GVSウィッチーズ   作:つヴぁるnet

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第34話

 

颱風の直撃はあまりにも予想外で、しばらくの動揺はあったが、ここまで来て引けない。

 

扶桑皇国軍は覚悟を決めると颱風の中に身を投じた。

 

だが颱風の中は視界が悪く、飛び辛い。

 

それは箒に跨る魔女にとって酷い天気だ。

 

それでも皆は必死にネウロイを捉え、その翼とコアを弾丸で貫き、時には斬り伏せる。

 

第一戦隊のために空路を切り開く第二戦隊は決死の覚悟で先行し、露払いを行う。

 

隣同士を庇い合い、誰かが囮になり、けれど嵐の中で魔女や戦闘機が落ちていく。

 

ウラル以上の激戦が繰り広げられている。

 

しかしそんな中でも、異界からやってきた男は嵐の中でも彗星の如く駆け巡り、私達の手の届かないところまでその弾丸をネウロイにねじ込んでいる。

 

またひとり扶桑の魔女を助けた。

 

 

「新藤!露払いは最低限で良い!あまり部下にネウロイを追わせて孤立させるな!」

 

「黒数准尉!?」

 

「嵐の中でも無線はちゃんと繋がっている!部下に呼び掛けを怠るなよ!孤立したところにネウロイが集わせてしまう方がよっぽど周りに危険を与えやすいからな!」

 

「りょ、了解した!」

 

 

 

黒数強夏は武装を召喚し直すとそのストライクユニットの性能で颱風の中を容易くねじ切りながらネウロイを叩き落とす。

 

そのスラスターから吹き荒れる青白いエーテルの輝きはまるで宇宙を駆け巡る彗星のように彩らせ、嵐の中で戦意が削られていくウィッチはそれ目の当たりにすると再度奮起する。

 

嵐の中でも怯む事なく飛び交う彼の活躍は心の支えになっている。

 

 

「来いネウロイ!ビームフラッグ!」

 

「「「キィィィ!!!」」」

 

 

光の帆が颱風の中に現れるとそれは嵐の中で輝いて、ネウロイは焚き火に惹かれた虫のように集まり、黒数を標的にすると一斉に狙い出した。

 

黒数はビームフラッグに魔法力を多く注ぐと巨大な扇状の光となり、ネウロイの群に向けて一気に薙ぎ倒した。

 

 

「もうアレは魔法力の暴力ね」

 

「でも凄いわね、扶桑の願那夢は」

 

「飛んで火に入る夏の虫とはこの事か…」

 

 

颱風の中で見え辛い戦況。しかし彗星の輝きはわかりやすく、ビームフラッグに描かれた扶桑の国旗は扶桑の魂を宿しているように見えるから、苦しい嵐の中でも兵士たちは背中に守るべき祖国を思い出し、再び奮起する。

 

 

__負ける気がしない。

 

ああ、その通りだ。

 

 

 

 

だから…

 

 

 

 

私はやるべき事がある。

 

魔女の軌跡を…

 

魔女の奇跡を…

 

絶やさせないために…

 

 

 

「私は行かない。どうしてもやらなくてはならないことがあるんだ」

 

「「「!!??」」」

 

 

颱風の目の中なら乱気流の影響を受けず山を討てると判断した。

 

しかし私はそこに向かわない意志を告げる。

 

課せられた役割があるから。

 

 

 

「そんな!先生!私は先生がいないと!」

 

「聞け、坂本。君は言ったね。その力で誰かを守れるならと。でもそれは簡単じゃ無い。簡単には行かないことだと思う」

 

 

「…」

 

 

彼を、黒数を一瞬だけ見る。

 

人助けなどそう容易くは無い。

 

けど幾度なく誰かを助けてきた私たちの英雄。

 

そんな彼は私に背を向けて颱風の中を見る。

 

まるで『ナニカ』を見つけたように。

 

 

