GVSウィッチーズ   作:つヴぁるnet

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第43話

 

 

8月の夏___ソレは急に起きた。

 

いや、始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄Z________

 

 

 

 

 

 

 

「ッッッ!!??」

 

 

 

浦塩の借家の寝床から目を覚ます。

 

時間はまだ早朝。

 

しかし脳裏を駆け巡るようなこの感覚は間違いない。

それを何度も感じてきた。

 

慌ただしく外に出て、空を見る。

それから感じる方角に意識を注いだ。

 

 

「!」

 

 

ああ、視えた。

 

__ネウロイだ。

 

 

手元に魔法力を伝わせる。

 

 

 

「お、おい、兄ちゃん?何やってんだ…?」

 

 

 

俺より朝早くから起きていた男性が一人。

 

この浦塩で復興作業に参加した者だ。

 

 

 

「あの方角、こっちにネウロイが一機だけ来てる」

 

「なっ!?そ、それは本当か!!」

 

「ああ。しかも大きな個体だ」

 

「なんだと!?」

 

 

俺は手元に伝わせた魔法力を解き放つ。

 

すると両手にはバスターガンダムが主力武装として扱う『超高インパルス長射程狙撃ライフル』がズッシリとのしかかる。

 

寝起きの体に重たい武装だがそれをしっかり構えてその場に跪き、朝日と真逆の方向からやってくるネウロイを待つ。

 

そして奴は山奥から姿を見せた。

 

 

 

「なに!飛んでいるのはネウロイか!」

 

「ちっ…ウラルではやはり飛行型か現れるか…」

 

 

ウラルだと強力な個体は大体飛行型として現れてくる。扶桑海事変が終わった今もそれは変わらないらしく俺は舌打ちする。このまま制空権取られたらひとたまりもないからだ。

 

 

 

「何だその武器は!?何処から取り出した!?」

 

「コレが俺の能力だ!ネウロイが強いほど俺も躊躇いを捨てれるようになる!それが扶桑の願那夢と謳われる由縁だと言うことを!」

 

 

トリガーを引く。

 

道の真ん中から放たれる太いビーム砲。

 

長射程の名に恥じない攻撃は遠くからやってくるネウロイに直撃する。

 

するとけたたましく響いたこの音に復興中の浦塩は騒ぎになった。

 

借家で寝泊まりする男たちは窓を開けると外を見上げ、この騒ぎを目にしようと扉を開けて飛び出してくる者も現れれば、軍船からは陸軍ウィッチが騒ぎを聞きつけて走ってくる。

 

そんな横で一部始終を見ていた男は喜ぶ。

 

 

「うおおお!やったぞ!さすが扶桑の英雄!なんだなんだ兄ちゃん!アガリ迎えてもう飛べなくなったんだと思ってたがまだ魔法を使って戦えるんだな!」

 

「戦えないことはない。けどそれまで扶桑は平和だったからな。だから扶桑で戦う必要なかっただけの話だ。しかし今話は変わった。薄くなった哨戒網を超えてネウロイはこちらを目指している。コレで終わりとは思えん」

 

 

ビーム砲を受けて墜落するネウロイ。

 

しかしまだ生きている。

 

召喚した武装の内部を切り替える。

 

そして再びトリガーを引く。

 

放たれるのはガンランチャーのAP弾。

 

狙撃するような形でネウロイを撃ち抜き、コアに触れたのかバラバラに砕け散った。

 

 

 

「いって…反動強すぎだろこの武装…」

 

 

手が痺れ、思わず武装を手放す。

 

すると役割を終えたことを悟った超高インパルス長射程狙撃ライフルは地面にガコンと音を立て、消えた。

 

俺はホッと息をつき、尻餅をつく。

 

もうネウロイの反応はない。

 

 

 

「く、黒数さん!」

 

「?…犬房か。早起きだな」

 

「おはようございます!ですが今のは!?」

 

「見ての通り、ネウロイだよ」

 

「そ、それはわかります!でも…何故?」

 

「俺が知りたい。ただ今の個体恐らくはぐれなんかじゃない。明確な目的を持って浦塩に真っ直ぐやってきた。それは統率性を基に動いてる証拠になる。そうなるとあの奥にそれを動かす元凶… 親機がいることになる。早めに討たないとまた浦塩にネウロイがやってくるぞ」

 

「!」

 

 

 

それから浦塩に駐屯する陸軍に話を持ち込んで今回のことを情報共有した。

 

