悲報 転生先が全ての元凶な件 作:ネオ・マフティー
ルフィにすっかり依存してしまったウタ。
そんな彼女は、まるでネズキノコを食べた副作用のように、狂気度が増しつつあった。
シャンクスに甘えていた分も、ルフィに甘え、スキンシップも増していき、24時間、寝るのもお風呂も常にルフィと一緒に過ごしていた…
その様子に危機感を感じずにはいられないトットムジカだったが、戦闘面以外に大して使えない有様で、全く役に立たなかった。
しかし、そんなトットムジカの元に、もっとも望んでいた情報がもたらされた。
「新たな海の皇帝か!?赤髪のシャンクス二大勢力を破る!?」
無事だったか!シャンクス!
やっとだ!これで約束が果たせる!
フーシャ村最後の日の夜
一つ条件がある。
戦いが終わったら、ウタに会って直接置いて行った理由を説明すること。それが条件だ。
「だが、ウタに世界中から狙われていることを知らせるのは…」
親の言葉ってやつは、それよりも遥かに大事だぞ!
それに、シャンクスが世界の目を引きつけている間は大丈夫だろう。ここなら政府に狙われる心配もない。万が一の時は俺が何とかするさ。
「わかった、だがどうやって会う?俺たちは世界の目を引きつける以上、フーシャ村にはもう立ち寄れないぞ」
その点は問題ない。策がある。
ウタウタの力と俺の力、そして、シャンクスが持っているデンデンムシがあれば、例え離れていてもウタに直接会える。現実ではなく、ウタワールドでだがな。
「ほう、そんなことができるのか!」
俺にはウタちゃんを癒すことはできそうにない…だから頼んだぞ!シャンクス!
さて、サプライズの準備を始めるとしますか!
ウタちゃん、少し時間いいか?
いつものように、ルフィと一緒に遊びに行こうとしていたウタに、突然ムジカが話しかけてきた。
本当は一分一秒もルフィとの時間を無駄にはしたくなかったが、使い魔の頼みなら仕方がないと了承した。
すると、ムジカはどこからともなく、変なデンデンムシを取り出した。
これは?
こいつは、シャンクスから預かったデンデンムシを俺がウタワールドで改造したものだ。
ウタちゃん、君に会ってほしい人がいるんだ。
「シャンクスから!?」
シャンクスの名前を聞いて、ついつい期待してしまうウタ。しかし、デンデンムシの映す映像に出てきたのは、シャンクスではなかった。
「久しぶりだね。ウタ」
その人物はゴードン、かつてシャンクスと共に訪れた音楽の国、エレジアの国王その人だった。
「シャンクスに頼まれたんだ。君の歌声は世界の宝だから導いてやってほしいと」
久しぶりに歌って見せてくれないか?
そう言われたウタは、シャンクスの自分への確かな愛情を確認しつつも、シャンクスに会えなかった寂しさを込めて、歌を響かせた。
「天使の歌声」
そう称される程の透き通った歌声は、聞いたもの全てを、ウタの心にある、もう一つの世界、ウタワールドへと誘う。
そして、ウタワールドには、彼女を、娘を待っている存在がいた。
「久しぶりだな、ウタ」
「シャン…クス?」
世界で一番会いたかった、父親、シャンクスとそのクルー達、ウタの家族の姿がそこにはあった。
「悪かったな…ウタ、お前を置いていっちまって…」
そう言ってシャンクスは、ウタに真実を話した。
ビッグマム海賊団との戦いで、ウタの力が知れ渡ってしまったこと。
世界中から狙われるウタを守るために、フーシャ村に置いて行ったこと。
それを聞かされたウタはどうしようもない、行き場のない思いをシャンクスへとぶつけた。
「わたしは!シャンクス達とずっといられたら、それだけで幸せだった!なのに…」
「これは俺の、父親としてのわがままだ。まだ幼いお前が、ずっと世界に狙われ続け、苦しむ姿を俺は見たくなかったんだ」
そう言ってウタを抱きしめたシャンクスは、言葉を続けた。
「ウタ、離れていても、俺たちは家族だ。お前を愛している、俺の気持ちが変わることは絶対にありはしないさ」
そう言ってウタが泣き止むまで、シャンクスはずっとウタを抱きしめ続けたのだった。
やがて、落ち着いたウタは、どうしてシャンクス達がウタワールドにいたのか疑問に思って尋ねた。
俺がここにいられるのは、トットムジカのおかげなんだ。
