ギアス世界に転生!! ……って神様のばらまいたEX-ARMのせいでメチャクチャなんだけど   作:ナナシのG愛好家

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 因みに早々に名前を出すタイミングを見失っていたのでここで投下します。主人公……彼の名前はマリス・ステッラ、ユーロブリタニア出身です。


ハロー、アヴェンジャーズ

『K4……K4、どうした?応答しろ。』

 

 無線から声が聞こえてくる。無線から聞こえてくる。懐かしい声。あぁ、アニメで見てて、その狂気的な姿に退いて、人を導く姿にほれ込んで、楽しんで来たその声。それが現実となって、ボクに重くのしかかってきた。この世界に生まれて、この年まで生きてきて、ずっと実感してたこと、この世界の皆も、ボクも、この世界で生きている。

 

「うん、こちらK4、聞こえてる。」

『……どうした、K4、先ほどと声が違うが……何があった?』

「この機体に乗ってた人なら乗り捨てて逃げたよ。怖くなったみたい。」

『……そうか。まぁいい、K4、そこから北東に向けて直進。そして20秒後にアサルトライフルを正面の壁に向け斉射しろ。』

「了解。」

 

 指示に従って動き出す。この第一話は覚えてる。僕の役目は駒。ルルーシュの指示に従って動く駒だ。幸いにも、僕はこの正体不明の無線の主のことがルルーシュだと分かってる。なら、あとで接触するチャンスはある。だから……今は黙ってルルーシュの指示に従って、引き金を引いた。コンクリートの壁を弾丸が突き抜けて、何やら爆発音が聞こえる。

 

「凄いな……相手の動きを呼んでこうして責め立てるなんて。」

 

 ルルーシュがやっているのは、相手の期待を奪取して、相手の機体の動きを見ていること。本当なら、相手の駒がどこにどれだけいてどう動いてるのか、理解しきることの難しい戦場において、相手の動きが分かっているというのは絶対的なアドバンテージになる。たとえで言うなら、二人がチェスをやってる中で、片方だけ目隠しをしてる状態と言えるかもしれない。しかも目隠しをしている側(クロヴィス)の腕前が目隠しをしていない側(ルルーシュ)よりもチェスの腕が上なんだから、こんな一方的な状況も当たり前だ。

 

『次は右方向に動け……K5からK8、右方向に斉射、K2、上部にスラッシュハーケン。移動しろ……』

 

 次々と的確な指示を出していき、無線からも、シンジュクゲットーレジスタンスグループ(ルルーシュの駒)の高揚が聞こえてくる。

 だけど、それも長くは続かない。

 

『うわあぁ!?』

『K9どうした?応答しろK9』

 

 悲鳴と共に爆発音が聞こえる。そろそろか……ルルーシュ最大の友にしてルルーシュ最大の敵、白兜もといランスロットに乗った枢木スザクが出撃したんだろう……次々と味方がやられて行ってる。

 

『チッ……!!誰かいないのか!?誰でもいい、応答を……!!』

 

 ルルーシュの苛立った声が聞こえてくる。とっさにボクが居る、と言おうとしたところでだった。

 

『ぐあっ!?』

「ッ!! ルルーシュッ!? 応答してルルーシュ!?」

 

 声が……出てしまったんだ。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

《Side Lelouch》

 

―――すべてが上手くいっていたはずだった。

 

「K3、K10!!……チッ……!!誰かいないのか!?誰でもいい、応答を……!!」

 

 それが、一瞬で崩れ去った。クロヴィス(兄上)の配置は見えていた。動きを読み、徹底的に敵を叩き潰す。その戦い方は読みやすかった。所詮文官肌のクロヴィスの軍略など、大したことはない。案の定、こちらの陽動にまんまと引っかかり、集まった敵機を地形を崩すことにより仕留めた。機体が撃墜されて生き、大量の『LOST』の反応が出る様には、あまりに上手く行き過ぎて笑いがこぼれた物だ。だが……次に突如こちらの反応がロストした。そんなことを振り返っている時だった。その反応がこちらに近づいてきた、そう思った矢先には襲撃を受けていた。紫を基調としたサザーランドとは大きく違う、真っ白なカラーリング。内部にファクトスフィアがあるとは思えない、光り輝くツインアイ、白兜。そんな渾名が思い浮かぶ。

 

「ぐあっ!?」

『ルルーシュッ!? 応答してルルーシュ!?』

 

