GVSウィッチーズ   作:つヴぁるnet

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誤字脱字報告ありがとうございます。
めっちゃ温ったけぇ…

あと今回一人だけオリキャラ出します。
まあ整備士に名前を付けだけだが。


ではどうぞ


第9話

 

 

_はいコレ!色んなお話してくれたお礼です!

 

_これは…?もしや犬の折り紙か?

 

_うん!扶桑犬の折り紙だよ!真っ白な折り紙で作ったの!でもちょっと指切っちゃって、少しだけ尖ってるところが赤いんだ、えへへ…

 

_君の頑張りの証だな。大切にする。では宮藤さん、秋本さん、お世話になりました。芳佳も元気でな?

 

_うん!またね!黒数お兄ちゃん!

 

 

 

 

 

そんな別れから三日が経過した。

 

舞鶴近郊まで戻り、北郷が師範代として管理する講堂館道場まで顔を出せば北郷が「お、戻って来たか」と雑巾片手に出迎えてくれた。

 

どうやら雑巾で道場の床を綺麗にしてたので俺も荷物を置いて手伝おうとすると「休んでいても構わないぞ?」と言葉をもらったが、これから俺も世話になる道場なので綺麗にさせてくれとお願いしたら「なら頼む」とポニーテールを揺らしながら微笑んでくれた。

 

それから1日を終えて夕食に適当な蕎麦屋でお腹を満たして情報交換。

 

すると早速俺は明日からとある場所に配属… と言うには少し違うが、鍛錬以外で時間を費やす場所を決められた。

 

それは…

 

 

 

「舞鶴の格納庫か、初めて見た」

 

「主に飛行ウィッチ専用の格納庫だな。故にそこまで大きく無いが腕の良い整備士が一人ついてくれたから人員的には問題ない」

 

 

 

鉄扉を潜り、鉄の香りが歓迎する。

 

薄暗い格納庫を見渡す。

 

そこには訓練用のストライカーユニットと魔道エンジンユニット、あと対ネウロイの機関銃が備え付けられた格納機が真横に10台ほどズラリと並んでいる。

 

 

「おお!」

 

 

赤城で北郷専用のユニット格納機は見たことあるがこの光景に少しだけ感動した。

 

何せアニメで見た光景そのままだから。

 

周りをキョロキョロとする俺に北郷が微笑ましく見守っていると、眼鏡を掛けた一人の整備士が話しかけて来た。

 

 

「北郷少佐、お疲れ様です。今日来られたと言うことは、つまり隣にいる彼が前に話された例の者ですか?」

 

「そうだ。彼が()()()()()だ」

 

「……へ?」

 

 

どうやら俺の知らない所でなにやら話が通っているらしい。変な声がでてしまったがとりあえず大人しく様子を見る。

 

 

「それと前に伝えた通りだが、まだ彼の存在は内密にしておくように」

 

「わかりました。オイ、君、名前は?」

 

「え?……あー、北郷少佐?」

 

「そのまま伝えて構わない。今は舞鶴航空隊だけの機密情報だが、どのみち遅かれ、早かれになるだろう。なら彼には先に伝えても構わない」

 

「わかった。ええと、俺は黒数強夏。少佐からは民兵としてスカウトされた者だ。故に階級は無い」

 

「そうか。オレはユニット整備士の八羽(はちわ)だ。階級はとりあえず中尉。あと周りからは『ハッパ』と呼ばれてる」

 

「八羽中尉ですね、よろしくお願いします」

 

「んああ、よろしく。とりあえず…… アレを履け、話はそれからだ」

 

「……履け?」

 

 

指を刺された方を見る。

 

それはストライカーユニット。

 

 

「どこから現れたのか知らんが北郷少佐の言う通り君はウィザードなんだろ?ならとっとと履いて戦えるか見極めてくれ」

 

「随分と話が早いですね…… あとウィザードを信じるんですね」

 

「半分はな。でも北郷少佐が嘘を言うとは思えん。今はそれで充分だ。とりあえず戦えるウィザードなのか試す。そのためにストライカーユニットを履いて確かめるんだ。戦える事が分かったらこれから貴様に守って貰うんだよ」

