フィーネになりそこなった合法ロリのお姉ちゃん   作:とんこつラーメン

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妹の真実

 了子ことフィーネの元拠点にあった隠し部屋。

 その中は、外観からは想像もつかないような近未来的な場所だった。

 至る所に最新機器が並び、コンピューターや解析機、保存用の箱などもある。

 恐らく、この部屋こそが真の意味での了子の『拠点』だったに違いない。

 

「これはまた…凄いな…」

「どれもこれもが、そこらの研究所とかにも負けないような代物ばかりだ。埃もないし、私達以外の他の誰かが触れたような形跡も全く無い。きっと、私達が了子以外に入った最初で最後の人間なんだろうね」

 

 部屋の片隅にあるテーブルの上に置いてある書類を手に取り見てみる。

 そこには『ネフシュタンの鎧』に関する研究や、立花響の生態調査…所謂『融合症例』に関することが事細かに記載されていた。

 恐らく、これを参考にしてあいつは自分の身体とネフシュタンを融合させることを思い付いたんだろう。

 

「成る程な…ここはSONGの連中や政府のバカどもにとって宝の山だわ。あいつ等が喉から出るほどに欲しがっている情報がここに腐るほどある」

「みたいだな。オレはあくまで錬金術師だから詳しいことは分からないが、それでもここが重要な場所であることは理解出来る」

 

 私からすれば、キャロルは『錬金術師』ってよりは『研究者』に近いような気がするんだけど。

 だからこそ私とも波長が合ったわけだし。

 

「どうするんだ?」

「そうだな…まずは、あからさまに『これがメインコンピューターです』って感じのこれから調べますか」

 

 両腕を伸ばしてから背中を伸ばし、首の骨をコキコキ。

 ついでに手首をグルグルとさせながら肩の骨もコキコキ。

 

「なぁ…ここに入ってから一つ疑問に思った事があるんだが…」

「なに?」

「放棄されて随分と経つ筈なのに…どうして普通に電気が通ってるんだ?」

「多分、了子が何か細工でもしておいたんでしょ。知らんけど」

「それでいいのか…?」

「いいんだよ。電気の出所よりも、このコンピューターの中にある物の方が重要なんだから」

 

 と言いつつ、実はもう見当がついていたりして。

 恐らくだけど、了子はこの場所の発電システムを独立させてるんじゃないかな。

 地熱発電。風力発電。太陽光発電。水力発電。

 その気になれば電気なんて、自然の力を借りればいくらでも作れる。

 ここは山だから地熱には困らないし、風力も問題無い筈だ。

 太陽光に至っては晴れてさえいればどこでもOKだし、近くには湖もあったから水力も大丈夫。

 …ここ、了子じゃなくても拠点にするわ。うん。

 つーか、私が別荘として使いたいぐらいだ。

 

「さーて…まずは~…ん?」

「なんだ? このパネルは…」

 

 コンソールの近くに大人の掌ぐらいの大きさの黒いパネルがあった。

 パッと見は指紋認証か静脈認証系のやつだが…あの了子がそんなストレートなセキュリティーをするか?

 この私の妹である了子が? ないない。絶対に有り得ない。

 となると、考えられる可能性は幾つかあるが…取り敢えず自分の手でも当ててみるか。

 

「よいしょ…っと」

「お…おい。大丈夫なのか?」

「へーき。へーき」

 

 赤外線センサーらしきものが走り、私の掌の確認をする。

 さぁ…て、どうなるかな?

 

『遺伝子認証完了。櫻井了子博士の実姉、櫻井亞里亞博士であると確認。ようこそいらっしゃいました。亞里亞博士』

「わぉ……」

 

 細胞か遺伝子辺りかと思ってたけど、まさか後者の方だったとは。

 流石は我が妹。凝った真似をする。そうこなくっちゃ。

 

「お前の名前を呼んでいるが…これはどういう事だ?」

「いつの日か、私がここに来ることを予め想定していたってことでしょ。だからこそ、私か了子…つまり、『櫻井家』の人間しかこのメインコンピューターにアクセス出来ないようにしたんだと思う。もし仮に私達以外の人間がこれの中身を知りたいと思ったら、それこそ私か了子のクローンでも作らないと無理だ」

「だが、お前の妹の遺体は…」

「そ。完全消滅してどこにも存在しない。ウチの両親の遺体はとっくの昔に焼いてるから灰になってるし、残されているのは私だけだけど…」

「どんなに馬鹿な国でも、お前のクローンを作ろうなんて考える奴はいないだろうさ。もしいたら、もう既にその国は滅びている」

「こらそこ。人聞きの悪い事を言わない。滅ぼすなんてことはしないよ。精々が財政難にするぐらいだ」

「それでも十分に酷いだろうが」

「そう? 地図上から消えるよりマシじゃない?」

 

 私はキレたら何をするか分からないよー。

 この私をキレさせたら大したもんだよー。

 

「さーてと、何から調べますかねーっと」

 

 カタカタカターっとコンソールを操作して色々と調べてみる事に。

 中にあったのは、私と別れてからも引き続きやっていたであろう聖遺物の研究に付いてや、後はアイツが手駒として使っていた雪音クリスと、彼女が所持しているシンフォギアである『イチイバル』について。

 ネフシュタンの事もあって、さっき見た神の資料よりもさらに事細かな事が書かれてある。

 

「これは…?」

「カ・ディンギル…例の『ルナアタック』で使われたという巨大な荷電粒子砲か。自分達の本部に偽装する形で建造されていたとは、あいつらも想像もしていなかっただろうな」

「普通はそうでしょ。誰が自分たちの拠点にいつの間にか敵の切り札が隠されてると思うよ」

 

 『灯台下暗し』とはよく言ったものだ。

 だからこそ隠し通せたとも言えるが。

 

