悲報 転生先が全ての元凶な件 作:ネオ・マフティー
屋敷から出た後、どこかへ向かうウソップを追いかけて行ったルフィ。
「それにしてもウタ、さっきからどうしたのよ?」
そんな中、いつもならルフィについて行くはずのウタが、何か考え込んでいるのかずっと上の空なことをナミは不思議に思っていた。
「………ちょっとね……それより、ルフィは?」
「さあな、キャプテンを追っかけてどっか行っちまった」
そう言ったゾロの言葉に、ウソップ海賊団の子供達がウソップの行き先である海岸のことを教えたのだった。
「それより、あんた達一人足りないんじゃない?」
「「ああ、たまねぎ!!あいつすぐどっかに消えちゃうんだよ」」
そんな話をしていたところ、件の子供たまねぎが一人の男を引き連れてやってきたのだった。
後ろ向きで、ムーンウォークのように歩いて来た男は自身をジャンゴと名乗り、通りすがりの催眠術士であることを告げた。
その後、子供達に催眠術を披露してくれとせがまれ、ジャンゴは催眠術を披露するのだった。
「いいか、よくこの輪を見るんだ、ワン・ツー・ジャンゴでお前らは眠くなる」
「いいか、いくぞ…ワーン…ツー………・ジャンゴ」
その結果、子供達とジャンゴ本人、そして、眺めていたウタまで催眠にかかって眠ってしまったのだった。
……催眠術にかかっているぞ
Zzz…………はっ!寝てた!
その後、海岸の方へ起きたジャンゴが去って行くと、今度はウソップが海岸から村の方へと走って行ったのだった。
最初は父親をバカにされたことをまだ怒っていると思っていた一味だったが、ルフィが一緒じゃないことや、ウソップの血相を変えた顔から、何かあったことを察して海岸へと向かうのだった。
「「「えー!!!カヤさんがころされる!!?村も襲われるって本当なの!?麦わらの兄ちゃん!!」」」
「ああ、そう言ってた!間違いねえ!」
海岸で寝ていたルフィを起こし、クラハドールことキャプテンクロの計画を知った一味。カヤを狙うクラハドールと、攻めて来るクロネコ海賊団に対して今後どうするか話し合っているところに、クロの計画を知らせに行ったものの、村中のみんな、そして狙われているカヤにすら信じてもらえなかったウソップが戻って来たのだった。
そして、ウソップは海賊を迎え討とうとする子供達を嘘で騙して家へ帰すと、ルフィ達へと語り始めた。
「俺はウソつきだからよ…ハナっから信じてもらえるわけなかったんだ…」
「それでも海賊は確実にやって来る、でもみんな嘘だと思ってる…!!だから!俺はこの海岸で海賊共を迎え撃ち!!この一件を嘘にする!!!それが、ウソつきとして、俺の通すべき筋ってもんだ!!」
そう言って育った村を守るため、ウソップは覚悟を決めたのだった。
「とんだお人好しだぜ、子分までつき放して一人出陣とは…!」
「よし!俺たちも加勢する!!」
「言っとくけど、宝は全部私のよ!」
ウソップの覚悟を聞いて、加勢することを決めた一味のメンバー達。
「ねえ、ウタ?そういえばずっと黙ってるけどどうしたの?」
ウタの意見を聞こうとして、思い返してみると、屋敷を出てからほとんど口を開いていなかったことに気づいたナミは、ウタに何かあったのか聞くことにした。
「……ごめん、ナミ、今日一日中、何とか怒りを抑えて冷静になろうと思ったけど…やっぱり無理!」
そうウタが言った瞬間、ウタから放たれた凄まじいプレッシャーが、一味に一瞬だけのしかかった。
「ルフィ…私、あの執事をぶっ飛ばしてくる!!止めないでね!!」
「……わかった!船長命令だ!あの執事をぶっ飛ばしてこい!!」
「…ありがとう、私がぶっ飛ばして帰って来るまで任せたよ!」
そう言ってウタは屋敷の方へと飛び去ってしまった。
「おい!?お前達!あいつ一人で行かせちまっていいのかよ!!相手はあのキャプテンクロだぞ!!」
「大丈夫だ!!ウタがあんな執事なんかに負けるはずねえ!!」
「それにウタが言ってただろ!
