GVSウィッチーズ   作:つヴぁるnet

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第36話(本編終了)

 

 

「平和な空になったな…」

 

「ああ……皆が頑張ったからな…」

 

 

 

彼女と共に眺める空。

 

ここは舞鶴。

 

防波堤の先端までやってきた。

 

 

10日前までひどく重くのしかかった空気はウラルから侵略しに襲ってきた『山』を討ち滅ぼしたことにより、一年前に感じ取った時と同じ潮風になった。澄んだ空気が証拠だ。

 

波風も穏やかでそれと同時に夏空の終わりを知らせる。そうなると秋が来るのだろう。

 

 

 

「しかし…」

 

「?」

 

「この車椅子を見る度に竹井爺さんのことを思い出す。俺としては今すぐ殴り飛ばしたい」

 

「ま、待て、落ち着け、強夏、それはかなりやばい…!そ、そもそもアレは…」

 

「わかってるよ。アレは君の戦い。隊長としての判断。またこれまで魔女を導いてきた先駆者としての意地と証明。まあ自己犠牲はあまり褒められたものじゃないが俺はそんな章香も誇りに思う。これは本当だよ」

 

「強夏…」

 

「でもやっぱりさ、俺のことも巻き込んで欲しかったよ。今となってはたらればでしか語れない内容だけど、でも魔女を守りたい気持ちは君と同じなんだ。那佳や犬房のようなヒヨッコに言ったことも嘘じゃない。皆で生きて帰るって。だからその上で俺にも言って欲しかった。今はそれだけ」

 

「……すまない…」

 

「もう良いよ。さんざん謝ったし、さんざん泣いたし、さんざん苦しんだ。章香はよく頑張ったさ。これ以上は謝らなくて良い。だから何度も言うよ。俺は章香を誇りに思う」

 

「でも…けれど…!っ、強夏は……!」

 

「それに関しては俺の失態だ。命令に忠実な軍兵に罪はないが、でもあの海軍(バカ)どもに怒りを感じた俺は砲弾を防ぐだけに留まらず紀伊に押し返したんだ。これは事実上として軍に対して反抗したことになる。つまり友軍機に攻撃した。結末はそこに尽きる」

 

 

 

もう濁す理由もないから告げるが、あの感覚はニュータイプの感応波だ。

 

もしくはサイコフレームの共振に近い。

 

それは叡智から授けられた溢れんばかりの魔法力から始まった影響力と、願那夢としてこの世に定められたその名によって戦った黒数強夏を通して引き出された実体による……

 

まあ、簡単に言えば貰い物であるバカでかい魔法力が奇跡(まほう)を起こしてアニメみたいなスゲーことが起きた。そう考えれば良い。てかストライクウィッチーズって大体そんな気がするから。ともかく魔法でそこらがすごいことなった。認識はそれで良い。

 

 

ともかくだ。

 

章香に渡した香水箱、または保険(白鳥)から放たれし緑色のオーラ、ニュータイプの光を通して『怒り』の感情が湧き上がり、俺はその怒りから紀伊の主砲を叩き潰した。

 

すると紀伊を中心に俺の怒りが衝撃波となって広がった。それを目の当たりにした軍人達、またはそれを感じ取った軍人達は俺に対して恐れを抱いた。

 

 

さて、その後の結果としてどうなったか?

 

 

まず第二艦隊の影に隠れて別働隊として動いていた海軍も本作戦を阻害する動きをした事により咎められる事実だ。

 

そこに北郷章香が立ちはだかった。あと江藤敏子中佐も。二人に罪はない。砲撃の先で戦っている魔女を守った事になるから正義の有無を語るなら章香達に正義が有る話になる。

 

しかしここで俺がやらかした。

 

簡単に言えば俺のやったことはフレンドリーファイアーだ。攻撃を止めるだけならともかく俺は砲弾を紀伊に押し返して、友軍機に危害を加えた。俺はあんな奴らを友軍だとか微塵も思ってないが同じ皇国軍に攻撃した。それは大罪だ。

 

その場でどんな思惑が図ろうと俺は仲間を攻撃した事実を突きつけられた。だから失敗した。

 

じゃああの場面でどちらが悪いのか?

