GVSウィッチーズ   作:つヴぁるnet

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これ投稿したらしばらく更新止まる…かな??

あのね、忙しい(白目)




第47話

 

 

 

もし高機動機が対面した場合、それは早い方が勝つ。

 

そうとも、速さは正義だ。

 

当たらなければどうってことないを体現できる上に、それも常に相手よりも優位性を保って戦うことが可能性だ。

 

そして、それは、このストライクユニットが現時点でオーバーテクノロジーだからこそ、この理論を可能としていることだろう。

 

 

 

「ギィィィ!ギィァ…!」

 

「流石に重力化での白兵戦専用機だな!」

 

「ギィ!ギィ!ギィ!」

 

「だが、甘いな!コッチはもっとすごい剣豪と空中戦を行ってきたんだ。今更二刀流に遅れはとらねぇよ!」

 

 

空中戦だろうと構わず噛みつき、握られた二つの刃から繰り出す『ガンダム・ピクシー』の猛攻を受け流しながら近くにある町から離すように紛い物を誘導する。

 

白兵戦を主軸とした機体だから誘導させやすいが、俺はもう一つ気にしながら戦わなければならない現状に置かれている。

 

それは…

 

 

 

「!??…っと!!あぶねぇ!!」

 

「ギィ!?」

 

 

俺はピクシーを蹴り飛ばしながらその場から一気に引くと真下から強烈なビーム砲が一直線に放たれた。するとピクシーはそのビーム砲に飲まれてしまい胴体の半分が消し飛ぶ。冷や汗掻きながら下を見ると紛い物の『ゴトラタン』がメガ・ビーム・キャノンを構えていた。

 

 

「おうおう、さすが誤爆タンだな。容赦ないカットであったまるよ。本当にな…!」

 

「ギ、ギィァァ!」

 

 

ゴトラタンの容赦ない砲撃のお陰でコアが丸見えになった紛い物のガンダム・ピクシーに俺はビームライフルを直撃させ、コアを破壊するとピクシーは砕け散った。

 

それから俺は流れるようにビームライフルの銃口を真下に定めるとトリガーを引き、ゴトラタンに攻撃を浴びせる。

 

するとメガ・ビーム・キャノンを使って変形移動を行うゴトラタン。

やるじゃねぇか。

 

しかしその変形移動って実はあまり巡回性能よくないんだよね。そのためおおよそ直線上に移動するゴトラタンの進行方向に置いたビームライフルの一撃がメガ・ビーム・キャノンに直撃した。するとゴトラタンは誘爆を受けないよう胴体に連結しているメガ・ビーム・キャノンを体から切り離して身を引く。

 

高コストの真似事するだけあって判断力それなりにあるらしい。もしくはスペックが高いからこそ知能も高いのか。とりあえず高コストを偽るネウロイはそれ相応の強さと能力を秘めていると考えて、俺は太陽の光を利用しながら真上から強襲する。

 

するとゴトラタンの頭部からビーム・カッターを突き出し、かつネウロイ特有の赤いビームまで放つ欲張りセットに俺は「うおっ!?」と体を逸らしてゴトラタンから離れるように回避するとストライクユニットがオーバーヒートを警告する。

 

俺は残りブースト量を気にして慣性を生かしながら体を捻り、ビームライフルでゴトラタンの頭部を攻撃するとビーム・カッターの部分に直撃し、ゴトラタンの額が爆散する。

 

 

「ちっ、浅いか!」

 

 

それでもゴトラタンを怯ませるに充分、オーバーヒートから回復したストライクユニットでブーストを行い、ビームライフルを乱射しながらゴトラタンに接近戦を仕掛ける。

 

するとゴトラタンも腕に装備してあるトンファーでコチラの接近戦を受け止め、周り蹴りを放ってきた。

 

俺は咄嗟にビームライフルを握っている方の腕から展開したビームシールドで回し蹴りの軌道を逸らし、ガラ空きになった胴体に召喚したビームサーベルを突き刺そうと狙う。しかしゴトラタンは腕を回転させるとトンファーを逆手に引き出し、ヒート・ロッドの直撃を逸らす。

 

するとエクバの武装とは全く関係ないネウロイとしての純粋なビームを放とうと再び額を光らせた。浅かった故に回復が早いなッ!

