フィーネになりそこなった合法ロリのお姉ちゃん   作:とんこつラーメン

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釣れた!!

 それは、私が自分の研究室でキャロルやウェルと一緒にいる時だった。

 

「成る程…こうなっているのですね。これはまさに発想の転換。まさか、こんな方法があったとは…流石は亞里亞博士」

「しかも、これに錬金術で生み出された『ファウストローブ』の技術まで応用しているのだから恐れ入る。亞里亞の産み出したこれは、間違いなく『聖遺物』と『錬金術』の融合というべき物だ」

「あんまし褒めるなよ…普通に照れる」

 

 私が最初から持っていた『量産試作型シンフォギア』二つの最終調整は完全に終了した。

 後は、了子から託された代物を完全な状態にするだけだ。

 

「それにしても、まさか『これ』を『人工聖遺物』と化してコアとするとは…」

「ある意味で『伝説』ではあるだろ? 手に入れるのに苦労したんだぞ」

「だろうな…本来ならば、『これ』は深海の底に沈んでいる筈の代物だ。良く見つけたもんだと感心するよ」

「ま…私にも独自のコミュニティってやつがあるのさ」

 

 本格的に量産体制に入ったら、思い切りこき使わせて貰うけどな。

 その分、金を惜しむつもりは無いけど。

 

「さーて…ここからが本番だぞー…」

 

 背中を伸ばしてから首をコキコキと鳴らし、ついでに全部の手の指をコキコキコキと鳴らしてから仕事再開…としようとした時、唐突に部屋の扉が開いた。

 

「亞里亞博士。緊急事態です」

「ん? ファラか…どした?」

「一体何があった?」

 

 緊急事態と言いつつも全く驚いていないのが、なんともファラらしい。

 

「…『魚』が『網』に掛かりました」

「本当かッ!?」

「遂にか…」

「おぉ…」

 

 ったく…ようやくかよ…。

 どれだけ人を待たせれば気が済むんだ…。

 

「追跡は?」

「開始しております」

「グッド。よし、中央センターに行くぞ。二人とも来てくれ」

「分かりました」

「いいだろう」

 

 私は、首からぶら下げている『青いペンダント』を握りしめつつ、もう一つのペンダントをポケットに入れながら、キャロルやウェル、ファラを引き連れて中央センターまで移動することに。

 一体どんな連中が来たのか…その顔を拝んでやるとしますか。

 『あの三人』じゃない事を地味に祈るけどな。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

「おい。どんな感じだ?」

「所長。お待ちしておりました」

 

 中央センターはもう既に慌ただしくなっていて、所員の皆が東方西走していた。

 こんなにも忙しそうにしているのを見るのは久し振りだな。

 

「で、どいつだ?」

「中央モニターに出します」

「頼む」

 

 若い女性の所員が機器を操作して『ターゲット』の映像を出してくれる。

 こーゆー時、モニターがデカいのは助かるよなー。

 

「こいつか…」

 

 映し出されたのは街のど真ん中の光景。

 それ自体は別に何にも不思議な所は無い。

 問題があるとすれば、映像の中心に映っている男だ。

 パッと見は、黒い背広を着ている男に見えるが…。

 

「どうですか? 私達はよく知らないので何とも言えないのですが…所長や副所長ならばご存じかもと思って…」

「良い判断だ。それに…」

 

 流石に都会の街中、しかも奴等にとって日本は間違いなく『異国』だ。

 いつもの黒くて無駄に派手なローブは身に付けてないか。

 だけど、他の部分は隠し切れてはいないな。

 

「フン…馬鹿な連中だ。変装するなら、もっと細かい所にも気を配ればいいものを」

「と言いますと?」

「『奴等』の特徴的なローブは無くても、その手や手首に派手な装飾品を身に着けてやがる。アホ丸出し。でも、そのお蔭で奴等がどの『位置』にいる連中なのかも一発で分かった」

 

 あんなにも堂々と辺りをキョロキョロとしやがってからに。

 不審者丸出しだっつーの。

 日本の治安を舐めてんのか?