 

それはまず五分五分だと思う。

 

そこに忖度絡ませるならこちらが正義だ。

 

魔女を守り、本作戦に隠れて影で動いてた危険因子を止めたんだから。そして挺身作戦は成功したから俺たちの勝利である。それは間違いない。

 

なら何が一体問題視されているのか?

 

それは結果から語られる内容じゃない。

 

 

 

これは、精神的な話。

 

 

 

……そうだな周りくどいのは無しだ。

 

これこそ簡単に告げよう。

 

 

扶桑皇国軍は__願那夢(おれ)を恐れている。

 

___故に。

 

 

 

 

 

「俺を【軟禁】か……」

 

「………」

 

 

 

澄んだはずの空気、それが重く変わる。

 

ネウロイという脅威は扶桑に無い。

 

だから舞鶴の空気はとても柔らかだ。

 

しかし願那夢という『脅威』が扶桑に有る。

 

その名で飛ぶ黒数強夏はその対象。

 

だから軍人は指を刺して言った。

 

 

 

 

 

___彼は危険人物だ。

___皇国の秩序(へいわ)を乱す、者だ。

 

 

 

 

 

「………………なぜ…」

 

 

 

 

涙が零れ落ちる。

 

 

 

「何故………なぜ………なぜだ……」

 

 

 

その涙は車椅子の彼女から溢れる。

 

俺は隣で舞鶴の空を見てるだけ。

 

潮風は、その涙を誤魔化そうとする。

 

けれど、それ以上に流れ落ちる雫は拭えない。

 

 

「わたしを助けただけだ…!わたしを守っただけ!それなのにっ!なぜ!なぜッ!君がこんな扱いを受けなければならない!何故そうならなければならないんだぁ!!」

 

「……」

 

「わたしの命の恩人なんだ!わたしの約束を果たしてくれたんだ!共に飛んでくれたんだ!この場所で!この場所でわたしの弱さを受け止めてくれたんだ!共に守ってくれたそれだけなのに!なのに!なのに!なのにっ!!」

 

「ふみか…もういい…」

 

 

涙と共に泣き叫ぶ彼女を抱きしめる。彼女も震えながらしがみ付くように俺を抱きしめる。その涙と啜り泣く震え声は後悔と己の弱さが含まれた痛々しいものに感じる。

 

まるで全て自分の所為で黒数は苦しんだのでは無いかと感情が溢れてるような…… いや、ような、じゃない。

 

俺はわかる。

 

彼女の心が伝わる。

 

その気持ちがよくわかる。

 

だからそれを否定する。

 

 

 

「もう良いんだ…誰も悪くない」

 

「うぅぅ…」

 

「皆がそれぞれを成した。誰も悪くなんてないんだから」

 

「ぅぅぅ、ぁぁ、すまな、い……きょうか…

 

 

 

だが、もし…

 

ソレを決めるなら悪いのは人類だ。

 

人は何かに怯えながら生きていく生き物だ。

 

その怯えの対象が俺だった話だ。

 

ネウロイと同じ、脅威だ。

 

それをあの扶桑海で証明した。

 

願那夢(ガンダム)は____白い(黒い)悪魔なんだと。

 

 

 

「俺は扶桑を出る」

 

「!」

 

 

 

顔を上げた章香。

 

その眼は涙で赤い。

 

 

「ま、待ってくれ!わ、私が、軟禁なんて、そんな酷い扱いは!」

 

「章香は凄いよな。少佐から中佐になった。より大きな軍を動かせるほどの権威。それは凄いことだ。しかしこれは大本営の決まり事だ。俺の人事権を掴んでいる章香だけの内情に収まらず、黒数強夏って名指しで動いてる。だから誰かの働きで撤回するとかそんなことは叶わない。奴らは大義を建前に国で動いてくる」

 

「…」

 

