悲報 転生先が全ての元凶な件   作:ネオ・マフティー

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シャンクスとの別れ

 

 

レッド・フォース号船上

なあ、ウタちゃんそろそろルフィを許してやらないか?

 

ルフィがゴムゴムの実を食べてから時が経つも、ウタは未だに山賊の件と、ルフィが自分にもくれないほど、シャンクスが大切にしていたゴムゴムの実を食べてしまったことに、未だに納得していなかった。

 

「シャンクスがあんなに大事にしてた物を食べるなんて、許さないんだから!!それに、シャンクスは偉大な大海賊なんだよ!それなのに、あんな山賊なんかに…ねえ、ムジカ、なんであの時、出てこなかったの?」

 

一応ヒグマが緋熊さんの可能性もあったから!という冗談はさておき、ウタちゃん、海賊船のクルーである以上、船長の言葉の重さは、覚えて置いた方がいい。シャンクスが買わなかった以上、あのケンカは俺達が買うべきものじゃなかったのさ。

 

「ふん!弱腰なんだから!」

 

そうこうしているうちに、船はフーシャ村の港に着いた。すると、シャンクスが「ウタ、お前は船で待ってろ!」

と言い残して、ベックマン達クルーを引き連れてフーシャ村へと行ってしまった。

 

そして、船に帰ってきたシャンクスは、左腕を失っていた。

 

「シャンクス!?」

 

左腕を食いちぎられ、片腕になったシャンクスの姿に、たまらず駆け寄るウタ。

少し気まずそうに笑うシャンクスから、事の経緯を聞いて、ウタは涙を流さずにはいられなかった。

 

その夜、赤髪海賊団のフーシャ村での最後の宴が開かれていた。

あの後、シャンクスが腕を失った件で、ルフィに詰め寄ったウタだったが、普段と違い、己の非力さに打ちひしがれ、何度も謝る姿に、さすがのウタもこれ以上責めることを少し躊躇ってしまった。

そしてなにより、シャンクスの「ルフィのことを許してやってくれ」という言葉もあり、しぶしぶルフィを許すのだった。

 

少し気まずそうにしているルフィとウタ。そんな姿を見かねたシャンクスは、

 

「ウタ、このフーシャ村での最後の夜だ。よかったら一曲歌ってくれないか?」

 

と言って、ウタに手を差し伸べた。

シャンクスの気遣いを察して、仕方ないなと笑い、ウタは酒場のテーブルへ、自分のステージへと登る。

 

お願いね。ムジカ!

了解、「限定侵食」

 

ゆっくりと歩きながら、澄んだ歌声を響かせるウタ。

すると、それまではただの酒場だった世界が、幻想的な音楽の世界へと塗り変わる、どこからともなく現れた楽器から音が奏でられ、歌声と共に響き渡る。

 

「さあ、うちの音楽家のステージだ!」

 

歌いながら、ウタは、これまでルフィと過ごしてきた日々を思い浮かべた。

 

ルフィのことを、最初は野蛮で生意気だと思っていたウタ。けれど、一緒に村を巡り、たくさん勝負をしているうちに次第にルフィへと惹かれていった。

そして、共に誓い合った新時代。

 

ゴムゴムの実を食べたことにはモヤモヤするし、シャンクスの腕が奪われたことは、まだ許せないところもある。それでもルフィは、ウタにとって大切な存在だった。

 

別れを惜しむその歌声は、村にも響き渡り、海賊を恐れ、敬遠していた村の人々の心さえも惹きつけた。

 

 

 

 

 

「少しいいか?トットムジカ」

 

あの後、ウタの歌声に惹きつけられやってきた、村中の人々を巻き込んで宴会はさらなる盛り上がりを見せた。

そして、歌い疲れたウタはそのまま眠ってしまった。

 

いよいよルフィともお別れか…

少し感慨に耽っていたトットムジカに、シャンクスが突然話しかけてきた。言葉を濁らせながら、「お前に頼みたいことがあるんだ」と。

 

「ウタをフーシャ村に置いていこうと思う。だから、ウタのことをお前に頼みたい」

 

なんで!!??

