2ヶ月後…
響は、課題のレポートを提出し、未来と共に流れ星を見る約束を果たそうとしていた。しかし、無常にも二課から通信が。ノイズが出現したのだ。響は未来に行けない事を伝える。通信を切り、響は駅の地下への入り口にいたノイズの群れを怒りに満ちた目で睨みつける。そして彼女は歌う。
「Balwisyall Nescell gungnir tron」
聖詠と共にギアを纏う響。そして歌を口ずさみながらノイズの群れに突っ込む。一月前まで日常にいた少女は、がむしゃらにノイズに向けて拳を振るう。
「見たかった…流れ星…見たかった!未来と一緒に…流れ星見たかった!うおおおおおおおおお!!」
唯一無二の親友との約束を破る原因を作ったノイズに怒りをぶちまける。更に壁を殴りつけ、怒りを加速化させる。
「あんたたちが…!誰かの約束を侵し…嘘の無い言葉を…!争いの無い世界を…!何でもない日常を…剥奪すると!いうのなら!!」
その時、不思議な事が起こった。
怒りで我を忘れ、響の顔が真っ黒になったのだ。どす黒いオーラを纏わせながら、ノイズに迫る。そこから響の蹂躙が始まった。ノイズを引き裂き、投げつけ、戦いに飢えた獣の如くノイズを狩り、醜悪な笑みを浮かべ、踏みつける。その時、前方からブドウ型のノイズの爆弾が迫ってきた。響がそれを腕で防ぐと、顔は元に戻り、我に帰っていた。そこには先程までの鬼を越えた悪魔の顔は無かった。
「待ちなさい!」
地下鉄の駅に逃げ込んだブドウ型ノイズを追う響。しかし、ノイズは爆弾で天井に穴を空け、外へ逃げたした。すると、夜空に一筋の光が。
「流れ星…?」
と言うには光には禍々しい光だ。正に《狂星》狂い、憎しみにまみれた存在。いや、違う。風鳴翼だ。流星の如く空から蒼ノ一閃でブドウ型ノイズを切り裂き、爆弾と共に炭化した。ただ、違うのは彼女の天羽々斬は赤く染まり、禍々しさを纏っている。響がみた蒼き気高い姿はもうない。
「フフフッ…流石ね響。何時かはツヴァイウィングの片翼になるかもね」
「はい!翼さんの隣に立てるよう頑張ります!」
「奏も帰ってこれば良いのに」
艶美な笑みを浮かべながら、ノイズを殲滅する翼。その姿には見るものを魅力し、狂わせる魅力があった。慈しむ様に翼は響を見つめていると、
「気持ち悪いな、私はお前みたいな気持ち悪いやつを見たことねぇよ」
乱暴な口調の少女の声が聞こえる。その時、雲が晴れ、満月が顔を出す。そして、足音と共に白い鎧に緑色のバイザー、ピンク色の鞭を持った長い髪に銀髪の少女が現れる。それを見た翼は目を見開き、声を漏らす。
「ネフシュタンの…鎧…!?」
その頃、二課の指令部では急遽現れたシンフォギアとその装者に対し慌てた対応をしていた。
code:Nehushtan
二課にとって、これはただのシンフォギアではない。モニターに映し出された文字を見て、弦十郎は声を上げる。
「馬鹿な…!現場に急行する!何としてでも、鎧を確保するんだ!」
それを聞いた了子も頷く。しかし、その顔には小さな、本当に小さな歪みがあった。
「へぇ…?てことはあんた、この鎧の出自を知ってんだ?」
銀髪の少女は翼に向けて言う。
「2年前、私の不始末で奪われた物を忘れるものか!何より、あの一件が無ければ…奏は!」
ネフシュタンの少女と歪み合う翼、それを離れて見ている。者が二人いた。
「…完全に壊れたな、お前はどう思う?」
「なぁ、鶴見。翼は、ソレニ」
「……行くぞ、二人が争う前に止める。無理なら待ってろ、俺が終わらせてやる」
鶴見と呼ばれたライダースジャケットを着ている男は立っていたビルから駆け出す。
「…変身」
ビルから跳ぶと同時に懐からガイアメモリを取り出す。
《エターナル》
《エターナル》
ロストドライバーにガイアメモリを挿入する。肉体が変化し、彼の姿は白く赤い炎を纏う姿が現れた。
「お前は!」
「アンタは!」
一つは憎悪、もう一つは希望を望んだ様な視線に晒される。
「…さぁ、地獄を楽しみな」
エターナルエッジとエターナルマグナムをそれぞれにむけて構える。ここで俺と敵対するなら、俺は二人を倒すだけだ。
「久し振りだな、クソガキ。生きてたようで何よりだ。風鳴翼、中々面白い姿になったな。地獄を楽しんでいるようで何よりだ」
俺は軽口を言いながら警戒する。
「殺したいなら思い出せ?俺はお前に斬られようが再生した化け物って事を」
確実に言える、このクソガキの狙いは翼か響のどっちかだ。クソガキが俺に何もしないのは少なからず恩義を感じてるってところか?