「だが願那夢は扶桑の英雄だ。大事(おおごと)には出来ないだろう。だがもし世間に危険人物として扱われ、軟禁なんて話が知れ渡ったらどうなるか?そんなの想像に容易いな」

 

 

 

実のところ、大本営もそこまで強気に動けない。

 

なにせこの軟禁事情は扶桑海事変時に影で動いていた海軍部隊を差し向けた『堀井』が持ち込んだ話だ。

 

堀井の所業は褒められた話ではないが扶桑海事変の海上決戦は海軍の威光を知らしめる絶好の機会だ。それに影裏で動いていたあの作戦は魔女が失敗した時の『保険』として扱われるためそれを手配した堀井自身に罪は問われない。後ろ指刺されるくらいはするかもしれないがあの姿勢ならそんなの気にも留めないだろう。

 

またそれを阻止しようとする魔女達に対して砲撃したことに関しても誤射誤認として扱う予定だった。

 

いくら魔女を信用してないからと言ってもこれは呆れる。しかもその業を咎めることは誰にもできないから鬱陶しい事この上ない。つまり何も無かったことにされたわけだ。

 

しかし、どうであれ俺によって全て台無しにされた。

 

台無しされた挙句、そこにいた扶桑海軍の全ての者は屈服した。扶桑海軍の威光を知らしめようと選ばれた屈強なる扶桑軍人はただ一人の若者によって屈した。恐怖した。それが魔女を信用しない堀井にとっては屈辱的だった。だから腹いせに近い感情で動くと俺の拘束を求めた。

 

なんとも小さい奴だ。

 

だがそんな堀井は到底無視できない事があった。

 

それは俺の力。 

 

紀伊の砲撃を受け止めるどころか押し返した挙句、その衝撃波によって10近くの艦隊を機能停止させてしまった。その力は流石に軍も無視できない。またそこにいた者たちも願那夢に対してひどく恐れたから、その警戒と対処を強く求めた。故に堀井自身も俺の存在を無視できなかった。

 

それから大本営に口添えする。

 

そして始まったのが『軟禁』という扱いだ。

……俺はアムロかな??くだらねぇ…

 

 

「と、言っても、大本営も戦後を考えてそこまで動けないし、俺に対して処置を求めたのもごく一部の海軍だから、せめて見かけたら捕まえる程度だろう。そのため国外にまで手を伸ばす力は秘めていない。軟禁なんて大そうなこと言ってるが根本は半端な動機から。でも勘違いするな。軟禁が怖いからじゃない。これは…役割」

 

 

それは昔、人類のために働いた叡智。その力に恐れた叡智達は淘汰されながらも、人を救いたい本当の英雄だからこそ、人類を救うための魔法陣を残した。それは願い。

 

そしてそれはこの時代、厄災を払いし武装(バーサス)としてガンダムを知る俺を形作る。

 

なぜならこの世に願われたから。

 

だから黒数強夏はこの場所にいる。

 

 

 

子供(おとな)のエゴに付き合っていられるか。軟禁なんてお断りだ。大本営如きが願那夢を使えると思うなよ」

 

「強夏…」

 

「だから章香……少しの間、お別れになる」

 

「……」

 

 

 

舞鶴の風が変わる。

 

まるで悲しむように呼応する。

 

揺れるポニーテールに力がない。

 

 

 

「章香、俺は【扶桑海事変】と名付けられたこの戦争を終えたら民間協力者としての徴兵期間はここで終わる。それが契約。だから名ばかりの階級(准尉)も返上される。そのため事実上の退役だ。これは大人しく軟禁される未来でも同じ。大本営の決まり事だから」

 

「……ああ…そうだな…」

 

「第十二航空隊も人員の総入れ替え。坂本や若本も欧州などに派兵される。竹井も章香との話し合いで士官学校を希望した。皆がそれぞれの戦いに向かう。ならば俺だって次の場所に向かうよ。それが何処かわからない。でも教材を参考にするならば宇宙ネズミの団長は止まることを選ばなかった。それが愚かさの塊でも願那夢は構わない」