 

 

「やらせるか!」

 

 

回し蹴りを受け止めた腕を捻り、即座にビームライフルのトリガー引いてゴトラタンの額にぶつけると集約したエネルギーにビームが直撃して爆発する。

 

ゼロ距離で確実に当てたので額どころか顔が半壊して大きくよろけるゴトラタン。

 

その隙に回し蹴りを受け止めていたビームシールドを鋭く展開させながら斜め斬り払いゴトラタンの腕を切断、そのまま脚にも深く切れ目を入れた。

 

 

「キィ!?」

 

 

回し蹴りから解放された脚を掴み、ビームシールドに回していたエネルギーをウィッチ特有の身体強化に転換させ…

 

 

「小型化が進んだ時代のモビルスーツの弊害だな!」

 

「!?」

 

 

強引にその脚を引きちぎった。

 

 

「ギィ!!!???」

 

「トチ狂ってお友達にでもなりにきたのなら諦めな!破壊だけが取り柄のネウロイと友好関係結べるなんて微塵も思ってない!」

 

 

俺は腕を伸ばすとゴトラタンの半壊した顔を掴み取り、強引に胴体を引き寄せ、握りしめていたビームサーベルを『ガンダムAEGー1』のスパローが接近戦で使う『シグルブレイド』に切り替えるとゴトラタンの脇腹に突き刺した。

 

 

「ッ!!__ここダァ!」

 

「ギィィィィァァ?!!!!」

 

 

突き刺した装甲の中身に手応えを感じる。

 

刃を傾け、一気に斬り抉る。

 

するとシグルブレイドの斬撃に触れたネウロイのコアに傷が入り、そして…

 

 

 

 

ネウロイは砕け散った。

 

 

 

「はぁ…はぁ……ピクシーの後…の、白兵戦は流石に疲れたな……おぇ……」

 

 

もしその後の相手がゴトラタンではないイフリート系だったら白兵戦なんか挑まずビームライフルの嵐で撃滅していたところだ。

 

ゴトラタンはビームシールドがあるから白兵戦が良いと判断で戦闘行為に乗り込んだが、ゴトラタンも何気に白兵戦できる機体だから困りものだ。流石に高コストあるわ。

 

 

 

「!!…っと、恒例事項か…」

 

 

手の甲が一瞬ヒリつく。

 

願那夢を値するcostが上昇した。

 

数値は【431】costか。

 

 

 

「随分と…成長が遅くなったな…」

 

 

 

普通のネウロイを倒しても上がらないことが多くなってきた。中型ネウロイを倒してやっと数値が【1】上昇するってパターンも増えできている。まるでRPGゲームみたいだな。そうなると総合的に質量のあるネウロイを狙わなければ目立った上昇は見込めない。そんなところか。

 

そうなるとこの手の甲も今となっては寝起きドッキリのための装置だな。真夜中にヒリリと手の甲に走ったりして安眠できない時が稀にあったりと不自由する。

 

日中とか起きてる時はまだ良いんだよ。

ただ睡眠中はストレスになって仕方ない。

 

別にね、ネウロイの存在を知らせること事態は悪くないんだが、もっと優しく知らせてくれてもええんちゃう?どうよ?

 

__身構えてる時にヒリ付きは来ない筈だ。

 

 

 

「嘘つけ絶対嘘だゾ」

 

 

デデドン(絶望)と脳内再生させながら俺は武装を解除して……岩陰に呼びかける。

 

 

 

「おーい、そこのウィッチ、もう良いぞ」

 

 

 

疲れた表情を隠し、俺は安全を知らせる。

 

 

「す、すごい…」

 

 

だが既に岩陰から顔を出してコチラを唖然とした様子で見ていたのはカールスラント軍の小さなウィッチだ。

 

 

「何を言うか。すごいのは君もだろ。よくあの人型を二機相手にして耐えた」

 

「!!、いえ、わたしは、そんなことありません…コホッ、コホッ!!」

 

「…大丈夫か?」

 

「え、ええ、少し休めば…… この体は前からそうなんです。ヒスパニア戦役の頃と比べて今はなんとか体力は付きましたが、それでもあまり長い時間の飛行は……コッホ…コッホ…!」

 

「…本当に大丈夫か?無理なら町まで運ぶぞ?」

 

「だ、大丈夫…です…それよりも援護、ありがとうございました。まさか里帰り中にネウロイが現れるとは思いませんでしたが…」

 

「トランシルバニアを残してオストマルクはネウロイの道路になっている。そしてここゲールもオストマルクに接敵している場所だからネウロイが現れる可能性はある。ただ、人型に関しては不運としか言えないかな…」

 

「助かっただけ幸運です……コッホ!コッホ!コッホ!…ぅぅ……」

 

「おいおい、全然大丈夫じゃないな!?とりあえず安全なところまで運ぶぞ。いいな?」

 

「っ………よろしいですか?」

 

「こんなところで放置するほど願那夢は廃れてない。行先はゲールで良いな?」

 

「はい……あ、ユニットは…」

 

「紐で括り付けて運ぶさ。すぐに用意するから少し休んでろ……」

 

「あ、ありがとう…ございます……正直に言いますと、もう、立ってるのも…辛く…て…」

 

「!」

 

 

倒れるウィッチ、俺は咄嗟に受け止める。

 

え、軽っ。

な、中身入ってるよな?

