オリキャラ(男主人公・設定と名前あり)二次創作です。
苦手な方は閲覧お控えください。

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第1話

この作品は版権作品「東京卍リベンジャーズ」の二次創作です。

以下が苦手な人は閲覧を控えるようお願い致します。

 

・オリキャラ(男主人公)が登場する

 それに伴うオリキャラの設定・名前の登場

・キャラクターとの絡み

 

申し訳ありませんが閲覧後の作品に対する苦情は聞きかねますので、何卒ご了承下さい。

その他の権利問題に関するご意見ご指摘は受けますので、コメント欄からお願いいたします。

もしかしたら既出されている作品に似た設定等あるかもですが、ご不快等ございましたら即削除致しますので、その際もコメント欄にてご指摘くださると幸いです。

 

以上が許せる方のみ読んでいただけると幸いです。

 

 

 

 

教員が煙草を裏で隠れて吸っている

そういう話は、よくあることだ。

でも教員が元暴走族は?

そういう話は、よくあることか?

 

新学期のはじめ、そいつはやってきた。

 

柊木 力(ひいらぎ つとむ)…科目は国語。趣味は定時退勤』

 

教室にのしのしと入ってきた長躯に圧倒されたが、その顔は長く伸びた黒い前髪でよく見えない。眼鏡をかけていたが長い前髪で埋もれて意味があるのか分からない。教壇に着いて早々、独特のイントネーションでボソボソとそう言った。

クラスの女子達が新しい担任の、特に見た目についてどんなものかと嬉々としていたが、喜び半分落胆半分と言ったところだった。

 

『別に僕から何も言うことないんやけど、一つ協力してもらいたいことがある。僕の定時退勤や』

 

自己紹介をものの数秒で終わらせた後、開口一番にそう言った。

 

『ここ問題児多いクラス、っちゅうか、地域みたいやしお前らの一人がどっか他校の生徒とモメたら、担任である僕が出張らんといかん。そこんとこ徹底して気を付けてくれ。僕の定時退勤に協力してくれたらいくらテストの点が悪かろうが提出物出さなかろうが、評価5やるわ』

 

…と、教員としてあるまじき、前代未聞なことを彼は言ってしまったのだ。

しかしその言葉通り、彼は自らの定時退勤にさえ響かなければ学校をサボろうが、途中で抜けようが、提出物を出さなくても、赤点を連続で取ったとしても、成績や内申には響かない程度の評価を出してくれた。

 

そんな教員が煙草を吸っているのを見かけた時も、

 

『勘弁してや。次の小テスト、名前空欄にして出したら点半分やったる』

 

と、半ば賄賂じみたやり口で、生徒の問題を目を瞑る半分、自分の定時退勤のためにある程度の素行不良をも目を瞑らせるという、それって教師としてどうなんだと不良ですら首を傾げたくなるような態度と行動に、思わず口が開いてしまう。

 

その教員の化けの皮(?)を剥ぎかけたことが一度だけある。相手は確か他校の高校生で──、東京卍會に所属する一人が喧嘩をふっかけられてやり返してしまったことがきっかけだ。よくある喧嘩の話で済まなかったのが、厄介なことに相手の高校生はなんでも芭流覇羅の小間使いだそうで、大きな抗争に発展しかねない理由づけになりかけた。

双方黙ってやる気はなく、打った喧嘩売られた喧嘩で、やり返す気は十二分にあった。

そんな時に芭流覇羅側から嫌な提示案が出された。

 

『東卍のトップ二人だけで来い』

 

トップ二人──マイキーこと佐野万次郎とドラケンこと龍宮寺堅。この二人で指定された場所へ来いと提示された。二人だけでくれば大事にはしないとのことだった。これは明らかに罠だと誰がどう見ても分かった。当事者であるマイキーやドラケンも、それが罠であると分かった上で応じた。

果たして結果は、やはり想定通りだった。二人だけでやってきたところを芭流覇羅は50人程で囲ったのだ。

無敵と称されるマイキーからすれば、その背中を預けられているドラケンにしても、大したことのない人数なのだが。卑怯にも10分間殴られ続ければ大事にしないという提案だった。

そんな無茶のある提案を飲み込めるはずがない、それは明白なことだった。芭流覇羅側もそれを見越していた。ある意味挑発だった。正当に喧嘩を始めるための動機付けのためだった。

どうしたものか、とマイキーとドラケン(主に後者)二人で考えあぐねていたところだった。

 

「あ、」

 

睨み合う両者の中で、誰が出したわけでもないその場に似合わない素っ頓狂な声が聞こえた。

一斉に声のした方を見る。そこに立っていたのはスウェットにタンクトップとビーチサンダルを身に付けた男だった。前髪が長いのか、頭上でゴムで結いていた。その手にはコンビニ袋が持たれている。