信じられないような顔をしていたが復興作業協力者の目撃情報と証言、また夜間哨戒中だったナイトウィッチの情報もあり、疑いようのない事実となってしまう。

 

それからの行動は早かった。

 

浦塩に駐屯する陸軍兵士を動かし、また陸軍が保有する陸戦ウィッチと空戦ウィッチも稼働させる。そうやって編成が済むと早速ネウロイが襲ってきた進撃先に偵察を向かわせた。

 

その中には数少ない空戦ウィッチとして参加した犬房もいた。

 

そんな俺は民間人なので待機だ。

 

 

するとそのタイミングで国外から電報が舞い込んだ。

 

 

 

黒海に大きな怪異の巣が出現。

そのままダキアに上陸。

改めてコレを『ネウロイ』と命名。

ダキア、モエシア、オストマルクが迎撃開始。

しかしダキアを中心に陥落も時間の問題。

大型ネウロイ、多数の目撃あり。

 

 

 

「なんだ!何だコレは!?」

「出現場所が黒海だと!?」

「オストマルクは無事なのか!?」

「おいおい!ウラルのすぐそこじゃ無いか!」

「なるほど。この黒海に出現したネウロイの一部がウラルを超えて浦塩まで来たのか…」

「編隊を組み直し!迎撃体制に入れ!」

「佐世保にはすぐ連絡を入れろ!急げ!」

 

 

この一週間、陸軍は騒がしく動いた。

佐世保に援軍を頼み、軍の補給に勤しむ。

 

 

「第一迎撃隊!第二迎撃隊!帰還!」

「小型を12機!中型は1機を撃破!」

「損傷は17名です!」

「この一回で1割強が損耗か…」

「くそっ!ネウロイめ!」

 

 

復興作業を支援する程度の軍備状況なのか兵士たちに充分な装備が与えられていなかった。そのためかそう多く無いネウロイの撃破に手を焼いてしまい、親機の撃破もならず、進軍先で負傷者を出してしまう陸軍は焦りを隠せない。

 

犬房のように扶桑海事変を経験した陸軍ウィッチも何名かこの浦塩に駐屯しているが、流石に穴拭智子のような精鋭と言える精鋭がこの浦塩には一人もいないため、その黒雲を斬り払う者がいない。

 

それでもこの一週間、ネウロイの攻撃を食い止めている陸軍達。

 

浦塩の復興作業は続く。

 

 

 

「兄ちゃん、お供の嬢ちゃんが心配か?」

 

「犬房は強い。あまり心配はしてない」

 

 

 

俺はこの二週間同じ班としてよく犬房と共に作業していたのだが今の彼女はストライカーユニットを脚に履き、ネウロイの討伐隊としてウラルに向かったため今はいない。

 

賑やかにしてくれた彼女がいないため復興作業場には寂しさが漂う。

 

 

「……」

 

 

そんな彼女のお陰で助かったことがある。

 

まず国外ではジム・カスタムの名で世界を回ってたが扶桑にいる現在は黒数強夏としての身分は隠さずこの場に参加している。

 

それは国民からしたら扶桑の英雄かつ人類に希望を与え続けた願那夢、そう認識を持たれてるいるため軍人を含めた周りの人達から「畏れ多い!」と共に作業することを敬遠されたり、中には英雄様だからと作業させてくれないこともあった。

 

俺は海軍の雲隠れとしてこの場を利用させて貰っているが復興作業は全然手伝う気でこの場にいる。

 

何せ、第十二航空隊を切り盛りしていた頃は浦塩から甘いものなど多く届くことがあり、士気向上の関係でお世話になったため、手厚い援助のあったこの場を復興させたいその気持ちはある。

 

しかし願那夢の名が民草に紛れることを邪魔していた。

 

英雄故の距離感が生まれていた。

 

だがそこは犬房のお陰で緩和されていた。

 

まあその分「扶桑の英雄様ぁ〜」と、かなり馴れ馴れしく接してくるところはあったが、でも遠慮ないこの距離感のお陰で周りからは願那夢をしていた黒数強夏も人間で沢山だと認識してくれたた。

 

そして今は「(あん)ちゃん」と親しまれながら復興作業を手伝えているのだ。

 

これは犬房のお陰。

 

だからこの場から飛んでいった彼女を気にはすることは普通だ。

 

 

「あまり心配する必要はない。陸軍を信じて俺たちは浦塩の復興作業を進めよう。海事変を乗り越えた扶桑軍は強いから」

 