だから大丈夫だ!そう言ったルフィには確信があった。
ルフィにとってウタは幼馴染であり、大切な最初の仲間であり、そして、誰よりもルフィが最も信頼している存在だったからだ。
「お嬢様は?」
「もうお休みです、だいぶお疲れのようで…」
自分が
「ん?これは?」
「ああ、それはお嬢様からあなたへのプレゼントのようです。何でも、明日はあなたがこの屋敷へ来てちょうど3年目になる記念日ですからね!」
「…記念日というなら、確かに…明日は記念日だ」
そう言って独特の仕草で眼鏡をくいっと上げると、クロはプレゼントの眼鏡をおもいっきり足で踏みつけた。
「クラハドールさん!?あんた、お嬢様のプレゼントに何を!?」
「プレゼントなら受け取りますよ…こんな物ではなく、屋敷まるごとだ……!!」
もう芝居を続ける意味はあるまいと、クラハドールことクロは正体を現わし、武器である猫の手を装着し、口封じのためメリーを切り裂こうとする。
お嬢様逃げ………そう言ったメリーをクロが切り裂こうとしたその瞬間、
「見つけたよ…キャプテンクロ…!」
壁をぶち抜いて一人の少女がやってきた。
突然の出来事に少し驚いたものの、所詮は昼間の小娘と侮り、邪魔な目撃者程度にしか思わなかったクロは、無言でメリー共々消すべく、猫の手を構え切り裂こうとした。
「…右側からの切り裂き」
「背後にまわって顔狙いね…」
「左後ろからの切り裂き」
しかし、その全てを避けたウタは、自身の能力によって生み出した音符でクロを弾き飛ばし、屋敷の外へと吹き飛ばしたのだった。
「執事さんはお嬢様を連れてここから避難してね!あいつは私がぶっ飛ばすから!」
ウタに言われ、メリーは慌ててカヤを避難させるべく、カヤの部屋へと走って行った。
怒りを露わにしながら、吹き飛ばされたクロの方へとウタは向かった。
「小娘…!よくも俺の予定を狂わせやがったな…!」
「なにが予定よ…!お嬢様を騙して信頼を裏切った最低野郎!それに…私の前で、ヤソップを…大切な家族をバカにしたことを私は絶対に許さないから!!」
そう言ってウタは自身が最強であることを告げる歌を響かせる。
『私は最強』
曲調に呼応するように鎧と槍を纏い、クロを睨みつける。
「…!まさか、悪魔の実の能力者か!?」
あなたと交わす言葉なんかないよ!
「自惚れるなよ…小娘が!たかが鎧を纏った程度で、俺の抜足をどうにかできるとでも思ったか?」
そう言った瞬間、クロの姿が忽然と消えた。
抜足、それは無音の移動術。暗殺者を50人集めたとしても気配を感じることなく殺されてしまうという、東の海においてほとんど敵なしとも言える最強の力。
無音の高速移動によって、ウタを切り刻み、クロネコ海賊団の方へ向かおうとするクロ。
聞こえてるよ…どこにいるのかも、どこから攻撃をしてくるのかも!
しかし、それはあくまで東の海での話。
偉大なる航路、そのさらに奥、後半の海、新世界と呼ばれる魔境に足を踏み入れた者達が使う力、覇気を修めているウタにはその力は当然通じなかった。
クロの攻撃をまるで心を読んでいるかのように察知して避けると、槍による突きや生み出した音符による攻撃によって、着実にダメージを与えていくウタ。
全身に傷を負い、自慢の執事服がボロボロになったことで、クロは気づいてしまった。目の前の小娘だと侮った存在が自身よりも遥かに強い存在だということに。
「ふざけるな…!三年をかけてようやく手に入ろうとした、俺の平穏が台無しだ!!」
半ばやけくそになりながら、クロは一筋の望みを懸けてウタを消すべく必殺の技を繰り出した。
「こんな小娘ごときに…!俺の計画が台無しにされるなどあっていいはずがない!!思い知らせてやる…!幾度となく死線を超えた…海賊の恐ろしさを………!!」
「杓死」
瞬間クロの姿が消え去り、辺りが切り裂かれ始める。
「…!厄介な技だね…」
杓死はクロですら速さのあまりコントロールできない技、そのため、心を読んで避けることを得意とするウタとは、少し相性が悪い技だった。
それでも、見聞色の覇気を駆使してほとんどの攻撃を避けるウタ。
少しばかり擦り傷をもらったものの、すぐにウタウタの力で治すことでダメージこそないものの、攻撃が当たりにくくなってしまった。
ウタ、ここは俺が出ようか?
ダメだよ、ムジカ……あいつは私が直接ぶっ飛ばすって決めたから!……仕方ない、こっちも使うよ、私の切り札!
…あまり無理するなよ、ウタ
大丈夫!それじゃ、
『
「……いくよ!
瞬間、ウタの雰囲気がガラリと変化する。それまで纏っていた鎧が消え、禍々しい漆黒の翼を纏う黒を基調とした姿へと変わり、手にはサーベルのような黒い剣を持った姿へと変身した。
そして、覇気を纏った剣を振り下ろし、凄まじい一撃をクロへと放った。
「ねえ、キャプテンクロ…海賊名乗るのも、お嬢様の執事も、もうやめなよ!!!」
天をも割る一撃が、杓死で自身でもコントロールできない程の高速移動をしていたクロを、まるで
『解除』
「はあ、はあ、……!やっぱりムジカの力を纏うのは大変だね……力もまだ完全には引き出せないよ…」
…あまり無理するなよ、ウタ、その技は覇気と体力の消費が激しい上、俺が肩代わりできないからな。
「まだ大丈夫だよ!!これでクロとかいうやつはぶっ飛ばせた!よし!ルフィ達のところに行こう!」
そう言って、ウタはルフィ達のいる海岸へと向かうのだった。
ちなみにこのシャンクスは刀の名前です。
詳しい設定は今後の話で出すと思います。