悲報 転生先が全ての元凶な件 作:ネオ・マフティー
「おーい!トナカイ〜どこ行ったんだ?」
ワポルとムッシュールが彼方へと消え、戦いはルフィ達の勝利で幕を閉じた。
そして、城で合流した一味は、いよいよビビの国、アラバスタを目指すのだった。
「バカ言ってんじゃないよ」
「お願い!早くこの島を出ないと!」
「ダメだ。お前は後2日ここで安静にしといて貰うよ…退院なんて医者として認められないね」
ビビのためにも、一刻も早くアラバスタへ向かいたいナミは、なんとかDr.くれはを説得しようと試みるも、まるで相手にされなかった。
「あの!これで手を打ってもらえませんか!
そう言って城にやって来たビビが見せたのは、イッシー20から託された、ムッシュールの毒に対抗するための解毒剤だった。
「フッ…いいかい小娘、奥の部屋にコートが吊るしてあるが、決してこっから逃げだすんじゃないよ!」
「それって…」
「ありの〜♪ままの〜♪姿見せるのよ〜♪」
「うおー!でっけェ雪の城!!」
「私が雪の女王様だよ!」
「なんの!俺のスノウクイーンも負けてないぞ!」
一方、城の庭では、せっかくの雪山なので歌を歌いながら雪を操って城を作り始めたウタと、それに対抗してウソップが雪の像を作って遊んでいた。
「少しも寒くないわ〜♪よし、完成!」
「こ、これは…」
能力の無駄使いによって作られた巨大な城だったが、これにはさすがのドルトンも愕然としたのだった。
「今夜は満月か…」
「トナカイ〜一緒に海賊やろう!!」
「おい、ルフィもう諦めろよ。これだけ呼んでも探しても出て来ねェんだ、海賊なんかになりたくないんだよあいつは」
「それは違うぞ!俺はあいつを連れて行きたいんだ!トナカイ〜」
ウソップに苦言を呈されるも、なんとしても仲間にしたいと叫び続けるルフィ。そんなルフィの前に、ついにチョッパーは姿を見せたのだった。
「お前たちには感謝してる…でも、無理だよ…おれはトナカイだ、ツノやヒヅメだってある、それに青っ鼻だし…」
「そりゃ、海賊にはなりたいけどさ…おれは、人間の仲間でもないんだぞ!バケモノだし…おれなんか、お前らの仲間にはなれねえよ…!だから…」
「うるせェ!!行こう!!!」
「…!」
チョッパーの目から涙が零れ落ちる。
ルフィの勧誘は相変わらず少し乱暴なものだったが、その言葉はチョッパーの迷いや苦悩を吹き飛ばし、心を晴らしたのだった。
満月の夜空に新たな仲間の咆哮が響き渡った。
そして、チョッパーはドクトリーヌの下を去ることを決意したのだった
「あんな別れ方で……良かったのですか?」
「ドルトンかい…ヒッヒッヒ、預かっていたペットが一匹出ていっただけさね、湿っぽいのは嫌いでね」
Dr.くれはの下を訪れ、海賊になることを宣言したチョッパーは、そのまま口論の末ソリを引いて出て行ってしまった。
そんなチョッパーの背を見てうっすらと涙を浮かべながら、Dr.くれはは城の外に大砲を並べるように命令した。
「…船出ってのは派手でなきゃいけないよ!用意はいいかい若僧ども!撃ちな!!」
「Dr.くれは、全弾打ち上げました!」
「ライトアップ!!」
「お前の研究の成果、ここで使うよ……文句はないね…ヒルルク」
ふと、ヒルルクの言葉がDr.くれはの頭をよぎった。
(いいか…!!この赤い塵はな、ただの塵じゃねェ!!コイツは大気中で白い雪に付着して…そりゃあもう鮮やかな…)
(ピンク色の雪を降らせるのさ!!!)