「クソガキ、聞かせろ。てめぇの獲物はどっちだ」
「なっ…いや、そっちのだけど」
「…立花響だったか、そう言う事か。いいぜ?今回だけはお前に協力してやるよ。俺にとって、二課は敵だからな」
俺は選んだ、どっちが正しいか。だが、そんなのは関係ない。どっちが良いか?武器を構えてない奴に決まってる。
「エターナルさん」
「…悪いな、立花。俺としては、後から斬りかかる狂った女と昔助けたクソガキなら、昔助けたクソガキにつくぜ?」
「クソガキじゃねぇ!」
「わんわん泣いてた子供が言うな」
軽口を言いつつもエターナルエッジとエターナルマグナムを構える。隣の小娘も、武器を構えている。
「さて、風鳴翼。やろうか」
「…響は渡さない」
「そうかよ!」
俺がエターナルエッジで斬りかかると、天羽々斬で受け止める。しかし、その好きにエターナルマグナムの引き金を何度も引く。
「ぐぅう!」
「小娘!」
「小娘言うな!」
鞭を翼にむけて放つ小娘、武器の扱いに長けているようで鞭で翼の天羽々斬を弾いている。
「ぐっ!」
「たかが2年程扱っていた程度で私に叶うものか!」
しかし、段々と押されているようにも見える。これは経験の差としか言いようがない。
「ギャァ!」
「大丈夫か?小娘」
葉鹿れた小娘を抱きかかえる。おかしい、風鳴翼の実力が上がっている。まるでドーピングをしたかの様に急に上がった。
「どうした?今度は来ないのか、エターナル」
気配が変わった。隣りにいる立花響も風鳴翼の変化に気がついた様だ。この1ヶ月、二課の監視はしていなかった。ノイズの殲滅と奏のメディカルケアに努めたのが不味かったかもしれない。
「…こい、小娘。立花を連れて行くのは諦めろ。コレは、不味い」
「…わかった、アンタに従う」
小娘はシンフォギアで上空へと消えた。目の前には血走った様な目をし、俺を刈り取ろうとしている風鳴翼。
「疾!」
「なに」
常人では有り得ない様な加速、そのタックルが俺の肉体を吹き飛ばした。俺の、エターナルの装甲が砕け、血が滲んでいる。肋が折れているのだろうか、脇腹も痛む。だが、それ以上に有り得ない物が存在している。見覚えのあるUSBメモリ、俺以外に存在する筈のない力。
「…その力、何処で手に入れた」
「知ったこと?」
《エターナル》
左胸に現れるメモリスロットにエターナルメモリを挿し込む翼、その姿はエターナルに似つつ、ドーパントの様にも見える。シンフォギアとドーパントの融合。そんな事ができたことに驚きが隠せない。
「…本当に嫌ね、お前に似ていることが!」
「く!お前!メモリに呑まれるぞ!」
T2ガイアメモリのハズがない、だとするとT1ガイアメモリしかし、製造方法は俺以外に知るはずのない力だ。
「リーチは此方が上よ」
「舐めるな!」
エターナルマグナムを翼に撃ち込むが、天羽々斬に防がれる。俺と違うエターナル、だがT2のエターナルメモリなら可能なはずだ。
「その力、危険すぎるな!」
俺は無力化から殺害へ意識を変え、エターナルエッジとマグナムを握りしめた。