GVSウィッチーズ   作:つヴぁるnet

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第40話

 

 

 

「デデドン!兄さんに問題です!」

 

「ふぁ!?くぅーん…」

 

「首都パリを象徴とするあの塔は一体誰が設計したのでしょうか」

 

「いや、それよりもっと良い効果音はなかったのかいお嬢ちゃん?」

 

「ええとねー、なんか電波受け取ったらこの効果音だった感じかなー」

 

 

 

そんな電波受け取らなくて良いから…(切実)

 

引き続き小さなお客様の髪を溶かす。

 

 

「で、塔の設計?たしかギュスターブ・エッフェルだろ?パリの構造家、エッフェル塔の名前がそのまま使われてる」

 

「うんうん、正解だよー!ちなみに塔の発案者はギュスターブ・エッフェルじゃなく一般のウィッチだったとか言われてるってポイね」

 

「え?そうなの?」

 

「まだ魔女が普通の箒に跨っていた頃、塔の先端に魔道針を立てることでナイトウィッチを支援してた歴史があるんだよ。そうやってガリアの夜空は守られていたって聞いたことある」

 

「この世界のエッフェル塔ってそんな役割があったのか…」

 

 

 

現在、俺はパリに滞在中。

 

ガリアで一番来てみたかった場所だ。

 

現世では行ったことない観光地に心躍らせながらいつものように路銀稼ぎのため適当な場所で店を開き、行く人のお暇を捕まえながら髪を梳かしたりしている。

 

あと髪を梳かす=女性のイメージが強いが英国となると男性客もそれなりにいる。身嗜みを第一に整えるジェントルマンが大都会パリならそれは尚更だった。

 

まあ今は子供の長い髪を溶かしているところだが、この子がなかなか不思議ちゃん属性を見え隠れさせている。

 

それで彼女は歌の稽古の帰りであり、いつも親が迎えに来るエッフェル塔の見える公園で待っていたところ、ちょうど俺がその公園で溶かし屋を構えており、気になってやってきた。それで今はお迎えの暇つぶしとして大人しく椅子に座っている。

 

 

「お迎えまだかな?早く戻って猫の面倒見ないと」

 

「猫飼ってるのか?」

 

「飼ってるというより住み着いた?でもお利口さんなんだよ、他の野良猫と比べてとても人懐っこくて。前にピンクのリボンをプレゼントして首に巻いてあげたんだよ」

 

「なるほど。あ、猫の名前は?」

 

「ええとね、名前が…」

 

 

 

俺は櫛を丁寧に動かし、少女は足をプラプラとさせて、何気ない会話を弾ませる。

 

このまま平和な日常が続くと思い…

 

 

 

「「??」」

 

 

公園の入口からドタドタドタドタ!と、誰かがこちらに走った。俺は思わず櫛を止め、少女はプラプラしてた足を止めてしまう。何事?

 

そしてドタドタと走ってきた人、もしくはその走ってきた一人の女性は俺たちの前に立ち止まると息を切らせながらも指をプルプルとさせてコチラに指差し…

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ!!こ、こ、こ、こ、こ、こぉ!こ!この!この魔法力は!!」

 

 

「…」

「…」

 

 

何か危ない空気を漂わせていた。

 

 

 

「エリー?君の知り合いにニワトリ語を喋る人なんているのか?」

 

「んんー、私の知り合いにニワトリの軍人さんなんていないよ。知ってるのは猫さん」

 

「そっか」

 

「それより、お兄さん、小腹減らない?」

 

「腹減ったなぁ」

 

「ですよね」

 

「うん」

 

「この辺にー、うまいチェロスのお店があるんですよ」

 

「あ、そっかぁ」

 

「行きませんか?」

 

「行きてーな」

 

「行きましょう。だから後で行きましょうね。あ、もちろん奢りはジムさんで」

 

「あ、おい待てぃ(博多っ子)奢るのは構わないけど今の感じなんか一瞬皿うどん娘連想したゾ」

 

 

「ちょ、ちょっと!む、無視しないで…!お、お願い!」

 

 

呼吸を整えたニワトリ語の女性は軍服を揺らしながらツッコミを入れる。

 

それより魔法力…??

 

俺のコレを感知したと言うことか?