 

「決めたんだな…」

 

「ああ。てか元々ウラルで話した事だ。これが終わったらどうするか。それはその時になってまた考えれば良いと言った。最初は元の世界に戻る目的だったが、今となっては元の世界に戻ることは考えておらず、さっきも言った通りこの魂が願われてる限り願那夢として役目を果たす。ならやることは決まってる。それに…」

 

「?」

 

章香がこの世界にいるから、この世界に俺は生きていたい

 

「!!」

 

 

彼女は目を見開く。

 

俺は数歩分だけ動く。

 

そして、彼女の…

 

俺の魔女__北郷章香の前に立って。

 

 

 

 

 

「俺は君を愛してる。大好きだ章香」

 

ッッ!!!!

 

 

 

 

 

舞鶴の風が、舞い込んだ。

 

まるであの時のようだ。

 

それは涙を流しながら弱さを打ち明けた彼女と、それを約束しようと抱きしめた時のように、舞鶴の風が俺たちを祝福する。

 

ここにロマンスを名づけるなら、そう。

 

F91ガンダムのETERNAL WIND(エターナルウィンド)

 

名称は【祝福の風】だったか。

 

 

 

「好きで、好きで、好きで、大好きで、とんでもなく君のことが好きでたまらない」

 

「っ!」

 

「ずっッッッと伝えたかった。てかこの世界に戻ってきた時も、それもココと同じ現世の舞鶴も、君の顔を、君の声を、君の事を、強く強く思い浮かべて戻ってきたんだ。俺は章香のことが…大好きだから!」

 

「ぁ、ぁぁあ…!きょ、うか…!」

 

「ッッ、本音を言えば離れたくない。めちゃくちゃ離れたくない。可能なら、願那夢とか、役割とか、どうでもいいなら今すぐそうして、俺は章香とこれからも一緒に居たいくらいだ」

 

「うん…うんっ…うん……!」

 

「それで結婚してさ、家も買ってさ、二人で生きていけるくらいの仕事を見つけてもいい。軍を続けても、それを続けなくても、第十二航空隊でそうしてきたように、俺は章香と共に苦楽を分けながら生きたい、そうしたい…!」

 

「ぁ、ぁぁっ、そうだなっ…わたしも、君とそうしたい…そうして、生きたいな……」

 

 

思わず、零れ落ちる一滴の涙。

 

だって章香とそうできたらどれほど幸せか。

 

想像するだけで幸せになる。

 

それが実現したらどうなってしまうか。

 

こんなにも俺は彼女で沢山だ。

 

 

「でも今はまだ許されない。手の甲に刻まれた数字が痛むんだ。ネウロイがいる。奴らを滅するためにこの魂はある。今すぐにでも飛ぼうと願う。まだ止まり木を必要としない」

 

「!……ああ、そうだな…それが、願那夢(きみ)だったな」

 

 

章香は涙を拭うと体を震わせながら車椅子から立ち上がる。

 

魔法力の酷使により体はボロボロ。

 

順調に回復はしているが、俺は無理させないことを考え彼女を座らせようとするが、それでも章香は食いしばりながら車椅子から立ちあがる。

 

しかし前に倒れ込む。俺は受け止める。

 

彼女を表す、ポニーテールが揺れた。

 

 

 

「強夏、お願いがある」

 

「なにかな?自己評価の低い、俺の魔女」

 

「ふふっ、相変わらず君は意地悪だ…」

 

「可愛い章香が悪い。それで何だ?」

 

 

 

章香は俺を支えに立つ。

 

足がまだ震えている。

 

まだそこまで無理は出来なさそうだが、それでもヒヨッコ集いの第十二航空隊を支えてきた隊長だ、その眼は強固である。

 

 

 

「私は君を止めれない。でも飛び続けることは誰だって難しい筈。だからもし疲れた時はわたしのところに戻ってきて欲しい。それくらいは英雄にも許される。だって強夏も人間で沢山だから」

 

