永遠を生きる   作:影後

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世界の敵、仮面ライダーエターナルは倒された。
そのはずだった、しかし……舞い戻る。
永遠は〘永遠〙だから永遠たるのだ。




Eの再来/絶望の帰還

〘エターナル〙

 

「まったく…世話の焼ける妹分だ」

 

黒に侵蝕された蒼炎を嘲笑いながら男はトンネルに入る列車を見つめる。

 

「行くか」

 

マシンエターナル(ハードボイルダーをエターナル仕様に改造した代物)に跨り、草木の生い茂る山を下る。

 

「……やるか」

 

列車を襲っているノイズ達を破壊する。

恐らく男は検出されるだろうが、今は仕方ない。

 

「……随分と遊んでいるようだな、クリス。お人好し…いや立花響」

 

「なっ…エターナル?!」

 

「エターナルさん?!生きてたんですか!?」

 

「列車に乗ってろ、今だけは援護してやる」

 

〘バード〙

 

マシンエターナルを自動操縦にし、T2バードメモリを使い空を飛ぶ。

 

「真似事だが……出来るか?」

 

ジャケットにT2ルナメモリとT2トリガーメモリを入れマキシマムドライブを起こす。

 

「トリガー…フルバースト」

 

金色の弾丸がノイズ達を駆逐する。

ソレは弾道を曲げながら、あり得ない射撃を行う。

 

「すげぇ……」

 

数は減った、これ以上援護する理由もないだろう。男、いやエターナルはエターナルローブをたなびかせ、列車へと着地する。

 

「地獄を楽しみな」

 

サムズダウンと共に爆発先を見つめるエターナル、クリスと響はそこに変わらない何かを感じる。

 

「待てよ……」

 

エターナルがまるで、仕事は終わりだとでも言いたげに、飛び降りようとした時、イチイバルの銃口が向けられる。

 

「なんで……なんで……裏切った」

 

「さぁな……悪役は……彼奴には似合わねぇよ」

 

「待て!」

 

列車から飛び下り、マシンエターナルにのる。

あの二人の任務は列車の護衛だったはずであり、エターナルを追跡という物は含まれていない。

それに、追いかける余裕はない。

 

「………世界はまた動き出す、その時、永遠は俺とあの女。どっちに微笑む?」

 

侵蝕された黒がそれよりも濃い、蒼炎に灼き尽くされる。

エターナルは呑まれない、永遠は彼という存在ねのだから。

 

 

――――

 

「……クリスちゃん」

 

「………関係ねぇよ、私には」

 

響にはクリスの言葉が嘘だとわかる、理解できないのだろう。

話は聞いたことがある、出会いも、全て。

恩人であり、裏切り者。

家族であり、実の兄の様に慕っていたと響は記憶していた。

 

「大丈夫だよ、エターナルさんなら」

 

「……そうだな」

 

クリスの悲しげな笑いが、響の心に深く残った。

 

―――――

 

「……ただいまと、今いるかな」

 

近くのスーパーで適当な物を買い漁り、愛娘の待つ家に戻る。

 

「パパ?」

 

「ひさしぶり、桃季。元気にしてたかい?」

 

「うん!お母さんとお留守番してたよ!」

 

俺は一瞬、嫌な予感を感じながら玄関に来る女性の気配を理解する。

 

「桃季、どうし……」

 

「………お母さん?お前がか、」

 

案の定、見覚えのある髪の女がエプロンをつけて立っている。変装用の茶色いウィッグを付け、愛娘からお母さんと呼ばれている。

 

「……帰ってきたのかよ」

 

「お前こそ、ココは俺と桃季の家だぞ」

 

なんとも言えない空気が混ざりあい、おかしくなっていく。

桃李は俺に抱きつきつつ、首を傾げている。

 

「土産だ、いるか?」

 

「出張だもんな!」

 

何処か怒気を含んだ声でそう言われ、どうしようもなくなる。

 

「夕食はできてる、さっさと」

 

「お前が?料理?マジで??」

 

「………」

 

「お母さんのハンバーグ美味しんだよ!」

 

「パパよりもか?」

 

「うん!」

 

何処か苦しい、そして何故か俺に勝ったとでも言いたげな表情で奏が見ている。

 

「ほら、さっさと食べちゃいなさい」

 

食卓に座り、用意された食事を食べる。

シーザーサラダ、ハンバーグ、白米、ネギの味噌汁。至って普通の食事だ。

 

「パパ、トマト食べて」

 

「なら、パパの卵食べてくれないか?」

 

「こら、好き嫌いしない!お前も」

 

「卵は駄目だ!だめなんだ、あの口に入れた瞬間の嗚咽感と、気持ち悪さ」

 

「……卵料理もか?」

 

「いや、目玉焼き、生卵、ゆで卵、それ以外なら行ける」

 

「好き嫌いじゃないか」

 

「黙れ、魂に刻まれたものだ。どう足掻いても無理だった。何度、母さんに…」

 

「お父さんのお母さんって、おばあちゃん?」

 

「あっ…まぁ…そうだね」

 

「おばあちゃんに会ってみたい!」

 

この肉体の記憶では既に祖父母は死んでいる。母方の方とも連絡は取っておらず、相手方も知らないようだ。

 

「……そうだな、お義母さんに会ってみるか?」

 

「ゲホッゲホッ!」

 

吐きはしないが喉に詰まる、今この女は何と言いやがった?