 思わず漏れた声に、とっさに通信が送られて来た。俺の名を呼んで(・・・・・・・)。俺は自分の名前を明かしていない。ヒントになるようなことがあったか?そもそも何故俺を……アッシュフォード学園の学生としてのルルーシュの名前を知っている!?様々な疑問が脳をよぎる。が、今は目先の問題だと、頭を切り替える。攻撃を受けた際、アサルトライフルを乱射するが閉所にも関わらず超人的な動きで避けられ、まるで効いたためしもないまま左腕を破壊された。潜んでいたビルから飛び出し、スラッシュハーケンとランドスピナーで撤退する。幸いにも、K4以外の味方はもう全滅していたようだ。俺の正体を知る謎の存在……K4以外に俺の正体はバレていない。そう考えながら逃げている時だった。

 

「何ッ!?」

 

 振り返り後退しながらアサルトライフルで―――避けられるとしても権勢にはなる。ないよりかはましだ。―――射撃を行おうとしたため後ろを向いていたからこそ、その存在に先に気が付くことに出来た。

 

『!?』

 

 そこに居たのは、一機のナイトメア。白兜でも待ち構えていたのか、ビルの陰に隠れていた。サザーランドのようだが、バイザーで頭部が覆われ、ブリタニアのカラーである青に近い紫から、黒に近い紫へカラーリングが変えられている。なによりその手に持っているものが、標準装備のアサルトライフルではなかった。白兜が通り過ぎようとしたところで、その手に持っていた銃器を発砲した。太い銃身から放たれたのは散弾。至近距離で放たれたそれに、白兜はなんと敵の存在を視認して即座に後ろに跳びながら緑色のエネルギーシールドのような物を展開し、散弾を無傷でしのぎ切って見せる。

 が、そこでさらに、もう一機隠れていたのであろうナイトメアフレームが現れ、その両手に持ったアサルトライフルを連射する。

 

『そこのナイトメア(KMF)、聞こえているか!?こちらは日本解放戦線だ。時間を稼ぐ!!その隙に姿をくらませ!!』

 

 オープン回線で通信が入り、二機のKMFが足を止める。日本解放戦線、連日ニュースにも上げられる日本最大規模のレジスタンス……だったか。そのようなことを考えながら逃げる中で

 

「K4、よくやった、作戦は終了だ!!あとは私一人でやる。離脱しろ!!」

『う、うん、わかった!!』

 

 K4に指示を送っておく。奴の正体はすぐに突き止める。まずはクロヴィスだ。そんなことを考えながら、ナイトメアの向きをクロヴィスが控えているであろうブリタニアの陸上戦艦G1ベースに向け脱出レバーを引いた。あの女にもらったこの力。その活かし時だと、細く笑みながら。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

《Side Malith》

 

 焦った。完全にやらかした。よりにもよってとっさにルルーシュの本名を出してしまうなんて、僕のバカバカバカ!!

 そんなことを考え自分を攻め立てながら、必死でサザーランドのランドスピナーを回していた。最悪の場合『ルルーシュの事を忘れろ』なんてギアスを駆けられたらとんでもないことになる。そんなことを焦りながら考えている時だった。

 

『そこのKMF、聞こえてるか!? お前、ブリタニアの兵士じゃないな!?』

 

 と、いきなり無線が入ってきた。オープン回線の通信……それに近い、無線機を掴手の通信だ。方向を確認すれば、バイクに乗って、一人接近してくる人がいた。よく見たら小さな女の子だ。ボクよりも年下?中学校に行ってるかも怪しい身長だ。そのくせ、声がやけに凛としている。まるで戦場を知っている戦士のような……年齢に似合わない覇気があるかのような感覚……

 

「……何?」

 

 焦っていた。罠かどうか頭を回す余裕も、気の利いた言葉を回す余裕もなかった。

 

『私の仲間が苦戦してる、戦力が欲しい!!逃げるための『脚』なら、このバイクと交換だ!!どうだ!?』

 

 ランドスピナーを止めたボクの機体の隣にバイクを止めて、手に持った無線機で、そう声をかけてきた。

 

「……分かった。」

 

 悪い話じゃない。なによりボクにはEX-ARMもある……それに、この子の言ってることが嘘だとは思えない。コクピットを開き、降りていく。すると目を丸くしたように

 

「……私の言えたことじゃないけど……若すぎない?」

「ホントに言えたことじゃないね……これでも年上のつもりだよ。」

 

 ボクの体格はお世辞にもよくない。女の子に勘違いされやすいこともあって、実年齢より下に見える。けどそれを見積もっても、この子は絶対ボクより下だ。

 

「話はまた会った時にすればいいな……恩に着る。この借りは必ず返す。」

 

 けど、あっちもあっちで余裕がないみたい。何か言おうと思ったけれどそれを飲み込んだような態度で、サザーランドに彼女は乗り込んでいった。ボクもバイクに乗り、G1ベースへの道を急ぐことにした。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

