悲報 転生先が全ての元凶な件   作:ネオ・マフティー

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剣の頂き

 

「それにしても、懐かしいね……ルフィとこうしてお店のお手伝いをするの!」

 

「ああ!小さい頃にマキノのお店で一緒に手伝ったのを思い出すな!」

 

歌を歌い終わり、雑用をしているルフィの手伝いをしに来たウタは、ふと、フーシャ村にいた頃のことを思い出し、懐かしんでいた。

 

「……でもよ、ウタ…やっぱり早く冒険に行きてェ…そして、海賊王になって新時代を創りてェ!!」

 

「……そうだね…それでこそルフィだ!それじゃ、早くお仕事終わらせて、また料理長のおじいちゃんに交渉しに行こっか!」

 

冒険に想いを馳せ、笑い合う二人、そんな二人の姿を背後から血涙を流して眺めている男がいた。

 

「あんの新入り!!ウタちゃんになんて馴れ馴れしい!!!」

 

「おい!サンジ!!嫉妬してねェでさっさと働け!!」

 

男の名はサンジ、この海上レストランバラティエの副料理長にして、大の女好きである。

歌を歌うウタにすっかり魅了されたサンジは、そんなウタと距離が近いルフィのことを、あまり心良く思っていなかった。

 

 

「おーい!サンジ!仲間になってくれ!」

 

しかし、そんな事はつゆ知らず、サンジの料理人としての心意気に惚れたルフィは、サンジを仲間に誘うのだった。

 

「誰が海賊の仲間になるか!!……!?いや、待てよ……こいつの仲間になるという事は、ウタちゃんやナミさんとも……」

 

心が揺れ始めたサンジ、そんなサンジをジト目で見ていたウタだったが、外からの気配を感じて、意識を切り替えた。

 

「……何か来るよ!ルフィ」

 

「ああ!たぶん海賊だ!」

 

そう言って外へと向かう二人、あわよくば来た海賊をぶっ飛ばして、働く期間を短縮してもらおうと考えたのだった。

 

「でっけー船だな!!」

 

「そうだね……でも、ボロボロだし、船員の人達の気配も消えかけてる…」

 

レストランを襲う様子のないボロボロの船を見て、少し落胆した二人。

やがて、船からサンジに助けられたクリーク海賊団の男ギンと肩を担がれた大男がやって来た。

 

「あれが……ドン・クリーク!?」

 

「威厳も迫力もねぇ……あれが東の海最強の海賊と言われた姿か…?」

 

空腹で弱り、涙を流しながら食事を乞う大男、ドン・クリーク。

その強さと卑劣な行動の数々で名を轟かせた姿は見る影もなく、海上レストランのコック達は、捕らえて海軍へと引き渡そうと考えた。

 

「ほらよ、ギン、そいつに食わせろ」

 

しかし、サンジは違った、彼の信念の下、ギンへとクリークのために食事を与えた。

サンジの飯のお陰で無事に空腹を脱することができたクリーク。

しかし、クリークという男は、食事に感謝するような善人ではなく、海の悪党、海賊だった。

 

「は、話が違うぞ!!ドン・クリーク!!この店には手を出さねェって条件であんたをここへ案内したんだ!!」

 

「ああ、うまかったよ…生き返った気分だ……いいレストランだ、この船を貰う」

 

「やっぱり救えない悪党だったか……ルフィ!ここはあいつぶっ飛ばして、交渉材料にしよ!」

 

「おう!よしきた!!」

 

そう言ってクリークをぶっ飛ばそうとした二人、しかし、突然二人の見聞色は次元の違う気配を感じ取った。

 

「!?この気配……この覇気、シャンクスやムジカクラス!?」

 

「ああ……外にいるな…すげーやつが!」

 

 

 

 

 

 

 

「戦闘かよ、ルフィ、手を貸そうか?」

 

この船と、かつて海賊だった料理長、ゼフの航海日誌を奪うことを宣言したクリーク。

当然、ルフィが黙っている訳がないと考えたゾロはルフィへと問いかけた。

しかし、ルフィとウタはクリークには目も合わせず、外を見て冷や汗を流していた。

 

