フィーネになりそこなった合法ロリのお姉ちゃん   作:とんこつラーメン

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風鳴機関に関する描写は完全に私の妄想ですので『これは違う』と思ってもツッコミは無しでお願いします。

あんまし詳しい設定は知らないもので…。






懐かしの職場

 風鳴機関。

 その名の通り、風鳴家が取り仕切っている完全に独立した研究機関で、主に聖遺物などを研究、保管している。

 日本政府なども存在は知っていても、決して介入や懐柔は出来ない。

 何故なら、風鳴機関に何かすると言うことは、同時に風鳴家と風鳴訃堂を敵に回すと言うことを意味しているからだ。

 

「ここに来るのも久し振りだなー」

 

 相変わらず、無駄にでっかい研究施設だ。

 というか、10年前から全く外観が変わってないのはこれいかに?

 壁なども全く汚れている様子が無いのは、ちゃんと定期的に掃除をしているからなのか。

 

「亞里亞よ。機関の職員にのみ支給されているカードキーは未だに所持しているか?」

「一応持ってはいるけど…まさか、まだ使えるとか言わないよね?」

「使えるぞ。お前がアメリカに行ったからと言って、決してクビにしたわけではない。まだお前は機関の職員として登録してある」

「冗談でしょ…? あれからもう10年も経過してるんだよ? しかも、ここに戻ってくるという保証も無い」

「確かにそうかもしれん。だが、儂も他の者達も信じていた。どれだけの時間が掛かろうとも、お前は必ずここに戻ってくるとな」

「随分と勝手な期待を抱きやがって…」

 

 でも、そんな風に待っていてくれるのは普通に嬉しい。

 こんな私にも戻るべき場所があるんだって実感できるから。

 

「試しに使ってみるがいい」

「そうする」

 

 カードキーの差込口は、私の背に合わせてギリギリ届く位置に作ってある。

 財布の中からカードキーを取り出して、スッと滑らせると、その隣に網膜認証用のレンズが出現する。

 ここは複数の意味で非常に重要な場所なので、こうして十重二十重に念を入れているのだ。

 

「おめめを広げて…っと」

『認証完了。風鳴機関主任研究員【櫻井亞里亞】博士と確認。お帰りなさいませ』

「マジで登録そのまんまだったよ…」

 

 機械音声にお帰りと言われ、普通に呆れてしまった。

 二課はあんなにも様変わりしていたのに、ここだけは10年前と全く同じ気配がする。

 まるで時が止まっているかのようだ。

 

「いずれ、キャロルの分のカードキーと網膜認証も作っておかないとな。私がいないと出入りできないとか不便極まりないでしょ」

「いいのか?」

「構わぬ。お前は自らの意志で亞里亞の同志となることを決めた。拒否する理由は無い」

「そうか…」

 

 出入り口が開き、懐かしの職場へと久し振りに入っていく。

 いや、この場合は戻って行くと言った方が良いのか?

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

「しゅ…主任!? 戻って来てくれたんですね!」

「お帰りなさい主任!」

「ずっとお帰りを待ってました!」

 

 えぇ~…うそぉ~…。

 中に入って廊下を歩いていると、出会う奴全てに見覚えがある。

 流石に年が経過しているので老けてはいたが、それでも出会う奴全員が私の嘗ての同僚達ばかりだった。

 

「おいジジイ…説明してくれるんだろうな?」

「お前がアメリカに行ってからの10年間。風鳴機関の人間は誰一人として入れ替わりなどしておらぬ。新たに入った者ならばいるがな」

「よくもまぁ、どうして…」

「それだけ、皆がお前の帰還を待っていた…ということだ」

「ご苦労なこって…」

 

 いや…これはもう嬉しい云々じゃなく、普通に呆れる。

 別に私、ここでそこまで頑張った記憶は無いんですけど?

