が、好き。
「よ」
「よ」
一言だけで挨拶を済ませる俺達は多分変人かなんかだろうとわかる。
しかし、それは言葉にしなくても大丈夫な程に相手の事がわかるという事だ。
そこまで付き合いの長い俺達は目があっただけでどこへ行くのかがわかる。
行き場所は………
「ふむ………」
「よし………」
プラモ売り場だ。
俺が好きなのはカウボーイビバップの模型だ。ハンマーヘッドがお気に入りでもあるが、やはり主人公機。あのカノンは本当に良い(知らない人を置いていくスタイル)
それも買うのだが、それ以外にも買いたいものがある。
それは………
「ホワァ……、」
「わぁ〜……、」
30/1スケールキットのνガンダム………ではなくR×Rディアストーカープラモデルだ。
さて、この作品が出てきた所で気が付いた人は居るのだろうか?居ないのかもしれない。
まあそんな事はどうでもいい。買う。とにかく買う。
手にはハンマーヘッド、レッドテイル、ソードフィッシュII、ディアストーカーR²、30/1スケールのνガンダム………
「おい」
「………」
マジカヨコイツ。これ目当てらしい。
値段は………15万………
しかたねぇ。出すか。
さて、俺の財布が寒冷期を迎えた所で帰り道。いつの間にか持ってきたらしい業務用カートに積んで車の中へとプラモを入れていく。なんで車で来たのかわからないが、コイツの事だ。思考能力だけはずば抜けているからな。どっかで勘づいたんだろ。
さて、帰るか。
帰り道も静かなもんだ。俺はいつも流す曲を変えて静かな曲にした。といってもフリージャズからナイトジャズに変わっただけだが。
そんな帰り道。突然後ろから猛スピードで走る車を見た。確実にヤバイ。停車して様子を見ようとしたその時だった。
進路をこっちに変えて突っ込んできた。
すぐにアクセルを踏んだが間に合わず。急発進時のウイリー状態も相まって激突した瞬間宙に浮いて回転していた。
ヤバイ。確実に。
そう思った瞬間だろうか?助手席に座っていた彼を守るように身体が勝手に動いた。
そして、俺は気絶した。
――
目が覚めた時はシートベルトにより宙ぶらりんにされたまんまだった。
シートベルトを外して地面に落ちる。
やはり横転して逆さまになっていたようだ。
友人も目が覚めたらしく、シートベルトを外そうと四苦八苦する。
しかし、先程の衝撃で壊れたのかなかなか外れない。見てみるとシートベルトの金具が折れ曲がっていた。
俺が手を貸すとすぐに外れ、友人はうめき声を出して落ちた。
そんな事より早く逃げなければ………安全とわかったらプラモも取り出さないと………
しかし、友人は命よりプラモらしい。俺より早く車外へ出ると後ろの方へと行った。
「バカ!」
久しぶりに叫んだ言葉がバカなのは致し方無いだろう。
とにかく危ない。早く連れ戻さなければ。
すぐに俺も車外へ出て友人を強引に引っ張って車から離れる。
ある程度離れると落ち着いたのか友人が地面に座った。俺はすぐに警察に電話した。友人は見た感じ大きな怪我はしていないようだ。多分重症なのはこっちだろう。
さっきから左腕が痺れて動かない。アドレナリンが収まってきたのか痛みも来た。
そうしているとどんどん野次馬が集まってきた。見世物じゃない。見るな。撮るな。やめろ………
友人をふと見ると唇を噛んでいた。俺と同じように嫌がっている。
友人も俺も複雑な家庭環境から産まれたからこういった視線や行為には人一倍敏感で嫌悪する。
くそったれが………そう思っていると野次馬の中に怪しげな人が居た。
こっちをチロチロ見ては焦っているかのような………捕まえたい、だがしかし。友人が限界がここで俺が離れたらどうなるか俺にすらわからない。
そうして無視していた………いや、してしまった。
「し、シネ!!」
突然その男がナイフを持って来たと思ったら友人を刺そうとした。
突然の事に俺はわけもわからず、言葉の意味を理解した時には迎撃する距離ではなかった。
俺の選択肢は2つ。
身代わりになるか、ならないかだ。
なら、選択肢は一つだ。
「ガハッ………」
胸に激痛が奔る。これは絶対にやってしまったな。
片膝が崩れ落ちる。
だが、ここで倒れる訳にはいかない。
ナイフを強引に奪うと抜いて刺した。
『確認しました。スキル【
ああ、もう駄目だ。これ以上は……しかし、これで大丈夫だ。視界に血が飛ぶ様子が写った。
ああ………できればコイツの未来の姿を見たかったな………
『確認しました。エクストラスキル【未来予知】を獲得……成功しました』
未来予知か………それができたら俺達が本当に機械になる世界でも見えるのかもな………そうなれば面白いな。
『確認しました。エクストラスキル【未来予知】を進化させます……成功しました。エクストラスキル【未来予知】はユニークスキル【
『確認しました。機械生命体を基礎とした下級異界生命体の作成を開始………失敗しました。理論上可能な機械生命体を検索………確認。機械生命体【】を作成します』
ああクソ。出来ればロボットに乗れるまでは生きていたかった………自分で作るっていう夢も、もう叶えられないか………
『確認しました。ユニークスキル【
うるさい………ああ糞ったれ。でも、もう聞こえないのか。
俺の目は
俺の耳は
俺の………俺の
もう、会えないのか……
いや、思考能力は継続だ。まだ生きている?
