GVSウィッチーズ   作:つヴぁるnet

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第2話

 

 

 

 

街の外に出る。

コレがピクニックならどれだけ良かった。

 

しかし今日はそんな優しく無い。

 

俺の不安を拭うために答え合わせをしていた。

 

 

 

「これ、やはりそう言う事……ですか?」

 

「僕は技術開発者であり考古学者では無い。しかしコレを見たら流石に察してしまう。君は恐らくそう言った類の中で招かれたのかもしれない」

 

「とんでもなくファンタジーだ。そして傍迷惑な話だ。()()()の一つくらいちゃんと後始末しておけよ!先人の馬鹿タレどもが!」

 

「あ、あははは…」

 

 

 

宮藤一郎さんと出会って数日が経過した。

 

あの日、お茶に誘ってくれた後、本当に突拍子もない話を聞いてくれた。

 

信じられない話だと思っていたが、彼は興味深いとばかりに耳を傾けてくれた。

 

それから一晩だけ泊めてくれた後、次の日になって俺が目を覚ました場所まで宮藤さんと足を運んだのだ。

 

真っ暗な場所だった事を伝えたのでトーチランプを持ち込み、俺が目を覚ました場所に光を灯す。壁に沿って作られた足跡を辿りながら洞窟の奥に進み、行き止まり。

 

しかし、その床に『魔法陣』があったのだ。

 

宮藤さんもだが、これには俺も目を見開いた。

 

 

 

「魔法陣。それは呼び起こすため」

 

「呼び起こす?…どういうことですか?」

 

「知ってるだけの事を話すなら、この魔法陣はかなり大昔に扱われていたウィッチ達の()()()()を行うための儀式床だ」

 

「武装、召喚…?」

 

「厄災と闘うための武具。それは大昔の英霊達が使っていたものを引き出すための秘術」

 

「英霊達の武具…」

 

「例えば、魔を断つ針、山を裂く大鎌、大地を砕く鉄槌。実際に存在してたのか分からないが、研究家達の論文にはそんな事が書いてある。中には勝利が約束される聖剣や、どんな傷も治す鞘だってあったかもしれないと言うほどだ」

 

「ぶっ飛んでますね。まるで絵本のような物語だ」

 

「そう感じるのも無理はない。実際に魔法陣から武具を召喚した事例も報告はないんだ。ただそこに魔法陣があっただけ」

 

「あ、いないんだ…」

 

「調べに調べた考古学者が『恐らくそうだったのかもしれない』と言ってるだけだからね。だからこの魔法陣には何が秘められてるか実はよく分かっていないんだよ。でも少なからず、英雄達が扱っていた武具がこの中にあると言われているよ。土地。石板。日記帳。そう言った数少ない証拠から魔法陣の意味を調べている」

 

「それはそれですごい発見ですね」

 

「だからこそ考古学者や研究家、魔法陣の探索家が今必要として発見と解析を進めている。もしそれが本当なら…」

 

 

 

__ネウロイと戦えるかもしれない。

 

 

 

そう言った宮藤さんは目を鋭く魔法陣を見る。

 

彼はネウロイと戦っている技術開発者だ。

 

世界の平和を望むひとりの人間なんだ。

 

だから、もし本当にこの魔法陣の中に英霊達が使っていた武具が秘められてるなら、人類を脅かす敵を、ネウロイを討つ事ができる。

 

それは宮藤一郎の願いかもしれない。

 

 

「でも、俺はココから出てきた。それは過去の研究を否定することになりますよね?」

 

「なら……君は誰だい?」

 

「俺は人間だ」

 

「…」

 

 

俺は英霊なんかでは無い。仕事疲れでだらしなくゲーミングチェアーにもたれかかっていただけの一般人。ただ消費者だ。勇者のような器すら持っていない。今だってこんなにも怯えて仕方ないと言うのに。

 

 

「けど、君が…… 黒数(くろかず)くんがここから現れたと言うのなら、それは人類の願いかもしれない」

 

「英雄にするつもりですか?やめてください。俺なんて平和ボケして生きてきただけの人間です。戦争を知ってるつもりでいるだけの一般人です。戦いが鳴り止まぬこの世界で生きている人達に比べたらなんてこと、ないですよ…」

 

 

ストライクウィッチーズ。

 

少女達が戦う世界。

 

作られたはずの物語。

 

しかしそれを目の当たりにすると、ただのアニメやコミックでは終わらない。

 

どこかで聞いた歌詞だ。

 

_アニメじゃ無い。

_ほんとうのことさ。

 