 

普通なら外からは簡単に捉え切れない微量の魔法力なんだが、それでも走ってくるような距離から感知したということは、この娘…

 

 

「あ、お迎えの車だ」

 

「そうか。お疲れ様」

 

「うん!またね!待ってる間付き合ってくれてありがとうね!」

 

「ああ、気をつけてな」

 

 

そう言って去り行く不思議ちゃん。

 

その場から見送った後…

俺の視線は再び目の前に戻す。

 

 

「で?何か御用かな?軍人さん」

 

「!」

 

 

櫛に魔力を纏わせた後クルクルと回し、付着したチリとかを落とすため水を切るように払い飛ばす。するとその魔法力を感知したのか目の前の女性の頭からはナイトウィッチ特有の魔道針が飛び出た。

 

 

「っ、間違いない!こ、この魔法力…ええ!この感じ!あの時とまったく同じで…!」

 

 

興奮した様子でその女性は状況整理する。

 

それより俺の魔法力そんなにわかりやすいか?

 

いや、叡智から授かったとんでもないギフトだから異色過ぎてむしろわかりやすいか。

 

まあそれ以上に男性が魔法力を持っていることがイレギュラーだからな。

 

判断材料としては充分か。

 

 

 

「あの夜、名乗って頂いたその名はジム・カスタム……ですがッ!貴方の名は…!」

 

 

目つきが変わる。

 

その眼差しは知っている。

 

俺がまだ一人の軍人として空を飛び回っていた時に向けられていた時と同じものだ。

 

表すなら、それは尊敬。

表すなら、それは恐怖。

 

また、その【名】を持って表すなら。

それは希望。

 

 

 

黒 数 強 夏

 

 

 

旅人として名乗る時はジム・カスタム。

 

その名はこの世に降りた時の名残り。

 

文字通りトリガーとなったから偽名として使っていた思入れのある名前だ。

 

しかしこの日、それは一人の魔女によってとうとう暴かれた。

 

ではそれは何を意味するのか?

 

彼女の言う『黒数強夏』はこの世界に救いを願われて導かれた魂。または役割だ。

 

そしてそれは黒数強夏というストーリーテラーにより()()()()名付(さず)けられて形作られた。

 

 

 

「扶桑、の__願那夢(ガンダム)!」

 

 

 

その名は『願 い (また) は 夢』として描かれる宇宙(そら)の願い星。

 

それをこの女性はあの夜空で隣にして、それを願い探し求め、魔法(きせき)とその軌跡(まほう)を辿りここまでたどり着いた。

 

なら俺はこの応えに頷くべきだろうか。

 

 

 

「さて、人違いじゃないのか?」

 

「いえ、そんな!貴方で間違いありません!」

 

 

その女性、もしくはそのナイトウィッチはカールスラント軍人としてハッキリとさせる。

 

俺が間違いなく、ソレであることを。

 

 

「そうか。まあ、そうだな。魔法力関連でナイトウィッチに隠し事は無理だろう。それは俺もよく知ってる」

 

「では……!!」

 

「ああ、その通り。俺は黒数強夏。パリまでよく見つけたなヒヨッコ。今日は非番か?」

 

「!!…私を、ヒヨッコと言うことは、覚えていたんですか?」

 

「たしか10日ほど前の夜だろ?北海に現れた中型ネウロイは共闘の果て、最後は君がコアを撃ち抜いてくれた」

 

「は、はい!」

 

 

ナイトウィッチの表情は明るくなる。

そんなに俺に会いたかったのか。

 

 

「ヘルミーナ・レント少尉だったな」

 

「あ、私はあの戦闘後、階級が少尉から中尉になりました。でもアレは貴方がほとんどやり遂げたことだというのに…」

 

「英国の昇級の早さは知ってたが、即中尉にするということは何かを先立ってやってほしい期待の証なんだろう…」

 

「期待…っ!!………ぁ、あぁ、ぅぅぅ……」

 

すると表情が酷く歪んだ。

 

次に胸も抑え始める。

 

あかん、地雷ワードだったか?

