まって……うわぁ!?」

 

「あ、ちょっ!?」

 

 電気アンマのコードに足を引っ掛け、すっ転ぶマリー。その手からすっぽりと勢いよく抜けた電気アンマは宙を舞、主犯格の男の頭目掛けて飛で行った。

 

「「「うああああああああああ!!!」」」

 

 盛大に悲鳴をあげる俺達の声はハモった。もしキドの能力で見えていなかったら1発でバレていただろう。

 咄嗟に動いたキドが素早く電気アンマを掴むも一歩遅かった。

 

『ゴッツん‼︎』

 

 電気アンマは主犯格の男の頭に激突した。

 瞬間全てが終わったと察した。

 

 ……が、直接触れたわけではないのでキドの能力は切れていなかったのが唯一の救いだった。

 

「おい! てめぇ!! 誰の頭殴ってんだよ!! あ"ぁ"!!」

 

 誰かに頭を殴られたと思って近くの仲間を疑い、主犯格の男は声を荒げて仲間の一人を殴り蹴飛ばし、部下が悲鳴を上げている。

 俺達は急いでその場から逃げ、少し離れた通路の商品棚がある場所にもたれかかった。

 

「はぁ……はぁ……お,おい、今のはまじで……ほんっっっとやばかったぞ……」

 

 寿命が縮む感覚ってこう言う感じなのかと実感した。

 

「お前はアホなのか!? 死にたいのか!?」

 

「ひっ! ……ごめんなさいごめんなさい!!」

 

「あ〜私さっき、完全に死ぬと思いました……一瞬走馬灯が見えましたよ……あはは、走馬灯ってあるんですね……」

 

「俺も見たわ………マジ、死んだと思った………」

 

 呼吸を整えて落ち着いてきた頃、如月が持つキドの携帯からあるメールが届いた。

 

「…………団長さん、先輩、カノさんから確認取れました。私が言ってたあの子居るみたいなので、このままさっきの作戦で行きましょう!」

 

「おう、わかった!」

 

「よし、じゃあいくか…! 後マリーお前はもういいって言うまで俺から離れるな」

 

「あっ、うん? わかった」

 

「絶対だぞ?」

 

「う、うん……?」

 

 いよいよって感じだな。

 

『あ〜〜聞こえてるな? 金を準備する時間を1時間短縮することにした─』

 

「なっ!?」

 

「やばいもう放送始まってる!?」

 

「クッソ! 何で急に早くしたんだ!? おい、マリー急ぐぞ!」

 

 キドはマリーを抱き抱え引き摺りながら走る。通路を抜けた瞬間目に飛び込んできたのは、主犯格の男に髪の毛を引っ張られ立たされている伸太郎の姿だった。

 

 っ、伸太郎────!?

 

「お,お兄──」

 

「おい!」

 

 ガッと腕をキドに掴まれる如月。

 

「だから、お前が行ってどうする!? 作戦タイミングがわかるのはお前しかいないんだぞ!?」

 

「ッ‼︎」

 

「如月落ち着け! お前の気持ちもわかる、俺だって今すぐ助けに行きたいでも今は、お前の作戦に賭けるしか無いんだ、だから頼む!」

 

「先輩……」

 

「大丈夫だ如月……俺はお前を信じてる。きっと上手く行く! サポートは任せろ!」

 

「………はい!」

 

 その言葉を聞いた如月には、もう迷いはなかった。

 





 マリーのセリフとってるね主人公!!
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