ああ、この世界ではまさにそうなんだよ。

 

 

 

「宮藤さん。魔法陣に関する話って他にありますか?もっと調べて、それで帰る方法を探りたいです」

 

「簡単な資料ならどこかにあったはず。でも僕は明日からまた開発を始める。だから手伝えるのはそのくらいだよ?」

 

「いえ、ありがとうございます。本当に助かります。そして助けてくれてありがとうございます」

 

「そこまで畏まらないでいいさ。あと先ほどの発言は申し訳なかったね…」

 

「?」

 

「もし考古学者達の研究が本当ならこの魔法陣からやってきたキミは古の英雄なのかもしれない。それはネウロイに脅かされるだけの人類を助けてくれる希望になってくれる。そうであったのならこの世界は救われるんだって思った」

 

「それは…」

 

「責めてる訳じゃないんだ。むしろ君は被害者だね。魔法陣を通じて無慈悲に戦争が続くこの時代に招かれてしまった。途方に暮れてた人に英霊だって重ねるのは酷だ。だから本当に申し訳ない」

 

「いえ、大丈夫です。もし自分が宮藤さんの立場なら、俺だってそう願いますよ。ネウロイから人類を救う、希望なのかもしれないと…」

 

「……」

 

「でも、それは抜きにして、色々と信じてくれてありがとうございます。正直こんなに真剣になって助けてくれるとは思いませんでした」

 

「あははは!まあ確かに、突拍子の無いことばかり聞かされたけど、ここが誰にも見つかってない事と、壁沿いにある足跡、あと扶桑もブリタニアも聞いたことない。記憶喪失者か何かかとも考えたけど意識はしっかりとして自分のことを把握している。話の証拠は揃っている。それに…」

 

「??」

 

「魔法陣の第一発見者は国からとんでもない大金を受け取れるんだよ?さりげなくこの発見場所に招いてくれたけど、普通ならあり得ないからね」

 

「まるでお宝ですね」

 

「それほどなんだよ。もしこの魔法陣の中に武具が秘められていたとしたらそれはネウロイと戦える人類の武器だ。国は喉から欲しい代物なんだからね」

 

「………気をつけます」

 

「うん、これから魔法陣を調べるならそうした方がいい」

 

「はい、その事はしっかり心に刻んで……?んん?まてよ、なんだこの単語は? っ、これは…」

 

「む? どうしたのかな?」

 

 

宮藤の言葉に頷き、魔法陣に目を移して、ふと何か文字が刻まれていることに気がついた。

 

それはなんて事ない英文。

またはブリタニア語である。

 

薄らと照らされたランプの光。

 

そして、俺は__それを見て震えだした。

 

 

「み、宮藤さん!もう少し、近くに光を…!」

 

「え?あ、ああ…」

 

 

俺は気になる部分を砂を払い、床石に刻まれた魔法陣の全面が見えるようにする。

 

 

そしてランプによって照らされた魔法陣。

 

そこには…

 

 

 

「いや、まて、いや、まさ、か…」

 

「ど、どうしたんだ?」

 

 

 

なんで?

 

なんでこの文字が??

 

いや、文字ではない。

名称だ、コレは。

 

円状に沿ってソレは小さく刻まれている。

 

そして、俺が知る名称が刻まれていた。

 

何せ…

 

それは…

 

それは…

 

それ、は……

 

 

 

 

「____ GUNDAM 」

 

「え?」

 

 

 

 

 

トーチランプの影が揺れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日も行くのかい?」

 

「はい。あの魔法陣を解明すれば、戻れるための手がかりになると思っています」

 

「そうかい。でも前も言ったようにあまり目立たない様にね?ブリタニアの服を着てると言っても君はこの世界の人間では無い。僕も力になれる範囲は決まっている。だから気をつける様にね?じゃ、行ってくる。今日もトースト美味しかったよ」

 

「はい、お気をつけて」

 

 

 

少し、小さな住まい。

 

しかし二人住まうには丁度良い大きさ。

 

なんなら部屋も与えてくれた。見知らぬ人にそこまでしてくれるのか…と、驚いた。

 

なので居候の俺は家事を全面的に請け負って少しでも返しているところだ。そんな宮藤さんはとても良い人だから、家だと思って寛いでくれて構わないと言ってくれたが、俺としてはそうは言ってられないので居候として家のお手伝いをしている。今出来る事はこのくらい。

 

まあそれでも家事に関しては宮藤さんから大変感謝されてしまった。

 

何というか、開発者あるあるとして家がとっ散らかってしまうらしく、片付けが出来ない日々に追われてしまってたらしい。

 

そこで居候している俺が色々と片付けたり整理するお陰で家が綺麗になったのだ。

 

それでとっっても感謝された。むしろ住まわしてもらってる俺が一番感謝してるのですがそれは…

 

まあ、とりあえず、俺は宮藤さんに頭が上がらない状態だ。

 

そんなわけで、宮藤さんのご好意に甘えながらも俺は1日でも早く帰れるよう、引き続き帰るための手段を探すべきだろう。

 

魔法陣から来たのなら、魔法陣で帰る考えになるのだが、そう簡単に都合よく進まない。ある程度わかった事もあり、驚くような事も多かった。しかしどうしたら帰れるのか?