 

「わかりました」

 

 

話の展開が早い。

 

でもそれこそ遅かれ、早かれだろう。

 

試すなら早い方が良い。

 

俺はハッパさんに指さされた方まで歩き、訓練用のストライカーユニットを上から見下ろす。

 

 

「ストライカーユニット…」

 

 

とうとう、履くのか、コレを。

 

アニメで見ていた、空飛ぶ箒を。

 

今、俺がココで。

 

 

「…」

 

 

赤城でも北郷のストライカーユニットで試そうと思えば試せたが、まだ俺のことは軍に深く知られるわけにもいかなかった。

 

そのためバケツ野郎以上の本格的な悪目立ちは控えて、北郷が舞鶴航空隊の環境を作り上げるまでは大人しくしていた。

 

しかし今日はその時だ。

 

いずれこうなるとは思っていた。

……半分だけ自信がない。

 

魔法陣から与えられた魔法力とは言えウィッチ同様にストライカーユニットは反応するのか?

 

北郷を見る、少しだけ笑みんでいるがその眼は真剣そのもの。

 

格納機の隣にストライカーユニットの電源を入れるハッパさんは手慣れたように腕を動かすが俺に対して半信半疑な視線を送る。やはりウィザードは信じるに厳しいらしい。

 

そもそもウィザードは神話に出て来た程度の話であり、それが本当かどうかも分からない。だから聞こえの良い神話であろうと現代でウィザードは存在していない。当然のように怪しまれている。

 

 

あれ??

 

もしこれ起動しなかったら北郷の信頼を裏切ることになるのでは??

 

そう考えると、今すっごい怖いな。

 

 

 

「すぅぅ……」

 

 

 

しかし迷っていても仕方ない。

 

俺は呼吸する。

 

集中……まずは足から。

 

ビームシールドの練習が活きているのか滑らかに魔法力を操れる。

 

魔法圧も正常、いつも通り。

 

しかし足元に力場は発生しない。なぜなら俺はこの世界の生まれの人間じゃないから、それを証明する魔法陣は発生しない。もちろん使い魔なんて居ないから耳も尻尾も生えてはいない。

 

まあ男なんざのケモ耳や尻尾に需要あると思えないのでそこら辺はホッとしているが、使い魔による魔法コントロールの支援は何一つないので俺の腕だけが頼りになる。

 

だからそのためにビームシールドを始めとした魔法訓練を行なったのだ。

 

北郷との鍛錬を裏切れない。

 

 

 

「なっ、これは…」

 

 

ハッパさんは俺から異常を感じたのか格納機から三歩ほど離れる。

 

体から溢れる魔法力が風圧となって、北郷達の頬を撫でる。

 

 

「やはり、ブリタニアでの…」

 

 

北郷も思い出すように頬を撫でる。

 

俺が魔法陣で何かを発動した時に感じたモノと似ているらしい。

 

俺も同じそれを感じる。

 

やはりウィッチが持つ魔法力とは別物だ。

 

 

「!」

 

 

 

俺は格納機から飛び降りて訓練用のストライカーユニットに足を落とす。

 

ちなみに今は長ズボンだが心配ない。着用している服もまとめて全身に魔法力を浴びているため、ストライカーユニットの装着時に素肌じゃなくとも問題無いだろう。

 

しっかり伝わっている。

 

 

そして…

 

訓練用のストライカーユニットは…

 

 

 

 

 

 

__起動した。

 

 

 

「おいおい!?まさか本当に動いたのか!?」

 

「黒数!」

 

 

「こ、こいつ、動くぞ…」

 

 

 

それぞれの反応を示す。

 

ストライカーユニットは起動した。

 

足元には魔法陣の姿をした魔力フィールドは展開されてないが、ハッパさんの反応を見る限りだと正常に動いてるらしい。

 

しかし…

 

 

 

「あ、あれ? プロペラは?」

 

「む?確かに、出ていないな」

 

 

 

俺と北郷は戸惑う。

 

プロペラが出ていないのだ。

 

