GVSウィッチーズ   作:つヴぁるnet

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誤字脱字報告があったけぇ。
全身から木製エンジンが吹き出すくらいあったけぇ(格闘CS中)


ではどうぞ


第11話

 

 

 

「お前さんもついに有名人だな」

 

「いずれこうなるとは思ってたけど情報の出回りが早過ぎないか?」

 

 

使い慣れた松葉杖を壁に立てかけて、俺はコンクリートの上に座りながらマニュアル通りにストライカーユニットの中身を弄り、別の作業を行なっているハッパさんに疑問を返す。

 

 

「まず病院で身体検査を受けたことでお前さんに魔力を保有してる事を知った。まだ民需の病院だったから広まりは遅かったが海軍基地でもある舞鶴の空で男が戦っている姿を目撃した軍人は多い。それがトドメとなったな」

 

「海の男は随分と目が良いな。そんなにウィザードが珍しいかよ」

 

「ウィザードかどうかはともかく、男が魔力を保有している上にストライカーユニットを履いて空を飛んでいるんだ。それだけで大騒ぎだよ海軍は。その後はお前さんのところに接触してこなかったのか?」

 

「そりゃしてきたよ。出戻りの入院中に軍服の人が何回か勧誘しに来たよ。もう絵に描いたように偉そうなやつも。中には車椅子姿の元軍人も俺の珍しさにコンタクトを取ってきた。退役した人はともかく扶桑海軍ってのは案外暇なんか?」

 

「そんなわけないだろ。騒がしくなってきたからこそ戦力強化に勤しんでる。で?勧誘に関してはどうしたんだ?」

 

「松葉杖に全体重を掛けながら満身創痍な表情して『俺は戦えません』と戦争に怯える哀れな子羊の様に振る舞った。それで諦めてくれた人もいるし、当然諦めなかった人もいる。その時は身体強化で松葉杖をブンブン振り回して『俺は病人だから面談は禁止だろ!教えはどうした教えは!?』と丁寧な肉体言語で威嚇して追い払ったりした」

 

「それのどこが病人だ」

 

 

 

ハッパさんに呆れられながらも俺は次のページのマニュアルを開く。

 

プラグの位置を確認しながら中身の調整を行なって、あらかた調整を終えるとユニットの側面に触れて軽く魔法力を流してみる。

 

するとユニットは魔法力を帯びて直ぐ温かくなった。正常に動いたらしい。

 

 

「てか俺を口頭で動かすことは不可能だ。まず長期的徴兵契約として黒数強夏の個人名義が書かれた契約書と、その人事権を北郷が手放すまで俺の身柄は彼女に掌握されてる。そのくらい根回しされてんだ。なので既に他者が干渉することは不可能な域に入ってる。俺の口から北郷に『破棄して』と頼むまでは不動であるが、まあ申し出る訳もないから今後一切あり得ない話だな」

 

「前から分かってたが二人揃って互いに随分と入れ込んでるな?」

 

「入れ込んでるのは北郷だよ。てかそもそも赤城の頃から距離感がおかしいんだよ。何で扶桑に着くまで同室だったのさ…」

 

「んあ?そりゃお前さんは私のモノだと牽制するためだろ?まるで飼い犬のような扱いだな」

 

「あながち間違いではないな。そもそも戸籍も血縁とこの世に何一つ無い俺はブリタニアで拾われた身だ。そりゃ保護対象の動物と変わらんだろう」

 

 

 

絶滅危惧種の類人猿かな?

 

ウッキー!今年は申年!!

アイ!アイ!アァーイ!!

黙れや!猿ゥ!!

ほんまつっかぇんわぁ…

全覚抜け横格覚醒落ちとかやめたら前衛?

うるさいんじゃい!!

 

 

脳内でチンパンジーが暴れてるのを感じながら手を進める。

 

すると「なぁ、黒数… 」と横から尋ねられる。

 

 

 

「お前さんは…この戦争は不本意か?」

 

 

 

不本意か…

 

まあ、どちらかと言えば…

 

 

「本音を言えばかなり不本意だった」

 

「……まぁ、それもそうか」

 

「でもそれは『だった』の過去形。いまは望んでこの場所にいる」

 

「そうなのか?」

 

「ああ、それは間違いない。俺はこの世界に望まれてやって来た。そして俺は望まれることを選んだ。ウィザード擬きだろうとその役割を演じてこの力を振ることは決めた。それにネウロイと戦うことが現世に帰る道だと考えているからこの戦争に身を投じた。それだけだよ」

 

