フィーネになりそこなった合法ロリのお姉ちゃん 作:とんこつラーメン
ようやく現れた『ターゲット』を見つけた私達は、キャロルやオートスコアラーの三人を引き連れて街中へと繰り出していた。
「見事に人っ子一人もいませんね」
「まるで派手にゴーストタウン状態だな」
「派手なゴーストタウンって…」
なんか後ろでオートスコアラー三人娘による漫才が始まってるんだが。
それだけあいつ等が高性能だって証拠か。
「ファラ達ではないが、本当に誰もいないな。流石は風鳴訃堂と言うことか?」
「あのジジイは、やることは本当に迅速実行だからな」
その点だけは割とマジで評価している。
お蔭でこっちも遠慮なく堂々と動く事が出来る。
「しっかし…こうして普段は歩けない車道を堂々と歩けるのは地味にドキドキするな」
「少しだけ分かる。心なしか、普段と違う景色に見える」
いつもなら即座に警察官に怒られるところだけど、今日だけはフリーダム!
因みに、前に警官に補導された時、普通に子供扱いされて親の事や学校の事を聞かれた。
ムカついたので運転免許証を見せたら凄い謝られたけど。
「もうそろそろ、さっきモニターで見つけた場所だが…」
「うーむ…ファラ。ガリィ。レイア」
「急にどーしましたぁ?」
「三人はここで街中に散開して他の連中を捕縛してくれ。無駄にプライドだけは高いアイツ等の事だ。仮にピンチになっても味方に助けなんて求めないだろうし。だからと言って、この後にまた他の場所に移動するのは明らかに効率が悪い」
出来れば全員捕まえて情報を絞り出したいしな。
ま、最も重要なのは情報じゃなくて、アイツ等がここに来た『理由』なんだけど、それもまた大体の見当はついている。
アイツ等が自分の口から『証言』する事が大事なのだ。
「了解しました。では、私は西の方に派手に向かいます」
「ならば、こちらは東に向かいましょう」
「となると、必然的にガリィちゃんは南って事になりますねぇ~」
「頼むぞ、お前達」
「分かってるとは思うけど、決して殺すなよ~。幾ら雑魚でも、貴重な情報源である事には変わりないんだからな~」
「「「了解!」」」
三人それぞれに素早く散開し、ターゲットとなる奴等の元に向かった。
オートスコアラーなら、仮にアルカノイズを差し向けられても問題はないし、ある意味で奴等にとって最強の天敵とも言える。
「行ったか。では、こちらも急ぐとしよう」
「そうだね。と言っても、もうすぐだけど」
まず間違いなく、アイツ等は私達と出会ったらアルカノイズを呼び出して来るだろう。
果たして、私の『研究成果』がどこまで通用するか…だな。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
お。見つけた。
さっきモニターで見た超絶変装が下手な錬金術師(笑)だ。
よし。ここは一つ、先に話しかけて先制するか。
「ちょいとそこ行くお兄さ~ん? 私達とあ・そ・ば・な・い~?」
「なに? き…貴様等はっ!?」
あ。気が付いた。
つーか、一目見ただけで私達が分かるって、私とキャロルってこいつらの中じゃ割と有名人だったりする?
サインとか求められたらどーしよー。
「キャロル・マールス・ディーンハイムとアリア・サクライ!! 我ら錬金術師の面汚し共!! ようやく見つけたぞ!!」
「開口一番酷い奴だな。面汚しだって。私達、何かしたっけ?」
「さぁな。全く身に覚えがない」
「だよね~」
全く…初対面の女性に言う言葉じゃないよ。
少しは錬金術よりも女性の扱い方を勉強してきな。
お前らの『ボス』の方がまだマシだぞ?
「黙れ!! 錬金術を用いて世界を分解しようとした大罪人が!!」
「それに関しては否定はせん。確かにしようと『した』な」
「うんうん。実際には何もしてないもんね~。だからキャロルは無実デ~ス!」
私の一番の親友に向かって大罪人なんて酷い奴だ。
『これ』を使う前に、まずは必殺の飛鳥文化アタックでも喰らわせてやるか?
「っていうか、私ってばマジで何かした? 錬金術師でもないんだけど」
「確かに亞里亞はれっきとした科学者だが、僅か数年でこいつ等を遥かに凌駕する錬金術を身に付けたからな。コイツらの無駄に高いプライドを粉々にしてしまったんじゃないか?」
「あ~…なるへそ」
「だ…黙れ!!」
図星っぽい。
うわーハズカシー。
「にしてもさ、京都くんだりまでよくもまあぁ来たもんだよ。碌に観光もせずに街中を徘徊するなんて、お前達ってよっぽど暇なのね」
「言ってやるな亞里亞。どうせ、オレ達がここにいる事を何らかの形で突き止めてから来たんだろうしな」
「その通りだ! この地に密かに入り込んでいた我等が同胞が、貴様ら二人がこの街を歩いている姿を目撃し、それで…」
「「わぁ…」」
マジか…自分から言いやがったよコイツ。
こいつはあれだな。
尋問耐性が皆無に違いない。
少しはスネークを見習え。
「にしてもさ、ここまで見事に釣れると今までの苦労も報われるってもんだね」
「そうだな。釣れるまでは随分と時間が掛かったが」
「釣れる…だと? どういう意味だ!?」
「そのまんまの意味だよバカヤロー」
「このオレ達が、自分達の立場も弁えずに、間抜けにも堂々と街中を歩くと本気で思っていたのか? もしそうだとしたら、オレと亞里亞の事を見縊り過ぎだ」
「なん…だと…? では…まさか…!?」
ここまで言って、ようやく気が付いたんかい。
冗談抜きで間抜けだな。
流石に呆れるわ。
「私達はワザと、街中で目立つように行動をしていたんだよ。お前らの事を誘き出すためにな」
「そ…そんな馬鹿なっ!?」
「事実だ。今のこの状況こそが、その確固たる証拠だとは思わんか?」
「この状況…?」
キャロルに言われて間抜けは辺りを見渡す。
やっと気が付いたのか?