「坂本、守りたいと願うその誓いを果たせるかはわからないだろう。しかし、例え何があろうとも誓ったその意志を守り通そうとする君は一人前のウィッチになれる。そうなれる姿を君は近くで見てきたはずだ」

 

「先生……」

 

「この刀を君に預ける。必ず返しに来い。私も必ず戻ってくると約束をしよう…」

 

「ッ、はい…!」

 

「………きょうか

 

 

 

また一瞬だけ、彼を見てしまう。

 

これで未練がましい女だと思われてしまうな。

 

しかし私はここを離脱する。

 

それは魔女を守るため。

 

魔女の可能性を信じてるからこその行動。

 

託されてこの場にいる。

 

 

 

「__加藤少尉、第二戦隊とは別に密命を帯びた艦隊が動いている」

 

「__!?」

 

「__君なら大方の想像は付くだろう。だがこの局面で戦力の分散は好ましくない。私はそれを告げずに阻止に向かう。だから皆には伝えるな。よろしく頼むぞ」

 

「__っ、だから颱風の観測情報は何一つもなかった!?そんな…!!」

 

 

 

総司令官として率いる加藤武子に事を伝えると私は嵐の中を飛び去る。

 

既にこの一帯は颱風の中だ。

 

何も見えない。

 

だから誰も気づかないだろう。

 

この闇の中に続く暗雲を。

この闇に這い寄る黒雲を。

 

しかしそれが都合良いと感じる私がいる。

 

ああ、全く…

 

舞鶴航空隊の先生として失格だ。

 

 

 

「!」

 

 

 

見つけた。

 

なるほど。

 

高速戦艦の『紀伊型』か。

 

他にも最上型軽巡洋艦や吹雪型、あと初春型。

 

どれも高速砲撃艦隊に特化した編成。

 

一気に勝負を付けるにあたって最適解だ。あと紀伊型に関しては近代化改修を終えて砲塔が新しい。アレならどんなに分厚い装甲も貫いてくれるだろう。だから海軍はウィッチに頼らずとも山を打ち倒せると考えた。

 

そして謀った。

 

主力艦隊を貸す事で協力する素振りを皇国軍に見せ、その傍から紀伊の砲撃で山を討つために。

 

 

 

「艦隊司令へ単刀直入に申し上げる。目的に関わらず当海域から即刻の退去をお願いしたい」

 

 

魔法によって強化された無線に語りかける。

 

すると艦長の紀伊から声が返ってくる。

 

 

『貴官の要求は受け入れることは出来ない!そちらの名と所属を述べよ!』

 

「扶桑皇国海軍少佐

第十二航空隊飛行隊長 北郷章香」

 

『北郷?む…まさか、あの北郷少佐か……?』

 

「もう一度申し上げる、当海域より即刻の退去をお願いしたい!」

 

 

こちらも再度、頼み込む。

 

しかし…

 

 

『答えは同じだ!北郷少佐!いくら貴官の申し出とはいえ軍人たるもの命令は絶対だ!』

 

 

やはり返ってくる答えは同じ。

 

命令に忠実な軍人は頼もしいがこの現状は大変好ましくない。

 

思わず表情から嫌悪感を出してしまいそうだ。

 

すると…

 

 

「おいおい、筋を通す相手を間違えるなよ?」

 

「っ、敏子!?どうして!?」

 

「武子から事情は聞いたよ。私にだけ話すなんてあいつも人が悪いね………で?

それで章香は『死ぬ』つもりか?」

 

「____そうだ」

 

 

親友の明るかった口調が冷たくなる。

 

そんな私の解答に対して軽くため息をつき…

 

 

「ふーん?でも残念ね。それは叶わないわ。ウチのモットーは全員連れて帰るって決まってるのよ。例えばあなたの彗星さんが新兵に言ってたとおりにね」

 

「……」

 

「だからこうして私が率先して動きにきた。部下に示しつかないから……ねぇ章香、あなたはここで死んで部下に何を教えれるの?」

 

「……」

 

 

 

私は答えない。

 