 

それはまだわからない。

 

だから今日も引き続き調べるだけ。

 

 

「よし。今日も綺麗になった。軽く夜ご飯を仕込みすれば家事は終了。早速魔法陣のところまで行くか」

 

 

居候して早くも四日目。

 

魔法陣を確かめに向かって今日で三回目。

 

宮藤さんから土や砂を払うための箒、光を灯すランプ、あと筆記できる数枚程度の紙。

 

まるで考古学者ごっこだ。

……ごっこ遊びで済んだらどれだけよかったか。

 

 

 

「……」

 

 

 

外に出て、街を歩けば軍服を着た軍人の姿をそこらで見かける。

 

そこには少女もいる。

 

ああ、本当にストライクウィッチーズなんだな。

 

ズボンじゃなくて下着だ。

正直……目のやり場に困る。

 

だって……… 下着(パンツ)だぞ?

 

ストライクウィッチーズの世界観ならそれが当然のようになるが、俺からしたらチラ見せとかそんなレベルじゃない。しかもこの世界の女性ってなにかと美形が多く二次元から生まれた世界だからこそ年に見合わぬ体付きの娘が当然のように歩いている。

 

俺はストライクウィッチーズを知ってたからまだこの状況は理解はするが、そうじゃない人からしたら何かの間違いかと疑いが止まらないだろう。男からしたら情欲を引き立てるような光景ばかりだが、俺からしたら彼女達の羞恥心を心配する。この世界では場違いな心配だろうが。

 

 

「ま、まだ、スク水は、理解する…うん」

 

 

スク水に関しては水泳用の姿として受け止めれるし、ファッションの一つだと考えれる。

 

まあそれでも未成年が街中でスク水姿で歩くのは刺激が強いし、やはり目を引いてしまう。てかそもそも士官服の正面全開でインナー姿はかなり暴力だと思う。

 

これはこれでファッションの一環になるが、この世界ではそんなつもりは無いらしい。だからこそ厄介で……っと! 危うくブリタニアに駐在してる扶桑軍人と目が合いそうになった。

 

……考えるのをやめよう。

 

それが近道だ。この世界に長居するつもりはないが今は順応しよう。

 

あと下心抜きにウィッチの彼女達を見過ぎては怪しまれる。

 

あまり目を合わせないようにした方がいい。

 

まるでカボチャ頭を被ったテロリストに怯える上流階級の人間みたいだ。ハサウェイも言ってたな。目を合わせない方が良いって。

 

なのでブリタニアに住み慣れた住人のように歩いて怪しまれないよう街の外に出る。

 

その時に空高く、少女が通過した。

 

 

 

「ウィッチか」

 

 

 

見上げれば、細い飛行機雲を作ってブリタニアの空を白色に染める彼女達はこの世界の兵士。

 

重力に縛られた人間からしたら空を飛んで敵を殲滅してくれる彼女達はヒーローだ。

 

しかしその数はあまり多くないらしい。

 

何故なら今のストライカーユニットは莫大な魔法力を必要とされているから。それ相応に保有したウィッチ、または厳しい訓練を得て魔法力を伸ばしたウィッチがそこまで存在していないからだ。まさに選ばれた者だけがストライカーユニットで空を飛べる。

 

一応ストライカーユニットとは別で『鉄の箒』と名付けられた跨って空を飛ぶユニットが存在する。これに関してはストライカーユニットが開発された10年前から存在しており、鉄の箒は飛ぶために必要とされる魔法力はそう多くない。そのためストライカーユニットで飛べないウィッチはこの鉄の箒を使う。

 

しかしストライカーユニットと違って鉄の箒は旋回性能が悪く、機動力が足りないため時代遅れの印を押されている。

 

昔ならともかく、今の時代では使えたモノではないため彼女達は皮肉をこめて空飛ぶ棺桶と呼んでいる。それでも哨戒程度なら使えるから鉄の箒の先端にランプを吊るしてブリタニアの区域を飛んでいるらしい。