 

「『金』という物は基本的に錬金術師…っていうか、正確には『奴等』にとっては余り好ましくない物だとされている。『金』とは即ち『欲』の象徴…『真理』を追い求める者達にとっては尤も邪魔な存在だ。だが、そんな当たり前の事すらも忘れて、目先の欲に逆らえない馬鹿もいる。それが今、モニターに映ってる男だ」

「恐らく、こいつは『連中』の中でも下っ端に分類される奴等に違いない。上の奴等は無駄にプライドだけは高いから、あんな金の装飾が付いた指輪とか絶対につけない」

「ふむ…流石は錬金術に詳しい御二方。まさか、装飾品を見ただけで、そこまで見破ってしまうとは…この私も脱帽です」

 

 こんな事で褒められてもな…別に嬉しくない。

 褒められるなら、もっと別の事で褒められたいな。

 

「…で、見つけたのは一人だけか?」

「いえ。実は、同時刻に別の地点にも似たような恰好をした者達が発見されているんです」

「見せろ」

「了解」

 

 今度は分割された小さいモニターが複数同時に映し出される。

 そこには顔は違うが、格好は似ている男達が何人もいた。

 

「ふーん…人海戦術で攻めてきた訳ね。街中で堂々を錬金術を使わない所だけは感心してやるよ。ま、それも私達が出ていけば容赦なく使って来るだろうけど」

「では…?」

「勿論、現場に急行する。一人でもいいから接触すれば、そこからは嫌でも他の奴等も集まってくるはずだ。まるで夜中に街灯に集まる虫みたいにな」

 

 本当に、ただ待つのってのは普通に大変だった。

 いつ来るか分からないから、常に気を張ってないといけなかったし。

 でも、もうそんな心配は無用になる。

 こっちがちらつかせ続けた『餌』に、奴らは見事に引っかかってくれた。

 後は、私達の手で引っ張り上げるだけだ。

 

「現場に行くのは私とキャロル。それから…ファラ」

「はっ」

「ガリィとレイアを呼んできてくれ。お前達三人にも一緒に来て貰う」

「了解しました」

 

 流石はファラ。

 特に聞き返す事などせず、すぐに言うことを聞いてくれた。

 

「さて…ンじゃ次は…おいジジイ! どうせ見てるんだろ!」

『フン…バレておったか』

「訃堂さまっ!?」

 

 案の定、複数あるモニターの一つが強制的に切り替わり、そこにジジイの顔が映し出される。

 いきなりの事に所員たちは驚いたみたいだけど。

 

『やっと、愚かな『魚』どもが、貴様の撒いた『撒き餌』に食い付きおったようだな』

「まぁな。なら…もう私の言いたい事は分かってるよな?」

『無論よ。既に現場に我が部下共を派遣し、密かに市民の避難を開始させておるわ。奴らに気付かれぬように…な』

「それでこそ『防人』だ」

『当然よ。亞里亞よ。貴様達も現場に急ぐがいい。…お前の『研究成果』…とくと見させてもらうぞ』

「あぁ…よーく見とけよ。私なりの『やり方』ってのを」

 

 言うだけ言ってから通信が切れ、元の映像に戻った。

 本当にあいつは変わらないジジイだよ…ったく。

 

「ウェル。私達が出ている間、ここの指揮は頼んだぞ」

「フフ…お任せください。亞里亞博士が不在の間は、この私が必ずやここを守ってみせましょう」

「頼もしいよ」

 

 普段の言動からは想像しにくいが、こーゆー時のウェルはマジで頼りになる。

 だからこそ、私はこいつを風鳴機関に引き抜いたんだけど。

 

「キャロル。もしかしたら、今回の一件で未だに目覚められないでいる最後のオートスコアラーを起動させられるかもしれないぞ」

「ほ…本当か!? まさか、奴らの『想い出』を使って…?」

「そゆこと。一般人をどうこうするのは絶対に論外だけど、あのバカどもならば話は別。寧ろ、遠慮なくやっちゃっていい」

「それに関しては同感だな」

「でしょ? んじゃ、ファラ達がやって来次第、出発しようか」

 

 ふぅ…地味に緊張するな…。

 いかに相手が雑魚とはいえ、これが私にとっての『初陣』になる訳だしな…。

 ファラ達が来るまでの間に、出来るだけ緊張を解しておかないと。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 一方その頃。