そう言って、トットムジカが、能力を使って、ビッグマム海賊団や海軍との戦いの時も、デンデンムシを通してこっそり援護したり、この世界にシャンクス達を連れて来たことを話した。
そして、
実はな、ウタ、本当に少しの間だが、この世界でなら、また会うことができるんだ。
シャンクスが告げたのは、予想外の、とても嬉しい言葉だった。
現実世界のシャンクス達がいるのは、エレジアの城の地下。
国王だけが入ることが許され、トットムジカの支配下にある彫像達が守るその場所は、世界政府の力を持ってしても手が出せない数少ない場所。
ウタの音楽の指導をさせてもらうことを条件に、ゴードンはその場所をシャンクス達へと提供した。
そして、デンデンムシで繋ぎ、トットムジカの力である、どんなに離れていてもウタワールドへと取り込む力を利用することで、はじめて成立する再会。
例え現実世界では会えなくとも、このウタの心の中の世界では、少しの間だけ家族に囲まれて過ごせる時間を作るようにする。
それが、トットムジカがシャンクスと交わした約束だった。
シャンクス、娘の成長を見守るのも、父親の立派な務めだからな…
シャンクスや赤髪海賊団のクルー達との久しぶりの語らいを経て、ウタの目には徐々に光が戻っていった。
「そうか、ルフィとそんな約束をしたのか!」
「うん!いつか、立派な海賊になって、ルフィと一緒にシャンクスに会いに行くって誓ったの!」
「だからね、シャンクス!
そして、2人で創るんだ!新時代!
すっかり笑顔が戻り、目に希望を宿すようになったウタ。
そんな娘の微笑ましい姿に癒されながら、シャンクスはウタと一つの約束を交わした。
「ウタ、俺たちはこの海のずっと先で、いつかお前たちが来るのを、楽しみに待っている」
「だから、世界一の音楽家になって、いつか俺達に会いに来い!」
「うん!私はシャンクスの娘ウタ!世界中を回って、歌で世界を変えて見せるんだ!そして、いつかシャンクスに会いにいくから!」
ついでに!シャンクスを超える大海賊になってるからね!そう言って笑うウタと指切りを交わし、シャンクスはゴードンとトットムジカへと向き直った。
「ありがとな!お前達のおかげで、もう会えないと思っていた娘に会うことができた。本当にありがとう!」
「構わないさ、シャンクス。あのトットムジカの心すら動かした歌声を、世界に羽ばたかせる手伝いができるんだ、これ以上に光栄なことはない」
そう言ってゴードンは一つの誓いをシャンクスに立てた。
「エレジアの王ゴードンの名の下に誓おう。必ずウタを、世界中を幸せにする、最高の音楽家に育て上げる!」
そして、ゴードンの誓いに続くように、トットムジカもまた、一つの誓いをシャンクスに立てた。
「魔王トットムジカの名の下に誓おう。例え世界の全てが敵になったとしても、必ず彼女を守り抜くと!」
2人の誓いを聞いて、シャンクスは、俺も負けてられないな!とどこか嬉しそうに笑った。
次に会う時には、海の皇帝位にはなっておいてみせる!
そう言ってシャンクスは赤髪海賊団のクルーを引き連れて、ウタワールドから去って行った。
最後まで見送ったウタもまた、決意を新たに、ルフィの待つ現実の世界へと戻るのだった。
楽譜を大切にしてくれてありがとな!ゴードンさん!
トットムジカもまた、ウタを見守るため、現実世界へとゆるキャラ姿で顕現する。
ウタを頼んだよ、トットムジカ。
おう、まかせろ!
そして、フーシャ村
シャンクスとの再会を経て、無事にウタちゃんの精神も安定した。
最近では、シャンクスに立派な姿を見せるんだ!と、ルフィと一緒に修行を始めたみたいだ。これでメンタルケアもバッチリ!一件落着だな!
ルフィ〜一緒にお風呂入ろ〜
おう!いいぞ!
…大丈夫だよな?…
そして、10年後、ルフィとウタ、2人の冒険は、かつて2人が誓い合った思い出の港から始まるのだった。
このまま精神的に病み続けると、R-18ルートの可能性が高かったので、ウタちゃんの精神が安定してよかったです…
なお、精神的には安定して、依存気質こそ改善されましたが、距離感も抱く気持ちの重さもあんまり変わってないです…(白目)
今まで … シャンクス達の分もルフィに甘える。負の感情。
これから …シャンクスに会えたので、寂しさなどの負の感情は解消、それはそれとして、ルフィは大切な存在なので、ずっと一緒にいる!いつか一緒に新時代を創ろう!って感じですね。