てかよくこんな小さな体で戦ったな。

身長は竹井と同じくらいか?

 

 

「しかし、本当に良く生きてた…」

 

 

なにせ差別広範囲攻撃を主流とするゴトラタンと、白兵戦で追い回してくるガンダム・ピクシーの波状攻撃だ。

 

原作エクバでもこのコンビにダブルロックされたら無事に逃げれるとは思わない。

 

体力調整も命懸けである。

 

しかし彼女はストライカーユニットが破壊される瞬間まであの二体から逃げ延びた。

 

その上、彼女は故郷のゲーラに被害が及ばぬようオストマルクの国境を超えることでネウロイを引きつけた。

 

しかし、それはつまり__彼女は死ぬ気だった。

 

 

 

「覚悟決まっている軍人さんな事だ…」

 

 

俺は一度彼女を岩壁に横たわらせ、半壊したストライカーユニットに紐を括り付ける。

 

それから気絶しているウィッチを背負うとそのまま空を飛び、ネウロイに侵略されたオストマルク国境に近いカールスラントのゲールに向かった。

 

それからしばらく飛んでいるとゲールの町から騒ぎ聞きつけた武装している大人たちを見つける。先ほどの戦闘区域まで向かおうとしていたので俺は一度降り立って彼らの前に立ち塞がる。

 

 

「俺が願那夢だ」

 

「「「!!!?」」」

 

 

うむ!完全な『対話』であろうッ!!!

 

………とは言いづらいファーストコンタクトであるが、とりあえず俺が願那夢であることを真っ先に伝える。

 

それから大人達に脅威を取り除いたこと、また背負っているウィッチはネウロイの脅威から救出してことを伝える。すると背負っているこのウィッチにかなり驚いていた。

 

どうやら気絶しているこのウィッチこの町においてとても有名な少女であり、またこの町の出身であるためかカールスラントの英雄として名が届いている。

 

更に付け加えるとこの子はヒスパニア戦役の頃から戦っているエースらしい。

 

つまり俺の先輩だな。

 

それはともかくとして大人たちは彼女の容態に慌て出し、すぐに病院に連れて行くよう急かされたので俺は半壊したストライカーユニットを大人たちに受け渡し、俺は一気に町の空を飛んで教えてもらった病院に向かい、気絶しているウィッチを受け渡した。

 

とりあえず俺のできることは解決したので後は専門家に任せるとしよう。

 

そう考えて空路に戻ろうとして…

 

 

 

「親方ァ!空から女の子が!」

 

 

 

「へ?」

 

 

 

町の子供が空に向かって指を刺す。

 

てかなんか知ってるぞ、このパターン。

 

俺は嫌な予感をしながら空を見上げる。

 

そこには…

 

 

 

「退いてください!退いてー!」

 

 

 

とんでもない速度で空からやってくるウィッチなんだが代わりに制御できておらずそのまま地面に落ちようとしている。マジかよ。

 

 

 

「ああ、もう!なんでこうも俺の行先にウィッチが落ちてくるんだよ!しかもカールスラントで2回目やぞ!この経験!」

 

 

 

俺は文句言いながらビームシールドを展開してウィッチの落下先に待ち受ける。

 

 

 

「シールド展開しろ!受け止める!!」

 

「!!?」

 

 

 

シールドの展開を促す。

 

まあわざわざ「展開しろ」なんて言わずともウィッチがストライカーユニットを履いてるときは自動シールドシステムが働いてるので、地面か、障害物か、何かの衝突時にシールドが勝手に展開されるので大丈夫であるが、勢いがありすぎた状態で衝突を防ぐと勢い殺せずそのまま変な方向に飛ばされ、二次被害などを招くかのうさいが高い。

 

そんな訳で空から落ちてくる女の子を受け止めたことある経験がある俺が対処する。

てかこんなこと経験しなくていいから(切実)

 

 

 

「ふぁ!なんだこのオッサンは!?」

 

「おじさんだと?ふざけんじゃねぇよ!!」

 

 

ガツン!!と、シールドとシールドのぶつかり合いで火花のように魔法力が弾け飛び、ついでに俺の怒声も弾け飛ぶ。

 

受け止めた衝撃でズザザーと後退りそうになるがストライクユニットのブーストで相殺しつつほんの少しだけ地面に跡を残す。

 

それから勢いが殺されたタイミングでビームシールドを展開した腕を横に払い、落ちてきたウィッチのシールドをかき消してしまい、最後に両手を広げて落ちてきたウィッチを両腕で受け止める。

 

そして俺は一言。

 

 

「お兄さんダルルォぉぉお??」

 

「お兄さんやめちくりー!」

 

 

なにやら仕込みがいがある娘だぜぇ?