「おう!その通りだな!オレたちはオレたちのことを進めようぜ!」

「だな!それに軍人として前線にいた兄ちゃんが言うんだ!間違いないな!」

「そうだな!なら帰ってくる奴らに少しでも変わった所見せないとな!」

 

 

 

不安をかき消すように復興作業は進む。

 

 

 

そして…

 

 

 

俺が落としたネウロイの騒動から既に10日が経過した。

 

迎撃の二波目としてウラルに向かった陸軍は戻ってきた。

 

朗報として『親機』を落としたと報告があった。

 

 

 

 

 

「っ!!…手の甲が役割を訴えてる…??」

 

 

 

 

思わずシャベルを落としそうになる。

 

それと同時に情報が舞い込んだ。

 

ウラルの空で親機は落とした。

 

 

 

 

 

代わりに【人型】が現れたと報告があった…と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

重たい音をした砲撃が真横を通過する。

 

それを回避しながらビームサーベルを召喚。

 

すると奴とのビームサーベルが交差する。

 

その隙に腕を伸ばし、魔法力を解き放てば槍のようにビームシールドが突き出され、そのモノアイを砕いた。

 

 

 

「がら空きだ、紛い物」

 

 

 

怯んだ隙にビームサーベルを切り返してコアを刻んだ。

 

 

 

「ギィ!?、ギィ、ギィ…」

 

 

赤い光を放ちながら消える人型ネウロイ。

 

または砕けながら堕ちる『ペイルライダー』の形をしたネウロイを見おろす。

 

 

 

「まずは一機………、!」

 

 

すると脳裏に駆け巡る警告音。それに従って体をひねると有線式ミサイルが横を通過する、それに手を伸ばし、ミサイルの有線を掴み取ると強引に引っ張る。

 

 

「ギィ!?」

 

 

有線ごと引き寄せられた『ブルー・ディスティニー』はバランスを崩し、その隙にビームサーベルを突き出してその腕を切り落とした。

 

森の中に落ちゆく腕の装甲。

 

 

 

ギィ!ギィ!

 

「もしやEXAM(エグザム)システム?つまり俺をニュータイプとして見做したってことか?へー、そりゃ光栄だな」

 

 

全身から赤い光を放ちながらビームサーベルもマシンガンも使わず、残った片腕のマニピュレーターを使って殴りかかってくるブルー・ディスティニーの猛攻。

 

しかし脅威に感じることなく、攻撃を回避しながら真下を取る。

 

そして下から吹き荒れる上昇気流を利用したキマリストルーパーの武装『機雷』がブルー・ディスティニーを下から押し上げて視界を阻害する。そこに支給品の機関銃の弾を放って着火させると機雷が爆発した。

 

 

 

「ニュータイプ相手にただの格闘で倒せるわけないだろ紛い物が。せめてユウ・カジマを乗せてくるんだな」

 

 

 

損失した片腕から攻撃を加え、最後はビームサーベルでコアを両断。

 

ブルー・ディスティニーはあっけなく砕け散った。

 

 

 

「人型はコレで全部か?」

 

 

この手の甲に刻まれている、厄災から人類を救うことを願った英雄の魔法陣が反応しない。鬱陶しく感じていた痺れもない。つまりこの場にネウロイはいない。そういうことだろう。怪しい雰囲気も感じ取れない。もう大丈夫だ。

 

 

 

「しかし、またこうしてウラルの空で戦うとはな…」

 

 

額の汗をぬぐい、見渡す。

 

懐かしい空。

 

思い出が身体中を巡る。

 

ネウロイと戦ったことのある場所も見えた。

 

そうやって遠くを見ていると…

 

 

 

「黒数准尉!お見事っス!」

 

「犬房か。もうこの辺の邪気は感じられないから大丈夫だ。ただ…」

 

「?」

 

「かなり遠く。この辺りからもっともっと遠くから強い邪気が感じられる。黒海側かな。話の通りだと思う」

 

「!……ネウロイっスよね?」

 

 

黒海にネウロイが多量に出現。

 

そして海上には『巣』が現れた。

 

コレによってネウロイが欧州の方角に攻撃と撤退を繰り返して人類に打撃を与え続けている。カールスラントから支援を受けているオストマルクだが物量で殴ってくるネウロイが相手、時間の問題だ。街が占領されれば一気にネウロイが雪崩れ込んでくるだろう。

 

 

「コッチの方は大丈夫っすかね…?」

 