「そうかい…… なら、オレは勝手に望むとするよ。ウィザードのお前さんがネウロイを倒して平和まで近づけてくれる事をな」

 

「だとしたらその望みは高く付くぞ?このユニットの様にな」

 

「機械いじりは好きでやってんだ。安いも高いも気にしちゃいねぇよ。それが平和の一端をかつげるなら偽善だろうと魔女を空に飛ばせてやる。上等だろ?」

 

「違いない」

 

 

もう既に俺は彼を八羽中尉と呼ばずハッパさんで名前を通している。

 

そのくらいの信頼関係は築けたらしい。

 

 

「しかし、手際いいな」

 

「孤児院で良くおもちゃを修理してたので」

 

「おいおい、ウィザード擬きはストライカーユニットがおもちゃになるのか?かわいい見た目してるが一応軍用兵器だぞ、これは」

 

「料理のために作られた包丁だって殺人道具になる。そのくらいの差ですよ」

 

「やれやれ、異界の人間と、この世界の人間とは、また感性が違うか」

 

 

 

そりゃ感性も違うだろ。

魔女のことを良くみろよ。

 

おう!パンツだぞ!

おパンツ!または下着!!

 

何でお前らは違和感ねぇんだよ!?

 

俺は今もたまにギョッとしてるよ!

 

え?なに?自然に生きる使い魔の浸透性を高めるために肌を広くすることが魔女として長生きする秘訣ぅ??それならパンツ晒さないでも半袖とかでも良いだろうよ!!

 

それこそ教えはどうなってんだ教えは!!

 

え?なんだって?

倫理観は(はま)で死にました。

ネウロイを討つために…?

 

これには侍を捨てた冥人(くろうど)も反応に困り果てるな。

 

 

意識をユニットに戻す。

 

 

「てかそこまで複雑じゃないですよこのユニット、思ったよりスカスカで目立つのは冷却装置くらいじゃ無いですか」

 

「そりゃお前さんがやると穴あきバケツになってしまう」

 

「うげ、バケツぅぅ…」

 

「そもそも魔法力は『注ぐ』のが基本的な流れだ。バケツの中に魔法力を注いで、あとは棒で掻き混ぜるとか、泡立てるとか、不純物を取り除くとか、ウィッチ個人の性質によってそれで色々やるってのに、お前さんの場合はコンクリート道路を掃除するレベルの水圧ブレスで魔法力をバケツにぶち撒けてんだ。そりゃ嫌でも穴あきバケツになる。だったら過程すっ飛ばしてホースにそのまま繋いでやるほうがユニットも壊れないで済む」

 

「俺の魔法力、ガバガバかよ」

 

「叡智の産物である魔法陣から魔法力を与えられた結果じゃないのか?」

 

「それにしては多すぎだろ、魔法力」

 

「ウィッチってのは生まれつき魔法力を備えるものだ。時間も経てば子供が箸が握れる様になるのと同じで魔法力も体が無意識に扱い方を覚える。しかしお前さんは魔法力の理解はあるが学びや魔力行使の経験が短いため浸透性が低いその体がコントロール出来ていない。つまりオムツなしで好き放題やってんだよ」

 

「マジで俺のケツ、ガバガバやん…」デデドン

 

 

 

脳内で絶望の音を味わいながらもユニットの整備を終えて、最後は正常に作動するかどうか確認した後に蓋を閉めて作業を終了する。

 

布で手を拭き取りながら立て掛けていた松葉杖に手を伸ばして立ち上がる。

 

 

すると…

 

 

 

「黒数、ここにいたか」

 

「どうした、北郷?」

 

 

ポニーテールを揺らしながら格納庫までやってきた北郷章香。

 

その腕には包帯が巻かれている。

 

 

「なに、怪我人同士は仲良く昼でもどうかと思ってね」

 

「わざわざ講道館からここまで?なんか歩かせて悪いな」

 

「気にするな。軽い運動だ。それでどうだ?」

 

「行くよ。また蕎麦奢ってくれ」

 

「ああ、何杯でも食ってくれ。それで早く怪我を治してくれ」

 

「あー、北郷少佐?それでしたらこの穴あきバケツ野郎は病室に押し込んだ方が良いのでは?」

 

 

 

赤城を降りても扱いはバケツ野郎なのか。

 

しかも『穴あき』も追加された上方修正。

 

俺的には下方修正なんですがそれは…

 

 

 

「八羽中尉、私も最初はそう言ったが彼は寝ていた分を取り戻すと言ってな…」

 