そして、クリークは船員達の分の食事を持ち帰り、この船を奪うと高笑いをして店を出ようとした。

 

瞬間、巨大なガレオン船は真っ二つに切り裂かれた。

 

「!!!?」

 

「ゾロ……たぶん、あなたが最も会いたかった人が、鷹の目のミホークが外にいるよ……」

 

「鷹の目だと!?」

 

 

 

「あいつが一人で50隻の船を沈めたっていうのか…!?特別な武器でも持ってるのか!?」

 

「武器なら背中にしょってるじゃねぇか!」

 

「そんなまさか!……じゃあ、あの剣一本で大帆船をぶった斬ったとでも!?」

 

「そうさ……鷹の目の男とは、大剣豪の名、奴は世界中の剣士の頂点に立つ男だ」

 

 

棺桶のような船の上に座る、一人の男。

鷹の目のように鋭い目を持つその男こそ、偉大なる海に挑んだクリーク海賊団を壊滅させた張本人、世界最強の剣士、鷹の目のミホークだった。

 

「終わりだ……畜生!!なんの恨みがあって俺たちを狙うんだ!!」

 

「………ヒマつぶし」

 

「ふざけんなァーっ!!!」

 

暇つぶしで壊滅させられたことに怒り、銃を放つクリーク海賊団の船員、しかし、放たれた弾が、ミホークに当たることはなかった。

 

「!!?は、ハズれた!?」

 

「外したのさ、何発打ち込んでも同じだ…切っ先でそっと弾道をかえたんだ」

 

ゾロは男を前にして、ウタが言っていたことが真実であることを悟った。この男こそ、最強の剣士であると。

 

「俺は、お前に会うために海へ出た!!ヒマなんだろ?勝負しようぜ」

 

そう言ってゾロは刀を構え、ミホークを睨みつける。

 

「……何を目指す」

 

「最強」

 

「哀れなり…弱き者よ」

 

腕を組み、見定めるかのようにミホークはゾロを見た。

 

「いっぱしの剣士で有れば、剣を交えるまでもなく俺とぬしの力の差を見抜けよう…この俺に刃をつき立てる勇気は己の心力か…はたまた無知なるゆえか…」

 

「俺の野望ゆえ、そして、親友との約束の為だ」

 

固唾を飲んで皆が見守る中、ゾロの世界最強への挑戦が始まった。

 

 

 

「何のつもりだ、そりゃあ!」

 

「俺はウサギを狩るのに全力を出すバカなケモノとは違う、あいにく、これ以下の刃物は持ち合わせていないのだ」

 

そう言ってミホークが手に持ったのは、背負った黒刀ではなく、小さな小刀、当然舐められたゾロは、自らの力を示すべく、ミホークへと斬りかかった。

 

「鬼!!斬り!!!」

 

これまで東の海の数多の海賊達を切り裂いてきた一撃、カバジ、ニャーバン兄弟も太刀打ち出来なかったその一撃を、ミホークは涼しげな顔で小刀で止めたのだった。

 

「!!?こんな、バカなことがあるか…そんなわけねぇよ…いくら何でもこんなに遠いわけねェ…!!」

 

その後も、何度も斬りかかるゾロの刀を難なくミホークは小刀で捌いていった。

 

「なんと凶暴な剣か」

 

剣を交えるたびに、剣の頂きとの距離を、あまりにも遠い距離を実感してしまうゾロ。その脳裏には、幼馴染クイナとの誓いの言葉がよぎる。

 

「俺は…この男に勝つために!!」

 

「……何を背負う…強さの果てに何を望む、弱き者よ」

 

「アニキが弱ェだと!?」

 

ゾロの戦いを見守っていたものの、ミホークの言葉に耐えきれなかったヨサクとジョニー、しかし、ルフィはゾロの戦いである以上、手出しを許さなかった。

 

「虎…狩り!!!」

 

ゾロが放った渾身の一撃、しかし、その一撃がミホークに当たることはなかった。

 

「………!!アニギィーっ!!!」

 

ゾロの一撃よりも早く、ミホークの小刀がゾロの胸を突き刺したのだ。

 

「?このまま心臓を突かれたいか、なぜ退かん?」

 