 

「お義母さんだよ、お・か・あ・さ・ん」

 

「止めろ、字によっては笑えんぞ」

 

そんな会話を続いていた時だ、家の付近で爆発と悲鳴が上がる。

 

「パ……パ?」

 

「どうする」

 

「桃季、奏と居るんだ。良いね?」

 

「パパは」

 

「お仕事だ、今から見るのは家族の秘密だぞ?」

 

《ジョーカー》

 

「変身」

 

《ジョーカー》

 

「行くぜ?」

 

仮面ライダージョーカーは外に出ると、得意の徒手空拳でノイズを破壊していく。

 

「まったく、ハードボイルドに決めるぜ?」

 

《ジョーカー マキシマムドライブ》

 

「ライダー…パンチ」

 

巨大なノイズを拳の一撃で破壊するその様は、俺が普段変身するエターナルとは違った感覚を感じる。何処か運命めいた、エターナルとは違った運命を。

 

「……エターナル?」

 

「よぉ、クレイジーガール。何時にもまして機嫌が良さそうだな」

 

「黙れ、他にノイズはいないのか?」

 

「さぁな、見てねぇな。俺はさっさと」

 

「待て」

 

俺は直ぐ様、ジョーカーメモリを再びマキシマムドライブできるように待機する。

 

「クリスと響の援護、感謝する」

 

それは、あの小娘なりの感謝の言葉だった。

殺し合い以外、した覚えはないが、それ相応の行動はできるらしい。

 

「俺がエターナルじゃなくて良かったな、クレイジーガール。じゃあな」

 

マシンエターナルに乗り込み、俺は再び家に戻った。

 

「パパ!」

 

「ただいまっと」

 

「帰ったんだな」

 

「防人にあったぞ?まさか、俺に感謝の言葉を言うとは思わなかった。偽物かと疑ったぞ」

 

「お前が居ない間に色々あったんだよ」

 

ぶっきらぼうに言われるが、正直敵対組織の内情等どうでも良い。

エターナル、俺が動けば日本は動く。

そしたら、もう一度殺し合いの始まりだ。

 

「ったく」

 

「そうだ、お前が居ない間に」

 

桃季が描いた絵だ、そこではパパ、ママ、とーりと書かれた3人が手を繋いでいる。

 

「……お前と……俺が?」

 

「なんだ、不満か?」

 

「餓鬼に欲情するかよ」

 

「あ?」

 

「桃季は任せたと言ったが、母親までやるとはな。奏、感謝はする。だが……忘れるな、お前は信用するが、お前の組織は信用しない」

 

「フィーネもいるのにか?」

 

「…ちっ」

 

ソレを言い出されたら此方としては何も言えない。血の繋がりはないが、魂の繋がりのある母親。当時の記憶も朧気ながら思い出してはいる。

 

「明日だ、ソレ以降お前の組織と関わるつもりはないからな」

 

「ったく」

 

そう言って俺は自室に向かう、良く桃季と添い寝をしていたが、どうせ奏がいる。

問題はないだろう。

 

「……屋敷から装備の回収は必要か?」

 

そもそも住宅街から消える必要があるかもしれない。適当な土地を買い、屋敷と家の2つの拠点を使い分ける必要はある。

 

「……屋敷の掃除か」

 

もういっそ、屋敷に引っ越したほうが速いまである。桃季の友達関係は悲しいことに知らない、もしかすると悲しませる結果になるかもしれん。

 

「パパ?」

 

「桃季、どうした?」

 

「……パパ!」

 

「おっと」

 

ダイブしてくる桃季、ソレを抱き締め頭を撫でる。

 

「桃季ね、沢山お留守番したよ!お母さんが居ないときも!寂しくなかったよ!」

 

「……そうか、偉いぞ。偉いぞ、桃季」

 

「だから…えっと……おばあちゃんに会いたい!」

 

「……わかった。ついでに遊園地行こうな」

 

「うん!パパ!あとね」

 

「ん?」

 

「ぎゅーーー!パパ、大好き!」

 

「そうか、パパも大好きだぞ」

 

桃季の頭を撫で、思考する。

 

「車、買うか」

 

バイクだけじゃ移動は不便だ。

個人で動くなら良いが、家族ではどうしても。

 

「まったく………」

 

《エターナル》

 

「変身」

 

《エターナル》

 

「下らない理由でか、くそ……」

 

俺は電波塔に向かい、ハッキングを開始する。

奴等は日本の組織だ、日本国内の何処かに居る。

 

「……監視カメラに反応がない」

 

検索に引っかからず、焦るが埠頭で立花響の姿を一瞬見る。

 

「……船か?面倒だ、さっさと終えるか」

 

キーワード

 

特異災害対策機動部二課 基地 フィーネ

 

「……日本にそんな予算があったとはな」

 

 