「そもそも病院に居ると軍服の暇人共がやってきて病室は迷惑被るからな。あとこれ以上は入院費もかけられないし。だからとっとと退院して松葉杖でも出来ることを考えたんだよ。それで浮かんだのがやはりココ」

 

「やれやれ、遥かに階級が上の軍人を暇人とか言うのお前さんくらいだな」

 

「俺、階級の無い雇われだし。あと表向き徴兵されただけの民兵だから」

 

 

 

なので怖いモノなしだ。

 

そう考えていたが…

 

 

 

「いや、黒数、君はちゃんと階級があるぞ」

 

「……………は?」

 

 

 

 

バケツが頭にぶつかったような感覚。

 

衝撃が来たこっちにも来たぁ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハッパさんと別れたあと格納庫を後にして、行きつけの蕎麦屋に向かいながら海岸沿いで彼女と話をしている。漣の音が気持ちいい。

 

 

 

「え?? お、俺が、准尉…?」

 

「ああ。君には舞鶴航空隊の()()()を務めてほしくてな」

 

「やめてくれよ…」デデドン

 

「やめないよ」

 

 

ニコッと返された。

 

まさかこの短時間で二度も絶望音を脳内で響かせるとは思わなんだ。

 

お陰で気持ちよく聞いていた漣の音すら右から左に受け流す。

 

てか准尉って青色プレート通り越して銅色プレートって事??

 

へー、やったじゃん。

これで対戦前に覚醒の種類選べるやん!

 

そしたらオンラインは怖くないな!!

 

 

いや、喜ぶところはそこじゃないだろ。

 

 

 

「む?准尉では低かったか?」

 

「そうじゃない」

 

「そうか。なら変わらず准尉だな」

 

「そうでもない」

 

 

てか階級とかオードブル風に選べんの??

 

絶対冗談だよな??いや、少佐になった北郷ならある程度のことは可能だろうが。あと新型ネウロイ落とした実績もあるし、そこら辺反映された結果だろうか。

 

それでも准尉って部隊のリーダー枠だろ?

 

民間兵になに任せようとしてんの??

 

 

 

「准尉はともかくとして、なんで俺なんだ?」

 

「簡単だ。君ならウィッチを守れるからだ」

 

「!」

 

「証拠に私をネウロイから守った」

 

 

 

腕に巻かれた包帯が生きてる彼女の証。

 

それは俺が割り込む形でネウロイをビームシールドで斬り落として彼女を助けたから。

 

俺が彼女を救ったんだ。

 

あの戦いで。

 

 

「しかも私だけではない。腕の中の坂本も守った。なによりブリタニアでは少女も守った。これだけの信頼がある。君にはそれ相応だと思うのだが?」

 

「そ、それは……いや、でも、北郷は!」

 

「言いたい事は分かる。坂本が墜落しなければ私は戦えた。ネウロイが弱ければ坂本を庇いながらも倒せた。それから…… わたしが初陣でなければ情けない姿にならなかった」

 

「なっ、バカ!! それこそ違うだろ!?」

 

「まあ聞け、くろかず」

 

「!」

 

 

 

困ったように彼女は笑う。

 

俺は言葉が詰まった。

 

 

 

「その時、その時に、人を助けれると言うのは案外限られているものだ。戦況次第では溢す数も多い。故にいつも結果論が纏わりつく。ああすれば、こうすれば、こうだったら、後悔は多い」

 

「だ、だからこそ自分を裏切らないために準備をするんだろ?そんな悲しい顔するなよ…」

 

「けど、事実が残った。君がウィッチを救った事実がある。ネウロイを落として舞鶴を守った実績がある。それは舞鶴で誰もが知っていることだ。だから君に与えられて当然の勲章」

 

「それは…いや、俺はただ、君たちを守りたいだけで…」

 

「そうであっても、この戦争に意味が絡む。

だ、だって……

き、君は……

ははは……だって、きみは…

こんな無様なわたしと違って…

ウィッチ達を……救ったんだぞ…??」

 

 

 

震える声は波風のせいじゃない。

 

無力さに苦しんでいる兵士の声。

 

彼女は…扶桑のウィッチは。

 

その腕を抱きしめて、震えていた。

 

 

 

「きみのおかげなんだ、なにも失わずに、積み重ねてきたものを、歩みを、それらを崩さずに済んだのは、くろかずの、おかげなんだよ…」

 

 

 

唇を震わせる。

 

不甲斐なさに、悔しさに、心も揺れる。

 

それが隠せないほどに滲み出て、誰かにこの弱さを打ち明けなければその重みに潰れそうで仕方ない。

 

目の前の軍人は、その前に未成年の子供だ。

 