どういう事だ?いや、生きてるなら多分病院か?
じゃあナースコールを……目が開かないのか。
とりあえずどうすれば………ん?この感触は……土?
今……俺は土に顔を突っ込んでるのか?
ウッソだろ!?起き上がらないと!!
「プハ!………え………」
その場所は記憶に見たことのない洞窟だった。
何故か明るく、光輝く奥深くの洞窟………
ああ、ここは地獄なのか。
俺は少しそう想像してしまった。
まあ、結論から言うと違った。
ここは地獄じゃなかった。
現実だ。
だが、それならこの身体は何なのかと言いたい。
人のように見えて違う。
腕はぷにぷにしてはいるが転んでも傷一つ付かない。試しに切ろうとしても痛みも傷も無かった。
それが全身。そして、力も凄かった。
全力でないにしても少し力を出すだけで岩を破壊する。
おれは……どうなったんだ?
『解。転生したと思われます』
うお!?な、なんだこの声は!?
「……誰だ」
ヤッベ。威圧的になったわ。
『解。機械生命体付属のAIプログラムユニット【アース】です。これからよろしくお願いしますマスター』
「……よろしく」
ふむふむ。つまり俺はその機械生命体とやらになったと。とりあえずどんな事が出来るか聞いてみるか。
「アース。君はどんな事が出来るの?」
『解。現段階にてアースはマスターの完璧な補助を目的としており、しかしながら不完全な為サポート出来る範囲が限られておりますが、現段階でサポート可能と思われるものは知識、並列処理、戦闘等。マスターが現在求めているものは全て出来ると思われます。ただし、再度忠告させていただきますが、不完全な為経験値が不足しております。なので、完璧なサポートの為に沢山の会話が必要です』
「………………」
アッハイ。
めっちゃ長かった。すっごい長かった。
しかし、ここはどこなんだろうか………
「アース。ここはどこ?」
『解。データベースから検索しましたが、ヒットするデータがありません。スキャンを提案します』
「お願い」
すると視界が突然変わった。青色の世界を波紋が走り数値化していく。これは一体……
『現在スキャンモードをしております。歩いてマッピングを開始してください』
そう言われ、歩いていた。
のだが………
「聞こえるか小さき者よ」
( 'ω')ふぁっ龍居るやんけ
『あ』
おい。いま『あ』って言ったよな。おい。アース?おい。
「吾を無視するとは良い度胸だな小さき者よ」
あ、ごめん。
「あ〜あ〜。ヴン。ごめん。無視しちゃって。それで、貴方の名前は?」
そう言うと龍は突然嬉々とした表情でクソデカボイス自己紹介をしたのだ………小膜に注意して聞いてくれな。
「我が名は暴風竜ヴェルドラ!!この世に4体のみ存在する”龍種”が1体である!!クァーーーーハハハハ!!」
ウルセェ!?
「煩い。帰る」
「あ、待て!行くな行くな!」
――
そこからこの暴風竜ヴェルドラと話してみたが、普通に話し好きの良い奴であった。しかも親切。モテてるねこれは。
ただ、良い奴過ぎてちょっと苦手というか……お喋り好きは苦手意識があるのでちょっと困ったりする。が、まあ暴風竜なんて名が付く程の者だ。それがどうしてここに来たのか聞いてみた事がある。
「ふむ、実はな。300年前に勇者と戦い、負けてしまってな。そのまま封印されて以来このままよ」
なんとこの龍。封印されて300年間もここに居るのだという。
こんなにお喋り好きが300年も封印されているのだ。
しかし………
「ねえ、まさかその勇者が女だったから見とれて負けたの?」
「ばっ……!?そんなわけなかろう!!」
ふ〜ん……本当に?
「やや小柄でほっそりしていて白い肌に黒銀の髪を一つにまとめていて真紅の小さな唇……お主と同じくらい可愛かったぞ」
………
「え、可愛い?」
そういや自分の身体見たことないな。
『解。魔力感知により俯瞰視点から身体の観測が可能です』
「じゃあやって」
目を瞑り魔力感知とやらのスキルに従って意識を客観的に見る感覚にする。
するとそこにはとんでもない美少女が居た。そこに存在していたのだ。
中学生並の身体、細い体付きに白い華麗な肌。白色の薄く艶のある髪が腰まで流れ、何も来てない全裸の身体………身体?
あ、なるほど。これあれだ。攻殻機動隊の全身義体のカリスマ美人問題隊長さんと同じだこれ。
「む?自分の体を見たことのないのか?」
「………とっても美人」
自画自賛とはいえ会ってると思う。
そうしてヴェルドラの豊富な知識により話ネタには困らなかった為、時間は過ぎていく。
そうしていると突然アースから隠れたほうがいいとの連絡を貰い、柱の影に隠れる。
すると何かががヴェルドラにぶつかった。
ポヨンポヨンと跳ねて地面に落ちたのはスライムだった……
ヴェルドラ魔力濃度が非常に高く、妖気が濃いから触る事が難しいって凄いな。知らなかった。