この作戦を通して、ウィッチの可能性を、存在意義を、何より可憐な体に込められた魂を裏切らせない、それを守りたいから。

 

だから私は『先生』になった。

 

空を駆け巡るウィッチを守りたいから。

 

北郷章香たる私はそれを胸に秘めている。

 

 

「勝手に死んで『本物』の軍神にでもなられたら、後に残された方は堪んないんだよ………それに…」

 

「……?」

 

「あなたの彗星は『人型』を追いかけたわ」

 

「!?」

 

「せっかく颱風の目の中で仕切り直せたにも関わらず、ウィッチを守るために乱気流へ再び身を投じたわ。でも彼は死ぬ気なんてない。今度こそ倒して必ず戻って来てやる、そう告げてひとり奔った。なら貴方も生きなさい。彼がそうしてるように。そのために私も力を貸すわ」

 

 

 

私の親友、江藤敏子は手元に魔法力を纏わせる。

 

この場で私と立ち向かう事を決めていた。

 

 

「聞け!海坊主ども!私は扶桑陸軍中佐の江藤敏子だ!貴様らがどう思っているかは知らないが挺身作戦はまだ終わった訳じゃない!だがどうしても皇女殿下、ひいては陛下の御威光に泥を塗りたくつもりなら、その首にかけて命を下すが良い!」

 

 

その声は強く響き渡る。

 

嵐に負けない、親友の頼もしい叫び。

 

しかし、紀伊の砲塔は動く。

 

どうやら作戦を強行するようだ。

 

魔女の…少々の声は届かなかったらしい。

 

 

 

「はぁ〜あ、貴方の無茶も、砲撃も止めれたらなんて思って飛んできたけど、頭のお堅い連中と、ついでに貴方のお堅さには参ったわね。しかも艦船相手に渡り合おうなんて考えでこの場に立っているなんて、もしや願那夢さんの無茶苦茶が貴方にも憑ったのかしら?」

 

「……ふっ、どうかな」

 

「そこでやっと笑うわけ?本当にお熱で微笑ましいわね… 色々含めて呆れた。でもアレ相手にお熱で済むほど容易くないわよ?ほら見てよ。砲塔が動いてるわ」

 

「弾種は恐らく対空榴散弾だ。小型ネウロイごとコアを撃ち抜くためのな。うまくシールドなどで誘爆させれば打ち消せれる」

 

「失敗すれば二人揃って海の藻屑よ!まったく付き合いきれないわね……帰ったら転職しようかしら…」

 

 

 

それでも『帰る』と言う、親友の言葉。

 

生きてこの場を乗り切るつもりだ。

 

だから…

 

 

 

「ふっ、そうだな…」

 

 

 

そう返すだけだ。

 

親友とシールドを重ねる。

 

紀伊の砲弾を受け止めようと展開した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

嵐の中で輝いて__なんて素敵な歌詞がガンダムの作品にあるんだけど、今はそこまで心躍るような光景は拝めず、血と鉄で争う戦いだけがこの先の光景を創り出してくれる。

 

紛い物(ガンダム)紛い物(バンシィ)のぶつかり合いでよければ愉快な怪作はそこにあるだろう。

 

 

「ギギギ!!!」

 

「随分と理性的になったなコイツ」

 

 

前よりマシになった程度だが知能が備わったように反応している。

 

浦塩の時に戦ったバンシィもそうだが武装の理解力が高まっている。

 

もしや学んでいるのか?ネウロイみたいに。

 

それなら納得が行く。

 

まるで学習AIみたいだ。

 

 

 

「だとしたら面倒だな…」

 

 

ガワを手に入れ、そこにコアを当て嵌め、群れから自立し、はぐれネウロイと化すことで戦闘力を上げてきた。

 

しかも大人よりも二回りほど大きな巨体が理性的に動くなら話は別だ。

 

奴をネウロイと思って戦うと何処かで痛い目を見ることになる。

 

 

 