 

驚愕するトットムジカをよそに、シャンクスは話しを続け、一枚の新聞を見せた。

 

「ビッグマム海賊団、偉大なる航路前半の海に到達!」

 

「海軍本部、遂に動く!?」

 

「ビッグマムも海軍も、狙いは間違いなくウタの身柄だ。戦いは、前回以上に過酷なものになるだろう。そんな戦場にウタを連れて行くわけには行かない」

 

何言ってんだよシャンクス!

幼いウタが、シャンクスと離れて幸せでいられる筈ないだろ!海軍もビッグマム海賊団も、俺が本気を出せばどうとでもなる。だから、ウタを置いて行くのは…

 

「確かに、お前と俺の力があれば、この戦いに勝つことはできるだろう。だがウタの力が世界に知れ渡れば、世界中の海賊がウタの身柄を狙いに来る。そして世界政府は今度こそ、全力でウタを消しにくるだろう。もちろん、俺たちがウタの身には手を出させやしないさ。」

 

「だがな、ウタの新時代の夢はどうなると思う?幼い身で世界中から狙われ続けて、果たしてウタは世界に夢や希望を抱けると思うか?」

 

「それにな、ウタはまだガキだ。俺とは違って、娘には、ウタには平穏に歌を歌って生きていてほしいんだ」

 

そう話すシャンクスだったが、その目からは一筋の涙がこぼれていた。

 

それが、赤髪海賊団の頭として、父親としての決断か?シャンクス?

 

「ああ、幸いここは東の海の辺境。いくら世界政府でも、まさかこんな所に俺の娘がいるとは思うまい。隠すのにはうってつけだ!」

 

「それにな、本当に少しだけの可能性だが、ここなら、大きくなったウタが、海賊になっていつか俺たちに会いに来てくれるんじゃねえかと思っちまうんだ」

 

海賊になるのはやめてほしいがな!と泣きながら笑うシャンクスを見て、トットムジカはその決意が変わらないことを悟るのだった。だが、

 

一つだけ条件がある。

 

どうしても譲れないその条件をシャンクスは呑んだ。

 

そして、シャンクスはルフィに麦わら帽子とウタを託し、フーシャ村を去って行ったのだった。

 

 

 

偉大なる航路前半の海、そのとある海域

 

海域には今、3つの勢力が睨み合い、今にも戦いの火蓋が切られようとしていた。

 

ビッグマム海賊団、総戦力のおよそ8割。

 

海軍本部、投入可能な軍艦50隻、バスターコール5回分の戦力。中には、後に三大将赤犬、青雉、黄猿と称される、サカズキ、クザン、ボルサリーノの姿もある。

 

そして、赤髪海賊団。

 

均衡を破ったのは、ビッグマムだった。

 

「娘を渡しな!赤髪!せめてもの情けだ、うちの息子の中で一番好みのやつと結婚させてやるよ!!」

 

ブチィ!!

 

戦場の空気が一変する。

 

「ウタは、俺の娘だ。俺たちの大切な家族だ。それを奪うつもりなら…死ぬ気で来い!!」

 

瞬間、シャンクスの身体から恐ろしい量の覇気が放たれた。海が震え、海兵が、ビッグマム海賊団の戦闘員達がバタバタと倒れていく。

 

「おどれ赤髪ィ!」

 

「おいおいこりゃ、俺たち以外全滅じゃないの!?」

 

「まさか中将までもっていくとはねぇ……これが赤髪、シャンクスの覇気か…」

 

「やってくれたね赤髪ィ!ウチの将星以外を全員もっていきやがって!!! こんなふざけた真似、あの男を思い出すよ!ロジャーをよぉ!!」

 

こうして、後に第二のエッドウォーの海戦と呼ばれる、一大決戦の火蓋が切られたのだった。

 

 

 




たぶんシャンクスが生まれてからもっともブチ切れた瞬間だと思う…
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