悲報 転生先が全ての元凶な件 作:ネオ・マフティー
朝、目が覚めたウタは、いつものようにシャンクス達に会いに向かった。
今日はフーシャ村を離れる日、ルフィと別れるのは寂しいけれど、ルフィと誓い合った新時代への思いから、またいつか会えるよねと思い、シャンクスの船、レッド・フォース号へと歩いて行った。
しかし、港に着いて見えたのは、辺り一面青く染まった海と、漁師が使う小船のみ、シャンクスの船はどこにもなかった。
「ムジカ、シャンクス達はどこに行ったの?」
シャンクス達がわたしを置いて行くはずがない。少し海に出ただけで、きっとすぐに戻ってくる。そう思いながらも、確認を込めて聞いたウタだったが、トットムジカの返した言葉は、予想に反したものだった。
…ウタを置いて行っちまったよ、シャンクス達は…
嘘だ!
約束したんだ!シャンクス達とずっと一緒にいるって!
なのに…なんで…
「なんでだよ……シャンクス!置いてかないでよ!」
今にも海に飛び込もうとするウタを止めるため、部分的に顕現しようとしたトットムジカだったが、伸びてきた手が、ウタの腕を掴んで止めたため、様子を見守ることにした。
ウタを助けたのは、シャンクスから麦わら帽子を託されたルフィだった。
「なにやってんだよ!ウタ!海に落ちたら溺れちまうだろ!」
「離してよ!ルフィ!私はシャンクスに会いに行くの!!だから!だから…」
「絶対離さねぇ!シャンクスと約束したんだ!ウタのこと守ってやるって!」
そう言ってルフィは、シャンクスとの約束について話した。
いつか、シャンクスに負けない一味を作って海賊王になること。
シャンクスから麦わら帽子を預かったこと。
そして、
「ウタは俺たちの大切な娘だ。だが、訳あって、どうしてもウタをこの村に置いて行かなくちゃならなくなった」
「だから、俺たちがいなくなった後、お前がウタを守ってやってくれないか」
なんでウタを置いて行くのか、納得できないルフィだったが、まるで死地へと向かうような、険しい顔をしているシャンクス達には何も言うことができなかった。
それでも
「わかった!ウタはおれが守ってやる!そして、いつか、立派な海賊になってウタと一緒にシャンクス達に会いに行く!!」
そう宣言したルフィにシャンクスは、頼んだぞ、ルフィ、男と男の約束だ!と笑って言って去って行ったこと。
「…シャンクスは、わたしのことを捨てた訳じゃないの?」
「そんなはずない!シャンクスは、ずっとウタのこと大事にしてた!出港する時だってそうだ!きっと…きっとなんか事情があったんだ!」
そして、ウタの手をギュッと握ったルフィは言葉を続けた。
「だからよ!おれがシャンクスの代わりにウタのこと守ってやる!そんで、いつか2人で会いに行くんだ!シャンクスのところに!」
そして海賊王におれはなる!そう言ってにしししし!!と笑うルフィに、少し心が救われたウタ。
「ねえ、ルフィは私を守ってくれるの?」
「おう!」
「私を置いて行ったりしない?」
「おう!」
「ずっと一緒にいてくれる?」
「おう!!」
言い切るルフィを前に涙を抑えられなかったウタは、ルフィへと抱きつき、シャンクスと離れ離れになった辛さや、寂しさを吐露した。すると、ルフィはギュッとウタを抱き返し、じっとその言葉を受け止めたのだった。
やがて、落ち着いたウタは、少し頬を赤らめながら、「ごめんね」とルフィに謝った。そして、立ち直ったウタは
「決めたよ!ルフィ!私ルフィと同じ船に乗って世界中を旅するの!そして、いつかシャンクスに一緒に会いに行くよ!」
そして、一緒に新時代を創ろう!そう宣言したウタにルフィは、ニカッと笑い、おう!ウタはおれの一味の最初の仲間だ!と応えた。
その日、2人は誓い合った。
夢の先へ共に歩むことを。
2人で手を繋いでマキノの酒場へと戻るウタとルフィ。
その尊くも微笑ましい2人の様子を見て、トットムジカは、これなら大丈夫そうだ!と安心して、2人の邪魔にならないように、ウタワールドへと引っ込んだ。
トットムジカには見えていなかった。一瞬目からハイライトが消えていたウタの顔が。
それから、ウタは常にルフィと一緒にいるようになった。一緒に遊んで、一緒に勝負をして、精神的には完全に立ち直ったかにも見えたが、変化は少しずつ現れ始めた。
それは、山賊達に絡まれた時、いつもなら、勝負を持ちかけるウタだったが、山賊達がルフィを傷つけると思うと、とてつもない怒りが湧いてきた。
なので、
ねえ、ムジカ、そいつら排除して!
ウ、ウタちゃん!?
ルフィを傷つける悪い奴は、みんなやっつけないとね!
そう言ってビームに薙ぎ払われる山賊達を見て笑うウタの姿に、トットムジカはメンタルケアに失敗したことを悟ってしまった。
まずい、ルフィに任せてたら何とかなると思って丸投げにしてたら、まさかここまで病んでしまうなんて…
しかしトットムジカには、何の代案も浮かんでこなかった。
早く来てくれ!シャンクス!
トットムジカは戦闘面以外まるでダメだった…
そして、ウタのルフィへの執着は、ますます深まっていくのだった…
小ネタ もしヒグマが、伝説の元海軍大将緋熊にして、山賊王ヒグマさんだったら
シャンクスをバカにされて、トットムジカを呼び出したウタ。
しぶしぶ戦う意志を見せるシャンクス、こっそりゴムゴムの実を食べるルフィ、そんな中でも、かつては緋熊と呼ばれた男、山賊王ヒグマは尊大な態度で笑っていた。
ヒグマの脳裏には、かつて、自分が唯一認めた海賊ロジャーとの命の殺り取り、短い海軍時代を共にした、ガープやセンゴク、ゼファーをボコった日々。
そして、かつて存在し、自分が滅ぼした、世界政府陸軍とかいうやつらや、酒場で調子に乗って挑んできたので、返り討ちにしてやったロックス海賊団とかいう奴らをうっすらと思い出していた。
先に動いたのはトットムジカだった。ヒグマの強さを認識した瞬間、東の海一帯を完全にウタワールドへと侵食し、島一つ簡単に消し飛ばす破壊の雨を降り注がせる。
「流星幻想曲」
しかし、ヒグマは空を裂く斬撃を、ほぼ同時に容易く放ち全ての破滅の光を撃ち落とした。さらに、世界が軋む程の覇気を纏うと、トットムジカごと海をバターのように切り裂いた。
何とかクソギミックで無効化したトットムジカ。
しかし次元をも超える見聞色を持つヒグマは、弱点を見破ると、容易くトットムジカの腕を切り裂いた。
こいつ!並行世界から斬撃持ってきて一人で同時攻撃しやがった!!
ヒグマのあまりの強さに、ついにトットムジカは禁じ手を使う。
まずはシャンクスをロジャークラスまで、強さを引き上げ、ルフィを無理やり全盛期の肉体へと成長させる。そして、
ルフィ!その悪魔の実の力の使い方を教えてやる!いわゆるチュートリアルってやつだ!
そう言って(無理やり)解放のドラムを鳴らした。
ドンドットット♪
世界を滅ぼす歌の魔王、その身に宿すはありし日の海賊王、覚醒する神、ニカの力!今、東の海の辺境で、新時代を告げる山賊の王との戦いが始まる!! ワンピースフィルムSCARLET、絶賛上映中!
※嘘です