《Side Karen》

 

 走る……走る。子供の頃の思い出だった場所は、どこも壊れて見る影もなくなって……それでも生まれ育ったこの街の中を走っていく。じりじりと負けかけていた私達は、謎の無線の男の手を借りて、なんとか戦況を立て直すことは出来た。でも、いきなり次々と私達のグループのメンバーが乗ったKMFが倒されて行って……

 

「扇さん!!」

 

 無線で居ると伝えられた、ひときわ大きな建物、元々は倉庫だったそこに、私達は負傷者を集めていた。そこに大慌てで駆け込む。

 

「カレン……来てくれたか」

 

 ジャージ姿の男の人、私達のレジスタンスグループのリーダー、扇さん。その人の名前を呼べば、振り向いた彼の表情は厳しかった。ここからどうするか、必死に考えている様子だ。きっと状況は良くない。

 

「見ての通り、状況は良くない。相手の戦力は大きく削ったが、肝心の包囲網が……」

 

 それに、トレーラーもKMFも失った今、私達には相手のKMF(サザーランド)どころか装甲車ですら脅威だ。それを掻い潜ってこの人数……いくら私達でも……

 そう思ってた時に、重厚な走行音が聞こえてきて、とっさに身構える。次の瞬間、正面のシャッターが、大きく突き破られた。

 

「「「!?」」」

 

 私も、扇さんも、負傷して寝そべっていた玉城も、脱出ルートを考えていた南さんも、けがをした人に包帯を巻いていた井上さんも、他の皆も、全員が身構える。けど、直後シャッターを突き破った車に付いたスピーカーから放たれた声に驚いた

 

『落ち着け!!我々は敵ではない!!』

 

 そう声を出しながら車の扉を開け、降りてきたのは鷹みたいな鋭い目つきをした壮年の男。緑色の髪は白髪が混じってて、口ひげを生やしてる。武人……というよりも……軍師?

 

「我々は日本解放戦線だ、援護に来た。我々の同志が切り開く脱出路の下離脱する。協力を求めたい。」

 

 そして、その人がそう告げてくる。でも……

 

「なっ、そんな事一方的に言われたって、信用できるか!!」

 

 腕っぷしの強い吉田さんが声を上げる。それもそうだ。第一、この人の見た目は日本人にはとても見えない……

 

「だが、今の君たちには我々に協力する以外の選択肢はない。違うか?次に私が日本解放戦線の名をかたってなんになる?ブリタニアの勢力ならば偽らず、装甲車に付いた武装で君たちを消し去れば済むだけだ。」

 

 その言葉に、吉田さんはうっ、と詰まった。そうだ、この人たちがこの場所を知ったという事は、ブリタニアもすぐにやってくるはず、協力を拒んだ人を見捨てない程、この人たちはお人よしでもないだろう。

 

「……信用できるんだな?」

「信用するほかあるまいよ」

 

 扇さんの問いかけに、その男はそう返した。それに、頷く以外の選択肢はない。私達は……弱い。

 

「負傷者はこちらへ、我々も援助する!!」

 

 まるで着物みたいな柄の布をサーコートみたいに肩から下げて、その下に紫色のパイロットスーツを来た男の人を中心に、中から出てきた日本解放戦線のトレードマークである旧日本軍の軍服を着た人たちが、負傷者を運んでいく)

 

「そこの女……お前があの『赤いグラスゴー』のパイロットか?」

 

 そして、車に乗ろうとした私を、さっきの男が呼び止めた

 

「そうだけど……だったら何?」

「いや、大したことではない。我々が鹵獲したKMFが一機余っている。それにのり、突破の手助けをしてもらおう。働かざる者食うべからずと、この国では言うのだろう?」 

「随分な言い様ね。ここまでブリタニアを追い込んだのは解放戦線じゃなくて私達だけど?」

「だが、その『私達』とやらの指揮官を助けたのは我々だ。ここに居るのだろう?聞いてみてもいいはずだが」

 

 あの男をこいつらが助けた?そう言えば、異様に強いKMFにみんなやられていったけど……

 

「あの男の顔なら私も知らないわ。突然無線で支持をしてきたし……」

「ふむ……いや、仕方がないか。分かった。ここは我々が指揮を執る。自己紹介が遅れたな、私はミドル・フラットウェル。日本解放戦線の客将だ。便宜的に大佐と同等の地位を受けている。」

「フラットウェル!?あの『帥叔』フラットウェルか!?」

 