 

「さっきからずっと『主任』と呼ばれているが、亞里亞はここの中心人物だったのか?」

「そうだ。亞里亞が風鳴機関にいたのは、二課を辞めてからアメリカに行くまでの短い間だけであったが、その時間でこ奴は見事な仕事をしてくれた」

「フッ…流石は亞里亞だな」

 

 何が『流石』なのやら。

 ここでやった事なんて、渡米してからやった事に比べたら本当に微々たるものなのに。

 それで良くもまぁ、ここまで人を持ち上げられるもんだ。

 

 そうして話しながら歩いて行く内に、私達は研究員たちが普段から使用している休憩スペースへと足を踏み入れた。

 そこには大勢の研究員たちが思い思いに寛いでいる。

 

「え? あれって…まさか櫻井主任っ!?」

「マジかッ!? 遂に戻ってきてくれたのか!?」

「おぉ~!!」

 

 一瞬でこの場における注目の的になってしまった。

 誰も訃堂のジジイやキャロルには目もくれないし…。

 

「訃堂様もご一緒ということは…主任が風鳴機関に戻って来るって事ですかっ!?」

「いや、私は別に…」

「その通りだ」

「ちょっとぉっ!?」

 

 なに勝手に決めてんだよ、この老害ジジイが!!

 私はそんな事は一言も言った覚えがないんですけどッ!?

 

「何を驚いておる。お前の『目的』の為にも、風鳴機関に戻ることはメリットにこそなりはすれ、デメリットには決してなるまい?」

「それは…そうだけど…」

 

 なんつーか…上手い具合に嵌められた気がする。

 でも、ジジイの言う事にも一理ある。

 この機関は今後とも使う機会は沢山ある。

 それならばいっそのこと、ここに出戻った方が色んな意味で手っ取り早い。

 

「それに、もし本当に戻ってくる気があるのならば…ワシはお前を風鳴機関の主任から所長にしようと考えている」

「この機関全てを私に委ねるってことか? アンタはそれでいいの? 今まではずっとアンタがこの機関のトップだったじゃない」

「構わん。お前はお前の意志で動き、好きなように機関を使えばよい。必要ならば、儂の持っている権限も使えるようにしてやっても良い」

「いやいやいや…それは流石にやり過ぎ。私がアンタと同列になったら、それこそ大変だッつーの。協力が必要な時はこっちから言うよ。それでいいだろ?」

「遠慮深い奴よ」

「私の反応が普通なんだよ…」

 

 何が悲しくて、政治家を顎で使えるようにならなくちゃいけないんだ。

 そんなの事をするには日本でジジイ一人だけで十分なんだよ。

 

「でもまぁ…機関の実質的なトップになるのは悪くない。S.O.N.G.の連中に舐められないようにするには、こっちもある程度の組織力は必要だしな」

「それでいい」

「ただし…一つだけ条件がある」

「なんだ?」

 

 私は、さっきから話に入って来れずに黙っているキャロルの手を引いて隣に立たせ、その肩を抱き寄せる。

 

「わっ!? あ…亞里亞っ!? 急に何をするッ!?」

「私を所長にするのなら、このキャロルを私の右腕…即ち、副所長にすること。それが条件だ。この機関にはまだ『副所長』っていう役職は無かった筈だから問題は無いよな?」

「亞里亞ッ!? いきなり何を言い出すっ!? 確かにオレはお前に協力するとは言ったが…」

「よかろう」

「おいっ!? 正気か貴様っ!?」

「亞里亞が認める程の錬金術師ならば申し分あるまい。お前達はどうだ?」

 

 ここで連中の意見を聞くのかよ…。

 流石は訃堂のジジイ…人心掌握術に長けてやがる。

 

「全然OKですよ! なぁ皆!」

「おうよ! こんな可愛い子の下で働けるなら本望だぜ!」

「二人の美幼女が自分の上司になるだなんて…ずっと主任…じゃなくて、櫻井所長を待ち続けた甲斐があったわ…♡」

 

 満場一致かよ。一人ぐらいは反発意見あれよ。

 逆に怖いわ。

 

「決まりのようだな。櫻井新所長よ」

「もう所長呼びかよ…はぁ…」

 

 私もなんだか状況に流されかけてるな…。

 これからはもっと、しっかりしないと。

 

「お前ら、私の研究室ってまだあったりする?」

「ありますよ! 所長がいつ戻ってきてもいいように、毎日欠かさずに掃除してましたから!」

「10年間ずっとかよ…感心するわ」

 

 ってことは、場所も変わってないと見るべきだろうな。

 部屋の場所自体は体が覚えてるから問題無いし。

 