「!!……わかった。それが『願う』というなら願那夢は……黒数強夏はそうする」

 

「絶対にだ」

 

「わかった」

 

 

 

俺たちを祝福しきった舞鶴の風。

 

それは次の空へと流れようとする。

 

 

ああ、もう少し待ってくれ。

最後にやりたいことがある。

俺の魔女を共に愛して欲しい。

 

だから…

 

 

 

「章香、少し顔あげて」

 

「え?______んっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

この世界は実のところそこまで優しくない。

 

見るだけならともかく、それをなぞる側に位置つくなら、これほど息苦しいことはない。

 

人の手によって作られた物語とはいえ残酷を隣にするここはストライクウィッチーズで、人類を駆逐しようと怪異が空に蔓延る。

 

それでも人類は抗い続け、小さな魔女は奇跡を起こそうと箒に跨り、人々は戦い続ける。

 

そんな世界に降りた俺の行先はひどく分かりづらかったが、けれどこの魂と役割を願那夢は乗せられ、凡ゆる『続き』を求めることになった俺のストーリーテラーはまだ続く。

 

その一つの区切りとして『扶桑海事変』の物語は終えた…

 

しかしこの世界がストライクウィッチーズならまた新たに続く。

 

 

それがこの世界に現れた願那夢(イレギュラー)

 

 

または GVSウィッチーズ として。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ってのが、私たちの副隊長だったわね」

 

 

 

その魔女は空を飛びながら語る。

 

自分のことではない、とある人の物語。

 

しかし何処か自分のことのように誇る。

 

それほどのことだから。

 

隣で聞いていた魔女は飛びなら、尋ねる。

 

 

「そんなにすごい人だったんですか?」

 

「ええ、それはもうすごい人よ。当時は幼さ故に理解力が乏しかったけれど、今となってはその戦果がどれほどなのかを考えたら扶桑本国のウィッチを集めても届かないくらいじゃないかしら?」

 

「おいおい、そこまで言うか?竹井」

 

「ふふっ冗談よ、坂本。でも私がすごいと思ってるのは戦果じゃないの。彼はね、第十二航空隊に所属していた私たちの先生と同じ人格者な方で、部隊作りが非常に上手な人。あのね、さっきも言ったように当時の私達は国の命を背負ってる自覚も浅かった魔女だった。でもそれは自分の事でいっぱいいっぱいで怖かったから。空が、戦いが、ネウロイが…」

 

「……」

 

 

 

空を飛んでいたもう一人、眼帯をつけている魔女も静かに頷く。

 

語られている頃は今よりも未熟だったから。

 

 

「けれどね、その人は常に気にかけてくれていたの。第十二航空隊に集まった年行かぬ娘が激戦区ですり潰されないようにいつも精神的に支えてくれてたの。それはまるで近所にいる優しいお兄さんのような人で皆からとても好かれていた。しかし彼もまた空を飛んだ段階は私たちと変わらなかった。それでも何歩も先を進んで先生と共にウィッチを導いてくれた」

 

「更に言えば弓道のみ学びはあったがそれ以外はからっきしな人だった。今よりも年行かなかったわたし相手に剣技で負けるくらいにな。わたしは彼よりも全然年下だぞ?」

 

「そうなんですね…」

 

「だがあの人は空を飛べば彗星だ。ネウロイを見つければ必ず撃ち落とし、どんな戦いでも必ず仲間を守り通した。あと夜間の適正問題があったにせよ、そのたった一度の墜落を除けば敗走の記録も無く、全ての戦闘を最後までやり通した。なにより自動シールドも使わなければ今よりも武器を縛って戦っていたくらいだ」

 

「シールド、無かったんですか?」

 

「ああ、なかった。一応、魔法力で固めた盾を構成する技巧な人だったが私たちみたくセーフティーラインは何一つない。でも扶桑海事変の終戦まで渡り続けた。死角から体を射抜かれたらそれでおしまいだと言うのにな…」

 

「それで武器を…縛るとは?」

 