 

オーケイ、二度と空から落ちないようにして調教してやろうか、コイツ。

 

 

 

「じゃなくて!っ、先生っ!わたしの先生はどこですか!?」

 

「先生?」

 

「無線で聞いたんです!人型と戦っているため空域に近づかないように!」

 

「!……もしかして、銀髪の小さなウィッチか?それなら後ろの病院で治療中だ」

 

「ッッ!__ロスマン先生!

 

 

 

そのウィッチは両腕を振り解くと一気に病院まで駆ける。すぐに姿が見えなくなった。

 

 

「足は早いな…… てか、あの小さなウィッチは先生だったのか。まあヒスパニア戦役の頃からウィッチとして戦っているなら貴重な先駆者として新人の教育の一つはやってるのかな…」

 

 

それから俺は病院を後にするとこの町の格納庫に向かう。

 

そこには武装を片付けている大人たちが集っていた。

 

俺は無事に受け渡しが済んだことを伝えると大人たちから深く感謝された。

 

 

「貴方たちはこの町から逃げないのか?」

 

「この町はそれなりに大きい。そのため第一波として女と子供は先に。あとオストマルクからの避難民もな。我々大人は第二波かもしくは第三波まで残っています」

 

「そうか……強いな……」

 

「いえ、そんなことは……我々も不安で震えています」

 

「……この町で宿は空いているか?泊まれるところを探している」

 

「どこでも空いていますよ。機能してる宿はそう多くありませんが」

 

「わかった、ありがとう」

 

「……貴方は、欧州でネウロイを?」

 

「限定的だが、そんなところだ」

 

「そうですか。願那夢によって救われた者は間違いなく多いはず。人類のためにありがとうございます」

 

「何を言うか。俺だって貴方と同じ人類だ。何かあったら助けてくれよ?」

 

「逃げ惑うしかない我々でよければ」

 

 

会話をした後、俺は一度町を出ると先ほどの戦闘エリアまで足を運び、旅用のキャリーバッグを回収する。ここはオストマルクの国境だ。

 

怪異の瘴気はまだ届いていないがいずれこの辺りは飲まれるだろう。

 

その時はカールスラントを飲み込もうとネウロイは動き出すだろう。

 

軍事国家でもある帝国カールスラントだが、果たしてオストマルクを飲み込む勢いのこの怪異に対してどこまで抵抗して、その侵攻を抑えるのやら…

 

 

「原作って、どこまでネウロイはやってきたんだったかな…」

 

 

もう全く頼りにならない原作知識だ。

どんな戦況だったかも覚えていない。

 

なにせかなり前の記憶だから。

パンツで空飛んでるくらいしか覚えてない。

 

でも、確か…

 

 

「アニメ開始時の主人公の宮藤芳佳ってまだ中等部だったよな?そうなると欧州に向かったあの頃って…」

 

 

海を超えて、ネウロイを睨んでいた……筈。

 

となると…

 

 

 

「物語の拠点はブリタニアとかになるのか?」

 

 

 

あまりにも浅すぎる記憶の果て。

しかし、この記憶が本当なら………

 

 

 

「人類サイドって思いっきりクソゲー強いられてるじゃねーか。なんだそれ…」

 

 

 

俺は青ざめるしかない。

 

しかも今よりももっとひどくなるようだから。

 

 

 

「ネウロイの巣。それさえ破壊できれば一時的にも被害は止めれるのか? いや…無理だ。今の俺には『まだ』無理だ。例えゲームでそれなりにやれる400コスト帯だとしても巣を打ち砕けるほどの火力も武装はない」

 

 

サイサリスの核ならワンチャンあるだろうけれどその前に俺自身がそれに注ぎ込む魔法力が足りるかわからないところだ。叡智から託された貰い物の魔法力とは言え、引き出せる量には限界はある。やはり手の甲に刻まれた数字が多くないと不安になるな。

 

だから今はこうしてネウロイを屠り回っている俺がいる。

 

この手の甲に刻まれた数字を上げるために欧州を飛び回る。

 

今はまだそれしかできない。

 

でも、その時が来たら…

 

 