ガソリンのような役割を果たす魔法力がストライカーユニットの内部エンジンに注がれることで、飛行魔法に転換させるとユニットの先端にはエーテル化したプロペラを発生させるのだが、起動するだけでなにも出ない。

 

 

「もっと出力を上げてみろ。魔道エンジンを背負ってないとは言えエーテルは可視化させれるはずだ」

 

「あ、ああ!…すぅぅ……ぐぐッッ!!」

 

 

 

全身に力を入れる。

 

体の何処かにある湧水が一気に溢れ出る感覚。

 

それが全身に伝わる。

 

 

 

「黒数!訓練通りだ!」

 

 

 

北郷の声を受け止めながら余計に溢れ出る魔法力を抑え込んで、全身に浸透させる。

 

呼吸を止めず、集中力を上げて、感覚的に伝わるエネルギーを体内で処理する。

 

魔法力を体から溢れでないよう内側に押さえた上で、一気に燃やす。

 

すると先ほどよりも大きな風圧が解き放たれる。

 

 

 

ガタガタガタガタ

ガタガタガタガタ

 

 

 

少しやかましい。

 

何か『ガタガタ』と強く音を鳴らしている。

 

なんだ?

 

 

 

「く、黒数!」

 

「止めろ!止めろ!!ユニットが壊れる!!」

 

 

「ぇ?………なっ!!?」

 

 

ハッパさんの声を聞いて意識を戻す。

 

最大まで高めた魔法力に耐えられなくなって来たストライカーユニットがガタガタと音を鳴らしていた。

 

こ、これはまずい!!

 

何かに転換しないと全てストライカーユニットに魔法力が注がれてしまう!?

 

 

 

「ッ、ビームシールドォォ!!」

 

 

 

腕を前に突き出して、展開する。

 

すると全身を埋め尽くすように大きな分厚い光の盾が正面に放たれた。

 

展開されたその魔力衝撃でハッパさんの眼鏡は吹き飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから数日が経過した。

 

試験起動は成功??に納めたが訓練用のストライカーユニットを一つダメにしてしまった。

 

内部エンジンが焼き焦げたらしい。

 

これには整備士のハッパさんが驚いていた。

 

ストライカーユニットの内部にはウィッチから注がれる魔法力を強引に抑えるはずの制御システムが搭載されている。

 

しかし俺の魔法力はその制御システムを強引にぶち抜いたようで、ユニットの内部エンジンを確認したら制御システムが魔法力で焼き切れていたようだ。

 

魔法力と制御システムは水と油みたいな関係なのでどんなに莫大な魔力を秘めていたとしてもまずこんな事はあり得ないらしく、ハッパさんも「こんなケースは初めてだ…」 と言葉に詰まっていた。

 

仮に壊れるとしたら外部からの攻撃、またはその他のパーツ不良による連鎖損傷、もしくは酷く運が悪いウィッチが自然に壊してしまうくらいのことが無ければダメらしい。

 

もし仮に、とんでもない量の魔法力が注がれた衝動でストライカーユニットが不具合を起こしたとしても、魔法力を増幅させる魔道エンジンを背負わずに一人の身でストライカーユニットを内側から壊してしまったのだから「とんでもない事をしてくれたな!」と興奮しながらも少しだけハッパさんから怒られた。

 

不可抗力なんですがそれは…

 

 

そんな訳で、前回の反省を活かして…

 

 

 

「よし、そのまま50%でキープだ」

 

「っ、こ、これはまた、辛い…!」

 

 

風圧に飛ばされないよう腰にワイヤー巻いているハッパさんの声が格納庫に響く。

 

俺はまたストライカーユニットを履いて魔法力を解き放っているところだ。

 

 

「最初は抑えるんだ。いきなりはダメだぞ?またお釈迦にされちゃたまったもんじゃねぇからな」

 

「りょ、了解っ!」

 

「よしよし、良いぞ!…おら!もう一声!」

 

「え?じゃあ……60??」

 

「もう一声だ!」

 

「な、70…!!?」

 

「まだまだ行けるだろ!」

 

「80…!!」

 

「いや、もう一声いけるか!」

 