「彼の固有魔法は『武装召喚』だ。手のひらでつかみ取れるモノかつ武器のみに限定されてたが異界から武装を引っ張り出して戦える。ウィザード(伝説)と疑わられた所以もこれだ。ただ二十歳を超えた原因が関係してるか分からないがシールドが使えなかった。つまり武器だけが頼りなのだが……ああ、まったく!今考えても恐ろしい…!」

 

「!」

 

 

 

眼帯の魔女は怒る。

 

その当時は知らなかった。

 

また一年も隠し通された真実があるから。

 

今だからこんなにも怒れる。

 

成長した彼女はそうなった。

 

 

 

「あまり言っちゃいけないことだけど、その人はその固有魔法の半分程度の力しか引き出さなかったの。それを制限して戦ってた」

 

「!?」

 

「制限した上でのあの活躍。そう語ればすごいかもしれない。けどあの人からしたら相当大変だった。しかしあの人にとってそうしなければならない理由があった。だけどそうも言ってられない日が訪れた。扶桑海事変の最後で全力を出した。私たちの先生を守った。けれどそれが原因で…… 大本営から願那夢は恐れられた」

 

「!!」

 

下原定子(しもはらさだこ)、君は魔女候補生の頃に本国で聞いたことあるだろう。願那夢のことは…」

 

「っ…はい、聞きました……でも、あんな…」

 

「そう言うことだ。平民なら耳に届かないことだが軍にいると耳に入ってしまう。願那夢は英雄だ。しかし絶大的な力を秘めているその彗星は危険人物だとも言った。中には『奴はよく出来たネウロイじゃないのか?』と虚言を吐く上官(バカ)もいた……!そんなことあるわけがないだろうッ!!」

 

 

眼帯の魔女は怒り叫ぶ。

 

そして隣で飛ぶ同期の魔女もまた同じ。

 

 

「ネウロイ以上の力があったの。それを持って怪異を断ち切る。これは人類にとって希望。しかしそれをコントロールする力を大本営は持っていない。だから彼を危険人物だと恐れた。身柄を拘束して軟禁まで計画した。ほんと呆れるわね。プロパガンダで利用した皇国軍がそれを言うの本当におかしいよね…ほんとうに……ほんと……にッ…!」

 

「!!?」

 

 

 

静かな怒りだ。

 

ここにいる誰よりも怖い。

 

なにせその魔女はその彗星を敬愛してるから。

 

今こうして胸を張れるのもその人が居たから。

 

恩人に他ならない存在。

 

この魔女にとって憧れに近いから。

 

だから…その扱いに対して魔女は怒る。

 

 

 

「ふぅ…… 落ち着いたわ。それでええとね、それからその人は扶桑を去ったのよ。軟禁されることを悟ったから」

 

「……………ハッ!?あ、ええと、その、去り際は皆には伝えなかったんですか?」

 

「ううん。別に何も音沙汰無くって去った訳じゃない。リバウへ向かった坂本中尉や、激戦区に派兵された若本中尉、あと当時士官学校へ学び直しに入学した私の進路、皆のその後を聞いた後に私は尋ねたの。そしたら簡単に一言『俺は大本営に向かうよ』と告げて姿を消した。少し寂しかった…」

 

「はっはっは!しかもその時の醇ちゃんは特にワンワンと泣いたな。なにせ黒数さんに一番懐いてたのが醇ちゃんだったからな」

 

「へー?それは気になるな竹井少尉。よく聞かせてくれよ」

 

「ちょっと美緒ちゃん!?…って、あと西澤(にしざわ)さんもいつのまに!?」

 

 

魔女が四人になる。

 

賑やかさが増した。

 

 

 

「哨戒終わって戻ってきたら遠くで坂本たちが飛んでたからよ、見つけてここまで来た」

 

「あ、そ、そうなの…… てか、そのまま戻りなさい。また飛んでる最中に腹痛で苦しんでも仕方ないわよ。それにどうせ黒数さんの名前は覚えられないでしょ?」

 