 

「もし召喚が許されるなら、サテライトキャノンでも、ツインバスターライフルでも、ネウロイの巣を壊せるならこの力でなんでもやってやるよ。だから今は…」

 

 

 

俺はネウロイを屠る。

 

手の甲の訴えがあるなら紛い物を屠る。

 

そうやって重ねる、この数字。

 

人類の叡智が与えてくれた価値(コスト)に見合う英雄としてこの世に健在であるために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとうございました。このお礼は必ず」

 

「気にしなくていい。これも役割だ」

 

 

そう言ってくれるのはこの世界で願那夢として謳われるとある英雄。

 

ここ最近、欧州での活躍は耳に届いている。

 

それがいま、目の前にいる。

 

 

「えー、役割?誰かの指示じゃ無くて…?」

 

 

そしてベッドの隣から呑気な声が響く。

 

 

「こ、こら!す、すみません、私の教え子が」

 

「構わない……が、それは別としてコイツ町中に真っ直ぐ落ちてきたぞ」

 

「ぇ?」

 

「!!?」

 

 

お、落ちてきた??

 

町中に…??

 

この子が?

 

ストライカーユニットで??

 

 

「あー!なんで言ってしまうのー!?」

 

「俺のこと『おっさん』と言ったからな」

 

「うわー!みみっちい!」

 

「やかましいわ!あんな風切って落ちてくるなんて空挺ウィッチ失格だろ。俺が受け止めなかったら大事故だぞ」

 

「ぅぅううう!!だ、だって!ロスマン先生が心配だったんだよー!」

 

 

う、受け止めた!?

 

高速で落下してくるウィッチを!?

 

な、何を言ってるのか…

 

いや、でも!

 

と、とりあえずだ!

 

 

「この方にちゃんと謝罪しなさい!町の外で落ちるならともかく町の中に落ちてくるなんて危険すぎ……ぁ、ぅっ!い、いてて……けっほ…」

 

「ああああ!?せ、先生っ!?」

 

 

 

叫ぶと体が痛む。

 

私はここまで弱っていたのか。

 

まだ体が回復してないみたいだ。

 

少しだけ嫌になる。

 

自分の体の弱さも合わせてこの状態は。

 

 

 

「目覚めたのは嬉しい限りだが、でも安静にしないとなロスマン先生。この金髪のお叱りに関しては後でも良いだろう」

 

「なっ!安直に金髪ってなんだよー!」

 

「いや、だって名前知らないし」

 

「え、そうだっけ?」

 

 

なんと、この子はカールスラント軍人でありながらも助けてもらったのに自己紹介すらしてなかったのか。そこら辺の教育が行き届いてない教え子の先生として私は恥ずかしさを覚える。

 

すると、その教え子もこのままではヤバいかと思ったのか金色の髪を揺らしながら、軍人としてピシッと願那夢に敬礼すると…

 

 

「では改めっ!わたくし、カールスラント空軍第七中隊所属エリーカ・ハルトマン、階級は軍曹です。よろしくお願いします!」

 

「よろしくハルトマン。俺の名は黒数強夏だ。まあ俺のことに関しては周りも詳しいと思うから特に言うことない」

 

「え?黒数ってなんか凄い異名でもあるの?」

 

「……」

「……」

 

「???」

 

 

 

一瞬だけ空気が凍る感覚。

 

まだ夏で暑い筈なのに。

 

そして首を傾げる教え子、もといエリーカ・ハルトマン。

 

彼女が願那夢を知らないは流石に予想外だった。

 

 

「……先生?この子、マジ?」

 

「す、すみません……私の教育不足です…」

 

「あれ?なんか私やっちゃいました?」

 

「そのセリフ、普通なら俺の方が適正率ある筈なんだけどなぁ…」

 

「?」

 

 

首を傾げるエリーカ・ハルトマン。

 

飛ぶこと以外にあまり関心が無い様子に私は先生として頭を抱えたくなる。

 

体も痛いけど頭も痛くなりそうだ。

 

これ、回復間に合うだろうか。

 

心配になって来た。

 

 

「ねぇ、ねぇ、それよりもさ、黒数っていま何処の部隊にも居ないんだよね?」

 

「今は何処にも所属してないな。前までトランシルバニアに居たけど」

 

「……トランシルバニアってどこだっけ?」

 

「お隣のオストマルクだよ。いま欧州では願那夢のことで記事とかになっている筈だぞ。トランシルバニア奪還後は外から記者が何人かやって来たし、当然のようにアポ無しだったりと新聞記者が直接取材に来てたな。俺も幾つか答えたりしたから願那夢に関しては記事にはなっている筈」

 

「うーん、新聞あまり読まないからなー」

 

「おおう、これは筋金入りだな?先生」

 

「本当に、教え子が申し訳ありません…」

 

「先生が謝る必要はないだろう。この娘の責任だし。ま、とりあえず無事に目を覚ませたことが分かったから良かったよ」

 

「うんうん!そうだね。私も勝手に基地から抜け出して来ちゃったけどその甲斐あったよ」

 

「!?」

 

 

耳を疑う。

 

勝手に抜け出した??

