フィーネになりそこなった合法ロリのお姉ちゃん   作:とんこつラーメン

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合法ロリ二人の仲良し食事タイム

 亞里亞の運転する車で車道を飛ばす二人。

 運転席にいる亞里亞は鼻声交じりで機嫌が良さそうであったが、助手席に座っているキャロルは顔を真っ青にしながら冷や汗を掻いていた。

 

「お…おい亞里亞! ちゃんと前は見えているんだろうなっ!?」

「当たり前だッつーの。じゃないと運転出来ないでしょーが」

「その格好で言われても説得力が無い!」

 

 当然ではあるが、小学生低学年レベルに背が低い亞里亞では、足や手が届かないので普通に運転をするのは非常に難しい。

 だが彼女は、それらのハンデを道具を使う事によって補っていた。

 アクセルやブレーキなどは厚底ブーツを履く事で対処をし、シフトレバーなどは専用の道具で延長していた。

 前方確認も出来ていない筈なのだが、何故かこれに関しては何もしないでも普通にやれていた。

 亞里亞に関する最大にして永遠の謎の一つである。

 

「何をそんなに緊張してんだか。大概の事じゃ絶対にビビったりしない癖に」

「オ…オレだって決して万能と言う訳ではない! 人並みにビビることぐらいはある! 丁度、今みたいにな!」

 

 長い年月を生きてきたとは言え、今の時代の事に付いて詳しくない訳じゃない。

 ちゃんと常識的な部分の知識は時代ごとにアップデートしている。

 なので、自動車の事も当然のように知っているのだが…。

 

「お…おい! 今、対向車の運転手がこっちを見てびっくりした顔をしていたぞ!」

「パッと見じゃ私の姿って見えないからな。アメリカに行く前はよく峠のコースでブイブイ言わせてたもんだよ。ドライバー連中からはよく『峠の首なしドライバー』なんて呼ばれたりして」

「それは絶対に好意的な意味で呼ばれてないぞ…」

 

 例え事故に巻き込まれても錬金術を駆使すればどうとでもなる…が、スピードに関する恐怖とそれはまた別の問題だった。

 

「くそ…! こんなことならちゃんとテレポートジェムを持って来ていればよかった…!」

「なんで持って来てなかったの?」

「偶には体を動かすのもいいと思って、散歩ついでに歩いていたんだ。お前が帰国して来ていると知っていれば、ちゃんと持って来ていたのに…!」

「それってまるで、私がトラブルメーカーみたいに聞こえるんだけど」

「聞こえるんじゃなくて、そう言ってるんだ! お前の才能と頭脳はオレも認めるが、研究とは別の方向で他人をトラブルに巻き込むのは止めろ!」

「別に巻き込んでいるつもりはないんだけどなぁ…」

 

 暖簾に腕押し状態の会話が続く中、前方にそこそこ大きなパーキングエリアが見えてきた。

 

「いいところ見つけた。あそこで休憩をしようか」

「是非ともそうしてくれ。このままじゃ身が持たん」

 

 二人が乗る車は、そのままパーキングエリアの駐車場へと入っていくことに。

 亞里亞は見事な駐車テクニックを見せてくれたが、周囲の人間にはまるで無人の車が勝手に動いて止まったように見えたので、誰も彼もが驚きの表情を隠せなかったという。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

「キャロルさ…何か『大きなこと』をしようとしてるだろ」

「…何が言いたい」

 

 サービスエリアの売店にて食事を注文し、二人揃ってテーブルに座ってそれを食べている。

 足が届かないのでブラブラとさせているが。

 

「普段は滅多に『工房』から出ようとしないアンタが、あろうことか国境まで超えて日本にやって来たのには明確な理由があるからだろ」

「ふん…その無駄に冴え渡る推理力も健在と言う訳か」

「当たってるんだ」

「否定はしない」

 

 敢えて『そうだ』と言わない辺り、キャロルの性格がよく出ている。

 そんな彼女の事を良く知っているが故に、亞里亞も特に何かを言うことはしない。

 