「でもお前の相手は願那夢だ。それに…」

 

 

 

乱気流がまた一段と激しくなった。

 

俺は不敵に笑う。

 

 

「おいホラみろよホラ、誰も来ねぇぜここ?すっげぇ嵐の奥だからさ、視界悪くて誰にも見られないんだぜ?」

 

 

 

右手にはビーム兵器。

 

左手にもビーム兵器。

 

この場には俺とコイツのみ。

 

だから、縛られるものはなにひとつ無い。

 

 

「こんなにも許されているんだ。仮にビーム兵器の光が外から見えてもそれはネウロイか、もしくは嵐の雷鳴… ああ、ここならサンダーボルトって言ったほうがよっぽどガンダムらしいかな?」

 

 

 

手の甲に輝くのは『377cost』の数字。

 

この颱風にて多くのネウロイを蹴散らした。

 

お陰で数字も上がった。

 

中型がそこそこいたからな。

 

 

 

「まあ、今から使う武装はサンダーボルトよりも眩しい方だけどなッ!!」

 

 

G-アルケインが扱うメイン武装『対艦ビーム・ライフル』をノルンに撃ち放つ。

 

分厚いビーム砲に対してノルンは盾を構えて受け止めた。

 

対艦砲の名に恥じない威力の攻撃だ。

 

盾を貫通出来なかったがその装甲を砕く。

 

時間経過で修復されてしまうがこうして怯ませるには充分な威力だ。

 

 

 

「やはりビーム兵器は最高だな!」

 

 

そのまま同じくG-アルケインが扱う『ビームワイヤー』を伸ばしてノルンの盾に引っ掛けると身体強化で引っ張る。

 

 

 

「ギギギギ!__ギィィィ!」

 

「!?」

 

 

だが奴もやられっぱなしで終わらない。

 

ノルンの額から赤いビームが放たれる。

 

ネウロイ自身が持ち合わせる攻撃だ。

 

バンシィの設定無視かよコイツ!?

 

 

「このっ!」

 

 

対艦ビーム・ライフルを目の前に投げ捨てネウロイのビームの盾代わりにする。すると武装に込められた魔法力による爆発が乱気流の中で起きるが暴風雨の中での爆煙は一瞬にして払われた。そして…

 

 

「ギ!?」

 

 

 

そこにはビームワイヤーの柄の部分に引っ掛けられたジャケットが浮いてるだけ。

 

俺は回り込んでビームサーベルを展開するとそれを振り下ろす。

 

しかしノルンのマグナムからビーム十手が飛び出して斬撃を防いだ。

 

 

「それはもう知ってるッ!」

 

「!」

 

 

腰から扶桑刀を引き抜いて関節を狙う。

 

魔法力を帯びた刃は戦車も斬り裂く。

 

結果としてノルンの装甲を斬り落とした。

 

見た目に形はバンシィ・ノルンだけど装甲はネウロイに他ならない。もしこれが本当にガンダニウム合金だったら話は別になるが、ノルンの要素はその武装と攻撃性のみ。

 

盾のように厚くした部分は無理でもそれ以外の装甲の防御力はそこらへんのネウロイとあまり変わりないってことだ。身体能力を上乗せした魔法力の攻撃が通るなら扶桑刀でも斬り伏せるチャンスは全然ある。

 

でもネウロイの装甲ってことはつまり…

 

 

 

「さすがに自立(はぐれ)タイプか、根本が強いな…」

 

 

装甲の修復能力が高い。

 

すぐに回復してしまう。

 

それより奴のコアはどこだ??

 

 

 

「ギギ!ギギ!!」

 

「流石にデカい図体に対しての筋力か…!」

 

 

装甲を攻略できてもコアが見つからなければ意味がない。

 

そう考えると坂本美緒の魔眼が欲しくなるところだ。

 

 

「てかお前さ!まずバーサスの作品にバンシィ・ノルンは存在しないだろがよぉ!?教えはどうした教えは!!」

 

「ギギギギ!」

 

 

叫びに対してノルンの回し蹴りが襲い掛かる。

 

ここで肉弾戦?