「ヒッヒッヒッヒ…バカの考えることは理解できないよ…行っといで、バカ息子…」
夜空がピンク色に染まり、冬島にまるで満開の桜が咲いたかのような光景を生み出した。
ピンク色に染まった雪はまるで花びらのように、舞い落ち、その鮮やかな光景は城を離れたチョッパーや麦わらの一味の目にも入った。
「ドクター…ウオオオオオオ!!!」
「すげェ…」
「綺麗だ…」
これが…すごいね…
ああ、冬島に咲き誇る、満開の桜だ…
後に語り継がれるこのヒルルクの桜は、まだ名も無きその国の自由を告げる声となって夜を舞う。
ちょうどこの土地でおかしな国旗を掲げる国が誕生するのはもう少し後の話だ…
「今頃…彼らは島を出たでしょうね」
「医者としての最高の心と…最高の腕を継いだトナカイとは…」
「ヒルルクが命をかけた桜が起こした奇跡があるとすりゃ、あのへっぽこトナカイが海へ飛び出したことくらいかね…いっぱしの男ぶりやがって…」
「この国も生まれ変わりますよ!彼のように…」
「ドルトンさん!大変だ!大変なことを思い出しちまった!」
「……エースと言う男からの伝言か、それなら伝えるまでもないさ…彼らの次の目的地はアラバスタだからだ」
「ヒッヒッヒッヒ!それにしてもあの小僧、3000万の賞金首だったのか………Dの意志を継ぐ男にあの小娘…まったく、うちのトナカイは大変なやつについて行っちまったらしいね」
「「アッハッハッハッハ!!いつまでジーンとしてんだチョッパー!!せっかくのめでてー宴だぞ!!」」
「うっさいお前ら!!」
「…ありがとう、ドクトリーヌ」
「よーし、新しい仲間に!!」
「「「「「「乾杯だ!!!」」」」」
「こんなに楽しいの、はじめてだ!!」
「それじゃ、ここからは音楽家の出番!みんな歌うよ!」
こうして新しい仲間、チョッパーの歓迎の宴は、歌って、踊って、食べて夜通し続けられた。
後にこの宴が原因で船に食糧危機が起こるとは、この時はまだ誰も知らない…
アラバスタ王国
「何、王国で海賊が暴れてる?…この国には俺がいると知らんのか…」
「さァね…暴動中のこの国は海賊のカモなのよ……行くの?」
「そりゃ、表の仕事はきっちりやらんとな……王下七武海は海賊を潰す海賊…!民衆の英雄だぜ」
高級感溢れるフォーマルウェアの上に分厚い毛皮のロングコートを羽織り、左腕に金色の大きなフックを装着している男の名はサー・クロコダイル。
王下七武海の一角にして、この国を陥れようとしている組織バロックワークスのボス、Mr.0その人だった。
「やはり来てくださった…」
「サー・クロコダイル!」
「クロコダイル様!!」
「黙れ愚民ども!!!俺ァそこの海賊の首を取りに来ただけだ」
「素敵…」
「そう言って、あんたはいつも俺達を助けてくれるんだ!クロコダイル万歳!!」
街中から鳴り止まないクロコダイルへの声援がおくられ、人々がクロコダイルを口々に讃えた。
中には、彼を「砂漠の王」と口にする者すらいることから、その人気と信頼は一目瞭然である。
「クハハハハ……まァ…何とでも呼ぶがいい…とにかく、この国で暴れてくれるなよ海賊どもよ…」
そう言ったクロコダイルは、最強種とも言われる自然種、スナスナの実の力によって吹き荒れる砂嵐と共に、暴れていた海賊達の肉体の水分を全て奪い取り、一瞬で干からびさせて全滅させただった。
「海賊の格が違うんだ…ブタ野郎」
そう言ってクロコダイルは、彼を讃える町の人々の声を背に去って行ったのだった。
「くだらねェ時間を使わせやがって…こっちにはこの後
「あら、そろそろアラバスタに到着みたいよ。かの
「スルルルル…テゾーロ様、まもなくアラバスタです」
「そうか、楽しみじゃないか…サー・クロコダイル…!」
狂った歯車が再び動き出した。