 

ああ、もう!!

この問題児は!!

 

ここから基地までそう距離は離れてないが、ゲーラ空域は危険区域とされている中で訓練生を卒業してもまだ初陣すら果たしてない未戦闘経験のウィッチが許可もなしに勝手にストライカーユニットを使ってここまで飛んできた現状、これは間違いなく上から強く罰せられてしまう。

 

更に彼女の上官である私も同時に咎められてしまうだろう。

 

 

ああ、もう、本当に……

 

退院した後の方が体がもたなくなりそうだ。

 

これも無茶した代償なのか。

 

 

すると、彼は私の心境を読んだのか少しだけ苦笑いするとそのまま何かを考え、そして思考が纏まったのか、ハルトマンに声をかける。

 

 

 

「ハルトマン、君の基地は何処だ?」

 

「んー?ここから北の方だよ」

 

「ベルリンの辺りか」

 

「そうそう、そこら辺。で、どうしたの?」

 

「ハルトマン。今から俺とベルリン近郊の基地まで向かうぞ。今回の件、願那夢を後ろ盾に特別一緒に叱られてやるよ」

 

「うぇ!?」

「え?あ、あの、叱られ…?」

 

「先生は回復に集中してくれて構わない。ここから先は俺が一枚噛んでやる」

 

「え?え?あ、あの??」

 

 

この方はまた何を言っているのだろうか?

 

ハルトマンも分からないところあるがこの願那夢も分からないところがある、

 

 

「行くぞハルトマン。これ以上は先生を困らせるのはNGだ。……良いな?」

 

「!?…はーい、わかったよー」

 

 

すると彼はハルトマンを連れて病室を出る。

 

それからしばらくすると空を飛んでいく二人の姿が窓から見られた。

 

願那夢はキャリーバッグを片手に持ち上げ、ハルトマンは勝手に持ち出しただろう機関銃を背負い、二人は共にベルリンの方に消えていく。

 

何をするつもりか?

何も分からない。

 

とりあえず私は回復に勤しもう。

 

 

「ふぅー、もう、色々とあり過ぎです…」

 

 

やれやれ、散々な里帰りだ。

 

1日だけ休暇申請してゲールに大事なものを取りに戻ってこようとして、そしたら人型ネウロイが現れた。

 

ストライカーユニットで飛んでゲールに向かっていたからそのまま戦闘は出来たが、その後は更にもう一体現れるとヒスパニア戦役以来、わたしは死を覚悟した。

 

なんとかカールスラントからネウロイを離そうと考え、魔法力が許す限り引きつけた。

 

しかしストライカーユニットが破壊され、絶対絶滅が目の前に迫り、彗星が疾った。

 

それからはあの戦い。

 

私は岩陰から見ていた。

 

人型相手に遅れを取らない空の戦い。

 

願那夢の強さをこの目でしかと見る。

 

それからは気絶して、この病室で目覚めた。

 

 

 

「……」

 

 

私は布団に潜る。どっと疲れが出た。

 

何せ、目を覚ました時、足元にハルトマンがしがみ付くような眠っていたから、私は驚くのと同時に察した。これはそう言うことかと。

 

でも……まあ、嬉しかった。

 

彼女は心配になって来てくれたから。

 

ハルトマンを僚機(ロッテ)として組んでまだ10日目だけど、でも仲間思いな彼女の行動に私は嬉しくも感じている。

 

この後はかなり大変になるだろうけど、でも生きているだけ感謝だ。

 

特に願那夢には、命の恩人として忘れない。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして魔法力が回復すると私は2日で退院。

 

修理されたストライカーユニットを履いて私は生まれ故郷を離れる。

 

因みに私の親は既に避難しているみたいだ。

 

そのことにホッと胸を撫で下ろし、第二波として住民避難が開始されるゲーラを見送りながらベルリン近郊の基地向かう。

 

数日ぶりに私が所属するカールスラント第七中隊に戻ってきた。

 

 

格納庫が見える。

 

私は少しだけ緊張しながら降り立ち…

 

 

 

「黒数!なあ黒数!やっぱりさ!私がハルトマンよりも一番だよな!?」

 