その風貌と声にマイキーとドラケンは心当たりがあった。『あれって俺らの担任じゃね?』と。

そして思い出される『他校との揉め事はご法度』という言葉。まさにその最中である現場に居合わせてしまったのだ。

彼はくるりと回れ右をすると来た道を足早に戻っていった。

 

「アイツ見て見ぬ振りしやがった」

 

その場にいた誰しもがそう思った。

しかし今しがた彼が消えていった道から、こちらに駆けてくる姿が見える。柊木だった。

先程「あ、」と言って止まった場所にふたたび着くと、膝に手をついて肩で息をしながら「もう歳や…」と呻いていた。

独特のイントネーションでそう呟かれたそれに、心当たりは確信へとなった。

 

「あ…悪りぃ先生。まだ揉めてるワケじゃ──」

「僕の…オフを邪魔しただけで罪や….休日ぐらい生徒の顔見ずにおりたいねん…ボケ…」

 

ドラケンが少し顔を引きつかせながら弁明を図ろうとするも、言い訳を聞く気がないと言わんばかりに、途中からぜぇ、はぁ、と間に息を挟んでボソボソと言う。

 

「だったらさっき逃げればよかったじゃん。なんで戻ってきたの」

 

マイキーは不可解だと隠さずに教師相手にハッキリとそう聞く。

その言葉に「あぁ?」と柊木は答える。

 

「逃げたんやなくて、アイスが溶けるからコンビニに置きに行っただけや」

「答えになってねーし」

「おう、よう言うた佐野。僕も佐野の出すテストは常にそう思いながら採点してるで。知ってた?」

 

柊木はこめかみにやや筋を立ててマイキーの言葉に言い返す。

突然やってきた男が自分達を放っておいて渦中の2人と何やら口喧嘩を始め出したことに、芭流覇羅側は気の短い連中も多く大声を出して注意を引いた。

 

「これお前らのセンコー?超良い先生じゃん!生徒の危機に駆けつけてくれちゃってさァ!」

「僕の帰り道にたまたまお前らが居っただけや」

「うるせぇよ!おっさんは黙ってろ!」

「おっさん言うな!まだ39や!」

「39はおっさんだろうが!」

 

柊木の方へ注目がむき始めたところで、柊木はマイキーとドラケンの方へ向き直る。

 

「はよ帰れ」

「は?何言ってんの」

「先生?」

 

元は売られた喧嘩で、ドラケンはともあれマイキーの内心は苛立ちの沸点がもうそこまで来ていた。デカい抗争になろうがなるまいが、マイキー個人としては一発お見舞いしてやりたい気分だったのだが、ここで部外者である大人がやってきて「帰れ」と言われると、何も知らねーくせに何言っちゃってくれてんのという気持ちにしかならなかった。

 

「良い先生ぶりたいわけ?」

「ワケあるか。大事にしたないねん」

「じゃあ帰んのはてめーの方だろ」

「自分、しつこいなぁ。先生が帰れって言うてるんやぞ。黙ってはーい言うて帰れへんのか?」

 

眉を思い切り寄せて面倒臭いという表情を露骨にする柊木に、マイキーは余計に苛立ってくる。柊木は「あかんなぁ」と一言呆れるように言うと、後ろに立つドラケンを見て「おい龍宮寺、佐野引っ張って帰れ。成績5やる」と投げやりにそう言った。

ドラケンとしても内心は穏やかではない。が、ここで大暴れしかねないマイキーを止められるのは自分しかいないこともあり、黙って教師の言うことを聞いてやることにした。

やはり離せよケンチンと騒ぐマイキーを落ち着かせながらどうにか現場を離れた後、遠くから柊木の様子を見ていた。

 

 

 

「まぁじカッケー!ごくせんの真似?」

 

馬鹿にするように笑う自分よりふた周りも歳下の子供を見て、出るのは手でも足でもなく、ただのため息だ。

 

「…ごくせんて、アレ十分違反やしな。フィクションやから許されてるんやで。教師っちゅう仕事してる奴が、他校であれなんであれ、生徒に手ェ出すんはご法度や」

 

アレが許されるなら手も足も出そうになることなんて今まで何度もあった。

 

「じゃあ何の為に一人残ったんだよ?生徒の前でカッケー自分見せたかったとか?」

「いや…オッサン狩りに遭ったことにすれば…学校巻き込んだ揉めにならんから…落ち着くかなって」

「はぁ?つか、こっちはあの二人に用があったんだよね。おっさん邪魔すんなよ」

「邪魔て。邪魔してきたのお前らの方やぞ」

 

ぽりぽりと頭をかきながら、適当に返事をする頭には常に定時退勤のことしかない。

暴行に遭ったことにすれば、警察沙汰になったとしても被害届を出さずにいれば一、二時間の拘束で済む。そんなことをひたすらに考えていた。

 

「…舐めんなよ…?さっきから意味わかんねえ事言いやがって…」

「意味分からんのはこっちや。休日潰される僕のストレスがわかるか?」

 