「……ここを一歩でも退いちまったら、何か大事なモンが色々とへし折れて、もう二度とこの場所へ帰って来れねェ気がする」

 

「それが敗北だ」

 

「なら、なおさら退けないな!」

 

「死んでもか?」

 

「死んだ方がましだ」

 

覚悟を示したゾロ、その姿に、言葉にミホークは久しく見なかった強き者であることを認めたのだった。

 

「小僧、名乗ってみろ」

 

「ロロノア・ゾロ」

 

「覚えておく、久しく見ぬ強き者よ!そして、剣士たる礼儀をもって世界最強のこの黒刀で沈めてやる」

 

そして、ついに世界最強の黒刀、夜を抜いたミホークに対し、ゾロは自身が持つ最強の奥義を放つのだった。

 

 

「覇気?なんだそりゃ?」

 

「ししし、腕が黒く硬くなったやつのこと、お前が教えろって言ってただろ!」

 

「いい!ゾロ!覇気というのは意志の力、もし世界最強の剣士を目指すなら、絶対この力を使いこなさないといけないからね!もちろんミホークだってその最高峰の使い手の一人なんだから」

 

脳裏によぎったのは覇気という言葉、ウタが空を斬り裂いたであろうその力の詳しいことはわからなかったが、それでも、意志だけは誰にも負けない自信がゾロにはあった。

 

「三刀流奥義!!三・千・世・界!!!!」

 

「ほう!僅かとはいえ、纏うか!覇気を!」

 

結果はゾロの敗北、しかし、ゾロには悔いはなかった。

 

「背中の傷は、剣士の恥だ」

 

「見事」

 

こうして、ゾロの世界最強への挑戦は終わりを告げたのだった。

 

「我が名はジュラキュール・ミホーク!!貴様が死ぬにはまだ早い、己を知り、世界を知り、強くなれ!ロロノア!!」

 

「俺は先、幾年月でも、この最強の座にて貴様を待つ!!猛ける己が心力挿してこの剣を、この俺を超えてみよ、ロロノア・ゾロ!!」

 

「ゾロォー!!!」

 

「落ち着いて!!ルフィ!!ゾロは生きてる!!」

 

そう言ってルフィを止めたウタは、ミホークと向き合った。

 

「ありがとう!ゾロの命を助けてくれて」

 

「気づいていたか…若き剣士の仲間よ、よくぞ見届けた」

 

そう言ってウタとその隣にいるルフィに目を向けてミホークは問いかけてきた。

 

「小僧、小娘、貴様達は何を目指す」

 

「海賊王!!」

 

「新時代を創る!!」

 

「…!ただならぬ険しき道ぞ、この俺を超えることよりもな」

 

世界最強の剣士を相手に一歩も退かず、夢を答えるウタとルフィ、その声を聞いて、傷だらけにも関わらず、ゾロもまた、一つの誓いを叫んだのだった。

 

「俺は!もう!!二度と負けねェから!!あいつに勝って、世界一の大剣豪になる日まで、絶対にもう、俺は負けねェ!!」

 

「文句あるか、海賊王!!」

 

「しししし!!ない!!!」

 

「……また、会いたいものだな…お前達とは…」

 

ルフィとウタの夢の果て、ゾロの誓いを聞き届け、ミホークは満足そうに立ち去ろうとしていた。

 

「またね!()()()()()()()()()()()()()()()!」

 

「……シャンクスだと…!なぜそれを……!!そうか、貴様が赤髪の言っていた娘か!」

 

瞬間、去ろうとしていたミホークから、とてつもない覇気が溢れ出した。

 

「おう鷹の目よ…!!テメェは…」

 

「邪魔だ」

 

そして、ミホークを引き止めようとしたクリークを一撃の下に沈めたのだった。

 

「!!?」

 

「ウタと言ったな、赤髪の娘よ、貴様の話は赤髪から何度も聞いたぞ…満足したとはいえ、やはり昂るものがある以上丁度いい、貴様と貴様の宿す使い魔の力、見せてもらおう!」

 

そう言って、ミホークは黒刀をウタへと向けたのだった。

 

 





一応この後クリークとルフィは戦います!たぶん次の次くらいになるかなとおもいます。

次回 「魔王の歌」 お楽しみに!
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