 

 

「はぁ……はぁ……はぁ……ぅぅ…」

 

「だ、大丈夫か?」

 

「ぅぅ、は、はい、大丈夫……れす…」

 

「いや、全然大丈夫じゃないな!ほら、とりあえずココに椅子あるから座れ。しかもなんかフラフラしてるぞ…」

 

「す、すみません…」

 

 

意識がハッキリしてるのか、それとも魘されているのかあやふやな状態。

 

てか彼女な精神状態がそこまで良くないことがわかる。よく見たら目元に隈もできてるし。あと髪も傷んでる。これは…… ストレスから生まれた症状だな。その歳で可哀想だな。

 

 

「ちょっとだけジッとしてな、髪が痛んでる」

 

「ぇ?…髪?」

 

「ここに座るってそういうことだよ。なにすぐに終わるさ」

 

「あ、ぁ」

 

 

 

動きそうになるウィッチの肩に手を置いて動かないよう押さえると、次に魔力が込められた櫛を長い髪に通し、上から下へと丁寧に梳かす。

 

厳しい軍生活で荒れ気味なるのはわかるがコレは自分で手入れする余裕がないほどだ。

 

よっぽど追い込まれてると見た。

……危険だな。

 

 

「それで?魔法力を辿ってまで俺を探してたようだが、一体どうしたんだ?」

 

「っ…!」

 

 

彼女はビクッと反応を示す。

 

それでも櫛に乱れは無い。

 

引き続き梳かしていると彼女は口を開く。

 

 

 

「わ、わたし、その… 人類に希望を与える願那夢として名を馳せた扶桑海事変の大英雄から知恵を借りたくて…」

 

「…知恵?」

 

「はい…… その、わたし、元々普通の戦闘部隊のウィッチとして飛んでいましたが、ある日カールスラント軍は夜間戦闘部隊の導入を決定付けるとナイトウィッチとしての適性が少しでもあるウィッチが配属してる部隊を夜間戦闘部隊に改編させました。それでわたしは唯一ナイトウィッチとしての適性がありました。と言っても10%あるかどうかも分かりませんが、それでも無いよりマシ程度に考えた上層部は私の部隊をそのまま…」

 

「……」

 

「しかしノウハウも何も無い。ええ、当たり前ですりカールスラントに夜間飛行のドクトリンなんて何一つ備わってない。だからわたし達にそれを作らせようとしている。でも… どうしろと言うんです?文字通り暗闇の中を手探りで飛んでいるんす。何も見えない世界で誰からも知られずに撃ち落とされるかもしれないのに… そんな毎日を突きつけられる。だから何とかしようと考えて、考えて…」

 

「俺なら解決できると?」

 

「はい」

 

 

 

迷いなく即答。

 

その時だけ、声色に命があった。

 

後は真っ暗闇の中で虚無に響いてるようだ。

 

そう捉えれた。

 

 

 

「扶桑の論文……読みました」

 

「!」

 

「扶桑から届いた凡ゆる戦闘記録はカールスラントの空を次世代へと立ち上げてくれる。特に筆記者である海軍北郷章香の論文や参考記録は何もかも新しく、喉を鳴らしてくれるモノが多い。時にはあり得るかも怪しい記録まで刻まれてましたが、ウラルに飛んだ観戦武官は口を揃えて本物だと言ってくれます。そして続けました。扶桑の彗星は本当に願那夢なんだと」

 

「……ガランドか

 

「でも読むだけでは何も糸口がない。何故なら何見えない暗闇の世界。分かることは空の音と頼りないセンサーの二つだけ。私は恐怖しか聞こえない。苦しい… 辞めたい… でも辞めることはできない。許されない。部隊を抜けるための辞退書は受理されず返ってくる。何故なら今は私だけが頼りだから…」

 

 

 

彼女は後ろを向いてるから表情は見えない。

 

でもその表情は予想できる。

 

全てに絶望したような眼差しだろう。

 

 

 

「でも、ある日、貴方が現れてそれは変われる気がした。夜闇の中で光る彗星は何も恐れていない。純正なナイトウィッチでは無いにも関わらず貴方は夜闇に迷わない。わたしはそれが知りたい。だから…だから……だからっ……!」

 

 

陽の光が射さない夜に震える体のようだ。

 

膝の上に拳を握りしめて、手の甲を湿らせる。

 

落ちる涙は本物で、願う声は現実に潰される。

 

だから彼女は「助けてください」と言った。

 

 

 

「どうか…… ほんの少しだけの知恵で構いません…… ロウソク一本分の灯火さえあるならそれだけで夜は冷たくない…… その熱さえ確かなら後はどうにかして継げるはずだから…… ほんの少しだけで……ほんの少し…だけ…」

 

 

 

この世界は残酷だ。

 

子供に重役を平気で背負わせるから。

 

でもそうしなければならない敵がいる。

 

だから魔女を頼りに世界は平和を求める。

 

なら、それを聞いた俺が取るべき答えは何か?