 扇さん達が驚く。ミドル・フラットウェル、『帥叔』と呼ばれてる、数多くの地域で活動する半ブリタニアレジスタンスの英雄的存在の一人、彼らのリーダー『帥父』サム・ドルマヤンに次ぐ、実質的№2。日本人じゃないとは思ってたけど、まさか海外の大物が出てくるとは思っていなかった。昔はブリタニアへのスパイ活動もしていて、ブリタニアに大きく打撃を与えた男……

 

「私も有名になったものだ。ともかく、時間がない。六文銭、頼めるか?」

「御意。紅月殿、こちらへ。」

「ちょ、ちょっと、何で私の名前知ってるのよ!?」

 

 フラットウェルに『六文銭』と呼ばれた、サングラスを駆け、マントみたいに着物風の柄の布をパイロットスーツの上に羽織ってる、さっき負傷者を運ぶ際に陣頭指揮を執ってた男が私の名を呼んできたことに驚いて、とっさに声を上げる。というかそもそもその喋り方……なに?

 

「このレジスタンスは紅月ナオトという男が代表として引っ張っていたことは知っていた。当然、その男に、大切にしていた妹が居ることも、その男が道半ばで果てたことも調べが付いている。」

「っ……お兄ちゃんは!!」

「その心の痛みは理解しよう。しかし此度は時が足りぬ……詮索の咎、後にいくらでも受ける所存。故に今は……頼む。我が大恩ある少女、同士ツィイーに貴殿のお力添えを、何卒……」

「えっ……え、ええ、わかったわ……」

 

 フラットウェルがそんな風にあっさり言って、お兄ちゃんの話題を出してきたことに言おうとしたけど、割って入ってきた六文銭……さん?がそう言って頭を下げてくる。実際そうだし、こうも頭を下げられたら頷くしかないんだけど……その喋り方、何?

 と質問する暇もなく、連れられて、外に駐留されていたサザーランドに乗る。

 

『アンタがこのレジスタンスのエースパイロット?って……女ばっかりだね。』

「そう言うアンタも女じゃない!?」

 

 乗れば、隣に居た、オレンジと水色で塗装されたサザーランドから、通信が入ってきた。私と同じ戦士の覇気のこもった声。だけど女性だし……それ以上に声から伝わってくる感じよりモニターに見える女の子は少なくとも5歳は若い。なんていうか、まだ中学生、それも成りたてじゃない?

 

『私はリトル・ツィイー。帥叔と一緒に、日本解放戦線に身を置いてるよ。今回はよろしくね。』

 

 駆動音を建てて、その手に持ったバズーカを確認しながら、そう声をかけてくる。なんていうか……癖の強い人が多いわね。フラットウェルの勢力……

 

「え、ええ。でもあなた……」

『ん、なんだ?』

 

 その髪色とか顔立ちとか、見るからに日本人な気がするけれど、リトル・ツィイーって、コードネームかしら。なんで見るからに日本人なツィイーが外国っぽい名前で、見るからに外国人な六文銭……さん?が日本っぽい名前なのよ、ふつう逆でしょ、逆。

 

「いえ、何でもないわ。その装備ってことは……アンタは後衛ってコトでいいのね?」

『ああ。普段は六文銭や帥叔の援護をしてるからな。皆……あんまり私を前に出したくないらしい。』

「そう……愛されてんのね。」

 

 少し、その言葉にレジスタンス活動から私を遠ざけていたお兄ちゃんの顔がよぎる。

 

『アンタもね……顔見たらわかるよ。大切にされてるんだろ?』

「えぇ、そうね……」

 

 とはいえ扇さん達では実力が足りなくて、どうしても私が狩りだされることが多くなっちゃうんだけれども。

 

『ツィイー、紅月、無駄口はそこまでにしろ。そろそろ会敵する』

 

 その時無線にフラットウェルが割り込んで来た。良い話だってときに……

 

『分かった。帥叔、数は?』

『KMFが3だ。そこまで多くはない。』

「了解、そうと決まれば!!」

 

 私がランドスピナーを走らせ、その後ろをツィイーの機体が追走してくる。射程の長いバズーカでまずは権勢。

 

『なっ、敵襲!?』

『突破を狙って来たか!!こちらゲーリング、応援求む!!』

 

 それに一機が吹き飛んで、残りの二機が対応しようとするけれど、私にとっては

 

「遅い、砕けろブリタニアっ!!」

 

 アサルトライフルを連射。それで回避方向を絞り左腕のスタントンファーで殴りつける。それに驚いて隙を見せたもう一人にスラッシュハーケンを撃つ。あっという間に3機のKMFを破壊した。

 

『さすがだね。私ひとりじゃこうはいかなかったよ。』

 