安易に武装に頼らないか。

 

人型である意味を理解して来てるな。

 

 

 

「!」

 

 

と、思ったらまた額からビームだ。

 

やはりガワだけが大層にお飾りか?

 

それともバーサス外の作品から機体を引き出した結果としての弊害?それとも単純に使いこなせてないだけ?これならまだノルンじゃないバンシィの方が恐ろしかったな。けれどそこまで恐れはない。

 

何せこちとら何千戦と操作して来たプレイヤーだ。どこまで奴のAIが良いかわからないがNPC如きに負けてやるほど俺は甘くない。機体性能はパイロットの腕次第ってことはガンダムでよく言われてんだよ。こんな奴に負けてたまるか。こっちは願那夢だぞ!

 

 

 

「ギギギギ!!」

 

「流石に乱気流でもマグナムは健在か…!!」

 

 

 

乱気流の中でビームマグナムが襲い掛かる。

 

風の影響など全く受け付けない攻撃だ。

 

しかしこちらも同じで乱気流の影響はそこまで受けてはいない。

 

やはりストライクユニットの性能が颱風を凌駕してくれる。

 

まあ流石に静止したり風に逆らい過ぎると堪らず揺さぶられるが流れに乗る形で動き続ければあとは強引に嵐の中でも動き続けれる。

 

 

 

「ハッパさんが改修してくれたユニットだ!5年先の時代を捉えれるモノなら、やってみせろよマフティー(にせもの)!」

 

「ギギギギ!」

 

 

それでもビームマグナムは恐ろしい。

 

自動シールドが無い中での飛行だ。

 

直撃すればそれで終わり。

 

けれどこの乱気流で足を止めると死に直結。

 

それこそ『止まるんじゃねぇぞ』と()セリフが脳内で流れる。

 

そして、当時のトラウマ武装も流れてくる。

 

 

 

「うわっ、青ぷよ(サブ射撃)ッ!?」

 

 

マキブ時代の悪夢に放たれた凶悪武装を見て思わず顔が引き攣る。

 

それはバンシィ・ノルンの扱うビームマグナムに取り付けられたリボルビング・ランチャーからサブ武装『瞬光式徹甲榴弾』が飛んできたから。

 

しかもそれが乱気流によって不規則に動きながらもこちらを追尾してきた。

 

 

 

「っ、ジャケット!!」

 

 

運良くジャケットがこちらに流れてくる。

 

手を伸ばしてそれを乱暴に掴み、バッと広げながら直撃寸前で手放し、一つ目の榴弾をジャケットに引っ付けると俺はビームライフルで狙撃する。狙ったのはジャケットの袖部分に絡みついていたビームワイヤーの丙部。ビームライフルによってビームワイヤーが爆発するとジャケットに張り付いた榴弾は誘爆し、後続の榴弾も誘爆した。

 

 

よし、これでなんとか___

 

 

 

 

 

 

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄Z________

 

 

 

 

 

 

 

「____ッッ!?」

 

 

 

 

___まずい、やられるッッ!?

 

突如脳裏に走った鋭い感覚。

世界がスローになる。

手が動き、指も動き、トリガーを引いた。

 

 

 

 

ドガーーン!!!

 

 

 

 

 

リボルビング・ランチャーには四つの武装。

 

高速のナパーム弾。

 

それが俺の命を狙っていた。

 

脳裏に走った感覚に身を任せて俺は射撃。

 

視界の悪い嵐の中でナパーム弾を狙撃した。

 

 

 

 

「はぁ…はぁ…っ、はぁ…!あ、あははは!」

 

「ギ!?」

 

 

 

随分と人間らしく驚くノルン。

 

俺は思わず笑ってしまう。

 

今のはかなり危なかったから。

 

 

 

「止まったところを狙撃とか随分とエクバらしいじゃないか!」

 

 

 