 

 

 

 

__君がいなければ、わたしは無理だ…

 

 

 

 

ああ、変わりない。

 

あの時、聞こえてた漣と変わりない。

 

彗星を求めてやって来たのなら出すべき答えは決まっている。

 

 

 

「なぁ___ほんの少しで良いのか?」

 

「……ぇ?」

 

「春が訪れたとはいえ欧州にはまだ凍える夜はやってくる。ロウソク一本じゃ心持たないだろう。せめてドラム缶くらいは必要だ」

 

「!!?」

 

 

 

さて、まだ完璧じゃないが表面上に見える髪の痛みはある程度拭うことができた。もっと本格的に櫛を通せばこの髪も綺麗になるだろうがそれは答えを聞いてからでも遅くない。それから櫛を引いたタイミングで彼女は立ち上がってコチラに振り返った。

 

その表情は先ほどまで暗がりに満ちていたが探し求めていた火によって少しずつ灯される。

 

 

「魔法力辿ってまで俺を探しに来た。それほどに願ってくれた。なら願那夢として偽りなくその声に応えるべきだろう。この黒数強夏が本物だと思うなら」

 

「!!」

 

 

 

ウィッチが空を飛び、彗星を探しに来た。

 

ならその願い星は役割を果たすべきだろう。

 

 

「いいん、ですか?ほんとうに、いいの?」

 

「構わないよ。別にこれが初めてじゃない。まあ期待に応えれるほどかわからないが手伝うくらいなら良いよ。俺も今はそうするべきだと判断した。あ、でもその前にひとつだけ聞いておきたいことがあるんだ」

 

「き、聞きたい、こと?」

 

「そう、これは大事なことだ」

 

 

 

 

櫛をケースに仕舞い、暖簾を畳んでキャリーバッグのポケットに滑り込ませる。

 

そして適当なお店からお借りした椅子を持ち上げながら…

 

 

 

 

 

 

 

「カールスラントには美味しいチェロスのお店はあるかい?」

 

 

 

 

 

 

 

 

パリを最後にガリア共和国を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「次の問題行くよ?……全集中!」

 

「「「はいっ!!!」」」

 

 

そしてボタンを押す。

 

すると次々画面が切り替わる。

 

そこに映し出されたのは数字。

 

 

 

「投影は以上、さて答えは?」

 

 

 

現代から持ち込んだ知力を試すお遊戯。もしくはスポーツの一種でもあるフラッシュ暗算。

 

さらに今回はナイトウィッチ専用バージョンとして回答者の後ろには10個分の小型のアンテナも建てられている。これも答えてもらう。

 

 

「81!それと右から二番目!」

「90!左から三番目です!」

「85!一番左!」

「114!真ん中だ!」

 

「レント中尉正解。答えは85。そして一番左のアンテナが電波発信していた。お見事」

 

「っ!やった!やったわ!」

 

「「「うあー!難しい!!」

 

 

プロジェクターの映像が次々と切り替わる最中に回答者の後ろにある10個のアンテナ内ランダムに1つのアンテナから魔道針が捉えれる信号を一瞬だけ放つようになっている。

 

それを捉えつつ、フラッシュ暗算を行なってもらうナイトウィッチだけができる高難易度な訓練法だ。あと使用してる部屋は実戦時の雰囲気を出すためやや暗くしている。

 

 

「うぅ、やはり難しい…」

 

「け、けっこうキツイわね…」

 

「ええ、だって視界から得る情報と両立して魔道針にも集中しないと…」

 

「あ、頭が、こんがらがるぅぅ…」

 

 

これがただ暗算して応えるだけなら誰でもできるだろうが、魔道針に集中しながら次々とフラッシュする数字を暗算するのはなかなか苦闘を強いられる。最初は誰もが苦戦した。

 

 

「はい、本日はここまで。お疲れ様でした」

 

「「「疲れ様でした!!」」」

 

 

それから部屋の電気を明るくし、解散。

 

この部屋は後日も使うので機材はそのまま。

 

今回のチェック表を確認していると、ひとりのウィッチが話しかけて来た。

 

 

「本日もありがとうございます、黒数先生」

 

「先生はよせ。レント中尉」

 

「ならわたしもレントと呼んでください」

 

「軍律に厳しいカールスラント軍がそんなこと言うとはな」

 

 

あれから随分と表情に余裕も出てきたナイトウィッチのヘルミーナ・レント。

 

目の隈や肌荒れも無くなり、ストレスによって生まれた睡眠不足も解消された。

 

あと女性の象徴である髪もちゃんと手入れされてる辺りを見るとちゃんと自己管理が出来るくらいには安定したようだ。

 