まだ大人に頼るべき子供だ。

 

 

 

「だから、その信頼に、くろかずに、わたしのよわさを、どうか、置かせてくれ…」

 

「!」

 

「わ、わたしは………ぁぁ、わたしは………ね」

 

 

 

 

 

 

__きみ、抜きでは、無理だ……

 

 

 

 

 

背を向けて。最後に大きく震わせて。

 

吐き出された彼女の弱さがさざなみの音にかき消される。

 

いまの彼女それほどに程に弱々しい。

 

だから悲痛を交えたその音色は俺だけに届く。

 

 

 

「情けないのは、わかってる… でも、あの時、あの時に、覚悟をして、しまったんだ…」

 

 

 

見えていた。

 

遠くでも見えていた。

 

海面ギリギリでプロペラを回して空に浮きながら焼けた腕を震わせてシールドを展開する。

 

ネウロイ相手に諦めてない彼女の立ち姿。

 

でも彼女はこうも思ってた。

 

 

 

 

__これで、死ぬかもしれない。

 

 

 

 

けど、彼女にそれは訪れなかった。

 

俺がそうさせなかった。

 

 

 

『くろ、かず…?』

 

『約束を果たしに来た。俺も空を飛ぶ』

 

『ぁ、ぁぁ…くろ、かずっ…!』

 

『そこで待ってろ。俺がヤツを討つ』

 

 

 

彼女との訓練の成果。

 

魔法力の理解を形にしたビームシールドは約束を果たすために振るわれる。

 

空を飛ぶ厄災は舞鶴の空で討ち落とされた。

 

そして舞鶴のウィッチは救われた。

 

 

 

「北郷、俺は君を弱いなんて思わない」

 

「…」

 

「精一杯を突き通した。だからそんなに自分の情けなさを責めないでくれ。そうじゃないと俺は君に力を貸すことが、君の弱さを確かにしているように感じられて俺も辛いよ」

 

「くろかず…」

 

「俺は約束を果たす。だから力を貸す。君と空を飛ぶ。願うなら魔女だって守る。この世界に願われてやって来たのなら、世界の一つや二つくらい救ってやる。その中に君の願いも入れてやる。だから…」

 

 

 

俺は彼女の前に歩み寄り…

 

 

 

「泣かないでいい」

 

 

 

涙を溜める子供(ふみか)の頭に手を置いた。

 

 

 

「うっ、ぅぁ、ぁぁぁ!ぁぁぁ…」

 

「まったく…泣かないでいいと言ったじゃないか…」

 

 

 

彼女は巻かれた包帯を抱きしめる。

 

弱さの証。

 

そして救われて、生きた証。

 

 

 

「俺は知ってるから。君を知ってるから。いつも自己評価の低い北郷を知ってる。カラカラと笑い飛ばして不安を見せない君の強さを知ってる。俺は分かってるから。だから必要以上に自分を責めるな。ちゃんと知ってるから。悔しくて仕方ない君を、情けなくて仕方ない君を、俺はちゃんと分かってるよ。だから助ける。君がブリタニアで俺にしてくれたことを次は俺が出来る側として君にしてあげるから」

 

ぐぅぅ、ぁぁぅ、すま、ない、すまない…ありがとう…すまない…ほんとうに…ありがとう…

 

 

 

耐えて、耐えて…

 

それから耐えて…

 

そして耐えて、彼女は耐えていた。

 

だが、不安を押し殺し続けれるほど子供ってのは強くない。

 

彼女は泣き顔を隠すようにこちらの胸に顔を(うず)めて心に震える。

 

俺は孤児院にいた頃を思い出しながら、年下の子供をあやす様にその頭を撫でる。

 

落ち着くまで、何度も。

 

なんども…

 

その頭を撫でて少しでも不安を取り除こうと。

 

 

 

 

「ストライクウィッチーズ…か」

 

 

 

 

空の広さはおそらく、魔女の多くがある。

 

そこに多くの悲痛だって残されている。

 

それはまるで…

 

 

 

 

「ガンダムみたいだな…」

 

 

 

 

 

それは悲しい戦争の物語だ。

 

どれも、これも、な。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔女達は明日のために今日も鍛錬を積む。

 

舞鶴の空にふたつの影。

 

 

 

「うおおお!」

 

「若本、俺はプロペラの苦労を知らないが戦場で言い訳は通じない。単純明白、その時が弱かったらあとは落ちるだけだからな!」

 

「上等じゃねーか、ばか数!今日こそは倒してやる!」

 

「黒数だるるぉぉ??」

 

 

 