「えー、ひどいぜ!これでも()()兄貴くらいはちゃんと覚えてるって!な?ちゃんと人の名前くらい覚えてるだろ?」

 

「怪しいわ……………え?」

 

「む?」

 

 

聞き逃せない名が空に響く。

 

そしてその名の生徒だった魔女は問い詰める。

 

 

「まて西澤!いま黒数と言ったか!?しかも兄貴!?」

 

「ん?ああ、言ったよ」

 

「なんで知ってるの!?」

 

「え、し、知ってる、から??」

 

 

 

その魔女達は声を荒げる。

 

なにせそれほどの人だったから。

 

 

 

「ど、何処で出会った!?彼は時折扶桑に帰ってると先生から聞いたが、私達はこの2年間会ったことないぞ!?」

 

「お、おう、て、てか、ついさっきまで、アタシとすこし、飛んでたし…」

 

「「!???」」

 

 

空気が揺れた。

 

彼をまだよく知らない魔女はすこし下がる。

 

そして二人の魔女は顔が強張る。

 

 

「と、飛んでた…?」

「さっき…まで??」

 

「おう。数分くらい駄弁ったな。話によると欧州に人型の気配ないから別のところ向かうとか色々とな?で、瞬く間に南の方まで飛んでったけどよ、これが彗星のようにバー!と飛んで行ったな!いやー!あれが話の願那夢かー、すごかったなー、いつか手合わせ願いたいなー」

 

 

カラカラと笑うその魔女はその彗星をよく知らない。

 

だがよく知っている魔女からすればその話は衝撃的だったから…

 

 

なにぃぃぃい!!??

ええぇぇぇえ!!??

「(びくっ!?)」

 

「な、なんだよ?急に…ぐええっ!!?」

 

「西澤ァ!黒数はいま何処にいるんだ!?」

「待って!?それ本当なの!?どうなの!?」

 

「おろろろろ!く、首が、閉まるっ!つ、ついでに腹も!おええええええ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは扶桑の魔女にとって、強い記憶。

 

幼い頃に見た、流れ星と同じような夜空。

 

それほどに刻まれた物語。

 

 

 

 

 

 

 

「なんか騒がしい……??いや、気のせいか」

 

 

 

 

 

その魔女は男性であり、不思議な存在。

 

この世に一人しか存在しない。

 

それがなによりも特別である。

 

 

 

 

「ま、それより、そろそろ扶桑に戻るか。久しぶりに石川の料理も食べたいし」

 

 

 

 

 

その男は彗星の魔女として空を描く。

 

もしくは、この世の 願い(また)は夢 として。

 

この世界に名を馳せる。

 

それは人類の救い手として。

 

故に、その名は……

 

 

 

 

 

 

 

 

機 動 戦 士 願 那 夢(きどうせんしガンダム)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これはとある、彗星の記録である。

 

 

〜 おわり 〜

 






と、まあ、こんな終わり方になりました。
ちょっと駆け足気味だったかな?
でも完結したから俺は、えらいえらい
(ザクレロのスタンプ↑↑)

恐らくハッピーエンドなんだけど、ネウロイが存在する限り黒数強夏は戦う運命にある、そんな良くありげな終わり方ですが、ガンダムでは日常だからヘーキヘーキ。原作ストパンもまだそんな感じだし。ま、多少はね??

ともかく『本編』はこれで終了です。
この先書くとしても『蛇足』を綴るのみ。

まあ、まだcostが『500』行ってないからね。
やり込み要素はあると思う。


さて!!ここまで誤字や脱字報告などに助けられながらこの数ヶ月間!!書いてみたかったストライクウィッチーズを書けて満足です。作者の趣味全開な作品ですが、ここまで付き合っていただいた読者に圧倒的感謝をッッ!!

ここまでありがとうございました!!

















続きがほしいだって?
₍₍(ง*w*)ว⁾⁾ それなら簡単だよ ᕕ(*w*ᕗ)⁾⁾
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やってみせろよマフティー!
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ではまた
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