もはやこっちの聞く耳は持っていない。頭が沸いた連中達はなめてんじゃねーぞ!と拳やらパイプやを振りかざしてこちらへ向かってくる。おお怖、こんなんで佐野と龍宮寺殴る気やったんか。そんなことを悠長に思った。それにしても、ずいぶんと力任せだ。勢いのまま殴りにきている。そういうもんか、子供の喧嘩とは。

 

そうこうしているうちに、すぐに聞き慣れたサイレンがその場を騒ぎ立て始める。警察だった。

 

「は…?何でサツが…」

「さっきコンビニのにいちゃんに頼んどいてん。5分後に警察に通報してって」

 

そう曝露すれば、さっきまでの威勢はどこへ行ったのか顔を僅かに青くして蜘蛛の子が散るようにこの場を去っていった。その中で一人逃げ遅れたヤツの首根っこを掴み、警察に連行してやった。

 

 

二時間どころでは済まなかった事情聴取のあと、警察署から出ると見慣れた生徒が二人立っていた。

 

「おい…なんでまだおんねん」

 

署の前に立たれたら、警察があらぬ誤解をするからもしれない。そうなるとやっと解放された矢先にまた聴取地獄になる。そして明日は職員会議で定時退勤失敗コースだ。

 

「いや…」

 

どこかバツが悪そうに龍宮寺は首の後ろをかく。

 

「今日…自分達だけじゃ多分、大事になったかもなって。まあいずれなるかもしんねーけど、一応礼言っとこうかと思ってよ」

「“いずれ”ってなんやねん。僕がお前らの担任辞めるまで来んなよ、その“いずれ”」

「それはわかんねーけど」

「気ぃつけたらええ話やろ」

 

ハァ、とため息が溢れて、生徒二人を連れてぽちぽちと帰り道を歩く。

二人が署の前で待っているのが単なる礼と詫びのためとは思えなかった。おそらく何が裏がある。そう思うも、面倒臭いので足早に歩く。

 

「先生ってなんで先生になったの」

「…公務員は安定してるから」

「先生って面倒ごと起こすなっつーくせに、暴走族やってんのは怒んねーの?」

「止めたところで、やろ。縛ればもっとデカい反動起こす。喧嘩で済まんことになったらめんど…大変やからな」

「それってさ、実体験?」

 

佐野の言葉に思わず足を止めて振り返る。

やはり勘付いてここまでわざわざやってきたらしい。佐野の顔は気になるという感情を全面に出していた。しかしそれを聞いてどうするのか。

 

「おう。実体験や。僕の友達の先輩の兄貴のな」

「遠っ」

「気ぃつけて寄り道せず帰れよ。じゃあな」

 

本当はそこで曲がる必要はないのだが。これ以上突っ込まれると面倒くさいので、通ったこともない道を通って帰ることにした。

 

そして気が付いた。

 

「あ…コンビニにアイス置きっぱにしとった…」

 

 

 

 

と、そんなことがつい先日あった。

 

校舎の影で隠れて、周りを伺いながら挙動不審に煙草を吸っている柊木を、マイキーとドラケンは屋上から眺めていた。マイキーとドラケンはあの後ことの顛末を遠くで見ていたわけだが、柊木はひと殴りもしていなかった。一発もらうわけでもなく、ただ避けていた。体格が良いだけのトロくさいヤツという印象とは真逆だったことが思わぬギャップだった。「結局アイツただの一般人じゃないよな」という結論に至ったところで、マイキーがふと思い出したように切り出す。

 

「なぁ知ってる?ケンチン」

「あ?」

「関西にさ、“ヒイラギオサム”って名前のボクサーがいたんだって。アマチュアだったらしいけど」

「へー…」

「兄貴が前に言ってたんだよね。関西にいる不良がボクサーになったって」

「ふーん…それで?」

「でさ。そのボクサー、一般人殴っちゃって引退した後、関西で暴走族作ったんだ」

「マジかよ」

「その暴走族、もう解散してんだけど、関西でそこそこ強かったんだってさ」

「へー……」

「“ヒイラギオサム”って、アイツのことかな?」

 

どう思う?ケンチン。とファミレスのメニューを見ながら悩むように聞いてくる。どう思うと言われても…と答えに詰まる。

 

「もしそのボクサーがあの先生なら、…この間の反動が来るって言ってたヤツもマジの実体験だろうな」

「あんなん絶対実体験だろ。先輩のダチの兄貴?とか超見え見えのウソ俺につきやがって」

「まーな」

「でも俺さ、あのセンコーおもしれぇなってちょっと思ってる」

 

成績もくれるし。と付け足す。

マイキーが大人相手に面白いと言うなんて珍しい、明日は雹でも降るんじゃないかとドラケンは頭の片隅で思った。

柊木が身震いしていることなんて知らずに。

 

 

 

 

 

 

 


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