「こっちはまた別の事が書いてある。えっと…『バラルの呪詛』? 月が人間の思考と言語を分断する監視装置?」

「あぁ…聞いたことがあるな。確か…神々とも呼べる種族である『アンナヌキ』によって世界にばら撒かれた人類同士の相互理解を阻む呪い…だったか?」

「思い出した。『原罪』って呼ばれてるアレね」

 

 今の私には必要ないと思って頭の片隅に追いやっていた。

 これを見なけりゃ、ずっと忘れっぱなしだったかもしれない。

 

「成る程な…これがお前の計画の全貌だったって訳か」

 

 アイツの計画を阻止した弦十郎たちも、ここまでの情報は持っていないだろう。

 あくまで本人から見聞きした情報ぐらいしか持ってないから、ここを調査したんだろうしな。

 

「えっと…あった」

「どうした?」

「ここに入ってる情報、持って帰ろうと思って。いつも念の為と思って持ち歩いてる空のUSBメモリを使うんだよ」

「そんな物を持ってたのか。因みに、どれぐらい入るんだ?」

「私お手製の魔改造品だから100TBは余裕」

「やり過ぎだ。どれだけ情報に飢えてるんだお前は」

「今の世、情報こそが最大の力にして最高の宝だよ」

 

 時には情報一つに莫大な金を払うような奴だっているんだから。

 形ある物よりも、形無き情報の方が貴重になるってのは皮肉だよな。

 

「はい、ブスっとな。内部データを吸い上げながらも、情報収集作業は続行しますよーっと」

 

 今度はどこを見てみますかねー。

 ん? これは…?

 

「日記…? のようにも見えるが…誰かに当てたメッセージのようにも見える。これは…」

「…中を確認する」

 

 もしも本当に日記だったのなら、すぐに閉じればいい。

 だけど、キャロルが言ったようにこれが誰かに宛てたメッセージだったのなら…。

 

「お…おい亞里亞! これはまさか…!」

「神話の時代…フィーネの時代の時の話…というか情報か…?」

 

 そこにあったのは、フィーネという一人の女の決意の物語。

 恋に生き、恋の為に戦った孤独な女の。

 

「バベルの塔…まさか自分達のご先祖様がその建設者だったとはな…」

「それが破壊されたことで世界中に『呪い』が巻き散らかされ、それが俗に言う『バラルの呪詛』か…」

「了子…っていうか、フィーネの真の目的は、『呪詛』の発生源である月にある遺跡を破壊して、呪いを解く事だったのか…」

 

 それにしたってやることのスケールが大き過ぎる。

 もっとスマートに出来なかったのか?

 

「なぁ…今思ったんだが…」

「お前の妹がフィーネの子孫だったのなら、その姉であるお前も同じようにフィーネの子孫だったってことだよな?」

「一応ね。けど、私じゃなくて妹である了子の方が覚醒してしまった。ま、仕方がない事だけど」

「どういう意味だ?」

「フィーネの子孫の遺伝子には、アウフヴァッヘン波形に触れた瞬間に歴代のフィーネの記憶を継承した人格が出現するように細工してあったんだ。私も了子と一緒に聖遺物の研究をしていたけど、それはまだシンフォギアが完成する前。私がアメリカに行ってから『とある聖遺物』の起動実験をしたことが切っ掛けとなってフィーネが覚醒したってわけ」

 

 その『とある聖遺物』を持っている奴は、その事を知らないだろうけど。

 

「じゃあ…場合によっては亞里亞がフィーネになっていた可能性もあるのか…」

「かもね。でも、それはあくまで『もしも』の話だよ。考えても意味が無い」

 

 もし私がフィーネになっていたら、マジでこの世界は終わっていたかもしれないな。

 だって、私は了子みたいに甘くはないし、何をするにも躊躇はしない。

 なにより、素の了子では絶対に私は止められない。

 

「んでこっちには…ノイズについて?」

 

 試しに覗いてみると、そこには今までずっと謎に包まれていたノイズに正体に付いて記載されていた。

 別にそこまでの興味は無いが、一応見てみる事に。

 

「成る程…そう言う事か」

「オレもノイズの構造などは知っているし、それを基にした『アルカ・ノイズ』の製造に成功してはいるが…その根源に付いては知らなかった。まさか、こんな事だとはな…」

 

 先史文明の人類が生み出した『最高にエコロジーな殺戮兵器』…か。

 しかも、『バビロニアの宝物庫』がある限り無限増殖するって…。

 どんだけチートな兵器を作りやがったんだ。

 それも今では存在しないんだけど。

 あの小娘たちが『ソロモンの杖』ごと宝物庫の中身を消し飛ばしたらしいから。

 

「多分だけど、アルカ・ノイズはキャロルだけの専売特許じゃないぞ」

「なんだと?」

「よくよく考えたら分かる事だ。キャロルに出来るなら私にもアルカ・ノイズは作れる。そして、私にも作れるって事は当然……」

「『あの男』にも製造可能…か」

「そ。趣味嗜好は最低だけど、その頭脳と技術は本物だ。私達に出来る事が『アイツ』に出来ない道理は無い」

 

 あー…なんか顔を思い出したら腹立ってきた。

 もしもまた会う機会があったら、開口一番に顔面キックしてやろう。

 

「んあ? この日記っぽいのの奥にまだ何か隠されてる。これって…ビデオメール…か?」

 

 この日付…だいぶ前だな。

 まだ私がアメリカにいた頃…ルナアタックが起きた年に撮られた物か。

 

「見るのか?」

「そりゃね」

 

 私はそのビデオメールを開封して再生してみる事に。

 

 …これが、これからの私の人生を決定づける切っ掛けになるとは、この時の私は全く思っていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

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