エクバプレイヤーとして感心しながら最大火力でブーストダッシュを行う。

 

乱気流を強引に突破するとそのまま勢いに乗せてノルンの真上を取った。

 

 

「ギィィィ!」

 

 

すると次にリボルビング・ランチャーからは対空ミサイルが撃ち放たれる。

 

回避困難な扇状の射撃武装。

 

瞬光式徹甲榴弾と肩を並べる高性能な攻撃。

 

 

 

しかしそれは読んでいた。

 

いや、もしくは誘った。

 

その攻撃を行わせるために、ノルンに対空攻撃をさせるべく、俺はわざわざ真上を取ってやったんだよ!

 

 

 

「IFバンカー!」

 

 

ゴールドスモーが使うサブ武装。

 

それはビームの薙ぎ払い攻撃。

 

ビームシールドやビームフラッグを使えるならこれくらいは出来るはずと考え、コストアップに合わせてビームフラッグの次に練習していた魔力行使の一つ。

 

攻撃性を持った露骨な魔法力の放出はかなり大変な技術だけど、でもこちとら散々ビームシールドを使ってきたんだ。ならゴールドスモーの真似事だって可能にしてやるさ!

 

 

 

「ウィッチに不可能は無い!」

 

 

ビームサーベルを召喚する。

 

そのままIFバンカーを放った時の魔法力の余韻を利用してサーベル内に注ぎ込み、火力は大幅に増強させる。まるで試作2号機が使うビームサーベルのような分厚さだ。ただビームサーベルが爆発的に込められた魔法力に耐えきれておらず今も爆発寸前。ここら辺は300コスト帯としての限界だ。

 

もし俺が400コスト帯なら召喚される武装も質が上がってサイサリス(試作2号機)の真似事も可能にしてくれだろうが今はまだその域まで達していない。

 

でもこれで良い。

 

いまでも充分だ。

 

だって目的はこれで斬る事じゃないから。

 

 

 

 

「ギギィィィ!」

 

 

 

ノルンはビームマグナムを構える。

 

リボルビング・ランチャーからは最後の武装。

 

それは『マイクロハイドポンプ』と言われる機雷の設置武装だ。

 

コイツも原作ゲームでは高性能な迎撃武装として降りテク込みで使える。

 

 

 

だがな、ネウロイ。

 

それをこの場で使うことは間違いだ。

 

 

 

「ギィィィ!!??」

 

 

ノルンはマイクロハイドポンプを放った瞬間……目の前で爆発した。

 

 

それもそうだ。

 

だってこの乱気流で機雷なんて何の意味があると思う?

 

そりゃ原作ゲームは重力無視してフヨフヨと浮いてたよ?厄介だったよ本当に。多くの格闘機はバンシィ・ノルンの迎撃力に泣いてた。

 

 

でもな、ここは話は別だ。

 

この世界では重力の影響を受ける。

 

当然ながら実弾故に風の影響も受ける。

 

ウラル駐屯中の夜間哨戒で犬房に襲いかかってきた六本脚のネウロイを倒す時も足元にキマリスの機雷を仕掛けてネウロイをお手玉したことがある。ちゃんと重力の影響受けて機雷は地面に転がっていた。

 

ゲームのようにフヨフヨ浮いてない。

 

アレはゲームだから許されている現象であってこの世界はアニメだけどリアルだ。

 

ファンタジー極まった魔法は存在してもゲームの時に許されたご都合主義は存在しない。

 

 

だから___お前はアホだ、ネウロイ。

 

 

何のために上を取ったかわかるか?

 

それは対空ミサイルを放たせたるため。

 

マイクロハイドボンブを余らせるため。

 

ビームライフルを使わずに接近戦を仕掛けたのはその武装を迎撃手段として使わせるため。

 

青ぷよに関しては不意を打たれたけどサブ武装豊富なノルンであることをエクバプレイヤーとして再確認させてくれた。そしてガンダム好きとしてそれを再認識させてくれた。つまり知識量が純粋な性能を上回る。

 

ではそんなイレギュラーが目の前にいて、バンシィ・ノルンの真似事してる程度の偽物が、願那夢(おれ)に勝てるだろうか??