街中から自分達以外の人間がいなくなっている事に。
「民間人が一人もいない…だと…? いつの間に…」
「ウチらのパトロンがお前らを見つけた瞬間に部下を使って街の住民たちを避難させたんだよ。割と堂々と避難させてたんだけど…それに気が付かないってどんだけ…」
「よっぽどオレ達を見つけるのに夢中だったようだな」
「くっ…!」
でも、その間抜けさがあったからこそ、こっちも堂々と動けるんだけど。
いやー…本当に助かりますわー。
おや? なんか慌ててスマホを取り出して通話してる?
「な…何故だ!? 何故に誰も出ようとしないッ!?」
「そりゃそうでしょ。そんな暇が無いんじゃない?」
「オートスコアラーが一緒にいない時点で、少しは疑うべきだったな」
「ま…まさか…他の奴等の所に…!」
「そ。オートスコアラーの皆を送りました。今頃はボッコボコにされてるんじゃない?」
私の知ってる『アイツら』ならいざ知らず、名も知らぬザコザコな下級錬金術師連中程度ならば一方的に無双できるでしょ。
ちゃんと手加減はするように言ってあるから生きてはいるだろうけど。
ギャグ漫画みたいに顔はボコボコになってるかもね。
「これで見事に目出度く孤立無援になった訳だ。どーする? こっちとしては別に無抵抗で降伏してくれてもいいんだよ? その方が余計ない手間は省けるしね」
なーんて言ってるけど、本当は挑発に乗ってさあっさとアルカノイズを出してほしい。
じゃないとこっちも実施試験が行えないし。
「こ…こうなったら…!」
お? 来るか?
「来い!!」
錬金術師が地面に何か小さな結晶みたいのをぶつけて砕いた。
すると、地面から這い出るように複数のアルカノイズが出現した。
「はははははははは!! どうだ見たか!! これが我等の切り札の『アルカノイズ』だ!! これに触れられれば、いかに貴様等と言えども只では済むまい!!」
「「知っとるわい」」
おっと。キャロルとハモった。
ちょっぴり嬉しい。
「そのアルカノイズを最初に産み出したのは、他でもないこのオレだぞ? 研究資金を稼ぐ為に少しだけ『そっち』にデータを提供したがな。つまり、お前らは単にオレの猿真似をしているに過ぎないんだよ」
「ま、キャロルの作るアルカノイズの方が高性能だけどね。ちゃんと言うこと聞くし。その気になれば、周囲に被害を出さずに雑用もしてくれるし」
因みに、私もアルカノイズは作れます。
まだ実際に作った事は無いけどね。
「しかし、このオレのちょっとした小遣い稼ぎが貴様等に力を与えたのもまた事実。ならば、ちゃんとケジメは付けなくてはなるまい」
「私の一番の大親友であるキャロルがやるって言うのなら、私も手伝わない訳にはいかないよねー。ってことで…ほい」
ここでようやく、ずっと首からぶら下げてた青いシンフォギアペンダントのご登場。
この時をずっと待ってた。本当に待ってた。いやマジで。
「そ…それは…噂に聞くシンフォギアのペンダント…? だが、どうして青い? 情報に寄れば確か、奴等の物は赤かった筈だが…」
「だってこれ、アイツ等の持ってるのとは別物だし」
「別物…だと…?」
「そ。これは私が私自身の為だけに作った『試作品』。そして、キャロルも同じのを持っている。これが意味することが分かる?」
「オレ達にとって、ノイズなど何の脅威でもないと言うことだ」
本当に…こっちが望むような行動ばかりしてくれるな。
ここまで理想通りに進むと、流石に戸惑ってしまう。
「そもそも、どうして私が専門外である錬金術を勉強してたと思う? 全ては自分の研究の為。こいつを生み出す為だったんだよ」
「フッ…お前達には未来永劫、理解出来んだろうがな。亞里亞の真の目的を。その信念を」
やっと始まるんだな…私の『世界平和』への第一歩が。
ここまで本当に長かった。
けど、もう私は止まらない。
否、止まれない。
姉として、妹の仕出かした事へのケジメを付ける為に。
古代の巫女の血を引く者として成すべき事を成す為に。
「ま…まさか…貴様等はそれの起動実験をする為に我々を…!」
「半分当たり。それはついでだ。お前達をこの街に誘き寄せたのには別の理由がある。お前を叩きのめした後にゆっくりと教えてやるよ…私達の研究所でな。キャロル」
「あぁ。いつでも行けるぞ」
「じゃあ…やりますか」
私とキャロルはペンダントを握りしめてから目を瞑って精神を集中させる。
イメージするのは、このペンダントの元となった『人工聖遺物』。
「大和!!」
「武蔵!!」
「「抜錨!!」」