「きゅ、90ッ!!」

 

「キリのいいところで!」

 

「ッッ、100ゥゥ!!」

 

「よし!お客さんで決まりや!!」

 

 

 

何処かで聞いた事あるオークションだなオイ。

 

しかも今日のハッパさん水色の長袖だから余計だわ。涼しい格好しやがって。

 

 

「よーしよーし、とりあえず一段階目は合格に到達だ。そのまま魔法力をゆっくり落とせ」

 

「ぜぇ…ぜぇ……」

 

「おいおい?ウィザードにしては体力無い奴だな」

 

「体力っつーか精神力…だよぉ…」

 

「まあいい。とりあえず一旦脱いで適当にお茶でも飲んで腰掛けてろ」

 

「は、はい、八羽、中尉、けっほ…」

 

 

言われた通りに訓練用ではない実験用のストライカーユニットを脱いで、フラフラと椅子に座る。

 

ぬるいお茶を飲んで呼吸を落ち着かせながらチラリとハッパさんを見る。

 

どこか少し興奮気味にペンを走らせる。

 

既視感あるな………あ、北郷か。

 

てか北郷曰く、ハッパさんはとは一時期、同じ技術開発でチーム組んだことあると言っていた。

 

現段階のストライカーユニットと空戦理論を照らし合わせるために必要だったらしい。

 

それでもっと戦技研究を深めるために北郷はブリタニアまで渡欧したようだ。

 

これが半年くらい前の話だとか。

 

それで北郷は扶桑帰投後、そのパイプを活かして舞鶴航空隊を結成するに当たって八羽中尉を引き抜いたらしい。

 

似た者同士が集まるんだな、この世界でも。

 

 

「お前さんはユニットに魔法力を流すと言うよりは、そのまま撃ち放ってしまう性質だ」

 

「…そのまま?」

 

「ああ。蛇口捻ってぐるぐるしてるホースから水をドバーと出してきた、感じだ」

 

「そうなると、ユニットと言うバケツに貯水されなかったと言う事ですか…?」

 

「理解が早いな。まあその通りだ。ユニットと言うバケツを無理やり貫通させたからその他に損傷を起こしてしまった。だからお前さんの場合はバケツに貯水するなんて面倒な手順を踏まずそのまま放射させた方が速い。まあそれでも魔法力は一律に正しく放出させないと飛ぶのが難しい。だからプロペラによる高速回転の飛行では無く、スラスターに切り替えた」

 

「それって、ジェット機って事ですか?」

 

「お前さん自身がな。しかもスラスターによる推進力で強引に飛んでしまう珍しいタイプだ。まあやってることは旧世代と変わらないがな」

 

「それって()()()の頃の話ですよね?」

 

「もう20年前の話だ。しかしそんなのは本当にバカでかい魔法力を持ったウィッチで無ければ不可能な所業だ。それをお前さんはストライカーユニットでやったんだよ。そりゃ内蔵されたシステム全てぶち抜いてしまう訳だ」

 

 

つまりそれって自分で飛んだと言う事??

 

それなんてドラゴンボール??

 

まさか銀河最強どっかんバトル始まちゃう?

 

だとしたらネウロイなんか敵じゃないな。

 

 

 

「ユニット一つお釈迦に出来た魔法力だが、アプローチさえ変えればなんてことないな。ようはお前さんの魔法力は自己完結型だ。だから飛ぶに当たって必要ないシステムをぶっこ抜いてスラスターの数を増やすだけで良い。そうすれば余計な損傷も無いだろう」

 

「システムってのはシールドを自動的に展開するシステムを無くすとかですか?」

 

「まあ、そうだな。あとは魔力フィールドとかだな。ウィッチが離陸時に展開する魔法陣あるだろ?お前さんには魔力フィールドが発生しないから不要だ。もちろん制御システムも不要だ。垂れ流しの魔法力を押さえてんじゃエンジンがたまったもんじゃない」

 

「そうなると魔道エンジンは…」

 

「お前自身が魔道エンジンだな。身軽で動きやすいんじゃ無いのか?」

 

「軽量化しすぎるのも良いところだな…」

 

「もちろんユニットも軽量化だ。搭載するモノが減るからな。仮に搭載してもウィザードの魔法力に影響してどんなイレギュラーが起きるかわかんないね。それとも余計なダイナマイトを足に抱えて飛びたいか?」

 

「ま、まだ梅雨前ですよ八羽中尉…… 夏祭り前に花火は早いって…」

 

「んあ、そうだな」

 

 

 

この人、本当に優秀。

 

てか、それより…

ハッパさんって名前はつまりそう言うこと??

