ACの新作が出た勢いで書けました。
思えばあの日を堺に世界が壊れたと言う認識は誤っていたのかもしれない。
巨悪たるAFOとオールマイトの戦いの後に起きた歴史を二転三転する大惨事の余波で吹き散らされたマスメディア達は使命感か、或は何者かの作為故か夜明けを待たずに破壊渦巻く爆心へとカメラを送り続けた。
そうして何台ものカメラとカメラマンを使い潰し漸くまともに接近出来たのは朝日が登る頃合い。
漸く止んだ破壊の嵐の跡を四苦八苦しながら突き進みカメラに収められたのは黒い布切れに包まれた何かを一心不乱に貪る4本腕の怪物だった。
理解が追いつかなかったカメラマンがズームをした事でそれが人の半身であると判った途端にテレビに齧り付いていた人々は悲鳴を上げた。
しかし、それで終わりではなかった。
暫くお待ちくださいと書かれた画面に移り変わって間もなく異変は様々な場所で露呈し始めた。
気付きはとあるヒーローが要請を受けて窓から飛び出し地面の染みになった時か。
或は、昨晩までは獣の顔だった家族がつるりとした人の顔で目を擦りながら起きてきた時か。
或は、少し離れた場所にある物を個性で取ろうとした時か。
その日。人類の個性保有者の実に4割がその個性を喪失した。
名だたるヒーローも恐れられるヴィランも只の一般人も分け隔てなく訪れた異変に誰もが狂乱する中、誰かがSNSに投稿した説が爆発的に広まった。
『チェンソーマンに食べられた個性は消えてなくなる』
そんな荒唐無稽な都市伝説はしかし確実に真実であると恐れられながら広まった。
そうして混乱する社会にて、オールマイトの死に加えヒーロービルボードの上位の大半が個性を失った事もあり秩序は風前の灯となっていた。
だからだろうか。
傍若無人に振る舞うヴィランの眼前に立ったエンデヴァーのその姿は誰よりもヒーローらしかった。
ヴィランは嘲った。
「個性が無くなってマスクすら手作りの無個性が何を出来る?」
その問いに手縫いらしき炎を象ったマスクを被るエンデヴァーは好戦的な笑みとともに返した。
「お前を殴り飛ばせる」
サポートアイテムによる補助もあったとはいえ無個性の筈のエンデヴァーは恐れもせずヴィランを拳一つで叩き伏せた。
流石に無傷とはいかなかったとはいえ何処か満足げな笑顔を浮かべる彼に人々の喝采が降り注ぐ光景はとても美しく、見る人全てに勇気と希望を与えるヒーローの姿だった。
故に、
「け……て…」
誰も倒れたヴィランの言葉に耳を傾けなかった。
「助けてチェンソーマン」
今後本編で言及されない小ネタ達
個性【永劫回帰】
とある男が得た個性。死亡と同時に自分が産まれた時まで世界を巻き戻す絶大な力を持つ個性。しかし、その権能の如き力があろうと本人の記憶も巻き戻る為に実質的な無個性。
しかし、何度も起きた回帰は世界に少なく無い負荷をかけた。