 

 

それでも時代はストライカーユニットだ。

 

これが無ければ今のネウロイとは戦えない。

 

しかし要求されるスペックは高い。

 

高い魔法力と、高い魔法技術、そして空を飛ぶために必要とされている魔道エンジンと言われたランドセルサイズの搭載機を背負いながら飛行する技術、それに加えて長時間戦える体力と集中力、これらを高水準に備えたウィッチのみエースとされストライカーユニットの使用が許されている。

 

しかし先ほども言った通り空で戦うウィッチはそう多くない。今のストライカーユニットはウィッチにとって負担が大きいのだ。

 

そうやって空を飛ぶ権利を得られないウィッチは陸で戦う。ココはまだそんな時代。アニメで放送された501が結成されるまで約10年前の時代なのだから。

 

だからこの世界を原作通りに『ストライクウィッチーズ』と言えるのはまだ先になるらしい。

 

 

 

「それを簡易化する事で機動性を高め、魔法力の要求量を大幅に低下させて、多くのウィッチが飛べるようにするのが宮藤理論か。普通に革命家だよな宮藤一郎さんって」

 

 

 

ブリタニアの空を飛ぶウィッチ達から目を離しながら街を抜けて数十分ほど歩き、周りに目撃されてないことを確認しながら森の中に。高低差激しい崖に注意して、洞窟を見つける。

 

見つかりづらい様に古びた木の板、あと適当な蔦で再度入り口を隠して、俺と宮藤さんだけが知る古の神秘。

 

お借りしたランプで洞窟の中を照らしながら20秒ほど歩けば、石床に刻まれた魔法陣が見えてきた。

 

小さな箒で魔法陣に被る埃を払い、ランプの光を強くして、宮藤さんからお借りした魔法陣に関する資料を開く。

 

 

「やはりどう見てもこれは正式名称だよな?」

 

 

数回に渡って紙に収集した情報と、宮藤さんから受け取った数枚程度の参考資料を見合わせて今日も解析を続ける。

 

 

「とんでもなく古いな。しかし文字はそこまで掠れていないし、刻まれた文字がブリタニア語なのは助かる。あと雨晒しになってないから保存状態が良くて解読しやすい。こりゃ確かに考古学者も熱くなる訳だ」

 

 

テーブルの埃を払う程度の小さな箒で、石床に彫られた穴を掃除して文字を明らかにする。

 

刻まれている単語の一文字目を探して、そこから右読みになるか、もしくは左読みとして扱うか、円状に沿って刻まれた暗号的な単語をそれぞれ二通り試す。

 

 

「決められた単語。決められた言葉。古代語は全くわからないが恐らく魔法陣を起動させるためのテンプレなんだろう。パソコンなどコンピューターの中にあるOS的なモノかな。まあこれに関しては家に戻ってまた資料を見比べるとするか」

 

 

古代語を覗いて文字を抜粋。

 

回収した言葉は最初に見つけた『GUNDAM』の六文字。これに関しては大変驚いた。

 

しかし続きがあった。

 

何故なら『GUNDAM』の単語に続いて…

 

 

 

VERSUS(バーサス)か…」

 

 

 

思わずため息をつく。

 

別に不快な思いをしたとかそうではなく、調べた結果としての疲労感と驚きの感情を交えて吐き出した。

 

これは二回目の調査で発見したこと。

 

 

「魔法陣は英霊達の武具を呼び寄せる儀式。凡ゆる厄災に打ち勝った者の力を借りるがために賢者が作り上げた儀式。それは人類のために」

 

 

ここはブリタニア。

 

つまり現れるのはブリタニアの英雄。

 

それはなにか?

 

GUNDAMと刻まれた単語から引き出されるブリタニアの英雄とは、何か?

 

それともブリタニアは関係なく、術者が望めばどの魔法陣で儀式を行おうと同じなのか?

 

まるで全国展開されたATMだ。

どこでも引き落としができる、そんな便利さ。

 

しかしこの考えは誤りだとして、魔法陣にも一人一人専用があるとしたら…?

 

 

 

「だが、俺はこの魔法陣からやってきた」

 

 

俺はこの魔法陣から選ばれたように呼び出された。

 

だからこの魔法陣は俺が扱うべきか?

 

俺にしかわからない『GUNDAM』の六文字とそれに続く『VERSUS』の単語。

 

英霊。

 

英雄。

 

召喚。

 

武装。

 

呼び寄せる。

 

それはまるで…

 

 

 

「まさにGUNDAM VERSUS(ガンダムバーサス)だよな。試作三号機とか大体そう言ったコンセプトで戦っている。ならこれはそう言うことが出来るのか?」

 

 

しかしあれは、ゲームだろ?