「…お前とは随分と長い付き合いになるな」

「一番最初に出会ったのは、私が研究の為にアメリカに行って、その際にどうしても錬金術の知識を技術が必要になったから、『裏の世界』で割と有名だったキャロルに会いに行った時だったっけ」

「まさか、オレの居場所を単独で見つけるような奴がいるとは夢にも思わなかったぞ。思わず本気で迎撃してしまった。お前はその全てを防ぎ切ったが」

「天災ですから」

「そうだな。確かにお前は『天災』だな」

「あれ? 『字が違うぞ』ってツッコんでくれないんだ」

「そう言うと思ったから、敢えて何も言わなかったんだ」

「ひど」

 

 会話自体は大人な内容なのに、その光景自体は幼女二人の仲睦まじい食事風景にしか見えない。

 そのせいか、彼女達の周囲に座っている他の客たちの顔が妙にほんわかとなっていた。

 

「並の錬金術師たちが十数年かけて学ぶべき内容を、お前はあろうことか僅か一ヶ月で完璧に極めた。そこから更に自分なりの術式なども作り出した上に、このオレが長年に掛けて研究し続けていた『自動人形(オート・スコアラー)』の技術まであっという間に習得してみせた。それでいて専攻しているのが『考古学』だと? もしも『錬金術協会』の奴等が聞いたら悔しがって血の涙を流すぞ」

「そう言われても…天才だし」

「知っている。だからこそ余計に質が悪いんだろうが」

 

 キャロルから見て櫻井亞里亞という女は実に奇妙奇天烈な人間だった。

 自身の性格などに関しては徹底的な自己否定をする癖に、自分の才能や技術などに関しては寧ろ真逆で、自分から自慢したり学会で発表したりしている。

 と言っても、発表の際に自分の名を出す事は非常に稀であり、それはシンフォギアの基礎理論になっている『櫻井理論』を発表する際に自分ではなく妹の名を使った事で良く分かる。

 

「知り合いになってからは、逆にキャロルの方から私に会いに来てくれたよな」

「腹立たしいが、お前と一緒にいる事で色んな発見があったり、インスピレーションが刺激されていたのは事実だしな。正直、亞里亞がいなかったらオレはまだまだ前途多難な状況だったかもしれん」

「それに関してはお互い様。私もキャロルがいてくれたから想像以上に研究が捗った。じゃないとまだ今頃はアメリカにいたと思うし」

 

 お互いがお互いを支え合っている。

 性格などは違うが、性質自体は非常に似通っているのかもしれない。

 

「そのお前がこうして故郷である日本に舞い戻って来た。ということは、お前の『研究』は一先ずの完成を迎えた…と思っていいのか?」

「まぁね。一応、その成果を記した書類は私の『個人スポンサー』に渡してある」

「前に言っていた『防人の男』か」

「そ。年齢だけで言えばキャロルよりも歳下だけど。二人で並べば確実に祖父と孫って構図になるだろうね」

「お前がそれを言うのか?」

 

 背の高さや体格などに関しては、亞里亞とキャロルはほぼ同じだった。

 物理的と頭脳的、二重の意味で同じ視点を持っているからこそ二人はここまで仲良くなれたのかもしれない。

 

「いつか機会があればキャロルには『実物』を見せるよ」

「そいつは楽しみだ」

 

 今までずっと仏頂面だったキャロルが微笑を浮かべる。

 彼女にそんな顔をさせる程には仲が良いという証拠だった。

 

「そういや、キャロルって昔からずっと口癖みたいに『奇跡を殺す』って言ってたわよね」

「そう言うお前は奇跡の存在自体を否定していたな」

「当然でしょ。そもそもの話、奇跡の定義自体がまだ完全に確立されていないのに、それを殺すとか意味が分からない。存在しないものは殺しようがないでしょうが」

 

 亞里亞は考古学者であると同時に科学者でもある。

 姉妹でありながらも亞里亞と了子の決定的な違いがあるとすれば、それは『奇跡』の捉え方だろう。

 