 

レコンギスタのエンジニアのソレか??まあ似てると言っても眼鏡ってトレードマークと、ハッパのニックネームは同じなだけで、後は普通の扶桑男児だ。

 

あと口調が少し癖がある。

 

まあ天才だからこそこんな人が居るのだろう。

 

そう言うことだろう。

 

 

 

「よし、とりあえず最終チェックだ。もう一度履いて確かめるぞ」

 

「了解です」

 

「あと畏まりすぎるのは嫌いだ。北郷少佐とイチャついてる感じの普通にしろ」

 

「わ、わかった……って!?別にイチャついてないからな!?」

 

「ふはっ!!こりゃ傑作だな。たしかに少佐は元々穏やかな人格者だが。それ以上にあんな柔らかい笑み作らせて、何もしてない発言とはねぇ?あれは絶対お前さんの影響だ。それともウィザードは英雄気質の女たらしってか?扶桑撫子相手にやってくれるもんだ」

 

「いや、北郷は元々あんな感じだろ?」

 

「おおっと、これは微笑ましいくらいに手遅れだったか。夏が来てないのにお熱いこった。まあ惚気は程々にしてとりあえずこっちが問題だ。もう一度履け。最終チェックだ」

 

「ぐぬぬ…」

 

 

 

何か腑に落ちないが……まあ良い。

 

いまは気にするほどでも無いだろう。

 

それより重要なのはこっちだ。

 

再びストライカーユニットを履いて魔法力を全身に行き渡らせる。

 

すると浮いた。

 

 

 

「箒でも無いのに浮くとはねぇ?どうやら神話の通りウィザードは天才の集いらしいな。まあだからこそ淘汰されたが」

 

「……淘汰された?」

 

「んあ?知らないのか?ウィザードは基本的にウィッチ以上の天才と言われてる。まあだからなのか人類から恐怖の対象として恐れられてしまった。それでもウィザードは人類のためを考えていたから、恐怖の対象である自らをどうにかしようと考えた結果として、その魔法力を何処かに封印して姿を消したらしいな」

 

 

何処かに封印??

それって…

 

 

「それでウィザードはどうなったんだ?」

 

「ほとんど消えたらしい。まあ元々極小でかなり珍しい存在だったがな。もしくは最初から居なかったとも言われてるが。しかしこの話が本当なら扶桑にもウィザードはいたらしいな」

 

「え?そうなのか?」

 

「有名なのが対馬の侍どもだな。元々ウィザードは格闘戦を主軸とした魔法使いだ。何せ身体強化能力が主軸だから」

 

「魔法使いの割には随分と漢らしいな…」

 

「むしろ魔法がオマケかもな。しかもその中で扶桑のウィザードは別格だった。有名な逸話だと北から攻めてきた蛮族どもを全員皆殺しにして地に還したらしい。元から対馬にいた侍も相当だが、魔法を捨てて侍となったウィザードも引けを取らなかったらしい」

 

「対馬すげー」

 

「だがあくまで逸話だ。それは亡霊の仕業では無いかとも言われている。人類のためを思うウィザードがそこで朽ち果てた。しかし亡霊になっても人類のためにウィザードの魂は尽くしたんじゃないかとな」

 

「ゴースト・オブ・ツシマじゃねーか」

 

 

 

__ウィザードは対馬のww

__亡霊じゃないかってなww

 

って、ガウマンの煽りが聞こえた気がした。

とりあえず奴は机に叩いてやろう。

バン!!