「奴らの目的は欧州だ。コチラに舵を切らない限りは大丈夫… と思いたいが、ウラルに現れた以上楽観視は出来ないな。早めに浦塩の復興作業を済ませて軍備配置状況を充実させないと不意な攻撃に対応できない」

 

「そうっすね。しかし今回黒数さんがいなかったら大変なことになっていた!貴方が居てくれて良かったですよ!」

 

「これ以上損耗を起こしたくない陸軍からも、そうやって感謝されたよ」

 

 

それからお目付役の僚機として飛んできた犬房と共に浦塩に帰投する。そして無事浦塩に到着すると人々から大いに讃えられる。

 

 

「願那夢だ!」

「扶桑の魂!」

「そうだ!扶桑の正義は我々にある!」

「「「うおおおおおお!!!!」」」

 

 

自然と陸軍と民間人が仲良くアグニカカイエルしている姿を横目に、今回のことを伝えるため俺は犬房と共に陸船に足を運ぶ。すると朗報を待っていた軍人達が一斉に迎えてくれた。

 

 

「黒数殿!ご無事で!」

 

「ただいま。既に犬房准尉から報告は受けていると思うが人型は倒してきた。人型の脅威は無いと見て構わない」

 

「「「な、なんと!!」」」

「「「流石、扶桑の願那夢っ!!」」」

 

「あと早めに情報を共有しておきたい。ここの上級階級の者達との話の場は設けられるか?」

 

「はい!直ちに!」

「了解しました!黒数准尉!」

 

 

もう准尉じゃないんだけどなぁ。

 

犬房が何処かで俺の最終階級が准尉であることを喋ってしまったから知れ渡っている。やれやれ、海軍の方までこの名が届かなければ良いんだがな。今回人型を倒しに飛んだが実は半ば強引に出撃している状態だ。

 

陸軍は親機を倒したのは良いものを、損耗した陸軍の再編に時間が掛かかっている状況。

 

だがここでネウロイに時間を与える訳にもいかないため俺はストライクユニットを履いて軍人のお偉いさんに「俺が向かう」と告げた。最初は民間人って扱いのため出撃を渋られたが本音を言えば今の陸軍は猫の手も借りたい状況。そのためもし俺のことが心配なら俺のことをよく知ってる犬房を僚機として連れて行くと提案して、それで出撃が認められた。まあ認められなくても向かうつもりだったが一言は告げておこうと考えての行動。そしてペイルライダーとブルーディスティニーの二機を撃破して帰ってきた状態だ。

 

 

「今回はなんとかなったが軍が駐屯できる状態まで浦塩の復興を急がせないとオストマルクから溢れてきた二波目は耐えられない」

 

「うむ、願那夢の言う通りだ。インフラを優先的に復旧させて浦塩を稼働させなければ扶桑海事変の二の舞だ。それは絶対に避けなければならない!」

 

「今度こそ扶桑の陸軍がこの浦塩の砦となろう!」

 

 

状況整理が済むと民間協力者に脅威が取り除かれたことを改めて軍人から告げられ、不安な空気は取り除かれた。

 

それからも浦塩は引き続き復興作業を進め、哨戒任務の量も増やし、数日後には佐世保から追加で送られてきた陸軍が合流した。

 

軍備増強によって人々は安堵、士気は充分に向上し、それが後押しとなって浦塩はみるみると復旧してゆく。

 

 

 

「おおー、こうしてみると結構進んだな」

 

 

一度参戦してしまった以上は今頃ウラル戦線から引き下がる訳にもいかないため、俺は浦塩に駐在している間は民間協力者として空を飛んでいた。

 

今は夜間哨戒をメインで空を飛んでいる。夜間で動いてる理由としては純粋にナイトウィッチがそこまでいないので俺が穴埋めで飛んでいる。その辺は陸軍から大変申し訳なく思われたが、こうして俺が夜間哨戒を承ってあることは陸軍からしたらかなり助かっているとのこと。

 

まあ俺自身、最近までカールスラントで散々夜を飛んでたからそこまで苦でもない。気にせず夜は任せろと陸軍に告げて今飛んでいる。ただ俺の現状は浦塩から口外しないよう陸軍にお願いしている。やや首を傾げられたが了承してくれた。

 

俺の武勇伝とかは別にどうでも良くて、ただ純粋に俺の存在が海軍の堀井中将辺りに知られると面倒だから。

 

 

 