模擬戦用のペイント弾が装填された機関銃から発射音が舞鶴の空に鳴り響く。

 

 

 

「動け、動け、止まるな。進行方向に攻撃を置かれるな。追われる時に敵の位置は首筋と脊髄で感じろ。それと体重移動を悟らせるな、こっちは一方的に見えている」

 

「くっ、ピッタリと後ろ…!」

 

「迎撃時の振り向き撃ちの姿勢は瞬時に取るんだ。そのためのフラッシュ暗算!脳と体をしっかり噛み合わせろ」

 

「もう!あのユニットやはり早いって!」

 

「俺は全力で落とすからな。せめて5分は耐えてみせろ、若本」

 

「このぉぉ!!」

 

 

 

若本徹子、舞鶴航空隊に集われた魔女候補生の中で一番優秀と言われているウィッチ。

 

だが、例外があるとしたら…

 

 

「っ、避けた!」

 

「だから確信するまで足を止めるな」

 

「うわぁぁ!?」

 

「ほら、撃つぞ、良いのか?」

 

「こ、この!調子に乗るな!」

 

「うおっ、眩しっ」

 

 

 

シールドも無く、固有魔法も無く、ウィッチでも無く、ひとりの青年が空を飛んでいるこのイレギュラーさえ除けば、若本徹子はこの中で一番強いのかもしれない。

 

 

「はぁ…はぁ……」

 

「よしよし、ちゃんと5分だ。どうやら生き残れたのはま君だけだな」

 

「く、くそぉ、負けたぁ……道場ではコテンパンに出来るのに」

 

「お前なぁ…… 現役の剣道少女を相手に武道から手を引いた社会人が勝てると思うなよ!」

 

「何でそこは偉そうなんだよこのバケツ野郎!坂本の攻撃から逃げ回って足を引っ掛けたマヌケのくせにさ!」

 

「お前の雑巾掛けの片付け忘れだろうが!?好きでバケツ引っ掛けた訳じゃねーよ!」

 

「ふん!」

 

「コ、コイツぅぅ…!」

 

 

 

口論を繰り広げながらも二人は空を降りる。

 

そこには腕の包帯の量が減ってきた舞鶴航空隊隊長の北郷章香と、ペイント塗れにされたその他のウィッチ達が待っていた。

 

 

「はっはっは!今日も勝てなかったな、若」

 

「地上ならこんなヤツに勝てますよ、先生」

 

「勝つのはネウロイにしてくれ、若本」

 

「わ、わかってるよ!」

 

「はっはっは!若者はそうじゃないとな!」

 

 

 

あの日を境に青年は松葉杖を、少女は涙を舞鶴のさざなみに置いてきた。

 

穏やかな笑い声はよく響く。

 

 

 

「あ、あの、黒数准尉…」

 

「坂本か、どうした?あと准尉は要らないよ」

 

「え、しかし…」

 

「俺はあくまで民間人だ。軍人として志願した君たちに劣る。普通で構わない」

 

「あ、…はい。ええと、その…黒数さん、次は模擬戦、私もお願いしていいですか?」

 

「良いぞ」

 

「げぇ、黒数はまだやるのかよ…」

 

「全員やると決めた。もし俺に百人斬りやめさせたいなら若本が倒しておくんだったな」

 

「つ、次こそは…!」

 

「あ、あの、も、模擬戦…を」

 

「はっはっはっは!!」

 

 

 

年下相手に手慣れた対応を取る青年。

 

カラカラと笑って愉快に微笑む先生。

 

負けを認めない勝気は少女。

 

気が弱くて置いてかれる眼帯の少女。

 

それから…

 

 

「あの、黒数さん、お水をどうぞ!」

 

「竹井か、ありがとう。それと坂本が終わったら君の番だから準備してくれ」

 

「は、はい!よろしくお願いします!」

 

「ああ、がんばろうな。目標は2分だな」

 

「が、頑張ります!」

 

「何でオレよりも半分なんだよ!!」

 

「え?だって若本は強いから。だから君だけは5分なんだけど…」

 

「え?あ、そ、そうかよ……ふ、ふん!」

 

 

 

まだまだ発展途上な気の弱い少女。

 

この五人を筆頭として物語は進む。

 

 

次の舞台を 浦塩 に移して。

 

 

 

 

つづく






もうお前ら結婚しろ。


あとここまでバーサス要素が薄いけど、北郷が可愛いし別にええやろ。
因みに漫画にするとまだ一割も進んでないぞ、この作品。


ではまた

スピンオフ『1937扶桑海事変』は読んだことありますか?

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