 

あとゴースト・オブ・ツシマはプレイした。

 

ラストは殺せなかった。

 

 

 

「ハッパさん、随分と詳しいな」

 

「とある知人がな、開発者の癖にやたらと詳しいんだ。それでオレも自然と学んだ訳だ」

 

「そうですか」

 

「さあ!無駄話はここまでだ!始めるぞ!」

 

 

 

ハッパさんは測定器のスイッチを入れる。

 

そして実験用ストライカーユニットの受け入れ準備が完了したことを確認したので、最初は半分程度の魔法力を注ごうとしたが…

 

 

 

「黒数、今回は最初から全開で行け」

 

「!?」

 

「内部のシステムをほとんど落として最初からスラスターに魔法力が渡るようした。そうすれば魔法力はジェット噴射のように放たれるはずだ。そのかわり真上に飛べ。万が一のため天井は開けている。格納庫内で暴れられても困るからな」

 

「ユニット格納機のジョイントは?」

 

「んああ?そんなの挟んで押さえられるかわかんねぇよ。だいたいお前の魔法力はそこらのウィッチの数倍は兼ね備えてんだ。それを魔力フィールドも無しに一直線に放ってみな、()ぶぞ」

 

「まだホタテ食ってる方がマシだな…」

 

「手を抜くな、全力だ。さも無いと数字に嘘つくことになる。それに…」

 

「北郷にも…だろ?言われなくても俺はちゃんと約束を宇宙で果たしてみせるよ!」

 

「そうかよ」

 

 

 

ハッパさんは軽く笑った気がした。

 

そして言われたとおりに、有りったけを…

 

 

 

「うおおおお!!!」

 

 

 

もう既にストライカーユニットが揺れ始める。

 

いや、少しちがう。

 

ユニット格納庫ごと注がれる魔法力の衝撃によってガタガタと揺れている。

 

しかも全体が小刻みに動くものだから格納機毎少しずつズレ始めていた。

 

 

 

「っ…!」

 

 

 

俺はハッパさんを見る。

 

本当に良いのか…?と。

 

しかし…

 

 

 

「オレはな、これでもウィザードの逸話をある程度は信じてるんだ」

 

「!?」

 

「お前のことは正直まだまだだが、だがその力がウィザードのモノなら、それは人類のための力だ。オレはそれを信じてる。ならウィザードをする貴様がオレたち人類を守れ!」

 

「ッ!それが……それが、望みか!?」

 

「ああ!そうだ!」

 

「ウィザードに対する望みだな!?」

 

「そのとおりだ!!」

 

「ならッッ!!」

 

 

 

この世界の人類が言うんだ。

 

そう望んでいるんだ。

 

なら、ウィザードな俺は…!!

 

 

 

 

「ガンダム…ッッ!!!!」

 

 

 

 

俺の中にある願いに、願う。

 

そして…

 

 

 

 

 

視界は真っ白に光った。

 

その瞬間__俺は浮遊感を得る。

 

 

 

 

「ぇぁ?」

 

 

 

 

あれ??

 

俺??

 

もしかして飛んだ??

 

飛んだのか??

 

は、ははは…

 

なんだ、できるじゃん。

 

身構え過ぎて損した気分だ…

 

でも…

 

あれ…?

 

な、何故か足が焼けるように痛いな…?

 

どうしたんだろ?

 

でも体がフワリと軽い感じだ。

 

やはり飛べてるじゃないか、ウィザードは。

 

やっぱり…

 

俺って、不可能を可能に__

 

 

 

 

 

 

「黒数っ!!??」

 

 

 

 

 

 

 

人類はどう足掻いても重力に縛られる生き物だ。

 

それはガンダムで幾度なく見てきた。

 

だから俺はそれに従ってしまう。

 

 

 

 

「あれ?なんで、空が…逆さまで__」

 

 

 

 

 

打ち付けられた衝撃と共に気を失った。

 

 

 

 

 

つづく






整備士の八羽中尉、またハッパさんはアニメ『Gのレコンギスタ』からまんまイメージして登場させてます。

扶桑クオリティなので変態(天才)です。


ではまた

スピンオフ『1937扶桑海事変』は読んだことありますか?

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