 あっさりと3機を倒した戦果に、ツィイーから通信が入る。

 

『ああ、上手くいった、残るは追撃を振り払うだけだ!!全速力でこの場を離脱、近隣の隠れ潜める場所まで撤退しろ。』

『『『了解!!』』』

 

 その後、私達は無事にこの場から逃げ去ることが出来た。あと残ってる問題は、あの男、そして、最後にツィイーが話したある『女』の存在だった。

 

『そういや、その無線の男とやらからG1ベースに対して何か指示があったのか?』

 

 抜け出した後、そんな質問を投げかけてきたツィイー。勿論私達はそんな命令受けてない。誰もが首をかしげるばかりでどういう事か問いただせば、G1ベースに向けて移動するサザーランドが居て、あの私が乗っていたサザーランドはその人の物だと聞く。そのサザーランドが誰の機体なのか、そもそも無線の男は私達に渡したもの以外にサザーランドがあることを知っていた?そのサザーランドを渡した女が無線の男の腹心?ダメ。考えが追いつかない。悩んでる中、私達は長らく活動を続けてきたゲットーの一角から離れていった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 バイクを近くの瓦礫に隠し、ボクはG1ベース内に順調に潜入出来ていた。

 

「ぐっ………あっ。」

「ちょっと眠ってて」

 

 すれ違いそうになった兵士の不意を突いて締め上げる。病弱だった元の身体とは信じられないくらい、この体はよく動く。それだけあって、絞め殺すことには成功した。さて、ルルーシュは……

 

「止まれ。そして黙って手を挙げろ」

 

 探そうとした時、そう冷たい声が響いて、ボクの頭の後ろに冷たいナニカが突きつけられた。この声は……

 

「いきなり……ご挨拶だね。」

 

 手を挙げながら、そう言う。

 

「黙って手を挙げろと言ったはずだ……K4。」

「…………」

 

 流石はルルーシュ。ボクの声だけで、正体を見抜いてきた。

 

「しかし、驚いたな。まさか俺の学校の俺と同じクラスに、俺と同じ、ブリタニアにここまでの悪感情を持つ人間が居たとはな。マリス・ステッラ。」

 

 おまけに僕の名前も呼んできた。

 

「驚いたね……君とは何度か話しただけだと思ったけど?ボクの名前を憶えてたんだ。ルルーシュ・ランペルージ」

「学校の名簿の人物の名前と顔は一通り記憶している。『副会長』だからな。」

 

 フッ、と笑うルルーシュの声が聞こえてきた。

 

「…………君の邪魔はしないよ。」

「察しのいいことだ。ところで、俺の秘密はどこまで知っているんだ?」

「秘密?」

 

 ……ここは、誤魔化しておく一択だ。運のいいことにギアスは使われてない。だから

 

「秘密……?君にはまだ隠してることがあるの?」

「知らないのか?」

「ボクは……君が命令を下している声で、君がルルーシュだとあたりをつけただけだよ。」

 

 この日の事は、いつも考えてきた。ボクもそれなりに頭は回る。予行演習の通りなら……それにルルーシュは慎重だ。ここでかけている時間も……

 

「分かった。今はそう言う事にしておいてやろう。」

 

 ルルーシュはそう言って、ボクから銃を下した。

 

「ただ、『俺の質も

「それと、ボクは君がボクと同じ(・・・・・)超常的な力を手にしてることも知っている」

「ッ!?(コイツ、俺が力を使う前に……だと!?)」

 

 あの流れ、見えなかったけど、力を使われるような予感がした。だからこそ、早口でそう口にする。ボクも馬鹿じゃない。万が一ルルーシュに、『質問に答えろ』のギアスを使われちゃったら、ボクがいわゆる転生者なことがバレちゃう。オマケにここが物語の世界だったとか……うん。話したくない。

 

「これを見て欲しいんだ。」

「……俺が見た時から気になっていた、その腕の機械か。単なるファッション、というわけではなさそうだな。」

 

 だからボクは、手札を切ることにした。ルルーシュもギアスの力を把握しきってない。乱発は避けたいはず……だからこそ、ボクは今、ルルーシュにとって、そこそこ怪しいけど利用価値がある奴、なことを証明しないといけない。

 

「これはEX-ARM。人体に装着するサイバネティクス・パーツさ。パーツの型番ごとに効果が違うけど、現代の化学力じゃ説明不可能な超常現象を引き起こすことができる。」