「輸送船も多くなったな。ああ、良い事だ」

 

 

俺自身まだある程度の不安事を抱えているが、夜間哨戒任務帰りの空の上から見下ろすと街がどんどん復興している光景が目に入り気持ちも落ち着く。扶桑人の芯の強さが見えて頼もしい。安心感と同時に襲いかかる眠気を欠伸に変えながらストライクユニットの出力を落として格納庫にそのまま入り、ユニット発着機にストライクユニットを収めて脱着する。

 

 

欧州で購入したお気に入りのスニーカーに履き替えて哨戒任務報告書をまとめるか、報告は犬房に押しつけてさっさと寝るか考えていると…

 

 

 

「?」

 

 

ひとりの女性が入り口で待っていた。

 

見慣れた後ろ姿。

 

 

__そして靡くポニーテール。

 

 

 

「!?」

 

 

 

俺はその後ろ姿に目を覚ます。

 

すると俺が戻ってきたことを察したのかその女性は振り向いた。

 

その人は…

 

 

 

「待っていましたよ」

 

「え?…ふみ…か?」

 

「いえ、違いますよ____義兄(おにい)さん」

 

「………………ハ?」

 

 

 

俺は耳を疑い、それから目も疑う。

 

完全に目が覚め、見ているものも鮮明になる。

 

ポニーテール……いや、違う。

 

よく見たら側頭部に髪を結んでいる。

 

これはサイドテールだ。

 

しかし……ああ、しかし彼女(ふみか)によく似ていた。

 

 

 

「初めましてかな?と、言っても私は一方的に知っていますけどね。それは願那夢の意味的にも、私の家族の『許嫁』って意味でもね?」

 

「ッ!!? ま、待て、もしや…!」

 

「うんうん。そこら辺はちゃんと聞いてるみたいですね。ならそれは想像通りですよ」

 

「!」

 

 

 

彼女はコチラに数歩近づく。

 

そして陸軍の軍服を伸ばして敬礼した。

 

 

 

 

「本日より佐世保から陸軍の援軍部隊の一隊長として浦塩に着任しました。わたくし陸軍遊撃隊部隊長__」

 

 

 

 

 

 

話には………一度だけ聞いていた。

 

北郷は軍人一家であることを。

 

そして()()家族であることを。

 

父、母、姉、それから…

 

 

 

 

「ま、まさか…」

 

 

 

 

目の前に現れて俺を「義兄さん」と呼ぶその彼女はこの記憶が正しければ、この娘は…!

 

 

 

 

 

北郷 鈴香(きたごう すずか) 階級は少佐です」

 

 

 

 

北郷の家名を名乗るウィッチがひとり。

 

サイドテールを靡かせてそこにいた。

 

 

 

 

 

 

つづく

 






本編には名前すら登場しませんが北郷章香に『妹』が存在するのは公式設定です。優秀な陸軍ウィッチって設定らしい。まあこの小説ではほぼオリジナルなのでそこまで気にしなくても良いかな。出番もそこまで考えてない。


【黒数強夏】
扶桑ではジム・カスタムの名を名乗らず普通に黒数強夏として浦塩の復興作業に参加する。願那夢の英名により民草の中に紛れること困難求められたが犬房のお陰でかなり緩和され、夏場は汗水流しながら民間人と共に働く喜びを感じ中…だったがネウロイの出現により結局また飛ぶ羽目になってしまう。現在は夜間哨戒を主に夜空を飛び、浦塩の安眠を守っている。支援物資にチェロスを頼めるか考え中。

【犬房由乃】
願那夢に脳を焼かれ続けている陸軍所属の空戦ウィッチ。黒数強夏のお陰で復興作業中は充実していたが、現在は復興作業に手を付けずネウロイ警戒のため哨戒任務に割り当てられ、数少ない空戦ウィッチとして飛ぶ日々を送る。実は浦塩に駐屯中のウィッチの中で黒数強夏を除けば五本指に入る強さとして認識されてるが本人は気づいてない様子。願那夢が強くて自分の強さが霞んで見えてるらしい…マジでそういうところやぞ黒数。

【北郷鈴香】
この小説におけるオリジナルキャラクターであり、北郷家の『妹』として作中に登場した。姉と同じ手練れの剣術家。陸軍でもその名は有名である。ウラル戦線では北を中心にネウロイと戦っていた。願那夢のことはよく知っているらしい。



ではまた

スピンオフ『魔女たちの軌跡雲』は読んだことありますか?

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