「扶桑の諺なんだが、どんぐりの背比べて知ってるか?つまり、どっちもどっち、ってことだよ」

 

「はぁ!?なんだよ!そんな訳ないだろ!ハルトマンの奴は前にロッテ組んだロスマンを敵機と勘違いして、それで誤ってトリガー引いた間抜けなんだぜ!しかも安全装置したまま焦ってさ!それで流れるようにユニットも破損させてそのまま落ちちまったんだ!はっはっは!」

 

「うげぇ、また黒歴史掘り起こすなぁ…」

 

「オイオイ、んなこと言ったらマルセイユだって過去に無茶な飛行して夜間戦闘部隊の基地に落ちて来たじゃねーか。その時は俺がシールドで落下受け止めたし。そんでもってレント中尉にこっぴどく怒られて泣きそうになっていたじゃねーか?」

 

「なっ!?」

「ええー?そうなのー??」

 

「その後は俺とチェロス食べることで慰められたりと、世話かけたのは何処のどいつだ?」

 

「ふーん?へー?なるほどー?マルセイユって黒数にお世話になっていたんだー」

 

「ッ〜!!うるさい!うるさいなぁ!!アレはたまたまだよ!でも別に良いさ!だって私がお前より最初に願那夢なんてすごい人に出会ったからな!私が一番だ!」

 

「またそれー?こだわり過ぎじゃない?」

 

「一番は強いんだ!分からやすくてな!だから今回の模擬戦もハルトマンをギタギタにしてやるからな!覚悟してろよ」

 

「はいはい、勝手にどうぞー」

 

「絶対に勝負しろよ!ハルトマン!」

 

「もっきゅ、もっきゅ、チェロスうめー」

 

 

 

 

え? なにこれ?

 

み、見間違いでなければ、願那夢の黒数強夏がいるように、見えるが…?

 

 

「あ!ロスマン先生!」

 

 

するとハルトマンは駆け寄り抱きついてきた。

 

この人懐っこさは階級すら飛び越えるらしい。

 

私は戸惑いながらもそうして迎えられる。

 

 

「ただいま、少し待たせたわね。いや、それよりも、なぜ黒数さんが?」

 

「あ、それがね、黒数がね?」

 

 

 

__つい前日、ゲーラ近辺に人型ネウロイが現れた。これは討伐したが先陣に当たったエディータ・ロスマンが窮地に追い込まれ、意識不明の状態になった。しかしハルトマン軍曹が来てくれた陰で彼女は目を覚ました。俺では出来ないこともあるからな。ハルトマンが来てくれて助かったよ。

 

 

 

「って説明してた」

 

「かなり噛み砕いてくれましたね……」

 

「難しいのわかんないや。でも黒数が色々と話してくれたお陰で私もロスマン先生も大事にはならないって黒数が言ってたよ。まあ流石に私も少しだけ怒られたけど格納庫のお掃除の罰で済んだ。あ、黒数は手伝ってくれなかったよ」

 

「当たり前です。厳罰を犯したのは貴方自身ですハルトマン。むしろその程度で済んだことを感謝するべきです」

 

「ぶー、でも先生危なかったじゃん!すっごく心配したんだから!」

 

「軍人である以上は覚悟しています。それは何年も前からです」

 

「むぅ…でも死ぬのはダメだからね」

 

「努力します。なので貴方も精一杯努力してください、ハルトマン」

 

「はいはいよー、だ」

 

 

 

頭の後ろに腕を組みながら不真面目な返事。

 

彼女の真剣さはどうも足りない。

軍人としての自覚も心構えと無い。

 

けれど人一倍、誰かを気にして生きることを促してくれる。

 

外側はとても不真面目だが彼女は仲間思いの優しい子である。

 

 

 

「さて、みんなのロスマン先生も無事に戻って来たので、俺はそろそろ行くよ」

 

「もしかしてこの基地で私を待っていたのでしょうか?」

 

「羽休めも兼ねて一応ね。まあ俺が今日までココにいたのはあのワガママ娘が『私と戦え!黒数!』って構ってちゃんして来たからブリタニアに向かおうにも向かえなかったんだよ」

 

「お優しいのですね」

 

「モリモリ成長中のウィッチは好きだからな、思わず構ってしまった」

 

「ふふっ、そうですか。それよりもブリタニアまで向かわれているのですね?」

 

「友人がいるんだ。もう使用人でもなんでもないけど顔の一つくらい出しておこうかなって思ってね」

 

「使用人…?」

 

「ああ____宮藤博士、のな」

 

「!!!」

 

 

 

私は驚く。

 

まさか彼のご友人がストライカーユニットの生みの親である宮藤博士だったから。

 

そして使用人として使われていた過去も知る。

 

この方は本当に何者なのだろうか?