「研究室で何をするんですか? 何か手伝えることってあります?」

「ん…別に手伝うような事は無いよ。ちょっとした野暮用だし。何かして欲しいと思ったら、こっちから言うよ」

「了解しました!」

 

 こいつら元気だな~…。

 年齢的には私と同じぐらいの筈なのに。

 

「んじゃ、邪魔したな。それと…これから改めてよろしく頼むわ」

「「「「よろしくお願いします!」」」」

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

「本当に何にも変わってない…」

 

 10年振りに戻ってきた私の研究室は、見事に綺麗に保たれていた。

 当時、私が気紛れで飾っていた観葉植物すらも同じのを置いてある。

 一体、アイツ等のどこにここまでの執念があったのやら。

 

「ここが日本における亞里亞の研究室か」

「まぁね。機材までちゃんと整備してある。有り難くはあるけど…」

 

 すぐに調査に取り掛かれるのは嬉しいが、ここに色んな人間が頻繁に出入りしていたと思うと微妙。

 基本的に、私は自分のプライベート空間に他人を入れるのは好きじゃない。

 仮に入れるとしても、相当に仲が良くて信頼できる相手だけだ。

 丁度、キャロルみたいな。

 

「仮眠用のベッドもふっかふかだし…」

 

 肌触りの良さに思わず眠りたくなる衝動に駆られそうになった。

 けど、今はまだ我慢する。

 

「とっとと了子の遺産を調べますかね…っと」

 

 例の青いシンフォギアのペンダントを取り出してから機材にセットし、調査を開始する。

 

「ふむ…やっぱり、構造的には私が作ったのと同じか」

「お前の研究を奴なりにやってみた…と言ったところか」

「多分ね。でも、やっぱり独学じゃどうしても限界は来る」

 

 試しに、私が最初から持っていたペンダントも機材にセットして、比較をしてみる事に。

 

「この時点で完成度に違いが出てる…か。でも、一番の問題は『中身』だよな…」

 

 果たして、私の妹はこれの『中身』に何を用いたのか。

 生半可な代物じゃ、形にする事すら不可能だからな。

 ちゃんと『中身』が分かれば、キャロルに預けているペンダントの『中身』も予想しやすくなるかもしれない。

 

「えーっと…?」

 

 ちゃんと機能自体はアップデートしているみたいだな。

 昔よりもずっと使いやすい上に、スムーズに分析が進む。

 この調子なら、すぐに終わるだろう。

 

「結果…出た。これは…」

「ほぅ…?」

「なんと…」

 

 なんちゅーか…こいつはたまげた。

 よりにもよって『あれ』を使ったのかよ…。

 確かに『あれ』ならば『触媒』としてば申し分ないけどさ。

 となると、必然的にキャロルのペンダントの中身も判明する。

 

「けど…まだまだ甘いな。見事ではあるけど、これじゃあ完成度80%ってところだ」

「そうなのか? オレは専門家ではないが、それでもこれは完成しているように見えるが…」

「パッと見はね。でも、これじゃあ『通常起動』しか出来ない。『絶唱』も『エクスドライブ』も発動は出来ないよ。別に『他のやつ』なら、それでも全く問題は無いんだけど…」

「『試作機』には必要…ということか」

「うん。全く…仕方がないな…」

 

 あーあ。こんなのを見せられたらやるしかないなー。

 お姉ちゃん、頑張っちゃおうかなー。

 

「これをちゃんと『完成』させる。キャロル…手伝ってくれる?」

「オレに出来る事がるならな」

「十分だよ。錬金術師としての知識と技術も必要になるから」

 

 一先ず、当面のやることが決まったか。

 あの『バカ共』が本格的に動き出す前に仕上げないとな…。

 

「ジジイ。早速、風鳴機関所長としてアイツ等をこき使わせて貰うぞ」

「構わぬ。存分に使ってやれ。だが…」

「分かってる。ちゃんと結果は報告するよ」

「それでいい。結果を楽しみにしているぞ」

 

 満足そうに頷いてから、ジジイは部屋から出て行った。

 残されたのは私とキャロルの二人だけ。

 

「さ~てと…」

 

 背中を伸ばして首をコキコキと鳴らしてから、ついでに腕も伸ばす。

 

「気合い入れてやりますか」

 

 こうして、日本に帰ってきて初めての大仕事が開始された。

 

 

 

 

 

 

 

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