「どうやら、俺の力とは毛色が違うようだな。」

「そうだね……EX-ARMの力じゃあんなに大量のサザーランドを集める事なんて……一部のパーツなら出来ないことはないだろうけど……」

「一部のパーツ?型番という言葉……なるほど、お前だけではないのか。」

「うん。ボクの持つEX-ARM№11は『電磁パルス』それによる重力操作だよ。」

「とんでもないじゃないか」

 

 電磁パルスは一つ都市部に使うだけで機械類をマヒさせることができる。だけど

 

「生憎そこまで便利な物でもない。№11の電磁パルスの射程範囲はせいぜい2キロが限界さ。」

「けっこうあるじゃないか」

 

 ごもっともだ。でもそもそもこのEX-ARMは電磁パルス兵器として使えない。

 

「一つの都市という面でみると二キロは短すぎるよ。それに、このEX-ARMの本来の用途は重力操作だ。二キロ全体に機械類が全て機能不全になるような高出力電磁パルスなんて撃ったら……エネルギー切れでしばらくは使えない。」

「駄目じゃないか。」

「そう、ダメなんだよ。チートって訳にはいかない。まぁ、どこかにあるだろう『無限の動力源』として機能するEX-ARM№12があれば、この制約もある程度解消できるんだけど」

「やっぱりあるじゃないか。方法が」

「問題は、ボクはEX-ARMの効果は知ってるけど、EX-ARMがどこにあるかまでは知らないってコト」

「だめじゃないか。」

「そう、ダメなんだよ」

「チッ、まぁいい。行くぞ。狙うのはクロヴィスの頸だ。さっさと向かうとしよう」

 

 というグダグダとした会話をした後、ブリッジに向かおうとすると

 

「待って!!」

 

 そう、ボク達を呼び止める声があった。……ボクはこの状況、知らないけれど

 

「何者だ?」

 

 ルルーシュがそっちの方を向いて、ボクもEX-ARMをいつでも起動できるようにしておく、そこに現れたのは

 

「あなた達、今クロヴィスを殺すって言ったわよね?」

 

 ゴシックロリータ調のドレスに身を包む女の子だった。見たところ私服……それも塵とかでそれなりに汚れてるし、軍人って訳じゃなさそうだけど、だとしたら……

 

「あぁ、そうだが、邪魔をするようなら『俺達の事

「私も仲間に入れてくれない?」

「は?」

 

 目を輝かせようとしたところで、まさかの持ちかけにルルーシュは唖然としてしまう。

 

「私は……クロヴィスを殺さないといけない。トドメは譲ってもいい。だから」

「待て待て待て、え?なんだ?ここにクロヴィスを殺したがってる復讐者が3人も居るという事か?」

 

 あまりの陳状にルルーシュが慌てて、

 

「……今回の虐殺でね。せめて、心菜ちゃんたちの仇を討たなきゃ浮かばれないわ。」

「……クロヴィスの奴……流石に怨みを買いすぎだろ……」

 

 彼女がそう言えば、ルルーシュは片手で顔を覆った。

 

「まぁいい、お前の考えていることは分かった。」

 

 そう言いながら、ルルーシュは歩いていく。どうやら彼女の事は、暫定的になかまにするみたいだ。

 

「この方向……ブリッジか。どうするの?いくらボクのEX-ARMでも……」

「お前が手札を見せた礼だ。俺も手札を明かしてやる。」

 

 ボクの前に出たルルーシュは、そう言うとブリッジの扉を開けては

 

「な、なんだお前達h

「さて、『クロヴィス以外のメンバーには全員この場から離れてもらおうか。』」

 

 そう、言葉をかけた。そうすれば

 

「「「「「はい、かしこまりました。」」」」」

「なっ、ば、バトレー!? アルル!! クレイヴ!? お前達!? 待て、どこへ行く!?」

 

 無機質な声でそう言って、出て行く人たちに、クロヴィスが必死で呼び止めるけど、次々と出て行く。でも、最後に出て行こうとした無精ひげを生やした、サムライ風の用心棒みたいな男と、クロヴィスの隣に控えていたフードで顔を隠した——体格的に小さな女の子——人が振り返った。男の方は、既に鯉口を切って刀を

 

「ッ!!」

「おっと。」

 

 振り返りざまの一閃。しかし、閃いたそれを、暫定的に仲間にしていた女の子——あとから名前を聞いたけど、マーヤ・ティゼルって言うらしい——がルルーシュから渡されていた、兵士の支給品のナイフで受け止めていた。とっさにルルーシュも飛び退いていたけど、マーヤが居なかったら……多分ルルーシュが死んでいた。ナイフで刀を受け止めていたのはいいけれど、マーヤの方も即座に跳んできた蹴りに腕を割り込ませて防ぎながら、後ろに下がる。

 