 S.O.N.G.本部。司令室。

 

「…あれ?」

「どうした?」

 

 二人いるオペレーターの一人である藤尭の声を聞き、弦十郎が腕組みをしながら尋ねる。

 立場上、どんな些細なことでも聞き逃すわけにはいかない。

 

「いえ…ちょっと、風鳴機関のある京都の街中の映像を見たんですが…何だか変なんです」

「変とは?」

「街中を歩いている人達が急に少なくなっていってて…まるで、どこかに避難でもするみたいに…」

「避難だと…?」

「えぇ。でも、別におかしな反応とかは全く出てないんです。近くで何か事故でもあったのかな…?」

 

 街中で事故が起きる事は充分に大変な事だが、それは彼らの管轄ではない。

 それらの事は警察や消防の出番なのだ。

 彼らの仕事を奪うような真似だけはしてはならない。

 

「あら?」

「今度は友里か。どうした?」

「あの子…櫻井亞里亞博士を街中で見つけたもので…」

「なんだと?」

 

 理由は不明だが、京都の町は避難活動の真っ最中。

 そんな中に亞里亞が街中にいる。

 弦十郎の『勘』が、それを怪しめと告げていた。

 

「いるのは亞里亞君だけか?」

「いえ。一人だけじゃないみたいです。モニターに出しますか?」

「頼む」

「了解しました」

 

 友里が機器を操作すると、モニターに映し出されたのは、車が一台もいない道路を走っている亞里亞の姿。

 彼女の走っている光景自体が非常にレアなのに、今回の亞里亞は一人ではなかった。

 

「あの金髪の少女は…亞里亞君の友人である子か。それと、他の三人は一体…?」

「三人共、随分と派手な格好をしてますけど…なんか人間離れをしているような気が…」

「それ俺も思った。なんつーか…肌が白すぎる感じがするんだよなぁ…」

「ふむ…」

 

 亞里亞の知り合いと言う時点で、一緒にいる謎の三人も悪人ではないと断言出来る。

 昔から、亞里亞は無茶をする事は多いが、悪事を働くような真似は絶対にしなかった。

 彼女は曲がった事が大嫌いだったから。

 

「どうしますか司令?」

「相互不干渉条約を結んでいるとはいえ、気になることではあるな…。念の為に慎二か、もしくは手の空いている装者の誰かを向かわせて…」

『それには及ばぬ』

「「うわっ!?」」

「親父…!」

 

 何の前触れもなく、いきなりモニターが切り替わり、そこから姿を現したのは弦十郎の父である風鳴訃堂の顔面ドアップだった。

 

「及ばぬとはどういう事だ?」

『そのままの意味よ。此度の事、全て風鳴機関…いや、亞里亞たちに任せておけばよい』

「一体何が起きようとしているんだ…?」

『お前達の…いや、装者の存在意義を揺るがす事よ』

「なん…だとぉ…!?」

 

 装者の存在意義を揺るがす。

 その意味は理解出来ないが、それでも決して看過は出来ない台詞だった。

 

『お前達は黙って見ているがよい。亞里亞の長年の研究の成果が花開く瞬間をな』

「ま…待ってくれ! 親父は亞里亞君が何の研究をしているのか…知っているのかッ!?」

『当たり前だ。知っているからこそ、儂はあ奴の個人スポンサーとなり、その研究が成就する時を待ち侘びていた』

 

 自分の知らない所で亞里亞と訃堂が繋がっていて、水面下で動き続けていた。

 別にそれ自体は構わないが、その目的が余りにも不気味過ぎた。

 

『亞里亞の奴が風鳴機関に戻った時から、ずっとチラつかせてきた『餌』に、ようやく間抜けな『魚』共が食い付きおったのだ。この機を逃すような事は出来まいて。ふっ…柄にもなく儂も興奮してきたわ』

 

 それだけを言い残し、訃堂は通信を一方的に切った。

 残されたのは不気味な静寂だけ。

 

「『魚』…それから『餌』だと…? 一体何を暗示しているんだ…?」

 

 何も知らない。何も分からない弦十郎には、これから起きようとしている事が何なのか予想すら出来なかった。

 

 

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