 

 

 

「じゃあなマルセイユ。次はもっと腕上げておけよ」

 

「え!?もう行くのか!?」

 

「ああ。やることがある。まあ俺もしばらくは欧州を彷徨いてるからまた会える筈だ。カールスラントには人型を見つけ次第知らせるように連携してあるからな」

 

「そうか!ならまた会えるな!」

「本当は何も起きない方が良いけどねー」

 

「それが望ましいが、でも空気を読まない事が得意なネウロイが相手だよハルトマン。何も起きないは望めなさそうだ」

 

「ふーん、そっか。なら戦うしかないか」

「ネウロイなんて一匹残らず私が倒すさ!」

 

「それは頼もしい。ならば疾くと強くなれ、ハルトマン、マルセイユ。君たちはウィッチの中で特に良いセンスを持っている。俺が言うんだから間違いない」

 

「わっ!?」

「おぉ!?」

 

 

彼はマルセイユとハルトマンの頭を同時に手を乗せてワシャワシャワと撫でる。

 

その手つきは少し荒っぽい。

 

しかしその二人だからこそ、それだけ期待を込めたような重みが伝わる。

 

……私と同じ、教え子に空まで導いた指導者だったんだ、彼も数年前は。

 

 

「エディータ・ロスマン。俺は空の先駆者である貴方が英雄たらしめたウィッチであることを強く尊敬している。また会えることを願うよ」

 

「!」

 

 

そして彗星の如く、空を疾った。

 

ほんの数日だけの関係。

 

助けられて、救われた程度のこと。

 

けれど私は鮮烈に覚えるだろう。

 

その彗星は夏空でもよく映っていたから。

 

 

 

「私も、貴方と言うウィッチを覚えます」

 

 

 

次、また会える時はもう少しゆっくり語れるくらいに余裕が出来たらと願う。

 

空描く願い星は、叶えてくれるだろうか。

 

 

 

 

 

つづく






物語がワンパターンだよなぁ…
書く意味あるか問われる…



【黒数強夏】
オストマルクのトランシルバニアを去った後、ネウロイの巣を観察しながら当初の目的地でもあるブリタニアを目指しているとカールスラントの国境線にて人型の反応をキャッチ、一対ニの組み合わせだろうと勝利する。その後は色々と救助などに勤しまれ、最終的にカールスラントの基地でエディータ・ロスマンの帰りをハルトマンと待ちながらチェロスを食べていた。

【エディータ・ロスマン】
1日だけ休暇を取り故郷のゲーラまで向かう途中、不幸にも黒塗りの人型ネウロイに見つかり死を覚悟するが、駆けつけた願那夢に助けられて一命を取り留める。退院後は第七中隊の基地に戻ると黒数強夏と再び対面する。後進のウィッチ達に向ける眼差しが自分と同じであることに共感を得ながら彼の旅立ちを見送り、その後はハルトマンを筆頭にウィッチの教育に力を入れる。原作では後の502部隊。

【エリーカ・ハルトマン】
無線を弄りながらサボっているとロスマンの通信をキャッチ、いち早く駆けつけるも速度を落とせず町にいた黒数に受け止められる。あまり新聞などに手をつけないため願那夢のことは良く知らないみたいだが今回の事を通して黒数強夏には先生を助けた恩人として名を覚える。その後は第七中隊に戻り、エディータ・ロスマンの帰りを待ちながら黒数強夏とある程度交流を深めた。そのお陰で黒数のことは『おじさん』ではなく『お兄さん』になった。黒数曰くハルトマンは磨けば光る原石で「仕込み甲斐があるぜぇ?」とご満悦。

【ハンナ・ユスティーナ・マルセイユ】
実は第七中隊所属のウィッチではないが合同練習と言う事で数日ほど部隊に参加。すると黒数強夏と再び出会えて大喜び。その後はしつこく模擬戦を申し込み、何度も返り討ちにされたが「さすが黒数!」と珍しく敗北を嬉しがるマルセイユの様子に同期のウィッチ達や上官達は困惑した。また周りに比べて黒数に対して素直であるためかカールスラント軍からは彼女の指導者として欲しがってしまう始末。それほどに問題児な彼女であるが後のアフリカの星。それは願那夢と同じ彗星(ほし)の意味であることに誇りを抱く彼女の話はまだ先の事だろう。



次回!
(原作なら)宮藤博士、死す!
デュエルスタンバイ!


ではまた
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