「この状況でも……バトレーが戻ってこない。お前の言う通り、催眠術か何かの類のようだな、アルル。」

「えぇ、危なかったです。あの状況から危惧して、起動させていたのが功を奏しました。」

 

 ニヤニヤと笑みを浮かべて、この状況を楽しんでいるようなサムライ風の男——クレイヴ——って呼ばれてた——に対してそっけなく言う女の子、フードで隠れてて分からなかったけど、こっちを向いたことで、その白い髪で隠れてた機械が露わになる。

 

「ッ!! EX-ARM!?」

「あれが……か?」

「それって……あなた達が話してた……」

 

 EX-ARM、右目に装着する№3、頭部に付けるタイプのEX-ARMは総じて便利なのが多かったけど、EX-ARM№3の効果はその中では優しい方だった。

 

「目で見た対象の未来を予知するEX-ARM、対人戦では無敵の武器だけど……」

「生憎勘は良いが知恵はそれほどでね。俺が持っているよりも、コイツが持っていた方が便利って訳さ。」

 

 刀の峰で自分の肩を叩きながら、そういうクレイヴ。

 

「……なるほど、目を伏せていたのか。」

「おうさ、アルルの入れ知恵だがね。」

 

 そう言いながら、刀を正眼に構えなおしては笑みを浮かべる。

 

「初手で失敗か……でも、何でもいい……!!」

 

 その時、クレイヴに向いていたマーヤが、振りかってクロヴィスに向けて一直線に進みだした。

 

「ヒッ!?」

「クロヴィスは殺す!!」

 

 情けない悲鳴を上げるクロヴィスに対してナイフを振るおうとしたところで、素早くアルルがリボルバーを引き抜いた。

 

「させない!!」

 

 とっさにEX-ARMの効果で重力を動かし、クレイヴとアルルの二人を天上に叩きつけようとするけど、間に合わない。ただ、凄まじい身体能力を持つマーヤは、野生の勘でも走ったのか、とっさに飛びのいて、おまけに重力操作の影響で銃弾の軌道がズレたおかげで弾丸は紙一重で彼女から外れた。未来を見ていたのか、猫のように丁寧に着地して見せる。他の皆は天井にたたきつけられたり、バランスを大きく崩したりしたのに彼女だけ綺麗に着地を決めた。そのアドバンテージを活かして、クロヴィスを助け起こす。

 

「クロヴィス様!!」

「あぁ……アルル、すまない。出て行こうとした時はお前達も私の下を離れていくのかと疑ってしまった」

「仕方のないことです。ご容赦を。」

 

 彼女が銃を向けているせいでこっちは迂闊に手が出せなくなった。

 

「えぇい……!!重力を操作するなら初めに言え!!効果を聞いていても混乱するだろうが!!」

 

 一方で、ルルーシュがヘルメットを外してボクを睨み付け、そう声を上げる。そして、その顔をクロヴィスは直視した

 

「あ……な……ば……か、な。ルルーシュ……?」

「まったく……計画通りにいかないことばかりだ。感動の再開も、これでは形無しですね。お久しぶりです、兄上」

「そん、な……お前は……あの時日本で……」

「えぇ、死んだ、そう伝えられていたそうですね。」

「兄上……?では、この方は」

「え……?どういうこと?」

 

 驚くアルルとマーヤ、口笛を吹いて……でも空気を呼んで構えを説いてるクライヴ。そしてじっと私が見据える中、二人の会話は続いていた。

 

「そ、そうだ……ルルーシュ。私は日本への……お前を殺した国への、その恨みを晴らすためにも……」

「私が日本を恨んでいる?と、フッ、相変わらず政治に向かぬお人だ。」

「な、ち、違うのか?ルルーシュ、私はまた……」

「37戦36敗、最後は未完……でしたね。」

 

 呆然として、擦り切れたような、この数舜で数段老け込んだようなクロヴィスに、ルルーシュは言葉を続ける。

 

「兄上はいつも手を謝った。読み違えた。チェスでも、実践でも。どうやらそれは人の心もだったようだ。」

「ッ!!」

「クロヴィス様!!」

 

 その言葉に息をのんで力の抜けるクロヴィスを、アルルがとっさに抱える。

 

「私が……いや、俺が恨み続けたのは唯一つ!!母さんを殺し!!」

「ヒッ、ま、待て!!違う!!私じゃない!!私はやっていない!?」

「ナナリーから光を奪い、俺達の全てを壊したあの事件……その犯人を見つけ出すことだ!!『知っていることをすべて話せッ!! クロヴィス・ラ・ブリタニアッ!!』」

 