正直ホッとしてる。

 

 

「ところで地上レーダは安定してるか?」

 

「ええ、お陰で夜はかなり飛びやすくなったわ。地上のレーダがある程度肩代わりしてくれるから飛行にも集中できて、私たちナイトウィッチも鼻歌を交じり得ながら飛べるくらいには余裕が生まれたわね」

 

「そりゃ良かった。しかし… カールスラント軍

はこのくらい思いつかなかったのか?戦果を上げるための武器と戦闘脚ばかりに目を向けやがって。それなのに夜間飛行のノウハウをゼロから作り上げろとか、高い技術力に対して現実視が追いついてなさすがだろ。ウィッチは無限じゃねーんだから信じられねぇよ。あほくさ」

 

「まあまあ、落ち着いて…」

 

「レントも少しは怒って良いんだぞ?カールスラント軍の無茶振りに。そもそも君個人が動いてなければ今のカールスラント空軍第3夜間戦闘航空団はなかった筈だ。こう言っちゃアレだが良く俺の事を探してくれた。お手柄だぞ」

 

 

ちなみに彼女がパリに居たのは非番でも何でもなく、夜間飛行の帰投中にユニットの不調でガリアのパリに居た仕方なく着陸。

 

それでユニットが整備されるまで待っていたがストレスによる不眠症で仮眠も取れず、フラフラとパリの街を歩いていると魔道針が俺の魔法力を捉えて、ニワトリ語。

 

そして今この状態である。

 

 

「黒数さんのお陰で夜間戦闘航空団らしく夜空を飛べる日が訪れた。感謝しかありません…ですが…」

 

「?」

 

「その、今考えても、急に黒数さんを捕まえてしまったと…」

 

「ああ、なるほど。いや、俺が手伝うこと自体は別に構わない。しばらく扶桑から距離を取れれば今はそれで問題無く思う。ただし公に出すのは勘弁な?」

 

「もちろんです!そう言って頂けたら助かります」

 

「……あまり部隊長が頭下げすぎるな」

 

「いえ、わたしは黒数さんのような英雄からお力添え得れることに感謝しかありません。本当に本当にありがとうございます」

 

「俺はただの民間人協力者だよ。それに表に立って頑張るのは君たちだ。恐れず気張れよ」

 

「はい」

 

 

 

機材を片付け終えて部屋を後にする。

 

外を見れば夕方。

 

この一か月で生活リズム変わってしまった。

 

まあ起きたい時は昼も起きてるけど。

 

 

 

「今日は当番か?」

 

「ええ、なので今から寝ます」

 

「そうか。あ、前に教えた寝る前の呼吸法は試してるか?」

 

「ええ、もちろん試しています。アレするとよく眠れるますね。皆もやってるわ」

 

「よろしい。じゃあ俺は行くよ」

 

「はい、お疲れ様でした」

 

 

 

パリで急なエンカウント。

 

そこで願われて、今を応えてる。

 

でもウィッチに出会うこと自体珍しくない。

 

これまでの旅でそうだったから。

 

そして手を貸すこと自体何度もやって来た。

 

それが今回スケールが大きいだけの話。

 

たまに部隊の副隊長だった頃を思い出しながらも、いつも通りその役割を果たすまで。

 

 

 

 

つづく






【エリー】
お歌の稽古をしている不思議ちゃん。最近猫のお世話に夢中。後のルミナスウィッチーズの副リーダーになることはまだ知らない。

【ヘルミーナ・レント】
帰投中に不調を起こしてパリに着陸。それによってより一層心を病ませてしまいそうになるが彗星を捕まえてからはメンタルが回復。そらから安定すると元々センスの高い飛行能力に夜間能力が正しく備わりナイトウィッチのエースとしての片鱗を見せるようになった。元から論文を読んだりと学ぶことに関しては積極的で、定期的に行われる黒数強夏の講義が楽しみである。

【旅人もとい、黒数強夏】
ワールドウィッチ編でとうとう名前を明かした主人公くん。カールスラントまでドナドナされて手伝うことに。実のところ夜間飛行自体のノウハウはそこまで持ってないがウィッチの育成に関しては経験があるのでまずそこから手掛け、とりあえず気休めに地上レーダを利用した夜間飛行の環境を整えたりと行動。それでも部隊からはゼロにイチを吹き込んだ開拓者として救世主扱いを受ける。差し入れとしてよく選ばれるのがチェロスらしい。


ではまた




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