「『奇跡』なんて、所詮は自分に都合がいい事象が偶発的に起きた時、人々がそれを自分勝手に好意的な意味を込めて呼称しているだけに過ぎない。この世の全てには必ず『原因』と『結果』が存在している。それは『奇跡』だって例外じゃない。確率論を突き詰めていけば、必然的にこの世から『奇跡』と言う概念は消えてなくなるよ。ある意味それこそが『奇跡を殺す』って事になるんじゃないのかな?」

「数学で奇跡を殺す…か。フッ…お前のような奴が16世紀に生まれていたら、フェルマーやパスカルと良い共同研究者になっていたかもしれんな」

「もしもいつの日かタイムマシンを作りだしたら、16世紀に行って歴史的な数学者たちと友達になりたいわね」

「…お前なら本当に作り出しそうで怖いな…タイムマシン」

 

 ジト目になりながらキャロルは自分が注文したチーズドリアを口に含む。

 因みに、亞里亞が注文したのはきつねうどんである。

 

「しっかし…あれだな。どうしてサービスエリアで食べる食事ってのはいつも以上に美味しく感じるのかな。これはあれだな。海の上で食事をするといつも以上に美味しく感じるのと同じ原理だな、きっと」

「外で食べているから…じゃないのか?」

「そーゆーもんなのかな…?」

 

 こうでも言っておかないと、亞里亞は本気で『外食時と家出の食事の際に起きる味の違い』に関する論文とか作りそうだから怖い。

 

「ところで、お前の妹が生前に使っていたという拠点は、ここからまだ距離があるのか?」

「みたい。仮にも世間から姿を隠す為に使っていた場所だし。情報によるとかなりの山奥にあるっぽい。建物自体は大きいから、近くに行けば分かるらしい」

「オレが言うのもアレだが、潜伏拠点として最も理想的なのは『隠密性』と『利便性』と『居住性』の三つが高いレベルで整っている場所なのだろうな」

「言うだけなら簡単だけど、実際にそんな場所なんてのは滅多にないよ。それこそフィクションの世界だけだ」

 

 などと言ってはみるが、その気になれば出来ない事は無い。

 特に、亞里亞の頭脳とキャロルの錬金術を駆使すれば。

 

「ま…のんびり行こうよ。お互いに暇なんだし」

「おい。勝手にオレを暇人にするな」

「違うの?」

「いや…今日に限って言えば一日暇を取ってはいるが…」

「私と同じだ。10年間にも渡る研究を一先ずとは言え終えて、暫くは悠々自適な暇人生活を満喫しようと思ってるから」

「…お前の場合は、そうする資格も権利もあるだろう」

 

 キャロルは知っている。

 アメリカ政府が亞里亞にした仕打ちの事を。

 本人はそこまで気にしていないように振る舞っているが、さっきの墓地での姿を見ているから心中は穏やかではない。

 目的の為ならば手段を選ばない現実主義者(リアリスト)である彼女ではあるが、だからと言って唯一無二と言っても過言じゃない友人の泣き叫んでいる姿を見て何も思わないような非情でもない。

 

「ごちそうさまでした…っと。じゃ、そろそろ行こうか?」

「ま…待て。まだ食べ終わってない」

「んじゃ、何か食後のドリンクでも買ってくるよ。何がいい?」

「…ミルクティー」

「りょーかい。私は烏龍茶にでもしよーっと」

 

 財布片手にテーブルを離れていく亞里亞の背中を眺めつつ、キャロルは皿の中に残ったチーズドリアを食べ進めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 




思ったよりも二人の会話が楽しかったので、食事シーンだけで丸々一話を使ってしまいました。

合法ロリが二人並んでご飯を食べる…めっちゃ和むと思います。

なんか、響たちよりもキャロルの方が圧倒的に出番が多くなりそうな予感。

余程の事が無い限りは、これからの指針は決まってますから。
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