 その瞬間、ルルーシュの目が輝いて、赤い眼光が貫いた。

 

「……第二皇女コーネリアと第二皇子シュナイゼル……あの二人が知っている。」

「ッ!! 何をだ?何を知っている?」

「く、クロヴィス様!?……お前、クロヴィス様に何をした!!」

「…………これ以上は何も知らないか。」

「…………ハッ!?わ、私じゃない!!信じてくれルルーシュ!?」

「えぇ、信じましょう。お人よしだった貴方に、殺せるとはとても思わない。だが……」

 

 ルルーシュはそう言って銃を向ける。

 

「ま、待て!? 腹違いとはいえ、実の兄だぞ!?」

「えぇ、しかし、私は止まらない!!」

 

 その瞬間、ルルーシュが引き金を引こうとして、

 

「殿下……ご無礼!!」

 

 ルルーシュの前に、割って入ったアルルが、リボルバーを向けて発砲した。その弾丸は、ルルーシュの持っていた拳銃に突き刺さり吹っ飛ばす。

 

「ッ!!」

「殿下は貴方の事をいとおしそうに語られていた……ここまでの無礼、皇族とはいえ傷つけないのは温情だと思え!!」

「このっ、『邪魔をしないで

「クライヴ!!」

「おうさっ!!という訳で悪いな嬢ちゃん。

「なっ、ぐぅ!?」

 

 再びナイフを振るって来たマーヤに対し、刀を下に向けて地面(天井)を引きずるように振るい、割れた電球のガラスなどの破片をまき散らして彼女を怯ませ、その間に近づいてくる。そこで、重力操作が切れた。EX-ARMのエネルギー切れだ。再び落下するルルーシュ。地面とディープキスすることになる彼とは違って、滑り込んで来たクライヴが二人を抱えて滑り込んだ。おかげで大したダメージも無かったアルルがそのまま跳び出し、クライヴの手を引っ張る。

 

「ここは逃げます。急いで応援を!!」

「任せな。」

 

 声を上げるアルルに、彼は飄々とした態度で答える。起き上がった彼はクロヴィスを抱えたままアルルが発砲してひびの入った窓ガラスを砕いて、G1ベースのブリッジから落ちていく。

 

「しまった!!」

 

 ルルーシュがとっさに下を覗くが、いつの間にか窓ガラスに掛けてあった、ワイヤーが風に揺られてるだけだった。

 

「クソッ、失敗だ。」

「とにかく今は……逃げよう。」

「……こっち、付いてきて。」

 

 その後、G1ベースを抜け出した私達は、ルルーシュが崩落させるのにも使った、シンジュクゲットーの地下通路を通って、無事包囲網から抜け出すことに成功することになる。余談になるけど、これはその帰り道。ボクは考え込んでいた。

 ボクが知ってる物語『コードギアス 反逆のルルーシュ』はアニメ第一期では未完だった。続編の『R2』って言うのがあるのは知ってたけど、見る前に死んでしまっていたから。

 だけど……あの一期の物語だけでもルルーシュは多くの物を手放していった。ボクは……出来るなら、それを止めたくてこの場所に参加した。だけど思ったんだ。それだけなんだろうかって。

 

「ここだ……」

「どうした?まだ脱出には…………そうか」

 

 足を止めたマーヤに、問いかけようとしたルルーシュが、床に付いた、瓦礫の下から伸びてきたであろう黒っぽいしみに何かを察した様に言葉を飲んだ。そこに跪くマーヤ。心菜ちゃん、とだけ聞こえてきたその言葉に、ここで死んだんだろうなと察しは着いた。何かの悪戯、偶然、あるいは……神様の気まぐれ。そんなもので、大切な命を奪われたんだって。神……超越存在。ボクをこの世界に生まれ変わらせた……ナニカ。

 この機械(EX-ARM)だったり、クロヴィスに仕えていた2人だったり、マーヤだったり……この世界はボクの知らないこと、予想外の事ばっかりだ。神様はこの世界をどうしたいんだろう。問い詰めてやりたい。

 マーヤは復讐で仲間になった。ルルーシュの目的の大詰めは復讐だ。だから、残ったボクの役目も……そうしようと思う。

 

「……行こう、ルルーシュ。」

「あぁ、そうだな。……どうした?マリス。」

「……何でもないよ。」

 

 マーヤの踏ん切りもついたらしい。だから、ボクは笑いかける。ルルーシュに向けて。

 

「始めよっか。」

「……あぁ、そうだな。まだ何も、手に入れちゃいないからな。」

 

 歴史に記されない、原作にもない一ページ。ここに、復讐者三人だけの、最初の黒の騎士団が出来上がっていた。

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