 

 

 

 

出来(勝て)るわきゃねえだろおおお!!!」

 

 

 

どこぞの御大将のセリフで叫びながら魔法力で膨張したビームサーベルを投擲すると機雷の中に紛れ込ませてビームライフルのトリガーを引く。

 

 

 

「ビームコンフューズ!」

 

 

 

強烈なビームの拡散とマイクロハイドポンプが混ざり合い、ゼロ距離で爆発に飲まれたノルンは悲鳴を上げながら身体の装甲を砕く。

 

 

 

「コア…!」

 

 

 

喉元に赤く輝く光を見つけた。

 

再度ビームライフルを構える。

 

これでチェックメイト。

 

距離も充分、外さない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄Z________

 

 

 

 

「!!?」

 

 

 

 

しかし、不運は起きる。

 

背筋から感じる死の殺意。

 

咄嗟に体を逸らす。

 

すると俺の飛んでいる場所に分厚いビーム砲が通り過ぎた。

 

 

「!?」

 

 

まさか援軍????

 

いや、違う。

 

もしや『山』の無差別攻撃か?

 

なんてブラインドアタックだ。

 

あと破壊力も半端ない。

 

あそこにいるウィッチ達は無事か??

 

坂本は?若本は?竹井は大丈夫か?

 

するとビームライフルは先ほどのビームに触れたのか、引火する。

 

 

「!?」

 

 

誘爆し尽くす前に手放したが手首の方まで火傷を起こす。そこまでひどく無いが痛みが走る。

 

 

 

「ギ、ギギ…」

 

「っ!」

 

 

 

装甲の再生を始めている。

 

急いでトドメを刺さなければならない。

 

腰の機関銃を取り出して射撃する。しかしノルンはまだマニピュレーターが生きてるのかコアの部分に盾を動かして機関銃の射撃を防ぐ。

 

 

 

「コイツ…!」

 

 

扶桑刀も構えて突貫。

 

機関銃で乱射しながらノルンに近づく。

 

するとマニピュレーターの関節部分に機関銃の弾が入ったのかマニピュレーターの装甲が内側から壊れた。

 

握っていた盾が乱気流に揺さぶられズレる。

 

半端に修復された喉元だが…見えた!

 

機関銃を投げ捨て扶桑刀を両手で握りしめて突き立てる。

 

火傷した手のひらが痛むが関係ない!

 

これで…!!!

 

 

 

 

 

「トドメだぁぁあ!!!」

 

 

「____グ、ギギギギ、ィィィィ!??」

 

 

 

 

 

 

 

貫いた。

 

扶桑刀がノルンを貫いた。

 

喉元から刃が輝く。

 

 

 

 

 

しかし…

 

手応えのない感触が広がる。

 

 

 

 

「!?」

 

 

 

 

後方で何かが動く。

 

振り向く。

 

そこには盾が浮いている。

 

次に見えたのは___赤い光。

 

内側にコアを抱えて、盾が飛んでいた。

 

 

 

「なん…だと?」

 

 

 

 

ガシッ

 

 

 

 

「!?」

 

 

 

バンシィ・ノルンに捕まる。

 

二回りほど大きな体からの大腕だ。

 

コアを失い、朽ちようとしながらも、その巨体は俺を離さない。

 

すると浮いている盾が赤色に輝く。

 

いや、もうそれはノルンの盾じゃない。

 

あれはただのネウロイだ。

 

___そして、赤い光。

 

 

 

「__っっ!?」

 

 

キィィィ…!

 

 

 

 

 

 

 

___赤い閃光 が 放たれた。

 

 

 

 

 

 

つづく






正直、戦闘シーンはこれっきりにしたい。
難しいから。

北郷章香を書く方が楽しいです(俗物)



ではまた
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