 

いや、この世界も二次元であるが、それとこれとは話が別なのでは?

 

それとも…

 

それとも…

 

 

 

「この世界で俺だけがわかるタイトル(文字)が刻まれているんだ。そしてこの魔法陣から選ばれたように呼び出された俺にしか扱えない限定的なナニカが秘められてるとしたら、解析を進めるたびに自ずとわかってくるはずだ。もっと目を凝らして、もっと見て、なにかと組み合わせてキーワードを探すんだ」

 

 

 

そしたら後は単純な筈だ。

 

そう思いたい。

 

 

 

「はー、しかし疲れたなぁ……首痛い」

 

 

膝をついて作業をして、首を魔法陣に向けて垂らしているから、首が痛くなる。

 

一度中断して仰向けに座り込む。

 

その時に魔法陣を尻に敷いて、ランプに目を向ける。オレンジ色の光だ。

 

こんな薄暗いところで作業なんて目が悪くなりそうだ。あまり長居する訳にもいかないな。

 

でも、あと少しくらいは休憩させてくれ。この世界に来て色々と疲れているんだ。それに魔法陣のオマエが俺を呼んだんだろ?なら少しくらい座れる場所を譲れよ。

 

そう考えて魔法陣の床石に座り込み、両手は床に倒れかかろうとする体を支えるように広げる。

 

しかしその状態も疲れてくる両手は支えることを放棄して俺の体はとうとう真後ろに倒れ込む。

 

掃除したとはいえ少し汚いだろうか。

 

ブリタニアの服を与えてくれた宮藤さんに申し訳ないかな。

 

 

そう考えて、体を起こそうとして…

 

 

別の光と、声が溢れた。

 

 

そう、背中から。

 

 

 

 

 

__そういう時は身を隠すんだ…!!

 

 

 

 

 

「!?」

 

 

 

飛び起きる。

 

目を見開いて魔法陣を見る。

 

小さな箒を手に取り身構えて、表情は険しく。

 

しかし魔法陣は光を失い、ランプの光だけが洞窟を照らす。

 

 

 

「なんだ?今の?…何が、起きた?」

 

 

 

疲れから生まれた幻覚?

 

いや、それにしてはよく響いた。

頭の中で。

 

しかもどこかで聞いたような言葉な気がする。

なんだったんだ?…アレは。

 

それは魔法陣に触れたから聞こえたのか?

 

 

「……」

 

 

 

胡散臭い骨董品とは言え、調査だから魔法陣には丁寧に触れていた。貴重だから。

 

しかし生まれた疲れから雑になり、石床で作られた魔法陣を尻に敷いて思いっきり手をついた時だった。

 

大きく触れたことで作動した…

 

 

 

「触れることに躊躇いを無くすべきか??」

 

 

 

解析は充分に行ったつもりだ。

 

だとしたらもう、あとは手触りで、それこそ感覚派で挑んでみるのもアリかもしれない。

 

 

 

「今日は戻るか。明日、実行しよう」

 

 

 

 

そろそろ戻ろう。

 

そう考えて荷物を纏める。

 

ランプの光を落としながら、洞窟を出た。

 

 

 

 

そして…

 

 

 

 

 

 

「なるほど、確かに人が居るみたいだな」

 

 

 

 

「!!!?」

 

 

 

日本語…じゃなくて扶桑語が襲いかかる。

 

俺は声の主を探して周りを警戒する。

 

すると木の影から少女が現れた。

 

白い士官服を纏っているがその正面は大胆に開かれていて、その中はインナーだ。

 

そして、腰に刀を吊るしていた。

 

 

 

「ウィッチか…」

 

 

「ん、見ての通りさ。ご名答だよ」

 

 

 

そのウィッチはポニーテールを揺らしながら扶桑語で返す。

 

扶桑人…宮藤さん含めて二人目か。

 

そして相手は軍人さんか。

 

あまり会いたくなかったな。

 

 

 

「なにか、用か?」

 

「ああ。もちろんだよ。君と、その洞窟の中に用がある」

 

 

 

ウィッチの表情は少しだけにニコやか。

 

でも、その眼差しは軍人として俺を捉える。

 

さて、どうしようか…

 

薄いランプの光は揺れるだけだった。

 

 

 

つづく

 





時系列戸惑い中だけど、あまり気にし過ぎても仕方ないか。

ではまた
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