新造された次世代型潜水艦。

機密性と機動性を大幅に強化している。

艦内には、 医療施設や生活居住区、娯楽施設までもが設けられており、 作戦遂行における長期間の搭乗であっても、 職員たちの健康を損なわないよう配慮されている。

 

「地上に居ないわけだ、モグラから……深海生物か、お前達は」

 

俺は現在位置を掴んでいる。

移動しても、スクリュー音で見つけられる。

水は、空気よりも音を響かせる。

スタッグフォンでリボルギャリーを呼び出し、埠頭に向かう。

そして、エターナルスプラッシャーへと換装し、水中へと潜行する。

 

「やることはテロリストか……慣れている」

 

隠密性と機動性に特化させたのが運の尽きだ。

魚雷は発射されず、ハードスプラッシャーが隣についても反応はない。

 

《ゾーン》

 

最初から使えば良いと思われるかもしれないが、ゾーンでも座標をチキンと理解していないと厳しい。屋敷などの座標は頭に入っているが、この様に動き回るターゲットにはせいぜい扉越しに使う程度に留めている。

 

「テレポーテーションの失敗なぞ、笑えん」

 

「……エターナル」

 

「何故お前が居る、間が悪すぎるぞ。小娘」

 

「なっ、てめぇ」

 

臨戦態勢で俺に銃口を構えるクリス。

 

「良いのか、沈むぞ。この潜水艦がな」

 

「……何しに来たんだよ」

 

エターナルメモリを抜き、ダミーで自身の見た目を変える。服装をSONGの制服へと変え、誤魔化すだけだが。

 

「フィーネに、母さんに会いに来た。どうせ俺のもう一つの顔も割れてんだろ」

 

「……知ってるのはアタシとフィーネだけだぞ」

 

「……俺の娘、桃季がおばあちゃんに会いたいってな。明日、合わせる」

 

「急だな!お前!!」

 

「娘のためだ、奏が騒ぐ程度ならするかよ」

 

「子煩悩かよ」

 

「お前が言うか、両親とは会ったのか」

 

「ん?定期的に合ってるぞ。パパもママも、誰かさんの起こしたテロで被災した場所巡ってる。演奏して、勇気付けて」

 

「……そうか、無駄な事を良くやるな」

 

クリスはその言葉を発した瞬間の俺を見たのだろうか。

怯えている、俺がどんな顔をしていたのだろうか。俺は、今、何を口走ったのだろうか。

 

「どうした」

 

「……なんでもない」

 

「そうか、子供が……そんな顔をするもんじゃない」

 

頭を撫でてやれば子供じゃないと突っぱねる。

 

「なぁ、お前は」

 

「……なんだ」

 

「どっちが本当のお前なんだ」

 

意味がわからなかった。

本当の自分、そんなものはない。

俺は俺だ。

 

「お前の前に立つのが俺だ、それ以上でもそれ以下でもない」

 

「……こっちだ」

 

様子のおかしいクリスに案内され、ついたのは監視された研究室。

 

「……どなた?」

 

「……俺だ」 

 

母さん、なんて言えなかった。

だが……フィーネは俺の声を聞いた瞬間、抱き締めてくれる。

 

「すまない……私が、私がお前を……手離したばかりに…すまない………」

 

「…………響鬼、奇遇だよな。彼奴と同じ名前だ」

 

「それが、今の貴方の名前」

 

「そういうアンタは櫻井涼子だろう。名前なんて、個人を示すものでしかない。俺は、俺の本当の名前を、アンタから聞いてないんでな」

 

抱き締める事もできなかった、腕が上がらなかった。あげられなかった。

 

「……蓮花、レンカ。片隅で良い、覚えておいて。貴方の……名前を」

 

呟かれた、ただそれだけのはずなのに、立っていられない。足に力が入らない。

 

「何故……涙が止まらない………俺は………」

 

「エターナル、お前、やっぱり優しいんだよ。優しくて、痛めつけられて、壊れちまった。でも!残ってるんだよ。お前の心のなかに」

 

「…クリス」

 

鼓動が加速する、目の前の、俺を抱きしめる女性に始めて、俺は自分の意志で言えた。

 

「母さん」

 

 

 

 

「それで、なんで来たのかしら」

 

目元を拭い、じっと座る自分の母親を見る。

 

「娘と会ってほしい、母さんに会いたいって」

 

「……急に言うわね」

 

「だろ、俺もそういったのに」

 

「良いわ、息子の頼みだもの。私の監視に一人つくけど、まぁ、彼も理解してくれる筈だし」

 

「……嫌な予感がするが聞きはしない」

 

「良かったわ、それとエターナルの正体がバレても良いわよね」

 

「バレたら此方も仕返しを行うだけだ、ライブの真実。この国に対するカウンターなら腐る程ある」

 

「そうね、クリスも連れて行くわよ。丁度いいし」

 

「……いや、駄目だろ。アタシ等は」

 

「生き抜きなさい、お母様とお父様に手紙は書いてるの?」

 

「電話してるから良いんだよ!アンタはアタシの親戚かよ!」

 

微笑ましい、この日常を俺は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

守りたい

破壊する

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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